新城島はどこにある?
新城島の場所を知っていますか?知らない人の方が圧倒的に多いこの島が、いったいドコにあるか地図で探してください。
沖縄の西表島の南東
この謎の島があるのは、日本のいちばん西のほう。イリオモテヤマネコで有名な、西表島の南東側です。沖縄の先島諸島の八重山列島に所属しています。新城島の東には黒島が隣接し、石垣島も目と鼻の先です。
2つの島を合わせて新城島
意外なことですが、新城島とは昔から、2つの島を合わせた呼び名です。北東側の細長い島を上地島、南西側の丸い島を下地島といいます。新城島全体が、八重山郡竹富町に所属しています。
新城島の特徴
島の別名
新城島には、古来よりの別名に、パナリ島の名があります。これは沖縄の八重山方言で「離れ」を意味する言葉です。15世紀の朝鮮王朝の記録では、琉球の勃乃伊島という島名が登場しており、これがパナリ島のことだと考えられています。
上地島の特徴
北東側の上地島は、昔からの小さな集落がある島です。東西の長さは2.4キロあまりで、島を1周しても5キロほどです。観光ツアーの宿泊施設なども置かれている場所で、インターネット接続も可能です。特に観光名所が多く、今でも奇祭の風習が行われているのも上地島のほうです。
撮影録音禁止の看板
上地島を歩けば、何か不思議に思うことがあります。それは集落や辺鄙なところにまで、撮影・録音禁止の看板が、無数に立っていること。これほどまでに撮られることを嫌う理由は島の秘祭にあるのですが、ともかく異様な空気も漂わせているのは確かです。
下地島の特徴
南西側の下地島は、東西に1.6キロ、南北に1.4キロほどの高低差のない島です。数十年前から島の全体がパナリ牧場の敷地ですが、各地に遺跡もあるので観光ツアーで訪れることができます。
新城島の人口
2016年現在では、上地島の人口は13人、下地島の住人は2人です。合計15人しか住んでいませんが、住人は石垣島や西表島のほうに在住している人がいるため、年間を通じたほとんどの時期、島民は10人未満しか確認されません。
観光客数
住人は非常に少ないのに比べて、観光客数が圧倒的に多いのが新城島です。1990年には1,776人の観光客だったのが、2016年には2,978人にまで激増しています。新城島のシュノーケルや散策などの、人気観光ツアーの種類が増えたことが要因です。
新城島のアクセス
石垣島からの高速船
新城島にアクセスできる方法の第一が、石垣島からの高速船による移動です。定期船はでていませんが、新城島の観光ツアーに参加することで乗船できます。出発地は石垣港ターミナル、30分をかけて到着するのは上地港です。
西表島からの高速船
西表島からも、臨時の高速船に乗って新城島に行くことが出来ます。この場合も新城島の観光ツアーに参加する必要があります。出発地は大原港で、上地港へと向かいます。
シーカヤックで行く新城島
西表島から、シーカヤックを漕いで新城島に渡ることもできます。直線距離にしておよそ6~7キロほどあり、経験者ならば西表島を出発して1~2時間でたどり着けます。
シーカヤックのツアーは1日に20キロ近くも漕ぎ進めるため、体力勝負のツアーになります。しかし八重山列島の島々と太平洋を眺めつつのシーカヤックは、日常からかけ離れた世界であり、一回やってみたら何度も体験したくなります。
新城島の歴史
新城島のことをたっぷり知りたい、そして島に伝わる奇祭のことをしっかり知りたいなら、新城島の歴史の理解が不可欠です。
古代~中世の頃の新城島
日本列島が縄文時代から平安時代の頃、新城島を含む南西諸島は、貝塚時代と呼ばれる時代でした。農耕はまだ行われておらず、島民は魚貝の漁をして暮らしていました。12世紀頃になると、八重山列島各地に有力者によりグスク(城)が築かれる、グスク時代となります。
