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はじめに
巷で売られている商品を見ていると、防水布生地使用とか撥水布生地使用、防水・撥水加工済み、といったうたい文句が書かれているものがちらほらあります。雨が降った時に身体や服、そして荷物が濡れないに越したことはありませんが、そもそも防水生地や撥水生地というのは一体何なのでしょうか。濡れない生地に施されている加工や違いとななんなのでしょうか。今回はそんな防水・撥水生地にかかわる情報をお伝えします。
防水・撥水生地とは
防水・撥水機能を備えた生地・布
防水・撥水生地とは防水機能や撥水機能を備えたゴムや布などの生地のことです。防水・撥水加工が何も施されていない生地や素材の場合、水に濡れると水をはじくこともなく生地や素材がぬれ始めてしまいすぐにびしょびしょになってしまいます。Tシャツやジーパン、リュックサックを着用していて雨に遭遇したとき、それらが水をはじくことなく内側まで雨がすぐ入ってくるのがわかりやすい例です。これを防ぐのが防水・撥水機能を搭載した種類の生地になります。
様々な布・加工製品などで使われる
防水・撥水生地は様々な製品に使用されています。というのも、私たちは日常生活において雨に強い製品を必ず求めているのです。晴れの日であれば水場にでも行かない限り問題ありませんが、雨の降る雨天時には傘をさすなりカッパを着るなりして水をはじくことで荷物や衣服が濡れてしまうのを防いでいます。わかりやすい例がアウトドアで、キャンプ地域などではいつ雨が降り出しておかしくないような環境のところもあります。これらのために防水・撥水生地を採用したものが販売されているのです。
布加工製品などによくある高密度
防水性のある製品を見ていると高密度という文字をよく見かけます。布などの生地なら、高密度に織り込むことで撥水効果を高めるのが主流です。防水とまではいきませんが、高密度に織り込まれた布生地の撥水効果は高いと言えるでしょう。
防水・撥水生地の特徴
水に強い
防水・撥水生地の特徴その1は水に強いことです。防水・撥水生地のどちらの素材も水にある程度耐えられるように作られています。とはいえ、施されている加工方法が防水生地と撥水生地では異なりますので、全く同じ性能を持つというわけではありません。防水生地と撥水生地のどちらかを選ぶのであれば、より強い水に耐えられる種類の素材・水をはじく雨に強い生地が欲しいのであれば、防水生地がベストでしょう。
防水生地と撥水生地の違い
防水生地と撥水生地は水に強いという点では同じですが、性能が同じというわけではありません。防水生地は内側への水の侵入を防ぐ素材です。長時間水に晒されても水が防水生地の内側へは浸入することはないのです。防水機能が高いのが特徴ですが、それだけ水を透さない高密度の素材・生地のため内側が蒸れやすいと言われています。
防水生地と撥水生地に施される加工の種類
防水加工
生地に防水性をもたせるために施されるのが防水加工になります。防水加工としてよく知られているのがラミネート加工です。ラミネート加工とは生地表面にポリ塩化ビニールを張り合わせる作業になります。ラミネート加工がほどこされた素材生地をラミネート加工生地と呼んだりもします。
防水加工の布製品などにはメリットもデメリットも
布にラミネート加工が施されると、布生地ないしは製品表面(裏面の場合も)がコーティングされるのです。コーティングによって水の侵入を防ぐことができます。ただし、同時に空気も透さなくなりますので、布内側が蒸れやすくなります。
撥水加工:布製品にも使う加工
撥水加工は生地や素材に撥水性を与えるために行われる加工のことをいいます。具体的には生地表面にシリコンコーティングを施すことが主流です。この種類の加工がおこなわれると、水が当たったときにその水を玉状にさせて弾けるようになります。防水加工とは違ってコーティングで生地の隙間が埋められるわけではないので防水加工が施された素材よりも水をはじく能力には劣ります、それでも雨に強い生地です。
防水・撥水生地の種類その1
ナイロン生地:撥水加工の代表的な布
防水・撥水生地の種類その1はナイロン生地です。ナイロン生地は主に撥水生地として使われています。ナイロン生地はナイロンの糸が高密度でおられているのが特徴的です。元々、ナイロンはカバンやウィンドブレーカー、スポーツウェアなどに使われている合成繊維です。私たちが何気なく着ている服の多くにも高密度に織られたナイロンが採用されている、比較的身近な素材になります。
ナイロン布の特徴
ナイロン布素材は多くの特徴を持っていて、その中でも基も知られているのがその高い弾力性です。弾力性に優れているからこそこの素材は頻繁に衣類に採用されています。衣服にも強度が求められており、その強度を増すための手段としてナイロン素材が服の素材の一部として採用されているのです。もう1つの特徴を挙げると、速乾性に優れています。速乾性に優れていますので汗をかいたり水にぬれても比較的早く乾きます。さらにはシワもできにくい素材でもあります、これらがナイロン布の大きな特徴です。
