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ラテラルロッドの効果と役割とは?車検で気になる調整や交換方法も解説!

ラテラルロッドの効果と役割を紹介します。四輪駆動の自動車や後輪駆動の軽自動車など一部の自動車サスペンションに採用されているラテラルロッドの必要性や効果、交換作業に必要な工具、交換方法から車検との関係性まで、ラテラルロッドの基本情報が満載です。
更新: 2021年12月14日
tryyua
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はじめに

今回の記事はラテラルロッドに関する基本情報です。車によっては必ず必要な部品の一つがラテラルロッドですが、その役割や効果、種類、取り付けに必要な工具や取り付け方法などを紹介します。

自作加工品や社外品を付けると特に気になる、車と乗るためには避けて通れない車検の際にラテラルロッドで注意することはあるのかどうかの説明もありです。これを一通り読んでおけばラテラルロッドのことがよくわかります。

ラテラルロッドとは

サスペンションアームの一種

ラテラルロッドとはサスペンションアームの一種です。サスペンションアームつまりは足回り構成部品のひとつになります。

FR車(後輪駆動の車)や全輪駆動(ジムニーやパジェロ)でクロスカントリー仕様の車のリア足回りを見てみると、横方向に取り付けられていたり横斜め方向に取り付けられている部品があるのですが、それがラテラルロッドです。

翻訳すると「横の棒」

ラテラルロッドを英語で表すとLateral Rodになるのですが、これを日本語に翻訳すると「横の棒」となります。棒は基本真っ直ぐなものが多いので、今回の場合、横方向に使用する真っ直ぐな棒と理解することが適切です。ラテラルロッドの効果を理解するうえでは「横方向」という言葉がキーワードとなります。

一部のリンク式サスペンションに使われる

ラテラルロッドは一部のリンク式サスペンションに取り付けられています。リンク式サスペンションは車軸懸架式サスペンション(左右のサスペンションが車軸を通じて繋がれているサスペンション)のひとつに該当するものです。

リンク式サスペンションすべてにラテラルロッドが取り付けられるわけではなく、中でも一部のサスペンションに限られています。自作で曲がりを修理している人もいるくらいです。

ラテラルロッドを採用するサスペンション

3リンク式サスペンション

ラテラルロッドを採用するサスペンションのひとつは3リンク式サスペンションです。3リンク式サスペンションは主に2本のトレーリングアームと1本のラテラルロッドで構成されていて、それゆえ「3リンク」と言われています。

他のリンク式サスペンションでもこの3リンク式をベースに部品を取り付けているようになっており、リンク式サスペンションの効果やラテラルロッドの役割を理解する基本となるサスペンション方式です。

5リンク式サスペンション


ラテラルロッドを採用しているもう1つのサスペンションは5リンク式サスペンションです。5リンク式サスペンションも3リンク式サスペンションと同じようにラテラルロッドが車台と車軸に取り付けられているのですが、3リンク式とは違って2本の補助棒が取り付けられています。

3リンクに新たな2本の補助棒(2リンク)を加えて5リンク式となっているのです。4リンク式のサスペンションにラテラルロッドが取り付けて役割を増やしたものとも言われます。

ラテラルロッドの役割

横方向に対する剛性の確保

ラテラルロッドの役割は横方向に対する剛性を確保することです。車軸式サスペションのトレーリングアームなどには横方向の力が発生するため、横方向の力がかかっても走行中に車が安定するようにラテラルロッドを取り付けるということになります。

車軸とスイング軸を使っていて、なおかつ車軸で左右繋がっているサスペンションならではの部品、それがラテラルロッドなのです。

斜めに取り付けられているのが多い

ラテラルロッドの取り付け部分を見てみると、斜めに取り付けられていることが多いです。取り付けは六角ボルトが使われていて、ボルトの締付用にネジが切ってある部分に締め付けるようになっています。その状態で取り付けられていても、沈み込むと斜めから平行になって地面に近づいていきます。

ラテラルロッドの種類

調整式か非調整式か

Spiegel 調整式ラテラルロッド ゼスト JE2

出典:Amazon

ラテラルロッドを種類分けすると、調整式と非調整式に分けることができます。純正の足回りの状態であれば長さ調整ができないラテラルロッドが取り付けられていることが大半です。それに対して非調整式のラテラルロッドは社外メーカーが製造・販売していることが多く、調整式が数多くあります。

そのため、もし調整式を取り付けたいのであれば社外メーカー品を購入するのが常套手段です。調整式ではロックナットを緩めることでラテラルロッド自体を回転させて長さ調整をするようになっています。

調整式ラテラルロッドの役割・必要性

調整式ラテラルロッドの役割・必要性は車高調式サスペンションを採用する際の左右バランスのバランスを取ることです。サスペンションが縮む・沈み込むとラテラルロッドは地面に近づきます。

近づくだけなら問題はないのですが、問題は斜め掛けのラテラルロッドが沈み込むと取り付け部分が下方向にある方向へ車軸とホイールがずれてしまうことです。例えば、ラテラルロッドが右上がり・左下がりで取り付けられていると、サスペンションが沈むと左方向にずれてしまいます。

強化ブッシュやデザイン志向の強いものも

ラテラルロッドの長さを調整することができるだけでなく、強化ブッシュをロッドエンド部分に採用して経年劣化や走行で消耗するブッシュの耐久性を高くしたものや、クロムメッキを施すなどデザインにこだわるなど、ラテラルロッドの長さ以外にも大切な要素があるのです。

