日本のタコの生息地とは
海鮮料理には引っ張りだこなタコですが、締め方を覚える前に、どんな海域でよく釣れるのかを、まず把握しておいてください。
浅瀬の岩場に棲むタコ
タコの種類によって、好む海水温は異なります。沖縄や小笠原諸島など温かい海を好むタコもいれば、東北地方以北の冷たい海域を好むタコもいます。しかしいずれのタコも、殆どの種類は水深数メートルから200メートルの、浅瀬の岩場、サンゴ礁、砂地などを好んで、周囲に擬態しつつ生息しています。
磯釣りならば釣れる可能性
磯で根魚を狙う磯釣りでは、エサやルアーを用いた釣りをしますが、いずれの方法でもタコが釣れることがあります。特に海底を探る釣りの場合は、エサやルアーがタコの目に付きやすいためです。
日本のタコの本場は北海道
かつて明治時代のころまでは、兵庫県の明石ダコが有名でした。農水省の2015年調査によれば、日本でタコの水揚げがもっとも多いのは北海道(18,700トン)で、2位は兵庫県(2,800トン)、3位は香川県(1,200トン、)4位は青森県・福岡県・長崎県(1,100トン)となっています。
日本で釣れる主なタコの種類
日本の海域は広大なので、タコの種類も様々です。特に日本近海で釣れる可能性が高いタコ、何種類知っていますか。
マダコ
タコといえばマダコというほど、よく知られるタコで、瀬戸内海や東シナ海など温暖な海にいます。マダコは腕の先まで含めて体長が60センチほどの中型のタコで、日本のタコの水揚げでは一番多いタイプ。締め方をまず覚えるのもマダコが第一です。
ミズダコ
腕を広げると3~5メートル、体重は10~50キロにもなる、世界最大のタコがミズダコ。日本の東北地方以北を含む、北太平洋の冷たい海に生息します。これまでのミズダコの最大の記録は、長さ9.1メートル、重さ272キロに達しました。美味しいタコですが、個人での捕獲は一苦労です。
イイダコ
大きさは30センチほどにしかならない、体に突起が多いのが特徴な小型のタコ。東アジアに特有で、日本では北海道の南方から沖縄にかけての浅瀬に棲んでいます。貝の中に隠れる習性があるため、伝統的に二枚貝を使ったイイダコ漁が行われます。
ヒョウモンダコ
熱帯から亜熱帯にかけての海にいる猛毒のタコで、日本では小笠原諸島や南西諸島の浅瀬に潜んでいます。ヒョウモンダコのテトロドトキシンという猛毒は、時に人間を死に至らしめることがあります。小柄ですが、見た目も青い斑点の豹紋で毒々しいので、近づかないことが賢明です。
タコの捕まえ方
タコは釣りでたまたま釣れることがありますが、昔からの仕掛けを使った専用の捕まえ方もあります。締め方と共に覚えておいて損はしません。
タコ壺
タコは体にジャストフィットする狭い場所を、安心な棲み家とする習性があります。その習性を利用したタコ壺漁は、古来より引っ張りだこでした。
魚かご
古来より筌(ウケ)を使った漁が行われていましたが、その技術は今も魚かごの仕掛けとして生かされています。小魚などが一度入り込むと、外に出られない仕組みです。魚かごにタコが中に入ることがあります。
二枚貝漁
小型のイイダコを捕まえる時に使われているのが、二枚貝の罠です。網に幾つもの貝殻が付いていますが、これはイイダコが二枚貝の中を好む習性を利用しているのです。
らっきょうルアー
らっきょうをルアーとして釣り上げる方法があります。これはタコがらっきょうが大好物だから、エサにしているわけじゃありません。変なものには目がなく、何でも絡みつくタコの旺盛な好奇心を利用しているのです。信じられない方は、タコがいそうな岩場でお試しください。
タコの締め方の前に体の構造を知る
タコを釣り上げた時には、適切な締め方をしたいですが、そのためには体の構造を知っておいたら役立ちます。
タコの胴体
よくタコの頭と呼ばれている袋状の部位がありますが、実はここはタコの内臓が入っている胴体です。中を開いて見れば心臓、胃、肝臓など主要な内臓を見ることができます。
タコの頭部
