わさびってどんな植物?
お寿司やお刺身、おそばなど和食に欠かせない存在のわさび。最近では西洋からの視線も熱く、フランスでは日本のわさびを取り寄せて作った料理がレストランで人気だそうです。
わさびというと栽培条件が難しく、素人には栽培できない、と思われがちですが、条件さえ整えれば家庭でもわさび栽培が可能です。わさびは、大きく水で栽培する方法と、土で栽培する方法に分かれます。では、わさびの育て方や増やし方を具体的に見ていきましょう。
わさびの花の特徴
わさびの花の咲く時期は、3~5月ごろです。とても小さく可愛らしい白い花を咲かせます。わさびの花は食用となり、天ぷらなどのレシピに利用されます。春を告げるお料理として料亭などで人気です。
わさびの葉の特徴
わさびは、根っこからは茎を10センチくらい伸ばし、そこにハートの形のような葉っぱをつけます。わさびの葉っぱの色は明るいグリーン色です。わさびの葉っぱは、「葉わさび」と呼ばれ美味しいです。
わさびの根の特徴
いわゆるお刺身やお寿司についているのが、わさびの根っこをすりおろしたものです。わさびは成長とともに、根っこを肥大させます。数年栽培すると収穫適期となります。
わさびの基本データ
科名属名
アブラナ科・ワサビ属
学名
Wasabia japonica
和名
わさび
別名
畑わさび、沢わさび、陸わさび
英名
Wasabi、Japanese horseradish
原産国
日本
わさびの花言葉
花言葉1・目覚め
わさびを口にすると、ツーンと鼻がとおり、目が覚めるような辛みを感じます。辛いのに不快ではなくむしろすがすがしさを感じるわさびの独特の風味から、「目覚め」という花言葉が生まれました。
花言葉2・嬉し涙
わさびを食べると、あまりの辛さに涙が出ることがあります。悲しいわけではない涙からイメージされて、「嬉し涙」という花言葉がつけられました。
わさび栽培の前に・わさびの栄養成分と効果効能
わさびは、食べて美味しいだけでなく、たくさんの栄養成分を含む機能性食品です。日本のハーブとも呼ばれ、古くより重宝されてきました。では、わさびの栄養成分ともたらされる効果について詳しく見ていきましょう。
イソチオシアネート
わさびには、イソチオシアネートと呼ばれる栄養成分が含まれています。イソチオシアネートは、O157などの食中毒の要因となる菌の増殖を抑えてくれます。たとえばお刺身などにわさびが添えられているのは、ただ美味しいという理由だけではなく、わさびの抗菌作用を期待しての工夫です。
またイソチオシアネートは、血小板を固まりにくくし血栓を予防してくれるので、脳梗塞や心筋梗塞の予防に効果があると言われています。
スルフィニル
わさびには、スルフィニルという物質が含まれています。スルフィニルには、体内の細胞を活性化させる働きがあり、お肌や体の老化を抑制してくれます。わさびはエイジングケアにもってこいの食材です。
β‐アミラーゼ
わさびに含まれているβ‐アミラーゼは、でんぷんを分解する作用を持ち、消化吸収に優れた成分です。
わさびの栽培方法は2タイプある
わさびは、水のなかで育てる栽培方法と、土で育てる栽培方法があります。水で育てたわさびを「沢わさび」、土で育てたわさびを「陸わさび」「畑わさび」と呼び区別しています。一般的に、水のなかで育てた沢わさびの方が、根っこが肥大します。
そのため、わさびを専門にしている農家では、水栽培するのが通常です。家庭では、水槽やペットボトルを用いた水耕栽培や、プランターに植えての土耕栽培ができます。条件を維持する必要はありますが、家庭でもわさび栽培は可能なので、ぜひチャレンジしてください。
わさびを家庭で気軽に栽培する方法
本来、わさびは少し栽培が難しい植物ですが、家庭でも栽培可能な簡単な方法があります。大量に収穫することはできないかも知れませんが、収穫したてのわさびの風味は格別ですので、ぜひ試してみてください。
ペットボトルを使った水耕栽培
水耕栽培とは、土を使わず水のなかで植物を育てる栽培方法です。わさびは日本の美しい水が流れる沢などに自生しています。常に水が流れていること、水温を15度前後に保つことがわさびがうまく育つ条件です。
栽培用のペットボトルはきれいに洗おう
水槽やペットボトルを準備します。ペットボトルの場合は、3分の2くらいの大きさにカットしましょう。水槽やペットボトルをきれいに洗い、水耕栽培の容器にします。
ペットボトルをきれいにしておかないと雑菌などが繁殖する恐れがありますので念入りに洗いましょう。底に川砂を数センチ入れます。川砂にわさびの根っこを埋めるようにして植え付けます。
水を川砂の上から2センチくらい張ります。きれいな水が常に循環する条件に近づけるため酸素供給器を準備するとベストです。また数週間に一度の割合で、水耕栽培用の液体肥料をほどこします。なお、水耕栽培をするときは、固形肥料は水を濁すので避けましょう。
プランターでの土耕栽培
わさびは、プランターで栽培することができます。土耕栽培のなかでも畑で育てる場合は、気温の管理などがとても大変です。プランターでの栽培なら、夏は涼しいところに、冬はあたたかいところに移動させられるので、家庭でも比較的簡単にわさびを育てることができます。
栽培キットを使うのも便利
自分で水耕栽培、土耕栽培の準備をするのは面倒、という方には、栽培キットの利用がおすすめです。栽培キットなら、必要な土や容器、わさびの苗、肥料などが全部セットされています。
