検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

防水・撥水生地とは?水をはじく雨に強い素材の種類や特徴、選び方を解説!

雨の多い季節や急な雨対策に欠かせない防水・撥水生地のグッズ。最近ではレインコートや長靴などレインウェアの人気が高まっていますが、防水・撥水生地とはそれぞれどういうものなのか、その違いや雨に強い素材の種類・特徴、また選び方などについてまとめました。
更新: 2021年11月21日
豆飼
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

梅雨から夏にかけて欠かせない防水・撥水生地グッズ

長い雨が続く梅雨や急な通り雨の多い夏場には、雨に強い防水グッズは欠かせません。防水や撥水加工が施された布製のグッズなら、折りたたんでコンパクトに持ち歩けるので大活躍します。

最近では防水グッズも進化して薄いのに雨に強くて丈夫でムレも少ない素材も増えてきました。また、以前は人気のなかったレインコートも、形やデザインが豊富になり使用する人が増えてきています。

防水・撥水生地グッズの元祖「傘」の秘密

クリックすると楽天商品ページへ飛びます

防水・撥水生地を使った水をはじくグッズといえば、最初に浮かぶのが傘です。雨の日にはなくてはならない便利グッズですが、柔らかい布地素材なのに雨に強くてしっかり水をはじくのはなぜなのでしょうか。

傘の歴史

クリックすると楽天商品ページへ飛びます

傘は古くから、日本でも西洋でも女性のみが使う日除けやアクセサリー的な感覚で使われてきたものでした。

雨除けとして使用されるようになったのは18世紀後半のイギリスからで、日本では室町時代から和傘の和紙に油を塗って雨をはじくよう加工して使うようになりました。1804年に長崎から洋傘の輸入が開始されて世間に広まり、明治時代から国内生産が始まっています。

傘の生地が水を通さないのはなぜ?

和傘に油を塗るのと同様、洋傘の生地も布にコーティング加工を施すことで水をはじきます。耐水性の出やすい目の詰まった布地、綿100%やポリエステル100%、ナイロン100%などの布に撥水コーティング加工を施すことで雨に強く水をはじくようにし、柔らかくてコンパクトに折りたためる洋傘ができます。

ブラント ライト A1445-74

出典:楽天
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon

人気上昇中の防水・撥水生地グッズ「レインコート」

レインコートといえば、以前は「ダサい」イメージがあり、また衣服は濡れないけど顔や頭はいまいちで、あまり雨に強いという印象はありませんでした。

しかし最近ではレインコートに再び注目が集まり、女性向けのかわいくておしゃれなレインコートや、普通のスポーティーな上着だけど水をはじくものなど、普段着感覚で気軽に着られる物が増え、着る抵抗感も軽減して身近な物になってきています。

そもそも防水・撥水生地って?違いはあるの?

防水とは?

防水とは、水を中まで通さないことをさします。レインコートや長靴、防水仕様のケースなどがありますが、これらは生地自体が水を通さない塩化ビニルや合成ゴムなどで作られているか、布の表面を合成樹脂やゴムなどでコーティングするかラミネート加工を施して雨に強い素材にしています。

撥水とは?

撥水とは、布の表面でコロコロと水滴が玉のように転がり水をはじくものをさします。スポーツウェアや靴、晴雨兼用の傘などの布地に施されているのが撥水加工です。これらはシリコンやフッ素などで表面をコーティングし、小さな凹凸をつけることで水が球状になり布に浸透せず水をはじくようにされています。

防水加工生地と撥水加工生地のメリット・デメリット

防水加工のメリット・デメリット

防水と撥水では防水の方が水をはじく点や雨に強い点では優れており、洗濯や使用を繰り返しても効果が衰えにくいのが特徴です。一方、完全に水を通さないため内側からの空気や湿気も通しにくく、汗などで蒸れやすいというのが難点です。


撥水加工のメリット・デメリット

撥水加工の場合は空気や蒸気は通すので、蒸れにくくまた素材が軽いのが特徴です。ただしシリコン系の撥水加工の場合は表面に膜を作ってコーティングするので通気性がなくなります。

また、撥水の場合は使用を繰り返したり洗濯をするとコーティングが落ちて撥水効果が衰えてきます。また、水の量が多い場合には撥水効果が発揮できず、布に染み込んでしまいます。

防水加工生地と撥水加工生地の使い分け方・選び方

防水と撥水の特徴や効果の違いを考慮した上で、目的や用途などによって防水加工生地と撥水加工生地のグッズの種類を使い分けるとよいでしょう。

例えば雨対策に持参するレインウェアとしてであれば、朝から結構な雨が降っていて止みそうにない場合は防水のレインコート、外出時には降っていないけど小雨がぱらつくかもしれないので一時的にしのげる雨対策をとっておきたい場合は手軽に持ち運べる撥水加工の薄手の上着を羽織る、など使い分けることをおすすめします。

