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ピロボールの構造や役割とは?気になる交換やメンテナンス方法も解説!

ピロボールの構造やその役割を紹介します。自動車や運転が好きで走行性能を高めたいと考えた時に考える部品の1つでもあるのがピロボールです。今回はピロボールとは何なのか、その特徴や構造、そしてメリットやデメリットに注意点などをお伝えします。
2020年8月27日
tryyua
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目次

はじめに

純正サスペンションや純正ゴムブッシュのアーム類が付いている車の足回りを強化して走行性能を向上させたい、そんな方なら聞いたことある部品がピロボールです。車高調をこれから購入しようと考えている方ならピロボールタイプがあるかどうかなどを考えることでしょう。車高調やアームに使われるピロボールとはどういうものなのか、そのメリットやデメリット、注意点にメンテナンス方法を今回はご紹介します。

ピロボールとは

ゴムブッシュの金属タイプ

ピロボールとは自動車部品の1つです。どのような部品かと言いますと、ゴムブッシュのゴムの代わりに金属を使ったものになります。自動車のサスペンションパーツやアーム類にゴムブッシュを使用するのですが、それらのゴムブッシュを金属にしたもの、それがピロボールです。純正サスペンションやアーム類にピロボールが採用されている例は全くありません。車高調を組んだり足回り関連部品の強度・性能を高めたいときにピロボールに交換してしまうことが一般的です。

純正に使われるのはゴムブッシュ

メーカーが製造・販売する車両、つまり純正車両にはゴムブッシュが使われています。トヨタやホンダ、マツダなどの自動車メーカーが車両を製造するうえで重要としているのは、全体的な自動車性能を高めることです。それはただエンジンパワーや高トルク、コーナーリング性能などを高めるわけではなく、そこそこ走る・乗り心地も良い・構造がシンプルで整備性が高くメンテナンスしやすい、ということになります。そこに加えて予算の制約や強度を折り合わせ、ゴムブッシュを採用しているのです。

ピロボールもゴムブッシュも劣化する

ピロボールもゴムブッシュも役割は同じですが、同時にどちらも消耗品です。劣化すれば異音の発生や強度の低下、走行性能の悪化などが懸念されます。これらの部品は自動車の走行性能を決める大切なパーツですから、メンテナンスや交換が大切な部品なのです。

ピロボールを採用部品その1

サスペンション

ピロボールを採用している部品の1つがサスペンションです。サスペンションは12点ほどの部品で構成されていますが、この中でピロボールが使われているのはアッパーマウントと呼ばれるサスペンション上部分にある部品になります。アッパーマウントはサスペンションの車体取り付け部分に接する部分で、アッパーマウントに付いているボルトを車体の穴側に通してナットで固定します。

衝撃を吸収する役割を果たす

走行中に路面から入った入力がタイヤからサスペンションそしてボディという順番で流れていくのですが、衝撃が全てボディに来ると車内の乗り心地が悪化してしまうのでサスペンションとボディの間にあるゴムブッシュを通じてそれをある程度吸収します。


車高調に付いてくることが多い

ピロボールは車高調セットに採用されていることが多いです。ゴムブッシュを採用しているサスペンションは、走行中のゴムブッシュの働きに限界があるため本来の性能を100%発揮しているわけではありません。自動車は走行中にキャンバー変化を発生させますが、キャンバー変化が発生するとゴムブッシュにたわみが発生するのでこのようになります。そこでアッパーマウントのゴムブッシュをピロボール化させてサスペンション本来の性能を発揮させるという考えにたどり着くのです。

ピロボールを採用部品その2

アーム類

ピロボールの採用部品その2がアーム類です。自動車の足回り部品にはアームがいくつかあります。ロワアームやアッパーアーム、ストラットロッドなどがそれらにあたります。これらのアームの前後部分や付け根部分にゴムブッシュが取り付けられていて(油圧プレスで打ち込まれている)、機能しているのです。ゴムブッシュがあるからこそサスペンションが正常に機能するといっても過言ではありません。ダブルウィッシュボーン式サスでは円筒の形をしたゴムブッシュが前後方向に対して強く、そして上下方向にはしなやかなに動いてサスのストロークをサポートする構造となっています。

ストラット式サスにも使われる

ストラット式サスにもゴムブッシュは使われています。ダブルウィッシュボーン式でもストラット式でもゴムブッシュが使われているので、ゴムブッシュの代わりにピロボールに交換してチューニングするというのが足回りチューニングの定番です。ストラット式サスにはアッパーアームはありませんのでロワアームのみになりますが、いずれにせよピロへの交換が可能な構造となっています。ちなみに、ロワアームのゴムブッシュにはトー変化やキャンバー変化を抑えるための工夫が成されています。

ピロボールのメリット

路面状況がダイレクトに伝わってくる

ピロボールのメリットとして挙げられるのは路面状況がダイレクトに伝わってくることです。基本ゴムブッシュが使われていたところが金属となるわけですから、サスペンションが本来持っている性能を最大限に発揮できる構造へとしてくれます。