とくにわさびの苗は、地域によってあまり出回っていないところもあり、キットごとネットなどで取り寄せるとすぐに栽培に取り掛かれて便利です。
土耕栽培用のキットもありますし、わさび専用ではありませんが水耕栽培キットというものも販売されています。
わさびの育て方1・土づくり
わさびは、水はけのよい土壌を好む植物です。小粒の赤玉土に川砂を多めに混ぜたものを準備しましょう。市販の山野草用培養土や草花用培養土を利用する場合も、少し川砂を混ぜるとよいでしょう。
わさびの育て方2・肥料
わさびには、4~6月および9~10月ごろに、少し肥料をほどこします。肥料は、窒素成分が少なめのものをチョイスしましょう。沢わさびの場合、肥料成分が水で流れてしまわないように、細かい網目のネットに肥料を入れて水にしずめ固定します。畑わさびの場合は、土に肥料を混ぜ込みます。
わさびの育て方3・水やり
沢わさびの場合は、すでに水が流れているところに植え付けますので水やりは必要ありません。畑わさびの場合は、こまめな水やりが必要です。わさびを植えている土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりしましょう。わさびは、水が大好きで、水が切れると枯れてしまいます。
わさびの育て方4・場所
わさびは、何より生育適温という条件をクリアしないと弱ってしまい育ちません。畑わさびの場合は、冬から春にかけてハウスで栽培する、もしくはトンネル支柱を用いてビニールシートで保温します。
逆に夏は、できるだけ涼しく風通しのよい環境になるよう工夫しましょう。家庭では、プランターで栽培して、常に心地よい気温の場所に移動させるのがベストです。
わさびの育て方5・植え付け
わさびの植え付けに適した時期は9~10月ごろです。わさびには生育適温があるので、気温が8~30度までの時期に植え付けをしましょう。わさびは根っこ、もしくは苗を植え付けるのが一般的です。
根っこもしくは苗を植え付けたら、しっかり根付いて安定するまで、風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。なお、わさびを複数植える場合は、株同士の株間は20~30センチあけましょう。
わさびの育て方7・病害虫
病気
わさびは、軟腐病にかかることがあります。軟腐病は高温多湿の環境で発生しやすい病気で、わさびが軟腐病にかかると、葉っぱや根っこが腐ってしまいます。しかも一度軟腐病にかかってしまうと治癒しません。軟腐病は伝染するので、見つけたらその株はすぐに引き抜いて処分しましょう。
害虫
わさびには、もんしろちょうの幼虫である青虫が発生しやすいです。青虫は春の暖かい時期に発生しやすく、わさびのやわらかい新芽や花を食べてしまいます。青虫は大食漢なのであっという間にわさびが食べつくされてしまうことも。青虫を見つけたらすみやかに駆除しましょう。
わさびの育て方8・収穫
わさびの花を収穫する時期は、3~5月、葉や根っこを収穫する時期は、3~9月ごろです。根っこを収穫する場合は、数年栽培してしっかり肥大させてからおこないましょう。なお、わさびの花や葉は収穫して時間が経つと、せっかくの風味が落ちてしまいます。収穫したらすぐに料理にして美味しくいただきましょう。
わさびの増やし方1・種まき
わさびの増やし方のひとつめは、種まきです。種まきによる増やし方に適した時期は、3月もしくは10月ごろです。沢わさびとして育てる場合も、土に種をまき苗を育ててから沢に植え付けます。
種まき用の土を入れた育苗ポットやプランターに種まきするのですが、わさびの種はとても小さいのでピンセットを使うと便利です。種が重ならないようにまいたら軽く土をかぶせます。
表面を寒冷紗などでおおい乾燥しないようにします。風通しのよいところで管理しながら、水切れしないようにこまめに水やりしましょう。だいたい10日くらいで発芽します。4~5カ月育てて苗が充実してきたら種まき苗の完成です。
わさびの増やし方2・株分け
わさびの増やし方の二つめは、株分けです。株分けは種まきと比べると少し成功しやすい増やし方です。わさびの株分けによる増やし方に適した時期は、夏から秋にかけて株が充実してきたころです。
育てているわさびを掘り起こし、清潔な手で根っこを分けます。土を入れたプランターや畑、沢にそれぞれの株を植え付けていきます。
土耕栽培の場合は、株分けしたものがしっかり根付いて安定するまで、風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
わさびは工夫次第で家庭でも栽培できる
わさびは独特の風味が魅力の日本のハーブです。栄養成分にも優れ世界中からひっぱりだこの存在。収穫してすぐのわさびはただ辛いだけではなく、甘みさえ感じられるほど風味豊かです。
収穫してすぐのわさびを食べるには、自分で育てるのが一番。栽培条件が難しいと言われるわさびですが、ペットボトルでの水耕栽培や、プランターでの土耕栽培も可能です。
栽培キットを利用すれば必要なものがすべてセットされていますよ。ぜひ家庭でわさびを栽培して、わさびの風味を堪能しましょう。
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