双六岳とは
双六岳は標高2,860mの山です。長野県大町市と岐阜県高山市にまたがっています。北アルプスの裏銀座と呼ばれる稜線のルート上にあります。山の形は、お椀を伏せたようななだらかな形をしています。複雑な地形をしていないため、初心者でもチャレンジしやすい山です。
双六岳の特徴
双六岳の山頂からは360度のパノラマを楽しめます。槍ヶ岳とそこに繋がる穂高連峰の雄姿を見ることができます。双六岳は、花の百名山のひとつに挙げられるくらいさまざまな高山植物が咲き誇り、秋には、その高山植物が草紅葉し、美しい姿で登山者の心を和ましたくれます。
双六岳の難易度
「岐阜県 山のグレーディング」の表を見ると、双六岳の難易度はルートにより、BまたはCになっています(A~Eで、Eへ行くほど難易度がアップ)。技術的な難易度や難易度の高い登山道をクリアしなければならないようなところはあまりなく、難易度から判断すると初心者でも無理することなく挑める山です。ただし、登山口からはの距離がありますので、日帰りよりも、1~2泊で挑む領域とされています。
双六岳の登山ルート4選

北アルプス 双六小屋・黒部五郎小舎・鏡平山荘・わさび平小屋 公式ホームページより
双六岳単独のルートと他の山々も巡るルートの4つを紹介します。どのルートも初心者にも挑めるレベルの難易度です。位置的に双六岳が奥まったところにあるため、アクセスに時間がかかります。体力的に少しきついところがあるかもしれません。この4つのルート以外にも周辺の山々と組み合わせてルートを設定できます。時間と自分の体力に合わせてルートを設定してください。
双六岳の登山ルート①
双六岳を目指してお花畑と槍ケ岳や穂高連峰の風景を楽しむルートです。初心者にはこのルートをおすすめします。
双六岳へのアクセスルート(登山道)
1泊2日で双六岳を目指すルートです。
1日目 |
新穂高温泉~笠新道登山口~わさび平小屋~小池新道登山口~秩父沢出合~シシウドが原~鏡平山荘~弓折乗越~双六小屋 |
2日目 |
双六小屋~双六岳~双六小屋~弓折乗越~鏡平山荘~シシウドが原~秩父沢出合~小池新道登山口~わさび平小屋~笠新道登山口~新穂高温泉 |
コースタイム
コースタイムは、1日目が約7時間30分~8時間、2日目が約8時間です。コースタイムには個人差があります。標準的なコースタイムを参考に自分の体力を考慮して検討してください。
登山道の状況
特に、難易度の高い登山道はありません。歩行時間が長くなりますので、適度な休憩と水分補給で体力を保持してください。
双六岳の登山ルート②
双六岳と笠ヶ岳を目指すルートです。 初心者にもこのルートはおすすめします。
双六岳へのアクセスルート(登山道)
2泊3日で双六岳から笠ヶ岳を経て新穂高温泉に戻るルートです。
1日目 |
新穂高温泉~笠新道登山口~わさび平小屋~小池新道登山口~秩父沢出合~シシウドが原~鏡平山荘~弓折乗越~双六小屋 |
2日目 |
双六小屋~巻道分岐~双六岳~巻道分岐~双六小屋~弓折分岐~大ノマ乗越~秩父平~笠新道分岐~笠ヶ岳山荘 |
3日目 |
笠ヶ岳山荘~笠ヶ岳~笠ヶ岳山荘~笠新道分岐~杓子平~笠新道登山口~新穂高温泉 |
コースタイム
コースタイムは、1日目が約7時間30分~8時間、2日目が約7時間30分~8時間、3日目が約7時間30分~8時間です。コースタイムには個人差があります。標準的なコースタイムを参考に自分の体力を考慮して検討してください。
登山道の状況
笠ヶ岳山頂付近はガレ場です。浮石も多いので注意して歩行してください。歩行時間が長くなりますので、適度な休憩と水分補給で体力を保持してください。
双六岳の登山ルート③
双六岳から北アルプスの雄姿槍ケ岳を眺めたあと、その槍ケ岳を目指すルートです。槍ケ岳はその姿をみたなら初心者でも登りたくなる山です。
