バイク用ヘルメットの洗い方:はじめに
バイク用ヘルメットは知らず知らずのうちに汚れます。幹線道路や高速道路を走ると排気ガスで真っ黒になりますし、蒸し暑い季節のツーリングやハードな林道ツーリングでは内装が汗でびっしょりになります。通勤や通学で毎日バイクに乗る人にはにおいを我慢している人も多いですね。いつもヘルメットをピカピカな状態にして、気持ちよくライディングしましょう。
ヘルメットをメンテナンスする必要性は?
ヘルメットをメンテナンスしなければ、汚れでシェルや内装が傷んでしまう可能性があります。ほこりがついたヘルメットが何かに擦れると小傷がつきますし、汚れが酸化すると内装が傷みやすくなります。イヤなにおいがしないヘルメットを着用すれば気分がいいですし、集中力も高まりますよ。
異常を早期発見
ヘルメットを定期的にメンテナンスすれば異常を早期に発見できます。ヘルメットの安全性を確かめ、危険がないかを点検する機会としてメンテナンスするのもいいですね。
バイク用ヘルメットの構造
ヘルメットのメンテナンス方法を紹介する前に、ヘルメットの構造について確認します。ヘルメットの役割は衝撃から頭部を守ることです。そのためにどんな構造になっているかを知っておきましょう。
シェル
ヘルメットの外側を覆う球状部をシェルと呼びます。帽体と呼ばれることも多いですね。ヘルメットの多くはグラスファイバーやポリカーボネイトといった硬い素材でできていて、衝撃を分散することで頭を守ってくれます。卵の殻のような働きですね。
ライナー
シェルの内側に沿って入れられた緩衝材をライナーと呼びます。シェルが分散した衝撃を頭部まで到達しないように和らげるのが役割で、発泡スチロールでできています。卵の黄身を守る白身のような働きだとイメージしましょう。一度衝撃を受けたヘルメットはシェルに異常がなくても交換しなければなりません。シェルに押されてライナーが変形しているため、2度目の衝撃には耐えられない危険な状態になっているからです。
内装
ライナーを覆っている生地を内装と呼びます。スポンジが内蔵されており、頭部にヘルメットをフィットさせるのが役割です。内装が傷んでくるとヘルメットが頭部にフィットしにくくなります。そうなるとヘルメットがズレて頭部が衝撃を受けやすくなりますので危険です。内装は頭部に直接触れる部分ですので汚れやすく、傷むのも早いですね。においがつきやすい部分でもあります。
あごひも
あごひもは頭部にヘルメットを固定する役割を果たします。丈夫なナイロン製のベルトでできており、首に触れる部分は吸水性が高い素材で覆われています。あごひもが破損することは少ないのですが、留め具が破損したり錆びたりする可能性がありますね。
シールドやゴーグル
シールドやゴーグルは視界を確保し、目を守る働きをします。バイクに乗ると走行風や雨で前が見えずらくなりますし、虫や飛来物でけがをすることがあります。視界を確保するためのシールドやゴーグルが汚れていては役割を果たせませんので、いつもピカピカにしておきたいですね。
バイク用ヘルメットの洗い方:日常的なメンテナンス
バイク用ヘルメットのピカピカ状態を保つためには、日常的にメンテナンスすることが大切です。汚れが酷くなってからでは落とすのが大変ですので、こまめにメンテナンスしましょう。リアボックスやスクーターのトランクにヘルメットを入れっぱなしにするのはにおいの原因になります。新鮮な空気に触れさせ、乾燥させることが大切です。
安全なメンテナンス方法
ヘルメットを使い終わったらシェル、内装、あごひもを硬く絞ったタオルで水拭きしましょう。水拭きしたら必ず風通しのいい場所で乾燥させます。内装に汚れが付着するとにおいの原因になりますので、日常的なメンテナンスは重要です。
危険なメンテナンス方法
ヘルメットを水拭きしたものの、乾燥させなかったり湿気がたまりやすい場所で保管したりすると、雑菌が繁殖しやすくなります。メンテナンスしているつもりがにおいの原因を作ってしまいますので、必ず乾燥させましょう。
バイク用ヘルメットの洗い方:シェル