防水加工生地・撥水加工生地の種類①

素材の種類

防水・撥水加工の生地によく使用される素材の種類には、強度が強くテントなどによく使用されるナイロンやポリエステル、通気性のよいコットン、水や湿気に強いポリ塩化ビニール(PVC)、レジャーシート等に使われるポリエチレン(PEクロス)などがあります。

ポリ塩化ビニルは引っ張りやキズに弱い種類です。使用目的によってそれぞれの特性を考慮して素材を選ぶとよいでしょう。

ナイロンとポリエステルの違い

雨に強い素材の代表といえばナイロンとポリエステル。どちらも合成繊維で吸水性が低くて速乾性があり、またしわになりにくい素材です。異なる点は、ナイロンは熱に弱いですがポリエステルは熱に強く、耐水性や紫外線にはポリエステルの方が強いですが、引っ張り強度においてはナイロンの方が優れているという点です。

そういった特性から、ナイロンはストッキングやカーペット、車のシートなどに用いられ、ポリエステルは衣類や容器などによく用いられます。

クリックするとAmazon商品ページへ飛びます

防水加工生地・撥水加工生地の種類②

織り方の種類

防水・撥水加工生地の織り方には、主に3種類あります。ひとつは平織りの織物タフタという種類で、ナイロンタフタとポリエステルタフタがあり、ポリエステルの方が安価になっています。

2つ目がリップストップという種類。Rip(=避ける)をストップするよう裂け目補強がされたナイロン糸を格子状に織り込んだ生地です。タイトで織り目が閉じた丈夫で軽く防水性がある生地ですが、伸縮性はほとんどありません。3つ目がオックスフォードクロスという平織物で2本引揃糸を用いた種類があります。

織り方の使い分け

撥水加工でよく使われるのはナイロン生地ですが、同じナイロンでも織り方の種類によって特徴や使い道が異なります。ナイロンタフタは薄手で軽いため、折りたたんでコンパクトに持ち運べるエコバッグなどに、ナイロンオックスは厚手で丈夫なので子どものレッスンバッグなどに適しています。

一方リップストップはテントやリュック、ウェアなどアウトドア用品に適し、ナイロンの他ポリエステルやコットン製もあります。

防水加工の種類

ラミネート

綿や麻などの布地の表面に、ポリ塩化ビニールを貼り合わせたものを「ラミネート生地」と呼びます。バッグやポーチなどで身近によく利用されています。

布地の表面だけ加工したものが一般的ですが、裏側をラミネート加工したものもあります。また、気に入った生地をオリジナルでラミネート加工できる業者や、アイロンを使って加工できるシートもあります。

100%コットンポリ塩化ビニルコーティングで雨に強い素材のバッグ


ポリウレタン(PU)コーティング

値段が安価で加工も簡単で、使われることの多い加工がポリウレタン(PU)コーティングです。ナイロン生地の裏側にポリウレタン加工を施した生地がリュックやテントの内側によく使用されます。防水効果は高いですが通気性はなく、水と反応して加水分解が起きポロポロと剥がれたり異臭を放つことがあるのが難点です。

塩化ビニール(PVC)コーティング

ポリウレタン(PU)コーティングよりもさらに安価でより耐久性のある塩化ビニル(PVC)をポリエステル生地にコーティングします。

ポリウレタンよりも重くて厚みもあり若干ゴワつきがありますが、低価格のレインウェアに最もよく使用される加工です。強度があり擦れにも強いですが、経年劣化によりコーティングが剥がれあまり長持ちはしません。

撥水加工の種類

フッ素系

表面にフッ素樹脂を主成分とした撥水剤が付着して水や油をはじくのがフッ素系撥水です。アイロンがけをすると樹脂が繊維の表面により密着して毛羽立ちがよくなるため、撥水効果が増します。擦れや汚れの付着によりフッ素が剥がれると効果が落ちやすくなってしまいます。

シリコン系

撥水性のシリコン樹脂を主成分とした撥水剤で、繊維表面を油性の膜でコーティングすることで水をはじきます。油性のため油ははじきませんが、フッ素系よりも高い撥水性が特徴です。ただし、フッ素系よりも値段が高く手間もかかり、耐久性はフッ素系より劣ります。

