アンティークワックスの特徴
アンティークワックスとは
アンティークワックスは、その名の通り家具などの木製品をアンティーク調に仕上げることができる塗料の一種です。また塗り方によってはヴィンテージ加工もできるので、あらゆるインテリアのリメイクに使うことができます。アンティークワックスは発売以来DIYを趣味としている人たちから絶大な支持を得ており、アンティークワックスを知ると「ステイン塗料にはもう戻れない…」という人もいるくらい人気になっています。
アンティークワックスの原料
アンティークワックスの主な原料はミツロウです。ミツロウとは漢字で書くと「蜜蝋」で、まさにミツバチの巣づくりに使われているロウを取り出し精製したものです。一般的な塗料やペンキにありがちなイヤなにおいはなく、ほんのりとハチミツのような甘い香りがするので、アンティークワックスは屋内でのDIY作業でも苦痛が少ないです。
また、ミツロウは化粧品としても利用されているくらい安全性の高い成分です。そのため肌に触れても低刺激で、作業中も周りが汚れにくいというメリットもあります。とはいえ油性塗料なのでしっかりと木材の保護もでき、とても優秀な塗料と言えます。
アンティークワックスの塗装面積
アンティークワックスは固形なので、塗装面積はグラム単位での計算になります。1度塗りの場合、1平方メートルにつき約30g使用します。1缶あたり120g入っているので、1缶で4平方メートルも塗装が可能でコスパもいいですよね。
アンティークワックスとペンキの違い
アンティークワックスとペンキの一番の違いは、木目を生かすか隠すかというところにあります。アンティークワックスは床用ワックスを想像していただくとわかりやすいのですが、あくまでも木材が持つ特徴を生かしながら色を染みこませていくイメージの塗料になります。ただ木材表面の保護はペンキほど強くないので、強い力で水拭きすると色が落ちたりすることがあります。また、熱に対して弱いので、調理器具を置くような場所に利用すると、ワックスが液化して調理器具に色が移ってしまうこともあるので注意しましょう。
一方ペンキは木材の特徴に重ねるイメージの塗料なので、ある意味木材に傷や汚れが多くてもきれいにカバーすることができます。またペンキを塗ることで木材の表面を保護することができるので、水がかかってしまってもきれいに弾いてくれ、汚れやすい場所の塗装にぴったりです。ペンキは色も仕上がりの質感も豊富なので、ブレンドという楽しみ方もできます。
アンティークワックスの色の選び方
ジャコビーン
コーヒーのような深みのある焦げ茶色です。アンティークワックスには8色のラインナップがありますが、一番ヴィンテージ感が出やすい色でとても人気があります。クールで落ち着いた部屋の家具のリメイクにぴったりです。
チューダーオーク
ミルクチョコレートのような色で、適度な赤みであたたかみのあるインテリアになじみやすいです。木目がとてもはっきりと生きる色なので、テーブルやチェストなど大きめの家具のリメイクに利用すると、部屋がぱっと明るくなります。
ラスティックパイン
黄みがかった茶色で色づきがさほど濃くないので、ナチュラルな雰囲気に家具をリメイクしたいときにおすすめです。よりヴィンテージ感を出したい場合は、重ね塗りをするといいですよ。
ウォルナット
色選びに迷ったらウォルナットを選んでおけば安心、というくらいヴィンテージ感を出したいときのDIYにもってこいの色です。落ち着いた焦げ茶色は敢えて塗りムラを出した塗り方をしても味が出る万能な色味なので、DIY初心者にもおすすめです。
ダークオーク
オークと言うと明るい色味を想像する方も多いかもしれませんね。しかし、アンティークワックスのオークは「ダーク」カラーなので、意外と暗いです。ややくすんだ焦げ茶色なので、こなれ感がありどんな家具もおしゃれに仕上がりますよ。
チーク
アンティークワックスの中で一番赤みが強く愛らしい印象に仕上がる色がこのチークです。かわいらしい部屋の家具のリメイクにぴったりで、とてもぬくもりある仕上がりになります。そのため、ヴィンテージ感を出したいときにはやや不向きの色です。
ホワイト
ホワイトのアンティークワックスはしっかりと白く仕上がりますが木目も浮き出ているのでとても美しい家具に仕上がります。真っ白のペンキを使いたいけれど木目を消したくない!というときにおすすめですよ。また、色が濃い木材を塗る場合はややしろっぽ色味に変化させることができます。
クリア
クリアはその名の通り色はつきません。ただクリアのアンティークワックスを塗ることで木材本来の色を活かしながらツヤを出し、表面をきれいに仕上げることができるのでニスほどツヤツヤさせたくない家具の塗装にぴったりです。
アンティークワックスを塗る時の準備物
アンティークワックスを使用するときは、次のものを準備しておきましょう。
・紙やすり
・ウエス3枚以上(タオル・いらなくなったTシャツなど)
・ビニール手袋
アンティークワックスの基本の使い方
使い方1.木材の表面を整える
アンティークワックスを塗りたい木材の表面を整えていきます。この時紙やすりを使うのが一般的ですが、凹凸やとげが多い場合は金属製のやすりを使うのもいいですね。木材の表面を整える場合は、#120くらいの紙やすりをまず使って、ある程度整ったら#280くらいの紙やすりを使ってさらに滑らかな表面に仕上げていきましょう。