ヘルメットのシェルは日常的なメンテナンスで汚れをほとんど落とすことができますが、ひどい汚れは水拭きだけでは落ちません。定期的にヘルメットをメンテナンスしてピカピカにしましょう。
安全なメンテナンス方法
ヘルメットのシェルの汚れは中性洗剤で落とします。中性洗剤を溶かした水をタオルに含ませ、丁寧に拭うのが一般的です。シールドやダクトなど、外せるパーツはすべて外し、隅々までピカピカにしましょう。ダクト付近も綿棒などを使ってピカピカにしたいですね。ダクトにはほこりや虫の死骸が入り込んでいることが多いですよ。
危険なメンテナンス方法
ヘルメットのシェルを清掃するときに有機溶剤を含んだクリーナーを使うのはご法度です。有機溶剤はシェルに浸透して強度を落としてしまう可能性があるからです。表面の塗装が傷み始めると、どんなに頑張ってもピカピカにはなりません。
バイク用ヘルメットの洗い方:内装について
ヘルメットの内装は定期的にメンテナンスしましょう。肌に直接触れる部分ですので汚れが付きやすいですし、汚れが酷くなってからのメンテナンスは手間がかかります。しかし、内装の汚れは目立たないのでついつい後回しにしてしまいますよね。定期的にメンテナンスするためにタイミングを決めておきましょう。
内装の種類
ヘルメットには内装が外せるタイプと外せないタイプがあります。メンテナンス性を重視するなら内装を外せるヘルメットがおすすめです。
ヘルメットの内装をメンテナンスするタイミング
ヘルメットの内装をメンテナンスするタイミングを決めましょう。汗をかきやすい季節の後はもちろんですが、その前にメンテナンスすると雑菌が繁殖しにくくなります。夏用のライディングジャケットを出したときと仕舞うとき…そんなタイミングを基準にすればいいですね。毎日使うヘルメットならメンテナンスの回数は多めにしなければなりません。
ドライブチェーンへの給油はもっとも頻度が高いメンテナンスですので、ヘルメットのメンテナンスに合わせせられます。次に多いのはオイル交換ですね。
バイク用ヘルメットの洗い方:内装1
内装が外せるヘルメット
内装が外せるタイプのヘルメットなら洗い方はとても簡単です。もっとも簡単な洗い方は①内装をなずして洗濯ネットに入れる②洗濯機のドライモード(おしゃれ着モード)を選択し、中性洗剤(おしゃれ着洗い洗剤)で自動洗濯する③タオルで水気を吸い取る④陰干しで完全に乾燥させる…です。内装を外せるヘルメットは内装を外せないヘルメットよりも手間がかかりませんので人気があり、今や主流の仕様になっています。
安全なメンテナンス方法
洗濯機を使わず、タライやバケツで手洗いするのもいいですね。型崩れしないよう押し洗いします。中性洗剤で洗う前に水で予洗いするのも効果的です。すすぎ洗いは洗剤が残らないようにしっかりと。本洗いではお風呂の残り湯を利用してもOKですが、すすぎ洗いは雑菌が残ってしまわないよう流水でおこないます。毎日バイクに乗る人ならスペアの内装を使いまわし、乾燥を中断しなくてもいいようにすべきですね。
危険なメンテナンス方法
汚れが酷いからと揉み洗いするのは厳禁です。内装が型崩れしますので優しく洗いましょう。おしゃれ着用の中性洗剤は洗浄力が高いので揉み洗いしなくても十分きれいになります。手洗いでも軽く押すか液中でゆするかするだけで汚れが落ちます。早く乾燥させたいからといって、タンブラー乾燥機で乾燥させるのはおすすめできません。熱で内装が傷む可能性があるからです。
バイク用ヘルメットの洗い方:内装2
内装が外せないヘルメット
内装が外せないヘルメットではライナーや接着箇所に悪影響を及ぼさないよう気を付けながらメンテナンスをします。内装が外せないヘルメットの洗い方は①中性洗剤を溶かした水をタオルにたっぷりとふくませ、内装をたたき洗いする②流水ですすぎ洗いする③乾いたタオルで水気を吸い取る④陰干しで乾燥させる…です。
洗剤がシェルやライナーに与える影響を危惧するよりも、洗ったほうが品質を保ちやすいと捉えましょう。酸化した汚れは内装を傷めます。
安全なメンテナンス方法
シェルやライナーが水や中性洗剤で変質する可能性はありませんので大胆に洗っても大丈夫です。しかし、シェルとライナーの隙間に水や中性洗剤溶液が侵入すると接着が弱まる可能性があります。極力、シェルとライナーの隙間に水や洗剤溶液が入らないよう心がけましょう。