ではタコの頭はどこかと言えば、頭部と足の間です。ここに目が付いていて、全身の神経が集中する脳は、目と目の間にあります。頭から足が生えている構造であり、古くは白亜紀まで生息したアンモナイトと同じ頭足類です。
タコの腕(足)
一般にタコ足と呼ばれる、吸盤付きのくねくねとした部位は、生物学的に言えば腕(触腕)がふさわしい呼び名だといいます。英語でもアームと呼ばれているのです。ところでタコは腕が8本と言われますが、タコ本人は6本を腕として、2本を足として使い分けがされているとは意外なことです。
タコの神経
生きたタコの腕を切り落とすと、腕がウネウネと活発にうごめいています。これは神経を切断した時の刺激で、動き続けるといいます。また、タコは腕をなくすと、ピ○コロ大魔王のようにして神経や細胞を再生することも可能です。タコは泣く子も黙る万能性を持っているのです。
タコの締め方
生きている新鮮なタコは、締めることによって調理をしやすくし、鮮度を保つこともできます。釣り人も漁師も料理人もおこなっている、タコの適切な締め方・さばき方です。
締め方で用意する道具
タコ処理に用意する道具は、それほど多くありません。まな板、包丁、それに内臓を入れる袋です。携帯用にするなら、まな板は厚さ3mmのシートまな板がおすすめです。
締め方1・タコ腕をまな板に密着
一番最初に、タコの腕(足)をまな板に密着させます。タコの吸盤がまな板にくっつくので、処理のときに安定感が向上します。タコを横向きにしても、処理しにくいだけなのです。釣り場や船上でも、平らな場所ならばどこでもできます。
締め方2・頭部に包丁を入れる
タコを処理するときには暴れるのでおとなしくさせます。その方法は、眉間に包丁を突き刺すのみです。これによってタコの神経の勢いが衰えることが期待できますが、活きが良い場合は神経の中枢を潰したところで、動きを止めることはできません。
締め方3・裏側のスジを切る
タコの胴体部分は、軟骨状のスジで連結されています。そのスジの部分に包丁または指をいれて分離します。これによってタコの内臓が入った腹部を、裏返す準備ができました。
締め方4・内蔵を取り出す
タコの内蔵は袋状の胴体の中です。実は包丁を使わずとも、素手で袋をめくり、ひっくり返せます。ここでも袋の内部のスジを素手で取り外し、エラ、内臓や墨袋など、付属しているものは全て取り除きます。しかし内臓を取り去っても動き続けるタコは、どんな神経してるんだと言わんばかりです。
締め方実践中の注意事項
元気の良いタコは、神経系を寸断されても、暴れて手元が狂うので気をつけてください。大型のタコになるほど作業は難しくなります。内臓に含まれる黒い部分は墨袋であり、潰すと墨まみれになる可能性があるので、さばき方実践中には注意が必要です。
釣った現地で締めてもいい
釣ったタコの処理は自宅でやっても良いですが、釣った後に海辺や船上で、締めることもできます。そのほうが持ち帰りやすいというメリットも出てきます。包丁などの道具が無くても、小型なタコなら素手によっても可能です。
種類は違ってもさばき方は同じ
タコにはマダコ、ミズダコ、イイダコなどいますが、タコの種類に関わらず、さばき方は同じです。ただミズダコの場合は、巨大なだけに素手で扱うことにも抵抗感があります。さばき方についても、慣れた人でも一苦労です。
タコの持ち帰り方
タコの締め方をやりこなし、鮮度を保ったまま自宅に持ち帰る方法があります。それはクーラーボックスと氷、ビニール袋といった道具です。
クーラーボックスに氷
クーラーボックスと氷は、フィッシングでは新鮮に釣果を持ち帰る道具として必須ですが、タコでもそれは変わりません。春の暖かくなる時期から初秋にかけては、特に重要です。氷によってタコの鮮度をきちんと保って自宅に持ち帰りましょう。
タコは1匹づつ袋に入れる
他の魚は一緒にまとめてビニール袋に入れてしまいますが、タコは1匹づつを袋に詰めて持ち帰ります。そうでないとと持ち帰りの途中で、吸盤により他の魚を傷めつけてしまうためです。タコを釣った時のために、ビニール袋は何枚か持参しておくのがベストです。