双六岳へのアクセスルート(登山道)
2泊3日で双六岳とあの槍ケ岳を目指すルートです。
1日目 |
新穂高温泉~笠新道登山口~わさび平小屋~小池新道登山口~秩父沢出合~シシウドが原~鏡平山荘~弓折乗越~双六小屋 |
2日目 |
双六小屋~巻道分岐~双六岳~巻道分岐~双六小屋~樅沢岳~左俣乗越~千丈乗越~槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳~槍ヶ岳山荘 |
3日目 |
槍ヶ岳山荘~飛騨乗越~千丈分岐点~槍平小屋~滝谷出合~白出沢出合~新穂高温泉 |
コースタイム
コースタイムは、1日目が約7時間30分~8時間、2日目が約7時間、3日目が約7時間です。コースタイムには個人差があります。標準的なコースタイムを参考に自分の体力を考慮して検討してください。
登山道の状況
槍ヶ岳頂上直下には、はしごや鎖場があります。ヘルメット推奨地域ですので、ヘルメットを持参してください。初心者にかたは特に注意して登ってください。
双六岳の登山ルート④
最後の秘境と呼ばれる雲ノ平から双六岳を目指すルートです。
双六岳へのアクセスルート(登山道)
3泊4日で雲ノ平と双六岳を目指すルートです。このルートは比較的人も少なくゆっくりとできるルートです。
1日目 |
折立~太郎平小屋 |
2日目 |
太郎平小屋~左俣出合~薬師沢出合~アラスカ庭園~雲ノ平山荘 |
3日目 |
雲ノ平山荘~祖父庭園~祖父岳~岩苔乗越~鷲羽岳~三俣山荘~三俣蓮華岳~中道稜線分岐~双六岳~巻道分岐~双六小屋 |
4日目 |
双六小屋~双六岳~双六小屋~弓折乗越~鏡平山荘~シシウドが原~秩父沢出合~小池新道登山口~わさび平小屋~笠新道登山口~新穂高温泉 |
コースタイム
コースタイムは、1日目が約5時間、2日目が約6時間30分~7時間 、3日目が約7時間~7時間30分、4日目が約8時間です。コースタイムには個人差があります。標準的なコースタイムを参考に自分の体力を考慮して検討してください。
登山道の状況
鷲羽岳山頂から三俣山荘への急な下りなど、一部気を付けたい登山道があります。初心者でも特に問題にするような難易度の登山道はありません。歩行時間が長くなりますので、適度な休憩と水分補給で体力を保持してください。
双六岳付近の高山植物
双六岳周辺は花が美しい場所として知られています。花見平はその名のとおりさまざまな花び覆われます。チングルマ、クロユリ、コイワカガミ、コバイケイソウなどが登山で疲れた身体を癒してくれます。代表的な花の種類と花の時期は次のとおりです。
花の種類 | 花の時期 |
---|---|
チングルマ | 8月初旬~8月中旬にかけて |
クロユリ | 7月中旬~8月初旬にかけて |
コイワカガミ | 7月中旬~7月下旬にかけて |
コバイケイソウ | 8月初旬~8月中旬にかけて |
トウヤクリンドウ | 8月初旬~9月上旬にかけて |
双六岳への日帰り登山
登山口からの距離が長いので、各登山口を起点として日帰りする日帰り登山には向いていません。日帰りで挑もうとすると、往復で16時間ほどの歩行時間になってしまいます。登山口からの日帰りでなく、日帰りをするのならば、鏡平山荘に泊まって、山小屋スタートの日帰り登山をおすすめします。鏡平山荘から双六岳までは片道約3時間、往復で約6時間になります。往復で6時間ですから、日帰り登山でも問題ありません。せっかく美しい風景が眺められるのですから、日帰りよりも、どこかの山小屋で1泊する計画をおすすめします。初心者には、登山口を起点にした日帰りは体力的に難易度が高いと言えます。
双六岳への登山口
双六岳への登山口で最も近いところは新穂高温泉の登山口です。新穂高温泉は登山客だけでなく観光客も多いので、公共交通機関も利用しやすいです。また、富山県側の折立からも入れます。
