パキポディウムってどんな植物?
パキポディウムは、ずんぐりとした幹に小さめの葉っぱがつく、ユニークな植物です。パキポディウムの樹高は10〜100センチくらいです。パキポディウムの草姿はとても個性的で、品種によってはかなりレアで高価なものも。
パキポディウムは、好きな方とそうではない方とにくっきり分かれるようですが、パキポディウムのとりこになって、色々な種類のパキポディウムを収集する愛好家も多いそうです。
太い幹が魅力のパキポディウム
パキポディウムの太い幹の内部はスポンジのようになっており、保水力が高いのが特徴。パキポディウムを上手に育てるにはずばり幹をしっかり太らせることです。
そしてパキポディウムの太らせ方のポイントは、パキポディウムの成長期と休眠期に合わせたお手入れをこまめにおこなうこと。パキポディウムの人気のある代表的な種類や、育て方や幹の太らせ方のコツをご紹介いたします。
パキポディウムのトゲに注意
パキポディウムの幹には、たくさんのトゲがあり、一見サボテンの種類にも見えますが、サボテンの種類には属しません。なおパキポディウムのトゲは、成長するとともに数を減らします。
パキポディウムのトゲはとても鋭いので、お手入れなどをするときには手を傷つけないように、分厚い手袋をするなど注意を払いましょう。
パキポディウムの学名・和名・英名の由来
パキポディウムという花名は、ギリシャ語に由来します。ギリシャ語の「pachys」は「太い」を意味し、「podos」は「足」を意味します。2つの言葉が合わさって「Pachypodium(パキポディウム)」、要約すると「太い足」となります。パキポディウムの幹のずんぐりとした様が、太い足のように見えることから名付けられました。
パキポディウムの別名の由来
パキポディウムの別名はとてもユニーク。「「亜阿相界(ああそうかい)」です。といいます。パキポディウムの原産地であるマダガスカルは、アジア(亜細亜)とアフリカ(阿弗利加)のちょうど境界に位置していることから名付けられました。サボテン研究で有名な龍胆寺雄氏が名付け親です。
パキポディウムの花の特徴
パキポディウムの花の開花時期は、3~5月ごろです。どちらかというと無骨な印象の幹や葉っぱとは違い、ピンクや白、黄色などのとても鮮やかなお花を咲かせます。このギャップがパキポディウム愛好家にとってたまらない魅力なのだそうです。
パキポディウムの葉の特徴
パキポディウムの葉っぱの色は種類によって多少異なるものの、シルバーグリーンが一般的です。パキポディウムの葉っぱの形には、細長い種類や楕円形の種類があります。ただし、パキポディウムの葉っぱは、じきに落葉してしまうことが多いです。
パキポディウムの基本データ
科名属名
- キョウチクトウ科パキポディウム属
学名
Pachypodium
和名
パキポディウム
別名
唖阿相界(ああそうかい)、夢叶棒(ゆめかなぼう)
英名
Pachypodium
原産国
南アフリカ、マダガスカル
パキポディウムの代表的な種類
パキポディウムは、マダガスカルを中心に約20種類が生息しています。幹の形は、たる型、とっくり型、かたまり型などの種類があります。パキポディウムの代表的な種類をご紹介いたします。
代表的な人気のある種類1・ラメリーフィフェレネンセ
「ラメリーフィフェレネンセ」は、丸みを帯びた幹が可愛らしいパキポディウムです。まるでサボテンのようなのにサボテンではなく、葉っぱがつくのが面白いですね。ちょっと覚えづらい名前ですが、愛好家のあいだでも人気の、パキポディウムの代表格とも言える品種です。
代表的な人気のある種類2・コーデックス
シルバーグレイの幹に、鮮やかなグリーン色の葉っぱのコントラストが素敵なパキポディウムです。珍しい品種で、お値段が高めの傾向ながら、愛好家人気が高く売り切れ続出となる品種です。
代表的な人気のある種類3・グラキリス
太い幹からにょきにょきと枝分かれする様子がなんとも不思議な雰囲気を漂わせるパキポディウムです。パキポディウムのなかでも、珍しい品種の代表で人気が高いです。
代表的な人気のある種類4・サキュレンタムピンク
とくに緑の葉っぱがついていると、サボテンでもなく普通の観葉植物でもない不思議な姿に釘付けとなります。春から夏にかけてピンクの鮮やかな花を咲かせます。
代表的な人気のある種類5・デンシフローラム
樹形がよく、葉っぱが放射状に発生するディスキディアです。葉っぱは濃く深みのあるグリーンで、真ん中に葉脈が白っぽくはっきり浮き出ているのがポイントです。
代表的な人気のある種類6・ラメリー