危険なメンテナンス方法
すすぎ洗いを十分にしないのはよくありません。内装が外せないヘルメットを流水ですすぎ洗いするのは勇気がいる作業ですが、しっかりとすすぎ洗いをしましょう。洗剤は汚れを繊維から離すのが役割、すすぎ洗いは汚れを流すのが役割です。すすぎ洗いを十分にしないと汚れが内装に残ってしまいます。
バイク用ヘルメットの洗い方:丸洗い
ヘルメットを丸洗いする方法もあります。内装を外せないヘルメットでは有効なメンテナンス方法です。内装を外せるヘルメットでも、ダクトに溜まったほこりや虫の死骸を洗い流せ、ヘルメットをピカピカにすることができます。
安全なメンテナンス方法
安全なヘルメットの丸洗い方法は①タライやバケツに水を入れ中性洗剤を溶かす②ヘルメットを浸して内装を押し洗いする③流水ですすぎ洗いする④乾いたタオルで水分を吸わせる⑤日陰で乾燥させる…です。洗濯機に水を張ってタライやバケツの代わりにするのもいいですね。
危険なメンテナンス方法
あなたのヘルメットが丸洗いできるものかどうかを事前に確認しましょう。丸洗いを推奨していないヘルメットメーカーもあります。丸洗いすると汚れをすっきりと洗い流せるのでヘルメットがピカピカになりますが、メーカーが推奨していない場合は自己責任で行いましょう。ヘルメットを洗濯機で自動洗濯するのは冗談でもしないでください。
バイク用ヘルメットの洗い方:ヘルメットメーカーによる違い
ヘルメットのメンテナンス方法はヘルメットメーカーによって違いますので、必ずあなたのヘルメットのメーカーサイトを確認しましょう。アライヘルメットは内装を外せる外せないにかかわらず丸洗いを推奨しています。SHOEIは中性洗剤をたっぷり含ませたタオルでのたたき洗い、OGKは着脱式内装の洗濯のみ…となっています。
共通した内容もあります
ヘルメットのメンテナンスで各ヘルメットメーカーが公式ホームページや取扱説明書で共通して記載している事項があります。①石油系溶剤を使用しない②高温(50度以上)での乾燥はしない③陰干しで完全に乾燥させる…です。どれもシェルやライナーの変形・変質を防ぐための注意事項として記載しています。
バイク用ヘルメットの消臭
家庭用消臭・除菌スプレー
家庭用消臭スプレーの使用をおすすめする情報ついては賛否両論あります。というのは家庭用消臭スプレーには成分の表示が明確にされておらず、肌や内装に影響を与えないかどうかを判断できないのです。消臭スプレーが有機溶剤を含んでいる可能性がないとはいいきれませんので、自己判断で使用しましょう。
重曹の活用
重曹は汚れやにおいを中和させる効果がありますので、ヘルメットのメンテナンスに利用しやすいですね。汚れやにおいの多くは酸性で、重曹は弱アルカリ性です。重曹は中和することで汚れを落とし、消臭してくれるのです。人体に無害ですので安全ですね。重曹に殺菌効果はありませんので、雑菌が繁殖しないよう完全に乾燥させ、風通しがいい場所でヘルメットを保管しましょう。
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重曹消臭スプレーの作り方
重曹消臭スプレーは500mlの水に重曹を大さじ2杯入れて作ります。重曹は水にやや溶けにくい性質を持っているので、容器をよく振ってから使いましょう。汚れを落とす効果もありますので、内装だけでなくシェルのメンテナンスにも効果的です。
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バイク用ヘルメットの洗い方:まとめ
バイク用ヘルメットはあなたの命を守ってくれるものですので大切にしたいですね。安いものではありませんので丁寧にメンテナンスして長持ちさせましょう。洗剤や消臭スプレーを用いるときは品質表示を必ずチェックし、疑わしいものは使わないのが無難です。いざというときが訪れないよう、心からお祈りしています。
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