はじめに
最近はすっかり日本車もアルミホイール標準装備が当たり前のようになってきました。それでも標準アルミホイールに飽き足らず、大径アルミホイールにインチアップする人も多く、タイヤがすごく薄い低扁平率のタイヤを履いている車も多く見かけますね。果たして、タイヤの低扁平率、高扁平率は車や乗り心地にどのような影響を与えるのか、インチアップ・インチダウンの参考にしてください。
タイヤの扁平率を解説1
タイヤの専門用語を解説
タイヤ初心者の方のための基本的な用語
サマータイヤ:夏用タイヤ、ノーマルタイヤ
スタッドレスタイヤ:冬用タイヤ、昔の金属製スタッド(突起)付きのタイヤに対する言葉
タイヤハウス:車のタイヤがはまっているスペースのこと
ホイール:車輪、タイヤをはめる中心部分の金属、アルミ、スチールなどがある
トレッド:タイヤの接地面(溝がある面)、トレッド幅=接地面の幅
サイドウォール:タイヤの側面
リム:ホイールの縁(ふち)、リム径はホイールの直径、同時にタイヤの内側の直径
インチ:1インチ=2.54cm、リム径の単位。 タイヤ、ホイールのサイズ。
荷重指数:そのタイヤ一本に荷重できる上限の重さ、LI(ロードインデックス)
タイヤの扁平率を解説2
タイヤのサイズ表示について
タイヤのサイドウォールの表示の読み方
画像のようにステッカーやタイヤのサイドウォールに215/45R17 93Wと表示されている場合は以下のように読みます
215=タイヤの断面幅が215㎜
45=サイドウォールの高さの断面幅に対する割合(%)
R=ラジアル構造。タイヤの内側の層(カーカス)のパターンが横縞になっている
17=リム径が17インチ、いわゆる17インチサイズのタイヤの内径、アルミホイールの外径
93=ロードインデックス(LI)、タイヤ1本あたりの荷重指数が最大650㎏
W=速度記号、そのタイヤで出していい最高速度。Wは270キロまで
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扁平率とは
扁平率は最大幅に対するサイドウォールの高さの割合
タイヤの扁平率はトレッド幅ではなく、断面幅といってタイヤ断面の一番幅広の部分に対するサイドウォールの高さをパーセントで表したものです。つまり「タイヤの扁平率を解説2」で例示した”215/45R17”というサイズ表示であれば、2番目の”45”という数字がタイヤ断面幅215㎜(21.5cm)の45%ということになり、計算するとサイドウォールの高さは96.75mmとなります。
あまり難しい計算は必要なし
扁平率を変える、インチアップ、インチダウンをする時、多くの人はタイヤショップやカー用品店で購入します。しかし多くの場合、ネットで購入する方が安く、その場合ある程度自分でサイズをしっかり計算する必要があったのですが、最近のネットサイトでは自分の車の車種年式を入力するとインチアップしたときの適合タイヤ、ホイールの選択肢を出してくれるので複雑な計算をする必要もなく楽です。計算するとすればインチをセンチに直すぐらいでしょうか。
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低扁平率と高扁平率
低扁平化とは?
新車には扁平率も含めてその車に最適とメーカーが考えるタイヤとホイールを装備しています。その標準装備されたタイヤからより低扁平率のタイヤに替えることを低扁平化と言います。タイヤを低扁平率のものに替える場合、タイヤのサイドウォールが低くなる分ホイールのサイズを大きくする必要が出てきます。一般的にインチアップと呼びます。
高扁平化とは?
逆に車に標準装備されているタイヤからより高扁平率のタイヤに履き替えることを高扁平化と言い、当然こちらも、ルールは低扁平化と同じで、標準装備のタイヤの外径とほぼ変わらないサイズのより高扁平率のタイヤとそれにあったサイズのホイールが必要となります。一般的にインチダウンと言います。
インチアップとインチダウンの条件
元のタイヤから低扁平率、または高扁平率のタイヤに替える場合、前述したとおり、タイヤの外径が変わるとスピードメーターの計算に誤差が出て一定の誤差で車検にとおりません。またタイヤのサイズが大きくなるとハンドルを曲げたときにタイヤがフェンダーに当たり危険です。またタイヤのロードインデックスの数値が標準タイヤとほぼ同じものを選ぶ必要があります。
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低扁平率のメリット
見た目のメリット、インチアップでかっこいい!
