検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

V8エンジンの仕組みや特徴は?V型8気筒が今でも愛される理由に迫る!

V8エンジンの仕組みや特徴を紹介します。20世紀初頭に誕生したという長い歴史を持つV8エンジン、そんなV8エンジンの特徴、仕組みや構造、メリット・デメリット、さらにはV8エンジンの現状や搭載車両などをお伝えします。V8エンジン特徴などを知りたい方必見です。
2020年8月27日
tryyua
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

目次

はじめに

V8エンジンといえばV型エンジンを代表するエンジンの1つです。歴史の長いこのエンジンですが、いったいどのようなエンジンなのでしょうか。今回はV8エンジンの構造や特徴、そしてV8エンジンが持っているメリットやデメリットなどをお伝えします。日本車・アメ車などいろいろな車に搭載されてきたV8エンジンについて知りたい方には必見の内容です。

V8エンジンとは

V型8気筒エンジン

V型エンジンとはV型8気筒エンジンの省略名称です。V型8気筒エンジンは往復運動を通じて回転エネルギーを生み出すレシプロエンジンの1種類になります。レシプロエンジンの中でも外燃機関式と内燃機関式の2つに分かれるのですが、その中でもこのV型8気筒エンジンは内燃機関式のレシプロエンジンです。なお、基本的に自動車に採用されるレシプロエンジンは全て内燃機関式になります。自動車のエンジンはシリンダー内において燃料であるガソリンの燃焼させているのがその理由です。

一般的なエンジンといえば直列エンジン

一般的なエンジンと言えばV型エンジンではなく直列型エンジンです。直列型エンジンは、クランクシャフトと呼ばれるシリンダー内におけるピストンの往復運動によって生み出されたエネルギーを回転力へと変換させる部品に対して、シリンダーが直列に並べられています。そのような仕組み・構造のため直列エンジンと呼ばれているのです。トヨタのヴィッツやマツダのデミオ、日産のノートなどの人気の日本車コンパクトカーは大方、直列型エンジンが搭載されています。

V8エンジンの仕組み・構造

シリンダーをV型に配置

V8エンジンの構造・仕組みとしては、直列型4シリンダーが2つあって、それらがV字型に配置・組み付けられるという構造・仕組みとなっています。4シリンダーが2つあるので気筒は合計8気筒で、2つの直列型4シリンダーがV字型のように組み付けられているのでV型、合わせてV型8気筒エンジン、V8エンジンとなるのです。
 

クランクシャフトが数種類ある

V8エンジンのクランクシャフトは2種類存在しています。1つはクロスプレーンと呼ばれるクランクシャフトです。クランクピンの取り付けにおいて90度のオフセットがなされています。もう1つがフラットプレーンと呼ばれるクランクシャフトで、クランクピンは180度になっているのが特徴です。クロスプレーン式クランクシャフトとフラットプレーン式クランクシャフトでは性能にも違いが生まれます。

バンク角


V型エンジンのシリンダーで生み出されたV字の内側角度はバンク角と呼ばれていて、そのバンク角を生み出すシリンダー2つはそれぞれバンクと呼ばれます。このバンク角にもパターンがあるのです。V8エンジンは構造・仕組み上、バンク角は一般的なもので90度です。

V8エンジンの歴史

フランス車に初採用

V8エンジンの歴史は20世紀初頭に始まりました。1909年にフランスの車に初めて搭載されたのです(メーカーはド・ディオン・ブートン)。当時すでに直列6気筒エンジンまでが開発されていたのですが、気筒数が増えるにつれてクランクシャフトが長くなったり、クランクシャフトの精度がそもそも低くエンジンに悪影響を与えることがありました。そのような背景もあり、クランクシャフトを短くできるV8エンジンが誕生したのです。

アメ車のキャデラックに採用

ド・ディオン・ブートン社がV8エンジン搭載車に挑戦した後の1914、この年の型であるアメ車のキャデラックにもV8エンジンが搭載されました。さらにそこから18年後の1932年、アメリカを代表する自動車メーカーのフォード社が自車にV8エンジンを採用したのですが、これをきっかけにアメリカ国内においてV型8気筒エンジンが普及することとなりました。

他の乗り物にもV8エンジンが採用される

自動車のエンジンに採用されていたV8エンジンは、その後自動車以外の乗り物にも採用されるようになりました。採用された乗り物の例は船や飛行機などです。このように、自動車のために誕生したV8エンジンは他の乗り物にも採用されるエンジンへと変化しました。

V8エンジンのメリット

静寂性に優れている

V8エンジンのメリットの1つが静寂性に優れていることです。気筒数が8個あることでエンジン始動中の音が気筒数が少ないエンジンと比較して高くなります、つまりエンジンの気筒数に比例して音の質が高いものへと変化するのです。高音質の音は低音質の音と比較した時に消えやすいので、結果としてV8エンジン自体が静かなエンジンとなり、静寂性に優れたエンジンとなります。

低振動である

2つ目のメリットは低振動エンジンである点です。V8エンジンはクランクシャフトを短くすることに成功したエンジンで、これによってねじり振動と呼ばれる振動も減少しています。そのためエンジンが生み出す振動が少なく、低振動なのです。これによって車内で感じる振動も少なくなります。優れた快適性を提供できるエンジンとして高級車にもV8エンジンは搭載されます。