ラメリーは、鮮やかなグリーン色をした細長い葉っぱがたくさんつくパキポディウムです。葉っぱがトゲの間を縫うようにつくので、葉っぱに気を取られてトゲで手を傷つけないようにしましょう。
パキポディウムの育て方と太らせ方1・土づくり
パキポディウムは、水はけのよい土壌を好む植物です。パキポディウムは乾燥を好み、逆にじめじめとした環境が苦手です。小粒の赤玉土に軽石を混ぜたものを準備しましょう。市販の多肉植物用培養土やサボテン用培養土を利用すると便利です。水はけのよい土で育てると、パキポディウムはぐんぐんと幹を太らせ成長します。
パキポディウムの育て方と太らせ方2・肥料
パキポディウムには、生育時期である春から秋の暖かい時期にかけて肥料をほどこします。だいたい1カ月に1度の割合で穏効性の固形肥料か、サボテンや多肉植物用の液体肥料を与えるとよいでしょう。肥料を定期的に施すことで、幹をずんぐりと太らせることができます。
冬は肥料を与えない
パキポディウムの休眠時期に当たる冬のあいだは、肥料は与えません。休眠期である冬に肥料成分が多いと、パキポディウムは休むべきときにしっかり休むことができず、春からの成長がうまくいきません。場合によっては枯れてしまうこともあるので注意しましょう。
パキポディウムの育て方と太らせ方3・水やり
パキポディウムは乾燥を好む植物です。水やりは控えめにあまり与えすぎないように注意しましょう。パキポディウムの水やりは、春から秋にかけてのパキポディウムの成長期と、冬の休眠期で変化させます。
春から秋の水やり
パキポディウムの成長時期である春から秋の暖かい時期かけては、パキポディウムを植えている土の表面が乾いてから数日たったあと、水やりをします。
冬の水やり
パキポディウムの休眠時期にあたる冬の時期は、水やりはほとんどせず断水します。心配になりつい水を与えたくなりますが、ぐっと我慢です。休眠期に水を与えないことが、パキポディウムの幹を順調に太らせて成長を促す秘訣となります。
パキポディウムの育て方と太らせ方4・場所
パキポディウムは、日当たりのよい風通しのよいところを好む植物です。パキポディウムは、強い植物で、半日陰の場所で管理したからといって、すぐに枯れてしまうことはありません。
ただし、日の当たらないところで育てると、パキポディウムの幹がひょろりと細くなってしまいます。パキポディウムの魅力はなんといってもずんぐりと太った幹にあります。
さらに幹には保水力があり、幹を太くしっかり成長させることが、パキポディウムを長く栽培・鑑賞するコツ。パキポディウムの幹をしっかり太らせるためには、日当たりのよいところで管理することが必要です。
冬は暖かい室内で管理しよう
パキポディウムは、暖かい地域を原産とする植物なので、気温が5度以下になると枯れてしまいます。パキポディウムを育てる場合は、地植えはせずに移動可能な鉢植えにして、寒い冬は暖かい室内で管理するのが一般的です。
パキポディウムの育て方と太らせ方5・植え付け
パキポディウムの植え付けに適した時期は、3~5月ごろです。パキポディウムは寒いのが苦手なので、外気温がしっかり暖かくなってきてから植え付けをしましょう。パキポディウムの苗を育苗ポットなどからすぽんと抜き取ります。
土を入れた好みの鉢にパキポディウムの苗を植え替えましょう。鉢に植え替えた苗がしっかり根付いて安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
パキポディウムの育て方と太らせ方6・植え替え
パキポディウムは、ぐんぐんと上に向かって幹を伸ばして成長します。幹をしっかり太らせるためにも、また根詰まりを防ぐためにも定期的な植え替えが必要です。パキポディウムの植え替えに適した時期は、3~5月ごろです。
これまでよりひとまわり大きな鉢を準備して植え替えましょう。植え替えたいパキポディウムの根っこを鉢からすぽんと抜き取ります。そして土を入れた新しい鉢に植え替えます。
植え替えたパキポディウムがしっかり根付いて安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
パキポディウムの育て方と太らせ方7・剪定
パキポディウムの葉っぱは自然に落葉するので、剪定の必要はありません。うまく幹から落ちなかった枯れた葉っぱがあれば、手で取り除きましょう。また、花が咲いたあとの花がらは、こまめに摘み取りましょう。
パキポディウムはじめじめとした環境が苦手です。花がらなどが残ったまま放置しておくと、見た目が悪いだけでなく、蒸れの原因となります。パキポディウムをしっかり太らせて成長させるために、こまめに花がら摘みをしてできるだけ風通しよく管理しましょう。
