目次
MAVIC(マビック)ホイール
キシリウムエリートの気になるインプレ&解説をする前に、マビックホイール全体の特徴やどんなカテゴリがあるのかをまとめてみました。キシリウムエリートをより理解する前知識としてご覧ください。

マビックホイールの特徴
マビックはキシリウムエリートをはじめとしたホイールのラインナップが豊富で、パッと目を引く黄色と黒のロゴが大きな特徴です。新たなリムの開発とデザイン性への意欲は若々しく斬新な老舗メーカーで、長年高い評価を維持しています。

シリーズとジャンル
キシリウムエリートが籍を置く「キシリウム」シリーズは、ホイールの種類が多く、汎用性に富んだ特徴を持ちます。そして「コスミック」シリーズはプロ仕様で、リム高が高く平地向きです。次いで、マビックホイール中最軽量の「R-SYS(アールシス)」、グラベルロード向けの「オールロード」、エントリーグレードで低価格の「アクシウム」があります。

マビック,キシリウムエリートの仕様
それではキシリウムエリートの基本仕様を見てみましょう。ここではリム高やリム幅、重量、各材質についてのみ簡単に取り上げ、次項で補足していきます。

マビック,キシリウムエリートUST
ペア重量 | 1520g |
タイヤ | 700×25:260g |
リム素材 | マクスタル(アルミ) |
リム高 | F24mm/R26mm |
内部の幅 | 17mm |
ハブ素材 | アルミ |
スポーク | スチール、F18本/R20本 |
◆定評のあるキシリウム エリートをUSTチューブレス化し、乗り心地と快適性を向上。●主なテクノロジー:UST, ISM4D, QRM+, Fore, SUP, Maxtal, UB Control, FTS-L●付属タイヤ:Yksion Pro UST(イクシオン プロ UST)■タイヤサイズ:700x25C■カラー:ブラック/レッド
Amazonで詳細を見るキシリウムエリートUSTは、チューブレスタイヤの着脱が容易なアルミクリンチャーです。UST表記がつくものはみな、従来ならばはめ込むのに大変苦労していた着脱が楽で、作業時間も短縮できるようになりました。また、スポークに使用されているスチールはしなやかさや粘り強さをもち、衝撃吸収性のよさが特徴です。

マビック,キシリウムエリートUSTディスク
ペア重量 | 1670g |
タイヤ | 700×25:260g |
リム素材 | マクスタル(アルミ) |
リム高 | 22mm |
内部の幅 | 19mm |
ハブ素材 | アルミ |
スポーク | スチール、F/R24本 |
◆ブレーキタイプ:ディスクブレーキ◆適応タイヤ形状:UST チューブレス&チューブタイプ◆適応タイヤ寸法:700C(ETRTO622)◆推奨タイヤ幅:25-32mm
楽天で詳細を見る同じキシリウムエリートでも重量が100gほど重く、リム高と内部の幅が違っています。わずかな差ですが気になる方にはとことん気になるスペック表です。
■軽量で強靱、多くの用途に対応可能なキシリウム エリートのディスク対応バージョン。■主なテクノロジー:UST, ISM4D, QRM Auto, Fore, SUP, Maxtal, ID360■付属タイヤ:Yksion Pro UST■タイヤサイズ:700x25C
楽天で詳細を見るしかし、この2種類のキシリウムエリートのリム高などの数値差は好みの問題なので、考え出したらキリがありません。結局どのキシリウムエリートを選ぶかの一番の決め手となるものは、そこに詰めこまれた技術力でしょう。それを次項にてご紹介します。

マビック,キシリウムエリートの特徴
ここでは基本仕様以外のキシリウムエリートの特徴について述べていきます。マビック独自の技術が織り込まれた性能とはどんなものでしょうか。

アルミリムホイール
キシリウムエリートのリム素材であるアルミ合金はマビック独自のもので、従来のものとは違って強く軽量です。さらに、イソパルス組スポークによるスポークテンションのバランス維持、空気抵抗を減らす仕組みとしてISM4Dを採用しています。つまり、リムハイト24mmのミドルグレードアルミホイールとして比較的軽量ながら、高い剛性とエアロ効果を持っていることがキシリウムエリートの特徴です。

USTとUSTディスク
キシリウムエリートの種類は、USTとUSTディスクの2種類のみです。USTとはチューブレスタイヤに、ディスクはディスクブレーキに対応していることを意味します。キシリウムエリートUSTディスクのアドバンテージは大きいです。制動性はこちらの方が優れていますし、ダウンヒル時のブレーキでリムを傷つける心配もありません。