琉球王朝時代の新城島
15世紀から19世紀にかけての沖縄は、琉球王朝の時代です。16世紀、首里城の司法官だった西塘が、新城島を含む八重山列島一帯を統治していました。島民は西表島に田畑を持ち、船で行き来する生活をしていました。いまも琉球王朝時代の遺跡が、島の各地に見られます。
戦後から現在の新城島
戦前から戦後の頃には島民は700人を数え、カツオ漁が盛んな島でした。しかし水の湧かない不便な土地で、中学校もないことから、1980年台にかけて石垣島や西表島へ移住が拡大し、新城島の村は廃村となりました。いまでは観光の島として脚光を浴びています。
新城島とジュゴンの聖域
今も周辺海域にジュゴンが生息している新城島には、ジュゴンに関係する聖地があります。一体どんな場所なのか気になります。
ジュゴンとは
インド洋から太平洋にかけての熱帯・温帯の海に生息している、カイギュウ目の哺乳類です。マナティとよく間違えられています。体長は大人になると3メートル、450キロにも達します。大人しい性格で、西洋では人魚のモデルがジュゴンだったとも言われています。
ジュゴンの不老不死
ジュゴンはその昔、西表島では「ざの」、新城島では「ざぬ」と呼ばれて、食用とされていました。ジュゴンは食べることで不老不死になれたり、媚薬になるとして、琉球王国では珍重された生物だったのです。絶滅危惧種となった今では、南西諸島全体でジュゴンの保護活動が進んでいます。
東御嶽(人魚神社)
東御嶽(あーりいうたき)は新城島の上地島の東方にある聖域です。鳥居の向こうに磐座のような巨石があります。御嶽とは琉球神道で神が降り、祖先を祀る神社のようなところですが、この神社ではジュゴンを祀っています。人形神社と間違えられることがありますが、人形ではなく人魚です。
七問御嶽
下地島のパナリ牧場の敷地内に、七問御嶽(ななぞううたき)という神社があります。ここはジュゴンの100頭の骨が収められているという御嶽です。
御嶽は立入も願掛けも禁止
沖縄における御嶽とは、例えれば神社の本殿内のようなところです。司祭や関係者意外は入れず、特に男性は厳禁です。神社だけれど、個人で何らかのお願いをすることもタブーとされています。島の散策をすれば近寄りたくなりますが、御嶽の外側から見るだけにとどめておいてください。
新城島の遺跡
先島諸島火番盛
1644年頃に琉球王国の各地に作られた、遠見台(番所)が先島諸島火番盛(ひばんむい)と呼ばれる石像建造物。それぞれ国の史跡に指定されています。異国船の監視、狼煙を上げての連絡に使われました。新城島の上地島にはタカニクが、下地島には中森(波照間ムリ)が残されています。
ポーンヤマ遺跡
琉球王朝時代の遺跡で、パイヌブシヌヤー(南の武士の居館)とも呼ばれています。砂浜の岩の上に石垣が組まれ、当時あった住居の様子が想像できます。近くには6基の石積墓の姿もあります。
新城島の名所
クイヌパナ
地域の言葉で、端っこの高台的な意味を持ち、民謡にも歌われているほどの、上地島の景勝地です。船の桟橋の近くにあり、上までは石階段が伸びています。そこからは上地島と下地島、それに海の不思議な形の小島も見渡せます。
浜崎海岸
上地島の最南端にある海岸です。船着き場のある集落から、一本道を南へ1.2キロ歩いた先です。真っ白い砂浜と水色と青色の海、対岸の下地島が見える、島内でも屈指の美しい場所と言われています。海水浴にシュノーケルにと、楽しみ方が広がります。
パナリ牧場