パキポディウムの育て方と太らせ方8・病気
パキポディウムは、軟腐病にかかることがあります。軟腐病にかかると、葉っぱや幹が腐り、放置しておくとやがて株全体が枯れてしまいます。軟腐病対策としては、何よりも早期発見が第一。
こまめにパキポディウムを観察して、病斑部を見つけたらただちに切り取って駆除します。軟腐病は土などにある病原菌を要因とする病気です。植え替えやお手入れの際に、パキポディウムの根っこなどに傷がつくと、そこから病原菌が侵入してしまいますので、注意しましょう。
パキポディウムの増やし方1・種まき
パキポディウムの増やし方のひとつめは種まきです。種まきによる増やし方は、成功率が比較的高く一般的です。また、種まきによる増やし方は、挿し木や株分けと違い、親株を傷つけないので、病気の発生を予防できます。ただし、種は市販されておらず、育てているパキポディウムから採取したものを使います。
種の採取
育てているパキポディウムの花が咲いたあと、程度のよいものを残します。すると花のあと種がつくので採取しましょう。パキポディウムの種まきを成功させるポイントは、種を採取したらすぐに種まきすることです。パキポディウムの種は、古いと発芽率が悪くなりますので、できるだけ新しいものを使いましょう。
種まき
育てているパキポディウムから種を採取したら、早速種まきをおこないましょう。だいたい6~7月ごろになります。種まき用の土を入れた育苗ポットなどに、種をひとつぶずつまきましょう。
種まきしたら、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けます。水切れしないように管理することが種まきからの発芽を成功させるコツです。発芽を確認したら、そのまま冬まで屋外で育てましょう。
ただし直射日光が直接当たるところは避けます。小さな苗のうちは、水を多めに与えましょう。冬になったら室内に取り込み、次の春になれば種まき苗の完成です。好きな鉢に植え替えましょう。
パキポディウムの増やし方2・挿し木
パキポディウムの増やし方のふたつめは挿し木です。パキポディウムの挿し木による増やし方適した時期は、4~6月ごろです。育てているパキポディウムから、発育のよい茎を10センチくらい切り取り挿し木用とします。
切り取った挿し木用の茎を日陰で数時間乾かしましょう。挿し木用の土を入れた育苗ポットなどに挿し木します。その際、茎の断面が崩れないようにすっと挿すことが、挿し木による増やし方を成功させるコツです。
挿し木したものから発根して安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けます。水をたくさんあげたくなりますが、与えすぎは禁物。
やや控えめに水やりするのが挿し木による増やし方を成功に導くポイントです。挿し木したものから根がでて安定したら、挿し木苗の完成。好きな鉢に植え替えましょう。
挿し木の注意点
パキポディウムは発根しずらく、挿し木による増やし方は少しハードルの高いものです。また、切り取ったところから病原菌がはいり、軟腐病が発生することもあるので、清潔なハサミを使用するなど、慎重に作業をおこないましょう。
パキポディウムの増やし方3・株分け
パキポディウムは、ぐんと成長したら株分けによる増やし方も可能です。株分けによる増やし方に適した時期は、4~6月ごろです。パキポディウムは寒さを苦手とするので、しっかり暖かくなってきてからおこないましょう。
植え替えをするときに一緒に株分けすると便利です。適度な大きさの鉢を2つ以上準備します。株分けしたいパキポディウムの根っこを手や清潔なハサミで分けたら、すぐに新しい鉢に植え替えましょう。
植え替えた株がしっかり根付いて安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
パキポディウムは珍しい植物
パキポディウムは、一度目にすると忘れられない個性的な姿をしています。魅力的なずんぐりとした幹には保水力があり、幹をしっかり太らせることが、パキポディウムを長い期間栽培するポイントです。
春から秋の成長期と冬の休眠期で、肥料や水やりの頻度を変えることが育て方のポイントであり、幹の太らせ方のコツでもあります。どっしりとした幹は、古代の植物のようでもあり、見ているだけでパワーを得られそうです。
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