マビック,キシリウムエリートのインプレ
まず、実走してみた感想には好みの要素が入るため(それだけにリアルなものではありますが)、1つの参考としてご覧ください。それではお待ちかね、キシリウムエリートのインプレに入ります。

乗り心地・疲労感
ホイールのリムはアルミであるため素材自体の特性として、本来ならカーボンほど振動吸収性は高くありません。しかし、その不足を補ってくれるものが、空気圧を低めに設定できるチューブレスタイヤです。さらに、ロングライドでも少ない疲労感で済む恩恵を得られるうえ、空気圧によってさまざまな乗り心地を体感できる楽しさもあります。
漕ぎだし・登り
鉄下駄と呼ばれる約2kg前後のホイールからキシリウムエリートへの交換は、軽快さがまったく違います。軽量ですから漕ぎだしも軽く、信号待ちのストレスが軽減しました。登りの軽さ・進みやすさは鉄下駄と比べれば歴然のものですが、過度な期待はできない、といった印象になります。

加速・巡航
キシリウムエリートはどちらかというと平地巡航に向いており、乗り心地のよさや速度維持がミドルグレードながら楽です。リム高自体はエアロ効果が得られるほどにはありませんから、やはりマビックの技術の高さが垣間見れます。踏み込みに対する反応はいいのですが、若干「踏まされている」感じはあり、巡航可能な高速域に達するまでに少々体力を使う印象です。

マビック,キシリウムエリートはなに向き?
ここまで取り上げてきたキシリウムエリートの仕様や特徴、インプレからわかってきたことをまとめると、次のようになります。

平地向きのオールラウンドホイール
キシリウムエリートの加速には乗り手との相性という要素が多少ありますが、巡航では鉄下駄よりも速度維持を断然少ない疲労感で済ませられます。登りに不満があるわけではありませんが、キシリウムシリーズの特性上は平地の方が楽しめるでしょう。

レースよりもエンデュランス系
マビックの公式サイトにもあるように、キシリウムシリーズの傾向はエンデュランス系です。走行性能を突出させるレースモデルとは異なり、前述した乗り心地のよさも相まって、ロングライド向きのホイールと言えます。

キシリウムシリーズ:グレード別特徴と比較
これまではキシリウムエリート単体のインプレなどを述べてきましたが、ここからはグレードごとの特徴と比較についてご紹介します。

エントリーグレード:キシリウム
キシリウムエリートの下位グレードが無印のキシリウムです。キシリウムの次にキシリウムエリート、次いでキシリウムプロ、といったようにグレードが上がり、価格も性能もそれに伴います。エントリーグレードなだけに、鉄下駄から脱却したい方向けではありません。しかし上位グレードほど気を遣わずに済むため、練習用としての需要があります。

ミドルグレード:キシリウムエリート
キシリウムよりも軽量かつ性能がよく、キシリウムプロとはスポークの材質とハブの性能の点で劣勢です。キシリウムエリートのスポーク材質が乗り心地で勝るスチールであるのに対し、キシリウムプロは剛性の高さで優勢なアルミのジクラルスポークです。またハブ性能の点でも、キシリウムプロの方がキシリウムエリートより力の伝達の点では勝ります。
■リムサイズ:高さ:26mm(非対称),内幅:17mm■スポーク:素材:ステンレススチール,形状:ストレートプル、ブレード,本数:20,組み方:イソパルス,ニップル:フォー技術採用アルミニウム■参考重量:855g(ホイール)/260g(タイヤ)
Amazonで詳細を見る楽天で詳細を見るハイグレード:キシリウムプロ
剛性の高さや力の伝達UPにより、ヒルクライムではキシリウムプロの方がキシリウムエリートより有利です。ただ、エンデュランス系ですから、ヒルクライム特化のアールシスほどの専門性はありません。それでも、万能さではキシリウムプロの方が勝ります。
◆リム材質-マクスタル ◆リムサイズ-高さ:22mm、内幅:フロント/17mm,リア/19㎜◆スポーク-素材:ジクラル、◆スポーク形状:ストレートプル、ブレード、(フロントのみプラス:ダブルバテッド)、本数:F-18/R-24本、組み方:F-ラジアル/R-イソパルス◆ハブ材質:アルミニウム◆適応タイヤ-形状:UST チューブレス&チューブタイプ、寸法:700C(ETRTO622)◆推奨タイヤ幅:25-32mm
Amazonで詳細を見る楽天で詳細を見るマビック,コスミックシリーズとの比較
同じくマビックのコスミックシリーズとキシリウムシリーズとの比較に移ります。汎用性のあるキシリウムシリーズとはどう違うのでしょうか。