高出力を発揮する


3つ目のメリットが高出力を発揮するエンジンという点です。シリンダー・気筒数が8個ありますので、2・4・6気筒エンジンなどと比較すると排気量が多くなります。排気量が多くなればそれだけで馬力が上がる・高出力を生み出せるのです。排気量の大きく高出力なエンジンを搭載した車を運転すると、パワーがあるので街中での運転がスムーズにできます。高速道路を気持ちよく走れるのもメリットです。

V8エンジンのデメリット

デメリット1:構成部品数が多い

V8エンジンのデメリットの1つは構成部品数が多いことです。バンクを2つ揃えているV型エンジンでは、各バンクに対してカムシャフトが必要となります。冒頭で紹介した直列型エンジンと比較すると、V8エンジンのシリンダー数は直列型エンジンよりも1つ多く、その分構成部品も増加します。エンジン始動中には構成部品数は何も関係ありませんが、エンジンを修理したりチューニングする際には部品数が多い分手間がかかります。手間がかかるということはそれだけお金もかかるということです。

デメリット2:エンジンが高重量

2つ目のデメリットはエンジンが高重量ということです。シリンダー数が多いということもあり部品点数が増え、その分エンジンの重さは直列型エンジンと比較するとより重たいです。重たいというデメリットがありますが、その分、交排気量で高出力を生み出しているので走りに劣るということはそれほど心配しなくて大丈夫です。

V8エンジン搭載車両の例

クライスラー ダッジチャージャー

クライスラーのダッジチャージャーはアメリカを代表する自動車、言わばアメ車の1つです。初代モデルのダッジチャージャーが発売されたのは1966年で、当時から排気量6.9LでOHVのV8エンジンの搭載車として人気を博しました。400馬力を超えるグレードが特徴的でした。この初代モデルはダッジチャージャーの歴史におけるB-Body時代とも呼ばれています。ちなみに2代目モデルがL-BODY時代で現行モデルにあたる3代目モデルはLX型となっています。V8エンジンの文化が浸透しているアメ車の中でも、V8エンジンとアメ車を語るなら絶対に外せない自動車です。

バス・トラック

V8エンジンを搭載した車両は乗用車だけではありません。バスや大型トラックといった車もV8エンジン搭載車でした。V8エンジン搭載車のバスの例としては1995年のいすゞ自動車のLV380/280系(路線バス)、大型トラックのV8エンジン搭載車なら日野自動車のプロフィアなどが挙げられます。今の時代となってはV8エンジン搭載車はかなり少なくなってきているのが現状です。

V8エンジンを搭載する日本車

乗用車ならトヨタ・レクサスのみ

乗用車でV8型エンジンを搭載する日本車はトヨタとレクサスのみになります。トヨタ車では代表的なSUVのランドクルーザーに搭載されている排気量4.608Lの1UR-FEエンジンで、318ps/5600rpmの最高出力と46.9kgm/3400rpm の最大トルクを発揮します。パワフルな運転を楽しみたい方なら乗ってみたいクロスカントリー車両です。


高級車レクサス

レクサスと言えば日本車の中でも高級車のメーカーですが、現在でもV8エンジンを搭載する自動車を販売しています。現在ではLS460/460Lというセダンタイプの自動車に排気量4.6081LのUR-FSEエンジンを搭載、4WDの駆動方式タイプで最高出力370ps/6400rpmと最大トルク48.6kgm/4100rpmを発揮する日本車です。セダンモデルで落ち着いたデザインの日本車でありながら高いエンジン性能を持っていて快適性も備えています。

V8エンジンの現状

乗用車のV8エンジンは減少傾向

コンパクトで高排気量ゆえ高出力なV8エンジンですが、近年では乗用車でV8エンジン搭載車は減少傾向にあります。減少傾向にある理由としては、性能的な意味でV8エンジンを搭載する必要性がなくなってきているからです。V8エンジンを搭載する代わりに直列エンジンにターボ(過給)を搭載するようになってきています。ターボの代わりに電気モーターを搭載させるということも。今の時代は環境を考慮した自動車が求めらる傾向にあるので、排気量が大きくなるV8エンジンなどは敬遠されがちです。

実用性ではなく楽しさ

V8エンジンのような大排気量でなくとも高出力を生み出せるようになりましたが、V8エンジンには大排気量から生み出させるパワーや、アクセルペダルを踏み込むにつれて高くなるエンジン回転、直列型エンジンにはない特徴的な静寂性、実用性ではなく楽しさ・娯楽性を持っているエンジンなのです。日本車・アメ車に関わらず環境問題が懸念されるご時世ですが、運転に楽しさを求めるならV8エンジンはおすすめできる1台です。

まとめ

直列型エンジンの構造を応用させた構造のV8エンジンには直列型エンジンにはない魅力がたくさん詰まっています。大排気量で高出力、パワフルな運転を楽しみたい方なら、運転したらその虜になること間違いなしです。しかし、メリットもあれば当然デメリットもあるわけで、エンジン修理となった場合には高額な費用がかかる可能性が高いです。ヨーロッパにもありますが、アメ車との関係性が高いV8エンジン、そして環境負荷を考慮した時代の中でありながら日本車でもV8エンジン搭載車はいくつかラインナップにありますので、まだまだV8エンジンを楽しめそうです。

エンジンルーム内の構造が気になる方はこちらをチェック