長さ調整可能な量も製品によって異なります。ロッド部分は強度を考慮してスチールを採用することが多いです。

ラテラルロッドの交換に必要な工具

ジャッキ類


ジャッキスタンドやフロアジャッキといったジャッキ類は一式必要になります。クロカン車のような足の長い車は別にして、一般的な乗用車であればリアをジャッキアップしないとラテラルロッドまで辿りつことができないのです。ディーラーや整備工場にあるようなリフトタイプを購入することもできませんので、DIYで一般的なジャッキスタンドとフロアジャッキが必要となります。

ジャッキスタンドであればできるだけ高い位置で固定できるものを、フロアジャッキなら作業車両の重量よりも大きい耐荷重のものを購入してください。

メガネレンチやラチェットレンチ

メガネレンチやラチェットレンチもラテラルロッド交換作業に必要な工具です。こちらは車やバイクのDIYなら定番の工具ですので持っている方は多いでしょうし、価格もそれほど高くないので持っていない方はこの機会に一式購入しておきましょう。

ラテラルロッドは六角ボルトで固定されているので、固定箇所を確認して外す・取り付けることで交換終了です。ボルト規格はメーカーによるところが多いので、上記工具でセット売りされているものを購入しておきましょう。

ラテラルロッドの交換方法

交換方法①:ジャッキアップする

ラテラルロッドの交換作業はジャッキアップから始まります。足の長い全輪駆動自動車などですとそのまま下に潜れって取り付けることができるので、ジャッキアップが必要となるのはすでに説明したように一般的な乗用車のラテラルロッド交換時です。

ラテラルロッドが使われている車はFR車やAWD車ですから、ジャッキアップポイントをデフ部分にして持ち上げるます。事前にディーラーでジャッキアップポイントを確認しておきましょう。

交換方法②:取り外す

ラテラルロッドを弄れるようにジャッキアップしたら、さっそくラテラルロッドを取り外します。取り外し方はロッドエンドの六角ボルトを取り外す、これだけです。六角ボルトを取り外すために必要な工具はメガネレンチやラチェットレンチですので、規格に合ったものを使って緩めていきます。

なお、上記では紹介していませんがインパクトレンチを使って取り外すことも可能です。

組み付ける

ラテラルロッドを取り外したら新しいラテラルロッドを組み付けます。取り外したラテラルロッドや新しく取り付けるラテラルロッドに曲がりがないかどうかを合わせてチェックしましょう。取り付けたら、まずは1G締めをして、最後に製造メーカーが定める締付トルクで締め付けてください。

ラテラルロッドと車検

特に制限はない

純正ならともかく、社外品の部品を取り付けたり、加工した部品や自作の部品を使っていると気になるのが車検に合格できるのかどうかということは誰しもが気になることになります。ラテラルロッドに関しては、特別、車検でチェック項目があるというわけではありませんので社外品を取り付けているから車検に通らないことはないです。
 


破損していなければOK

ラテラルロッドに曲がりがある、亀裂が入っている、明らかに破損しているといった状態だったら車検で指摘される可能性はありますが、そのような破損がなければ車検はOKということになります。

例えば、ブッシュ類をフルピロにしてしまうと強度計算書が必要になったり、そもそも車検に通らないのですが、ラテラルロッドはそのような書類が必要のない部品になるため車検では細かいチェックが無いということです。

社外ラテラルロッド購入時の注意点

信頼できるメーカーかどうか

社外ラテラルロッド購入時には注意点があります。それは、購入する社外ラテラルロッドの製造メーカーが信用できるメーカーであるか否かということです。車の部品である以上、高い強度が必要となります。そのような強度を得るためには高い加工技術が必要となり、中途半端な溶接加工で製造されたラテラルロッドを使うとラテラルロッドに曲がりの発生や亀裂・破損が発生するのです。

製品に自作加工を追加した者も同じです。自作加工でも強度に自信を持てない場合にはやめておいたほうが良いでしょう。その場しのぎで曲がりを直すくらいなら一時的にはありです。

純正品なら無難

極端なことを言うと、足回りのチューニングをしないのであればラテラルロッドを社外メーカー品に変更しなくても純正品で十分です。自作品よりよいのはなおさら。純正の足回りはメーカーがバランスの良い、どこでもある程度のレベルで走行できることを考えた設計になっている、つまりある意味で効果的な作りとなっています。

上述したようにラテラルロッドを社外品に交換する理由は車高調を取り入れた時などに発生するホイールのズレ修正などですので、車高調を取り付けないなら純正のままでOKです。取りついているものに曲がりが発生したときや性能が下がったと感じた時に消耗品交換するくらいでよいでしょう。

まとめ

自分で加工してラテラルロッドを作る方や、自作まではしないけれど曲がりの付いたラテラルロッドをとりあえず真っ直ぐに直してつけて走っている方、お金がないから安いものを取り付けておく、などいろいろな考えたの方がいますが、車高調の取り付けをしない限り社外メーカー製を使う必要はないでしょう。

自作作業する場合や、曲がりを加工で直す場合、社外品を取り付けるには、強化品の効果をより引き出すためにも、適切な調整方法や取り付け方法で作業に取り組んでください。

トーションビーム式サスペンションが気になる方はこちらをチェック