タコのぬめり取り
タコの締め方を実践すると気が付きますが、タコにはナメクジみたいなぬめりがあるです。ぬめりのない状態に処理する方法も覚えておいてください。
塩を用意する
自宅に持ち帰って、内臓を取り除いて処理が完了したタコは、特有のぬめりを取らなければ美味しくありません。そのためには特別な道具は必要なく、単純な塩を用意します。
塩もみでぬめりを取る
タコの全身に多めの塩をまぶして、ぬめりを取る処理を行います。この作業は素手で行ってもいいですが、ゴム手袋を付けても構いません。タコの全身を塩まみれにしたら、流水でよく洗って、素手でぬめりがとれたかを確認してください。
ぬめり取りの変わった方法
しつこいタコのぬめりですが、所変わればぬめり取りの方法も変わったものがあります。例えばみかんネットにタコを入れてぬめりを取る、洗濯機でぬめりを取る、片栗粉でぬめりを取る方法などもあるのです。気になる方法ためしてみませんか。
茹でダコの方法
ぬめり処理済みタコを使用
すでに締め方を終え、ぬめりを取った状態のタコを用意します。使う道具は大きめの深底鍋と、氷水を入れるボールです。鍋で湯を沸かして茹でる準備をしておきます。氷水は茹でダコの身を締める効果があります。
タコの茹で方
鍋に塩をひとつかみ入れて、腕(足)から少しづつ鍋に入れるようにします。全体を熱湯につけたら、そのまま2分から5分ほども熱湯で茹で上げます。時間を長くするほど固めに仕上がります。素手なので火傷には注意です。
氷水にひたして白い膜を取る
茹で上がったタコをすぐさま氷水に浸します。この時タコには白い膜が付いていますが、これは取り切れなかったぬめりの残骸です。素手できれいにこすって、白い膜を落としてください。
タコの美味しい食べ方①
タコの刺身
タコの刺身は生ダコもありますが、安全性が高いのは茹でダコを使用した刺身です。締め方などの下処理が終わって、茹でたタコならば、刺身の食べ方のレシピはとても簡単です。基本的にタコは内臓や目玉など食べられない部分を除いて、全身を刺身で食すことが出来ます。
タコの刺身のレシピ
タコの体の部位でも刺身の食べ方向きと言われるのが、腕の太い部分。ここをスライスして用いることで、刺身の見栄えが良くなります。腹部の身もスライスして刺身向きです。青じそなどのつまを用意、わさび醤油の食べ方が最高です。
タコの美味しい食べ方②
タコ焼き
釣ったタコの食べ方としては、たこ焼きも代表格です。タコの切れ端の部分だけでも美味しく使うことが出来ます。この料理を作るには、締め方をきっちり実行した後、ホットプレートのたこ焼き器や、鉄串などの道具、必要な具材などを手元に揃えてください。
たこ焼きの材料
生地にはたこ焼き粉、または小麦粉、たまご、削り粉、かつおだしを用います。タコ焼きの中身としては、処理を施したタコ、お好みで野菜(きゃべつや長ネギ)や天かす、紅生姜を入れます。仕上げにかけるのは、お好み焼きソース、マヨネーズ、青のり、かつおぶしです。
タコ焼きのレシピ1
タコは予め茹で上げたものを準備しておきます。ボールに水、たまご、たこ焼き粉、削り粉、ダシを適量入れて、かき混ぜてたこ焼きの生地を作ります。
タコ焼きのレシピ2
たこ焼き器に油を塗って、生地を流し入れます。すぐにタコ、野菜、天かす、紅生姜などの具を入れて、生地を付け足し、固まるの待ちます。串でひっくり返して丸く整えるのがコツです。くるくる回し焼きをし、焼き色を付けたら、ソース、マヨネーズ、青のり、かつおぶしをかけて完成です。
これからタコ釣りタコ料理
今回タコの締め方等の解説、いかがでしたでしょうか。今後は急にタコを釣った時にも、さばき方、ぬめりのとり方、茹で方、食べ方がわかっているから、もう安心です。あとは自宅で調理して、ビール片手に美味しい刺身や、タコ焼きを味わうだけです。
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