下地島の全域がパナリ牧場の敷地です。緑の原っぱに真っ直ぐな未舗装の道や、青いサイロ、牛舎と牛の姿。そして各地に、琉球王朝やそれ以前の遺跡が残されている場所です。島民は牧場管理者2人だけというのどかな牧場は、観光ツアーで密かな人気があります。
新城島のシュノーケルスポット
1年中気温も水温も高い新城島の海域は、ダイビングやシュノーケルを目的にしても訪れたい、海底の魅力も備えていました。
新城島マイビシ海中公園
新城島の北西側の1.8km2に及ぶ美しいオーシャンブルーの海域が、1977年から新城島マイビシ海中公園に指定されています。ここは西表石垣国立公園の一部です。大きな卓上サンゴ(クシハダミドリイシ)が見られる場所であり、シュノーケルの人気スポットです。
竜宮の根
新城島マイビシ海中公園の、下地島西方に位置する海域です。ここはイソバナと呼ばれる赤いサンゴとそれに群がる熱帯魚が、シュノーケルによって美しく鑑賞できる場所です。
ダイビングやシュノーケルのツアーで
海中公園内のサンゴ礁をダイビングやシュノーケルで見るならば、新城島の旅行ツアーが安く確実な方法です。ダイビングは資格が必要ですが、シュノーケルは資格を必要としません。泳げる人ならば、新城島でシュノーケルツアーを試してください。
新城島の宿泊施設
パナリ観光ゲストハウスで宿泊
新城島の上地島の集落の中では、現在宿泊できる施設は1軒のみです。パナリ観光が管理するゲストハウスでの宿泊ができます。しかし誰でもすぐに宿泊でわけではなく、利用者は過去のパナリ観光のツアー参加者に限定されているとのことです。
ゲストハウスの宿泊中の過ごし方
キッチンやエアコンなど必要な家電は全て揃い、島の中を疾走できる自転車も置かれています。宿泊中は島でのんびりしつつ、あちこちの名所を回ったり、シュノーケルをするのに好都合です。上地島には売店がないので、宿泊中の食料は島外からの持ち込みが必要です。
新城島の秘祭・豊年祭(ンブプル)
それでは新城島で神秘のヴェールに包まれ、かつては命の危険すらもあると囁かれた謎の秘祭、豊年祭とは一体何なのか、祭りの内容の謎を追い求めてみることにします。
新城島の豊年祭の概要
この豊年祭は西表島ではプーリィ、新城島ではンブプルと呼ばれています。発祥地は西表島の古見地区で、周囲の石垣島、小浜島、新城島などでも長い間伝えられてきました。基本的内容は豊作を祈願する豊年祭ですが、各地の豊年祭は、奇祭と呼ばれるほどに内容が独自な進化を遂げていました。
豊年祭の開催日
旧暦の6月、新暦でいうと7~8月にかけて、八重山列島の各地でこの奇祭が行われます。新城島では合計3日間をかけて開催されますが、島民以外の観光客が奇祭の内容を見られる瞬間は、新城島では何ひとつありません。本当に島民専用の奇祭なのです。
豊年祭の開催地
豊年祭が開催される場所は、新城島のうち、上地島のみです。ナハ御嶽(神社)と、集落を中心とします。普段は閑散とした集落内も、秘祭の時には各地から島民と親族が大勢戻ってきて、戦後の頃の集落の賑やかさを取り戻します。
豊年祭の流れ
初日は奇祭の準備の日です。2日目には御嶽(神社)の清掃や、豊作祈願が行われ、草の人形のような姿をした二ロー神(アカマタ・クロマタ)の4神が、集落の家々を尋ねて回ります。3日目には御嶽にて、来年の豊作祈願を行って終えるといった内容です。
新城島の豊年祭の正体
アカマタ・クロマタの正体
この豊年祭に登場する二ロー神は異界の神、すなわち来訪神であると言われています。普段は新城島の集落にはいないけれど、秘祭の時にだけ御嶽の神社から出てきて集落に現れ、子孫に豊穣をもたらす神なのです。
アカマタ・クロマタの外見
新城島のアカマタ・クロマタの姿はあまり知られていませんが、似た内容の豊年祭を行う、石垣島のアカマタ・クロマタの特徴は知られています。身長は180センチあり、全身は蔓草で覆われ、長い鼻とギザギザの歯とヒゲを持った、人形のような姿をしています。
