コチの特徴
コチは体の形が特徴的
魚は通常、真正面から見ると、スッとした縦長の形ですが、コチは違います。コチは、上から押しつぶしたように平たい体なのです。それは、コチが海底で這うように暮らしているため、このような体の形になったと言われています。
コチの体の色
コチは、海底の砂地や岩場に馴染むよう、黄褐色や褐色のものが多く、ほとんどがまだら模様になっています。ただ、コチの仲間の中には、サンゴ礁に暮らすニシキテグリのように、カラフルな体の色をしたものや、アカゴチのように、赤い体をしている種類もいます。
コチと呼ばれる魚は1種類だけではない
コチは、上記のような、平たい体で、海底を這うように暮らしている海水魚の総称です。そのため、コチはあくまでも分類による名称で、コチと呼ばれる魚の1つ1つに、それぞれ名前があります。ただ、どれも外見が似ているので、見分けるのは至難の業です。
コチの食生活
コチは肉食性の魚で、小魚などの他、ゴカイや貝、カニやエビなどを食べて暮らしています。海底や、砂や泥の中にもぐり、餌となる生き物が近づいたら、捕食します。ただ、小型のコチは、大型のコチに食べられてしまうこともあります。
コチの旬の時期
関西ではコチの旬は夏
コチの仲間の中でも有名なマゴチは、関東など一部地域では、夏が旬の魚と言われています。
照りゴチ釣りの季節も夏
東京湾では、コチ釣りのことを「照りゴチ釣り」と呼びますが、これは、日差しに照らさせて美味しくなったコチを釣ることを指し、まさにこの照りゴチ釣りは、夏の風物詩でもあります。こういった点から見ても、関東でのコチの旬は夏というイメージが強いですよね。
コチは旬知らず?
一方で、関東以外のほとんどの地域では、コチは旬知らずの魚、つまり、1年中旬の美味しい魚として知られています。そのため、夏以外の時期に釣れたコチも、夏のコチと味や食感はあまり変わりなく、十分美味しいです。夏以外の時期にコチが釣れても、がっかりせずに、ぜひ持ち帰って、食べてみてくださいね。
コチが釣れるポイント
コチの生息域
コチは、太平洋側の房総半島より南側や、日本海側の新潟より南側に多く生息していると言われています。
磯
大型のコチを釣りたい場合は、磯釣りがおすすめです。磯付近の海水は、酸素量が多く、プランクトンも多いので、コチの餌になる小魚やエビやカニが多く集まります。その上、岩の周辺はコチが擬態しやすく、小魚やエビやカニを捕食しやすいので、大きく立派に育ったコチがたくさん釣れると言われています。
海岸(サーフ)
コチは、岩礁や離岩流がある海岸(サーフ)にも、たくさん生息しています。海岸の中でも、河川が流れ込んでいる場所や、海藻が多い場所などは、特に生息数が多く、コチ釣りにおすすめのポイントです。
漁港
漁港には、コチの餌になる小魚が多いため、コチの生息数も多いです。漁港の中でも、奥まった場所より、漁港の出入り口付近の方が、小魚が頻繁に入り込んでくるため、コチも活動的になると言われています。漁港でのコチ釣りは、外海に近い場所を選びましょう。
コチの釣り方
コチが釣れる時間
コチを釣りたいと思ったら、釣りに出かける時間選びもポイントです。コチは、基本的に、次の2つの時間が釣りのねらい目と言われています。
・夜明けのやや明るい時間帯から日の出までの時間
・夕方暗くなり始めてから真っ暗になるまでの時間
つまり、薄暗い時間によく釣れるということです。そのため、薄暗い、曇りの日などは、日中でもよく釣れるという報告がありますので、早起きが苦手な人は、曇りの日にコチ釣りに出かけるのもおすすめですよ。
コチが釣れる場所
コチは、海底が砂利になっている場所や、岩礁がそばにある砂地、泥地に生息しています。基本的なポイントは先述の通りですが、確実にコチを狙うためには、それぞれのポイントの海底の状況もしっかりリサーチしておくことが大切です。
コチ釣りにはテンヤ釣り
コチがよく釣れるのは、マダイ釣りによく利用される、テンヤ仕掛けだと言われています。テンヤ仕掛けが海底に落ちたら、素早くリールを巻いてイトフケを取り、1mほどしゃくります。またゆっくりと仕掛けを海底に落として、一呼吸おいてから再びしゃくるという流れが、テンヤ釣りの基本なので、ぜひお試しください。
コチを釣ったらすぐに処理を
血抜きと神経締め
コチが釣れたら、できるだけ早く血抜きと神経締めを行いましょう。血抜きは、通常の魚の血抜きと同じように、エラと尾の付け根に切り込みを入れて、血抜きします。神経締めは、コチの頭に、ハの字に見える部分がありますが、その真ん中に穴を空けることにより、行います。
コチの血抜きと神経締めは、コチを美味しく食べるために欠かせない作業なので、しっかりと頭に入れておきましょう。血抜きと神経締めをしっかりとしておくかどうかで、刺身など生で食べる場合の味が、格段に変わってきますよ。
コチの味は美味しい?