ステアリング性能の変化

ピロボールを採用するもう1つのメリットはステアリング性能の変化です。ピロボールを採用した車両であればダイレクトに入力が入ってくる構造になると先ほど紹介しました、これによってステアリングレスポンスが向上して操作性がよりクイックになります。純正仕様の車両と比べても、ピロボールが使われたサスペンションだとステアリングを切った時に遊びなく切った分だけ曲がっていく印象です。

ピロボールのデメリット

路面によっては乗り心地が悪い


ピロボールのデメリットの1つがのR面によっては乗り心地が悪くなることです。ゴムブッシュを採用した車両と比べて、ピロボール採用車の車は路面からの入力がよりダイレクトにサスペンションに伝わる構造であるとすでに紹介しました。しかしそれゆえ、凹凸が激しい路面をピロアッパーの車高調やアーム類が取り付けられた車で走ると振動が増加するのです。街乗りと競技用を兼用している頭理由があればしょうがないですが、街乗りメインの車をピロに交換する際にはこの点を考慮しましょう。

裂開すると足回りがガタツク

もう1つのデメリットはピロボールが劣化・消耗すると足回りがガタツクことです。ピロボールの中にあるボール部の消耗によって足回り全体にガタが発生し、乗り心地はもちろん性能も本来持っているものより低くなってしまいます。ピロボールはメンテナンスをする必要がないパーツですので、ガタが出てきたら交換が必要です。ピロボールも決して安い部品ではありませんので高くつきます。車両一式フルピロ化するセットなどでも約20万円くらいかかるものがあるくらいです。

ピロボールの寿命

走り方で決まる

ピロボールの寿命は走り方で決まります。ピロボールにして街乗りやたまにワインディングを行う程度であればそれほど速くは劣化しません。それとは反対に、街乗りよりも少ない距離を走ったとしても、モータースポーツに参加してハードな運転をしているということになれば寿命は縮まります。なお、劣化してくるとサスペンションから異音が発生します、金属が擦れるような異音です。運転手の乗り方次第で寿命が決まると考えておきましょう。

劣化の原因

ピロボールにしろゴムブッシュに消耗品ですからいずれ交換するものです。ピロボールが消耗・劣化する原因となるのは砂利やホコリで、隙間からピロボールに入ってきてしまうのです。それらがピロボール構造内に入り、ピロが動くたびにそれらでボールが削られてしまいます。言い換えれば、それらのゴミが侵入しないようにできれば劣化の速度を抑えられるのです。定期的にピロボール周りをメンテナンスしておくと良いでしょう。

ピロボールと車検

車検に通らないことがある

メリット・デメリットがありながらも走りの性能を高める可能性が高いピロボール、しかしピロボールに交換する前に確認しておきたいのが車検に通るのかどうかという点です。ご存じのとおり車検とは1-2年に1度行われる自動車検査のことですが、ピロボールをどこのゴムブッシュと交換しているのかによって車検に合格できない場合があるというケースがあります。そうなってしまうとピロにした部品を純正部品に交換するなど、手間も時間も金もかかりますので、費用増加です。これだけでもいかにピロボールが複雑な部品であるのかということがよくわかります。

アーム類のピロボール交換は注意


サスペンションのアッパーマウントのピロボール化は特に問題ありませんが、気を付けるべきなのはアーム類のピロボール化です。ロワアームやアッパーアームなどのゴムブッシュをピロボール化舌ものは車検に合格しないようになっています。それを理解したうえでピロボール化させたい方は、純正形状かつゴムブッシュ仕様のアーム類をスペアパーツとして確保しておき、必要に応じて使い分けるという風にすると良いでしょう。車高調などのピロも強度計算書などが付いていたら保管しておくと車検時に安心です。強度計算書を捨てしまって再発行してほしいといっても強度計算書の再発行は不可と言われかねないので気を付けましょう。

ピロボールの注意点

グリスをつけるタイミングを間違えない

ピロボールの注意点として紹介したいのがグリスを付けるタイミングを間違えないことです。ピロボールはメンテナンスフリーですからグリスメンテナンスは必要ありません。ピロボール内部にはテフロンライナーと呼ばれる自己潤滑性を備えたものが付けられています。そのためグリスをかけてしまうとその効果を悪化させてしまうのでグリスアップ不要というわけです。しかし、異音が発生したときにはグリスを使うことがあります。

異音がしたらグリスアップ

ピロボールにガタが出始めた時には異音が発生します。異音が発生したらピロ部分にシリコングリスなどでグリスアップするとよいです。可能であればピロボール部分に付着しているゴミを取り除くのも良いでしょう。

まとめ

車高調やアーム類などの足回り部品の性能を最大限に引きだたせるために採用されるのがピロボールです。走りを極めるセッティングを出すためにピロボールは使われますが、アーム類にピロボールを使うと車検に通らない、アッパーマウントにピロを使ったら強度を示すために強度計算書が必要となる、さらにはガタが出始めると異音がでてきて乗り心地を悪化させるなど、懸念することが多々あります。これらを理解してうえでピロボール化を進めるようにしましょう。

アッパーマウントが気になる方はこちらをチェック