アカマタ・クロマタの意味
アカマタ・クロマタとは、漢字でも表されない意味不明な名称です。これはアカウムティ(赤面)、クロウムティ(黒面)が語源であり、男(黒)と女(赤)のお面を表すとされています。つまり来訪神には男神と女神がいるのです。新城島の奇祭の場合、もれなく子供の神2人もくっ付いてきます。
ナマハゲとの関連は
アイヌ人と沖縄人は、遺伝子的に近縁であると言われています。秋田のナマハゲはアイヌ民族が持っていた風習の可能性が高いと言います。それを表すように、アカマタとナマハゲの人形の特徴を見比べればよく似ています。八重山列島の奇祭は、ナマハゲとの関係を導き出せるかもしれません。
新城島の豊年祭のタブー
よそ者の入島はタブー
豊年祭の期間中、島の出身者以外が新城島に上陸することは許されていません。この秘祭期間は、日帰りや宿泊を兼ねた旅行ツアーも休止となってしまいます。船着き場が厳重に監視され、何らかの船が奇祭中の島に近づくことすら許されていません。
よそ者の参加はタブー
島民だけが参加可能な豊年祭では、島に近づくことは元より、よそ者が参加することや内容を目撃することが、絶対的なタブーです。それほど秘祭の内容を秘密にしたい理由は何なのかと気になりますが、ここは引き下がるよりありません。
内容の撮影はタブー
新城島の豊年祭では、島民であっても基本的に内容を写真撮影したり、ビデオの撮影をすることはタブーとされています。しかも奇祭の絵を写し取ったりすることもタブーというから、タブーも念の入れようが凄い状態です。
新城島の豊年祭を見るとどうなる?
痛い目にあうかも
1968年(昭和43年)のこと、新城島で行われていた秘祭の最中、部外者が禁制の場所に入り込んだとして、島民により暴行を受けた事件がありました。奇祭には部外者は絶対に見てはならないタブーの儀式があるために、怒りの導火線に火が付いてしまう可能性は否定できません。
呪われるかも
新城島の住人以外がアカマタ・クロマタの豊年祭の内容を目撃すると、呪われるとはよく言われる話です。秘祭を見ると病気になったり、災難が降り掛かると言われています。秘祭とは言え、神社の祭事で呪われるとは理不尽な話です。
ミルク信仰と結願暦
ミルクこと弥勒菩薩
沖縄では古来より弥勒菩薩(マイトレーヤ)の信仰が伝わり、ニライカナイからやってくるミルクとして親しまれています。その姿は本州のほうで知られた仏教美術的な人形の姿ではなく、沖縄風に変化した、白い巨顔の人形のような姿です。
結願暦のミルク行列
新城島では旧暦の8月(新暦の10月)になると、結願暦の行事が行われます。この祭りの内容は豊年祭のような、観光客にとって危険なタブーはありません。人形のようなミルクを筆頭にして、島の若者が民族衣装を身につけ、島内を練り歩き、音楽に合わせた踊りを披露します。
ミルクの人形
沖縄各地のミルクは、地域で特徴が異なっていますが、新城島のミルクは人形として販売もされています。ミルクの人形は中国風の黄色い衣装に団扇と杖を持った、顔の真っ白な姿です。人形を持っていることでご利益を得られそうではありませんか。
秘境・新城島へ行こう
神々しいほど綺麗な海のシュノーケル、真っ白い砂浜や遺跡などの見どころがあり、秘祭までもが根付いている新城島。ここは小さな島ながら、興味を引かれる魅力をたっぷり持っていました。沖縄に行くなら、日帰りでも宿泊でも、未体験な新城島の観光を加えてみませんか。
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