当然、多くの人がまず車のドレスアップの視点からインチアップ、低扁平率のタイヤに替えるわけですから、ホイールサイズを大きくすることでよりスポーティに見えることが最大のメリットの一つではないでしょうか。大径アルミホイールに低扁平率のタイヤ、憧れますよね。ほとんどの場合ネットでもそのタイヤ、ホイールがどの車種に適合するのか書いてありますので自分で色々計算をする必要はありません。
車の性能面にも違いあり、メリットあり!
低扁平率のタイヤに履き替える人の中には車の性能向上のためにする人も多いのです。まず低扁平率のタイヤにするということはその分、タイヤの幅が広がり、したがって路面との接地面も大きくなりグリップ力が向上します。またサイドウォールが短くなることでタイヤのたわみが少なくなりハンドルを切った時やブレーキを掛けたときに、よりタイトにコントロールできます。
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低扁平率のデメリット
乗り心地の悪化が最大のデメリット
逆に低扁平率のタイヤに替えることにはデメリットもあります。当然、日本製の高性能タイヤはいわゆるアジアンタイヤと違いを実感出来る部分も多いですが高価で、有名ブランドの軽量アルミホイールも1本10万円以上というのもざらです。次にタイヤが薄くなるのですから、路面の凹凸をよく拾い乗り心地が悪くなります。ロードノイズも大きくなるという違いも出てきます。
燃費にもデメリットがある?
タイヤのサイドウォールが短くなれば体積も減り、タイヤは軽くなるのでしょうか?さらにスチールホイールからアルミホイールに変更で軽量化、燃費向上というのはあり得るのか?これはよほど高性能のレーシング用のアルミホイールなどを組まないと違いは出ず、また逆にタイヤもアルミホイールも大径化の分、重量が乗って今までよりも結果重くなり、燃費が悪くなるデメリットの可能性もあります。
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高扁平率のメリット
インチダウン、高扁平率にするのは乗り心地のため
インチアップならかっこよくなるけど、高扁平率にするって見た目はダサくなるだけじゃない?と言う声も聞こえそうですが、高扁平率のタイヤにするメリットはちょうど低扁平率のタイヤのデメリットになります。まず、扁平率を上げることでタイヤのボリュームが増し、クッションがよくなり乗り心地がよくなります。またタイヤが細幅になり接地面が少なくなることで燃費が向上し、ハンドル操作も軽くなります。
人を乗せるための車は乗り心地重視のタイヤ
分かりやすい例を上げますとタクシーなんですが、見る限りのタクシーはタイヤの扁平率をいじったり、ローダウンしてることはありません。アルミホイールを入れていても扁平率はノーマルですね。やはりこれはお客の乗り心地第一だからなんですね。他にもリースやレンタカー、会社役員などの送迎車もそうですね。それだけ乗り心地が扁平率の高低で違いがあると言うことですね。
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高扁平率のデメリット
インチダウンして高扁平率タイヤにする人は稀
例えば中古車を購入してインチアップで低扁平率タイヤを履いていて、あまりにも乗り心地や燃費が悪いためにそれをインチダウンすることはあっても新車標準装備のタイヤサイズをインチダウンしてまで乗り心地、燃費を良くしようという人もなかなかいません。例えばハイエースなどの商用1ボックスも仕事仕様でタイヤサイズは変えず社外アルミホイールを入れる人もいます。
何事もやり過ぎは禁物
でも究極的にホイールのサイズを落として高扁平率タイヤを入れることが可能だとしても、サイドウォールが高くなるほどタイヤが柔らかくなって、ハンドル操作への反応が鈍くなるデメリットがあります。かと言ってワンサイズインチダウンしたところで乗り心地や燃費に顕著な違いはありません。こういうことからあまりインチダウンと言う話は聞かないのでしょうね。
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スタッドレスタイヤの扁平率について
多くの人が1サイズインチダウンするスタッドレスタイヤ
ノーマルタイヤだとインチダウンする人は稀だと言う話をしましたが、逆に冬タイヤ、スタッドレスタイヤの場合は標準サイズより1サイズ落としてタイヤの扁平率も高扁平化する人が多いようです。これはどういう計算の上で選択しているのでしょうか、当然様々な理由があります。
スタッドレスタイヤの高扁平化のメリット
まずスタッドレスタイヤを高扁平化(インチダウン)することの最大の理由に、スタッドレスタイヤは冬しか使わず、保管期間が長く、コストパフォーマンスがよくないため1サイズダウンすることで値段が下がるということです。次にどうしても同サイズのノーマルタイヤより溝が深い分若干サイズが大きくなるためチェーンを巻くような事態になったとき装着しやすく、サイズダウンすることで接地面が狭くなり接地圧が高くなり滑りにくいなどです。
逆にスタッドレスタイヤの低扁平化はあり得ないのか?