新穂高温泉登山口へのアクセス
松本、平湯、高山からバスが出ています。バスの運賃や時刻については濃飛バスの公式ホームページを参照してください。
駐車場
24時間利用できる駐車場や夜間は閉鎖される駐車場があります。駐車場に位置等については、奥飛騨温泉郷観光協会の公式ホームページを参考にしてください。
折立登山口へのアクセス
富山駅または富山地方鉄道の有峰口からバスが出ています。バスの運賃や時刻、運行時期については、富山地方鉄道の公式ホームページを参考にしてください。
駐車場
折立へは有峰林道を通って、マイカーで入ることができます。有峰林道は有料の林道です。折立には、50台ほど止められる駐車場とテント場があります。有峰林道と駐車場について詳しくは、有峰森林文化村の公式ホームページを参考にしてください。
双六岳登山で利用できる山小屋
双六岳登山で利用できる山小屋をピックアップしました。テント場が山小屋から少し離れた場所にあるところもあります。テントは指定されたテント場でのみ張ることができます。
双六小屋
双六岳へのアクセスに最も近い山小屋です。
所在 | 双六岳と樅沢岳の鞍部 |
標高 | 2,600m |
定員 | 200名 |
テント場 | 60張(テント場は山小屋のすぐ横) |
わさび平小屋
双六岳や笠ヶ岳へアクセスする登山口に建つ山小屋です。
所在 | 岐阜県高山市、飛騨山脈南部 |
標高 | 1,400m |
定員 | 60名 |
テント場 | 30張(テント場は山小屋のすぐ横) |
鏡平山荘
槍ヶ岳や穂高連峰の美しい姿が見れる山小屋です。この山小屋からなら双六岳への日帰りは可能です。
所在 | 岐阜県高山市、小池新道鏡平 |
標高 | 2,300m |
定員 | 120名 |
テント場 | なし(設営禁止) |
笠ヶ岳山荘
笠ヶ岳頂上付近に建つ山小屋です。
所在 | 岐阜県高山市、笠ヶ岳 |
標高 | 2,898m |
定員 | 100名 |
テント場 | 25張、山小屋から約5分 |
槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳の頂上直下に建つ大きな山小屋です。
所在 | 長野県松本市、槍ケ岳南方 |
標高 | 3,080m |
定員 | 400名 |
テント場 | 39張、山小屋の南約50m |
太郎平小屋
雲ノ平へアクセスする拠点太郎平に建つ山小屋です。
所在 | 富山県富山市有峰、太郎平 |
標高 | 2,330m |
定員 | 150名 |
テント場 | 100張、山小屋から約20分 |
雲ノ平山荘
黒部源流域に建つ山小屋です。
所在 | 富山県富山市有峰、太郎平 |
標高 | 2,600m |
定員 | 70名 |
テント場 | 50張、山小屋から約25分 |
三俣山荘
鷲羽岳と三俣蓮華岳の鞍部に建つ山小屋です。
所在 | 富山県富山市有峰、太郎平 |
標高 | 2,550m |
定員 | 80名 |
テント場 | 70張、山小屋すぐ |
双六岳登山の装備
双六岳のみの登山であれば、初心者であれベテランであれ特別な装美は必要ありません。北アルプスへ登る標準的な装備で大丈夫です。ルートに槍ケ岳を組みこむ場合は、ヘルメット着用推奨地域となってますので、ヘルメットを持参するようにしてください。
まとめ
ちょっと奥まった場所に位置し、アクセスするのに時間がかかる双六岳ですが、槍ケ岳や穂高連峰の雄姿を見ることができるすてきな山です。初心者でも無理なく登れます。お花畑と絶景を求めて一度登ってみてください。
笠ヶ岳との周回ルートを考えているかたはこちら!

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岐阜県公式ホームページより