もし元の塗装をはがしてアンティークワックスを塗りたい場合は、#40~#100くらいの紙やすりを利用するのがおすすめです。また、敢えて木材の表面を粗くしてヴィンテージ感を出したい場合にも、番手の小さい紙やすりは活躍するので持っておいて損はないですよ。
アンティークワックスを塗りたい面の表面がなめらかになったら、ウエスなどで木くずをきれいに取り去りましょう。このとき濡れたふきんを使った場合は、木材を完全に乾かしてからでないと塗装ができません。時間のロスになるので、できれば乾いたウエスを使うようにしましょう。
使い方2.塗装
ウエスにアンティークワックスを少しずつ取り木材に塗っていきます。塗り方のコツは、一気に塗ろうとしないことです。ペンキと違って、アンティークワックスは表面に色を置くわけではありません。じっくり木材に色をなじませていくような気持ちで丁寧にすりこんでいきましょう。
使い方3.拭きあげ
木材の塗装したい面をすべて塗ったら、きれいなウエスで全体を拭きあげていきます。このとき色ムラが気になったら、少しアンティークワックスを足したりしながらぼかしていくこともできます。ただ全体的にムラがある場合は一旦磨きまで終わらせて、2度塗りをした方がきれいに仕上がります。
使い方4.磨き
拭きあげ後30分くらい乾燥させて、再びきれいなウエスで全体を磨きます。このとき思った色味に近づいていない場合は、2度塗りを行いましょう。ペンキの2度塗りのように、紙やすりで磨く必要はありません。再びアンティークワックスをウエスに取って塗りこみ、拭きあげ磨くという工程を繰り返しましょう。
アンティークワックスを使用するときの注意点
アンティークワックスの塗装や拭きあげ、磨きに使用したウエス類は自然発火の恐れがあります。使用後は水をたっぷりと含ませてからゴミに出しましょう。また余ったアンティークワックスはしっかりとふたを閉め、直射日光の当たらない場所で保管します。ワックスは熱によって液化してしまうので、50℃以上になるような場所での保管は避け、万が一の漏れに備えて、袋に入れておくと安心です。
アンティークワックス塗装をきれいに仕上げるコツ
アンティークワックスの塗り方のポイントは、拭きあげと磨きをきちんとすることです。塗装の段階で色が薄いからと、拭きあげや磨きをせずに何度も繰り返しアンティークワックスを次々重ね塗りすると、結果的にとりかえしのつかないレベルのムラができることもあるので気をつけましょう。
アンティークワックスのヴィンテージ加工
アンティークワックスを塗っただけでもヴィンテージ感はかなり出ますが、さらにヴィンテージ感たっぷりの家具に加工したい場合は、拭きあげ前にひと手間かけてみましょう。
アンティークワックスを塗った後、タワシのような毛の固いブラシで強めにこすると、何十年も使い古したかのような独特なつやが出てきます。新しい木材でも、この塗り方をすると一気に深みが出て、DIYとは思えない重厚感が出ますよ。
また、塗装前にあらかじめ木材に傷をつけておくのもおすすめです。傷がある場所にはどうしても多くのアンティークワックスがとどまってしまうので、結果的にそこだけ色が濃くなります。ムラなく塗りたいときは傷は痛手ですが、ヴィンテージ感を出したいときは傷とつけることで普通の塗り方をしても自然なヴィンテージ感が出せます。
アンティークワックスとペンキの重ね塗り
アンティークワックスにペンキを塗る塗り方もヴィンテージ感が出ると人気です。同じターナー色彩が販売しているミルクペイントとアンティークワックスの相性は素晴らしいとDIY好きな人の中でも大流行しています。塗り方はいたって簡単で、アンティークワックスで仕上げた後にミルクペイントを塗るだけ。最後に紙やすりで表面のミルクペイントを適度に落とせば完成です。
DIY初心者で最後の紙やすりのバランスが難しい…という場合は、アンティークワックスを塗った後にニスを塗るのもおすすめです。ニスを塗ればアンティークワックスを保護できるので、紙やすりのかけすぎ予防に役立ちます。
アンティークワックスと似た塗料
オールドウッドワックス
アンティークワックスと同じターナー色彩の塗料であるオールドワックスも、家具をヴィンテージ風に加工できると人気のワックスです。オールドウッドワックスはアンティークワックスよりやわらかく伸びがいいので、より大きな家具のリメイクにおすすめです。
アンティークワックスよりグレー系の色がたくさんあるので、クールで落ち着いた雰囲気や、男らしいかっこいい家具に加工したいときに使いたいワックスです。
ブライワックス
ブライワックスはイギリスに本社があるBRIWAX社がつくっているワックスで、アンティークワックス同様ミツロウが主原料になっています。DIY向けというよりプロ向けの塗料ですが、1860年の発売以来根強い人気があります。アンティークワックスより内容量が400mlと多いので、これからたくさんワックスを使用したい人にぴったりです。
アンティークワックスで楽しくリメイク
最近はDIY好きな人の中でもヴィンテージ加工はとても注目されていますよね。ただ、ヴィンテージ加工はある程度技術やセンスがないと難しい部分もあります。しかしアンティークワックスならDIY初心者でも簡単にヴィンテージ感たっぷりの家具にリメイクができますよ。便利で使いやすいアンティークワックスを使って、どんどん家具を自分流にリメイクしていきましょう!
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