ウェア撥水コートスプレー SP-006B

出典:楽天
出典:Amazon
出典:楽天

防水最強アイテム「防水透湿素材」とは

水を通さない「防水性」だけでなく、体から出る汗などの水蒸気を外に出す「透湿性」と「撥水性」機能においても優れた素材が「防水透湿性素材」です。

アウトドアブランド各社で採用されており、ヒマラヤ登山など過酷な状況下でも登山者に愛用される本格仕様です。撥水性は使用によって落ちてきますが、撥水性が低くなると透湿性にも影響を与えるためメンテナンスが必要です。

防水透湿生地「ゴアテックス」

ゴアテックス®は防水透湿生地の中でも特に有名なもので、アメリカのWLゴア&アソシエイツ社が製造・販売する少々高額ですが高い人気を誇る素材です。PTFEフィルム(フッ素素材樹脂)を特殊延伸加工したフィルムで、 1㎠に14億個以上の小さな孔が連続する蜘蛛の巣状になった繊維構造をしています。

孔の大きさは水滴の2万分の1で且つ水蒸気の700倍のため、水を通さず汗の上記は放出させるという特徴があります。雨に強いだけだなく強風や雪など環境の悪い条件下でも活躍しています。

ゴアテックス以外の防水透湿生地

ゴアテックス以外にも、アウトドアブランドやスポーツメーカー各社から防水透湿素材の商品が出ています。

モンベルのストームクルーザージャケットや東レのブリザッテック、ミズノのベルグテック®EX、コロンビアのオムニテックなど各社独自技術を用いた商品があります。ゴアテックスより性能は劣るかもしれませんが値段は手頃な物が多いです。

防水透湿生地を選ぶ基準は耐水圧と透湿度

防水透湿素材のものは、ちゃんとした物だとそれなりのお値段になってしまいます。多少安い物も探せばありますが、期待したほど防水効果がなかったり劣化が早かったりと失敗してしまう場合もあります。そんな時は、目安となる「耐水圧」と「透湿度」をチェックした上で、雨に強いだけでなく快適で丈夫なものを購入しましょう。

耐水圧とは?


「耐水圧」は、素材に1㎝四方の水の柱を立て裏側に染み出るまでの水の高さ、つまり「いかに雨に強いか」を表します。市販のナイロン傘で耐水圧約200~500mmとされています。目安としては、嵐の場合20,000mm、大雨の場合10,000mm、中雨の場合2,000mm、小雨の場合300mm程度です。

耐水圧がそれなりにあっても、ウェアのお尻や膝、背中部分などは座ったり膝をついたり、リュックを背負ったりすることで圧力がかかりますので、それ以上の耐水圧が必要とされます。

透湿度とは?

衣服の外からだけでなく、内側も汗をかくことで水分が発生し、それが服の中に留まると蒸れが生じて不快に感じます。その汗や水蒸気を外に出す能力が「透湿性」で、「g/m²/24hrs」で表します。

24時間で1m²の生地からどれぐらい(g)の水分を放出できるかを表します。なお、大人で安静時でも1時間あたり約50g/h、軽い運動時で約500g/h、激しい運動で約1,000g/hもの汗をかくとされています。

自分で防水・撥水生地グッズを作る方法①

防水・撥水加工生地を買って自作する

防水や撥水加工の生地を買ってDIYすれば、自分好みの大きさやデザイン、色柄の物を作ることができます。ラミネートの布地であれば手芸用品店であればどこでも扱っていますし、自分で気に入った布をラミネートする方法もあります。

また、ゴアテックスやアウトドアウェアに使用されるような素材でも生地で販売しているところもあります。ただし、ラミネート生地はミシンでの縫製が難しく、専用の押さえかトレーシングペーパーを用いるのがおすすめです。

自分で防水・撥水生地グッズを作る方法②

防水スプレーを使って防水加工する

市販の防水スプレーを使用すれば、どんな物でもある程度は水をはじくようにすることができます。衣類やバッグ、靴など何にでも使えますが、素材やスプレーによっては染みになる場合もあります。革製品であれば革用を使いましょう。

また、「防水スプレー」とうたっている商品でも、ほとんどは撥水加工のスプレーです。スプレーを使ったからといって完全に水をはじくものではありませんので注意しましょう。

まとめ

雨に強い水をはじく防水グッズは多様化し、100円ショップなどでも手軽に入手できる簡易的な物からテントなど丈夫でしっかり雨風を防ぐもの、薄くて軽量で丈夫な上に汗などの湿気は外に逃がすなど高性能の製品まで様々です。

素材もナイロンやポリエステルから、ラミネート貼りやコーティング加工した物まで多数ありますが、使う目的やシチュエーション、また予算にも応じて商品を洗濯しましょう。

防水が気になる方はこちらもチェック!