防水・撥水生地の種類その2
ポリエステル
防水・撥水生地の種類その2はポリエステルです。ポリエステルもナイロン生地と同様、日本国内で非常に多く使われている合成繊維の1つになります。国内で生産される合成繊維の半分以上がポリエステルであると言われているほどです。ポリエステルもナイロンと同様、撥水加工が施される生地になります。ポリエステルはワイシャツなどに使われる身近な素材であり、雨傘やレインコートなどにも撥水加工が施されてから使われています。
ポリエステルの特徴
ポリエステルの特徴として挙げられるのは耐久性が高いことやシワができにくいこと、速乾性に優れている点や高温度にも耐えられる耐久性、そしてその安い価格帯です。これらの特徴があるからこそポリエステル素材はレインコートや雨傘など、様々な雨具に撥水生地として採用されています。ポリエステルのデメリットを上げるとすれば、静電気が発生しやすいことや毛玉ができやすいということです。
防水・撥水生地の種類その3
ラミネート生地
防水・撥水生地の種類その3はラミネート生地です。ラミネート生地は上記2つとは違い防水生地としての機能を果たす素材になります。ラミネート生地のベースとなる素材は綿や麻といった一般的な素材です。これらの素材に、上記でも紹介したポリ塩化ビニルを貼りつけることでラミネート加工生地が完成します。
ラミネートは布への加工だけでなく写真の防水などにも使われる
ここで紹介したラミネートですが、生地だけでなくステッカーの防水にも使われています。さらに、ラミネートそれ自体が雨に強いだけでなく、ステッカーなどと一緒に使えばより色鮮やかなに映し出すことも可能です。俗に言うクロスラミネートと呼ばれるものです。ステッカーの耐久性の向上や屋外使用時のUVカット効果も発揮できるなど、ラミネートは防水以外のものにも使われている技術なのです。
防水・撥水効果を持った布の販売
様々な種類の布が販売されている
防水性・撥水性を持った製品は多く発売されているだけでなく、それらの性能を備えた布も発売されています。布は高密度に織り込まれたナイロンやポリエステルなどの一般的な布から、ナイロンタフタやナイロンオックスと呼ばれるナイロン系の布も販売されているのです。防水・撥水の材料である布を購入できるので、自身で布を使ってカバンなどを作って楽しむことや、作ったものを販売も可能です。高密度に織られたナイロンは使い勝手が良いです。
ナイロンタフタとナイロンオックス:加工の違うナイロン布
ナイロンタフタとナイロンオックスと呼ばれる2種類の生地・布があります。どちらの布もナイロンであることに変わりはないのですが、ナイロンタフタの布とナイロンオックスの布は違う布です。ナイロンタフタとナイロンオックスの布違いはその布の織り方にあります。布の織り方が違いますので、布の厚さにその違いが顕著に表れています。
ナイロンオックス布のほうが厚い
ナイロンタフタ布とナイロンオックス布を比較すると、ナイロンオックス布のほうが厚い仕上がりです。そのため、ナイロンオックス布を使ってバッグを作るとなると、厚さのある頑丈な、しっかりした布製品になります。ナイロンオックス布とは違って、ナイロンタフタ布を使って作成したバッグは布が薄くて折りたたみもできる、携帯しやすい布カバンです。ナイロンは高密度に織り込まれていると上述したとおりで、高密度に織り込まれているので撥水効果が期待されます。
防水・撥水生地が使われる製品その1
レインスーツ
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【スペック】 素材:ナイロン100%(エントラント加工、超撥水)、ライナー/ポリエステル100% 耐水圧:10,000mm ※初期値(着用前・使用前) 浸透性:10,000g/m2・24hr
レインスーツといえば中高生や大学生の通学や自転車・原付を使って雨天時に移動するのに必要不可欠な雨具の一つです。レインスーツは防水性や撥水性、そして透湿性という3つの項目全てに優れた効果を発揮するように作られているものが多数販売されています。一般的に販売されている種類のレインスーツなら、ナイロンやポリエステルといった素材が主に使われている印象です。
レインコートそれぞれの加工に工夫が施されている
防水効果がある(=耐水圧が大きい)、高い撥水効果を備えているというのがレインコート一般の特徴ですが、それぞれのレインコートにはメーカーのこだわりがしっかりとわかるようになっています。今回紹介するカジメイク エントラントレインコートはその具体的な例の1つです。大手企業の東レが開発したエントラント加工を採用しており、質の高い防水性・撥水性・透湿性コーティングが施されています。縫い目に防水テープを貼ることで高密度のような防水性を達成しています。
防水・撥水生地が使われる製品その2
カバン・リュック
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素材:表布 ナイロン100%/ コーティング ポリウレタン 100%