冬だっておしゃれにかっこよく低扁平率のスタッドレスタイヤを履かせたいと言う人もいるかもしれません。しかし3ナンバー以上の登録車で17~20インチのホイールに低扁平率のスタッドレスタイヤを履かせようとすると大径の低扁平率のタイヤはなかなかの高額になりますし、デコボコの接道を走るとかなり乗り心地が悪くなります。
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タイヤのインチアップ(低扁平化)の体験談
SUVのタイヤの低扁平化、ホイールのインチアップを計画
ここで実際に私が愛車をインチアップした時の体験談をご紹介します。私の車はホンダの2000ccのSUVです。グレードが2種類あり2400㏄の上位グレードはAWDですが燃費のことを考え、2000ccのFFを購入しました。標準装備のタイヤは225/65R17で純正アルミホイール付きでした。純正オプションで245/45R19のタイヤとかっこいいアルミホイールがあったのですがなかなかの値段で断念しました。
無理のないインチアップを
しかしこの時点で、17インチから19インチの2サイズのインチアップに無理がないことがわかりましたので、自分で社外アルミを入れることを計画しました。実際、2インチアップしたときのタイヤとアルミホイールのサイズがカタログで分かるのは、いざ取り付けの時のトラブルの不安がなく、取付イメージもビジュアル的に確認出来たのはよかったですね。
カーショップ、タイヤショップのホームページでもサイズ確認可能!
大手のカー用品店、タイヤショップではほぼあらゆる車種のインチアップの適切なタイヤ・ホイールサイズを自分で計算しなくても提示しくれます。また装着イメージが確認できる場合もあります。こうなると、ネットで適切なサイズのタイヤとホイールを購入し後は装着するだけですので、自身や場所がない方は近くのカーショップに持ち込み装着を依頼し、自分で出来る方はトルクレンチやジャッキなどの工具があればDIYできます。私は自分で装着しました。
扁平率の変更やインチアップの注意点
今回の私の体験談のようにしっかりとインチアップしたときの適切なタイヤ、ホイールのサイズを把握することがとても重要です。「このサイズなら確実に装着できる」という確認が出来ないとそんな不確実なものをネットで買う訳にはいきませんね。でなければカー用品店やタイヤショップで店員にサイズを確認して購入してください。素人計算で間違えて購入してしまったでは済まない価格と重要な部品です。
まとめ
タイヤの低扁平化は車のスタイルをよくすると共にハンドリングや制動への反応がよくなります。一方で乗り心地や燃費が悪くなります。高扁平化は乗り心地や燃費向上に効果がありますがサイドウォールが高くなることでタイヤがたわみ易くハンドリングや制動への反応が機敏ではありません。そしてスタッドレスタイヤは雪道を走るための実用品ですのである程度高扁平の方がよいのです。これらの違いを理解して正しいインチアップ、インチダウンをしましょう。
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