マビック,コスミックの特徴と比較
コスミックシリーズは外見通りのディープリムホイールで、高速巡航・平地特化のホイールになります。空気抵抗や速度維持、剛性の高さ、衝撃吸収性の点で秀でているため、ロングライドをメインにするならおすすめです。ただし重量があるので、登りもそこそこ楽しみたい、という方はキシリウム系の方が合うでしょう。
■マヴィックのエアロダイナミクス効果を手軽に味わえるホイールタイヤシステム採用ホイール。■主なテクノロジー:UST, SUP, UB Control, QRM◆リム材質:S6000アルミニウム◆リムサイズ-高さ:30mm、内幅:17mm◆スポーク-素材:ステンレススチール、形状:ストレートプル、ブレード、本数:20◆ハブ:ボディ材質-アルミニウム、アクスル材質-ステンレススチール◆適応タイヤ寸法:700C(ETRTO622)◆推奨タイヤ幅:25-32mm
Amazonで詳細を見る楽天で詳細を見るマビックキシエリと他社ホイールの比較
マビックのキシリウムエリートと、他社の同グレードホイールとのインプレ比較もしてみました。取り上げるのは人気ホイール、フルクラムのレーシング3とカンパニョーロのゾンダです。

フルクラム:レーシング3
フルクラムのホイールは剛性が高めで、踏み込みの反応・力の伝達が鋭いことで知られています。レーシング3もゾンダとよく比較されており、キシリウムエリートも一見同じグレードと思われることが多いです。しかしその実キシリウムエリートは、回転性能ではわずかに劣りつつも、総合的な走行性能では上になります。
◆タイヤタイプ:クリンチャー◆リム:材質-6082-T6アルミニウム、R2切削加工、リム高-フロント27mm/リア30mm、リム幅-22.5mm、リム内幅-C17◆推奨タイヤ幅:25~50mm◆スポーク:材質-ステンレス、本数-フロント16本/リア:21本◆重量:1560g
楽天で詳細を見るカンパニョーロ:ゾンダ
ゾンダは、剛性バランスよし、デザインよし、コストパフォーマンスよしな、初心者からプロまで幅広い層に人気があるホイールです。性能ではチューブレスタイヤ付きのキシリウムエリートの方に分があります。しかしそれを抜きにすると、ゾンダともレーシング3とも大きな差は無いとも言われており、一歩リードしているといった印象です。
◆リム:クリンチャー、アルミ製トリプル切削、C17 ◆ハブ:アルミボディ、MEGA G3フランジ、カップ&コーン式ベアリング、プラズマ電解酸化処理フリーボディー◆スポーク:ステンレスストレートプルエアロ、フロント:6本-ラジアル リア:G3パターン-左7本/右14本、アルミニップル ◆指定タイヤ幅:25mm-50mm ◆重量:1596g
Amazonで詳細を見る楽天で詳細を見るマビック,キシリウムエリートを選ぶメリット
結局のところ何を選べばいいのか、と迷われている方もいるかと思います。同じグレードのゾンダや上位グレードのキシリウムプロ、その他の候補にしても、目的・目標が定めっていないと決めづらいでしょう。ではここであえて、キシリウムエリートを「選ぶ目的」となりうるメリットをあげてみます。
ロングライドの疲労を少なく楽しめる
キシリウムエリートの特筆すべき点はやはり乗り心地のよさです。ロングライドの疲労感が少なく、その分楽しむことに集中できるでしょう。もちろん、キシリウムプロやコスミックに比べれば分が悪いですが、同じグレード帯のゾンダやレーシング3と比較すれば優れたホイールです。

登りもできるオールラウンド感
平地向きであるとはいえ、軽量ですから登りが不得意というわけではありません。平地も楽しめて、登れもするのがキシリウムエリートのメリットです。ロングライドもヒルクライムも両方したいという欲張りができますし、完成車ホイールからのステップアップとしても初心者の方におすすめできます。
まとめ
品揃え豊富なマビック、その中でもイチオシのキシリウムエリートとは、平地も登りも楽しめて初心者にも優しいホイールでした。価格は上がりますが、より高い性能を求めるならキシリウムプロもおすすめします。このインプレが、皆さまのホイール選びのお役に立てられたなら幸いです。
おすすめホイールが気になる方はこちらもチェック!
当サイト「暮らし~の」では、先ほど取り上げたゾンダやその他、おすすめホイールの紹介記事も扱っています。ホイールを見比べて選ぶツールとして、これらの記事をぜひお役立てください。