2つ目に紹介する防水・撥水生地が使われる製品はリュックサックやカバンです。リュックサックやカバンは通学・通勤からアウトドア向けなど様々な種類が販売されていますが、共通していることは荷物を入れて担ぎ、持ち運ぶということです。リュックやカバンによりますが、防水・撥水加工が施されている種類もあります。アウトドアメーカーが製造・販売するリュックなどですと、リュック素材にナイロンやコーティング加工済みポリエステルを使用したり、ジッパーに止水効果を持たせるなど、雨への対策が施されています。
撥水効果を持ったトートバックなどもある
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素材:ナイロン
とはいえ日常生活では本格的なリュックサックを使う人が大多数を占めるとも考えにくいです。雨天時に気軽に使えるカバンが欲しい方には、撥水加工が施されたトートバッグなどをおすすめします。撥水加工付きトートバッグなら少しの雨で内部に心配する心配もありません。少し雨に強いカバン、水をはじくカバンならこれくらいで十分でしょう。
防水・撥水生地が使われる製品その3
長靴
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素材:合成ゴム 天然ゴム ナイロン ポリエステル ポリウレタン
3つ目に紹介する防水・撥水生地が使われる製品は長靴です。雨に強い、水をはじく、といえば長靴の存在は外せません。長靴に使われる素材と言えば、合成ゴムや天然ゴム、ナイロン、ポリエステルに ポリウレタンなど、防水や撥水にお馴染みの物が使われています。撥水では水が浸水してしまうため、長靴は強力な防水機能が搭載されているのが一般的です。
防水機能以外にも必要となる要素
長靴において必要となるのは防水性能だけではありません。アッパーの柔軟性やフィット感、そしてソールのグリップ力も、「水をはじく」や「雨に強い」などと並んで重要になります。長靴を実際にはいてみるとわかりますが、長靴を履くときにアッパーが硬いと履きにくいのです。布ではなくゴムを使っていることもあり、素材が硬めですから、選ぶときは実際に履いてみるのがベストです。
防水・撥水生地が使われる製品その4
テント
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【スペック】 素材:フライ/75Dポリエステルタフタ(UVPRO、PU防水、シームシール)、インナー/68Dポリエステルタフタ(撥水加工)、フロア/75Dポリエステルタフタ(PU防水、シームシール) etc. 耐水圧:約1500mm(フロア/約1500mm)
4つ目に紹介する防水・撥水生地が使われる製品はテントです。アウトドアキャンプに必要不可欠解いても過言ではないテントは、晴天時にも雨天時にも室内の人員・物資を守るという任務があります。そのため材質には防水加工や撥水加工を施したものを採用しているのです。水をはじく雨に強い様々なテントが販売されています。
加工のレベルや性能が上がると高い
基本的にどのテントにも防水性・撥水性は備わっていますが、耐水性の違いで性能が大きく変わります。価格が高いテントほどそれらの性能が優れている傾向があります。
防水・撥水生地の注意点
縫いにくい
防水・撥水生地を購入して製品を作る場合、縫うことが難しい場合があります。ラミネート生地やナイロンなどは縫えないことはありませんが、少し癖のある生地です。一度練習しておくと良いでしょう。
アイロンをかけない
防水生地や撥水生地にアイロンをかけてはいけません。事故にもつながりますので、必ず行わないようにしましょう。どうしてもアイロンをかけたい場合には、上から当て布をするなど、直接熱を与えないようにしてください。
防水・撥水生地の選び方
どれくらいの防水性・撥水性を求めるのか
防水・撥水生地の選び方で重要なのはどれくらいの性能を求めるかです。雨に強い・水をはじくという性能を高めたいならラミネート布生地などが良いでしょう。雨に強い・水をはじく性能がそれほど高くなくても良いならナイロンオックスなどのナイロン布生地でOKです。ちなみに、オックス布だとタフタよりも厚くかつ頑丈な布になることを念頭に置いておきましょう。
コーティングスプレーを使う手もある
防水・撥水性を維持・向上するためにコーティングスプレーを使うことも有効です。使用しているうちに防水・撥水効果が低下した布にコーティングスプレーを使えば、その布の防水・撥水性能を戻せます。雨に強い布製品でも使っていると劣化するのは当然、ですからコーティングスプレーで効果を維持するのです。
まとめ
雨に強い防水生地や撥水生地にもいろいろな布の種類が販売されています。販売されている布の中から自分に合った生地を選ぶ、ないしは製品を購入するようにしましょう。
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