コチの身は、とても美しい透明感のある白身です。味も身の見た目の想像通り、上品でとても美味しいです。歯ごたえも適度にありますよ。コチの皮もとても美味しいので、調理の際は捨てずに、湯引きにして食べるのもおすすめです。
ただ、コチの頭はトゲが多く、食べるのは難しいです。調理の際も、けがをすることがあるので、慎重に調理するようにしましょう。
コチの仲間のマゴチは高級魚!
コチの仲間の中でも、「マゴチ」は高級魚としても知られています。マゴチは、鮮魚店の店頭でほとんど見かけませんが、その理由が、マゴチのほとんどを料理店がすぐに買い付けてしまうからだと言われています。料理店がそこまで欲しがるマゴチ。ぜひ1度は釣って、食べてみたいですよね。
コチの美味しい食べ方
一番人気の食べ方は刺身
コチは、さっぱりとした白身魚なので、刺身やてんぷら、塩焼き、炊き込みご飯、鍋など、さまざまな食べ方に適しています。特に刺身は、ふぐ刺しにも負けず劣らずの味わいと言われており、人気のある食べ方です。
コチの頬肉は最高に美味しい!
コチの刺身も人気ですが、刺身ではあまり食べない部位である、コチの頬肉が美味しいとSNS等で話題になっています。
頬肉は、本当に小さな身ではありますが、ふっくらしていて、いつも捨てているという人たちからわけてほしいくらい、病みつきになる美味しさです。頬肉の食べ方としては、唐揚げやなどでもいいですし、頬肉のみ切り出して、塩焼きにする食べ方もおすすめですよ。
コチの基本の調理法
調理手順1.ヒレとトゲを切る
コチの胸ビレ、背ビレ、尻ビレと、それぞれの横にあるトゲを、ハサミで切り取りましょう。鋭いトゲなので、作業の際は厚手の手袋を使用するのがおすすめです。
調理手順2.ウロコを取る
コチのウロコを、ウロコ取り器や包丁を使って、きれいに取り除きます。
調理手順3.ぬめりを取る
コチの体の表面は、ヌルヌルしていて調理しにくいです。そのため、ぬめり取りが必要です。ぬめり取りの方法は、キッチンペーパーやふきんで拭き取ったり、スチール製のスポンジでこするなど、方法はいろいろあります。コチのぬめりはなかなか落ちないので、自分に合う方法で、手際よく作業してくださいね。
調理手順4.頭を外す
コチのお腹側にある、胸ビレの脇に包丁を入れ、頭を外しましょう。中骨が少し硬いので、力を入れすぎてけがをしないよう、十分注意して作業を進めてくださいね。
調理手順5.内臓を取り出す
コチの肛門あたりから包丁を入れ、内臓を取り出します。血合いは、ブラシを使ってきれいに洗い流しましょう。
コチの料理レシピ1.コチの唐揚げ
コチの唐揚げは食べやすくて美味しい
コチと言えば、刺身が定番ですが、唐揚げも人気の料理の1つです。コチの唐揚げは、身がふわふわと仕上がるので、カラっと揚がった衣との相性が抜群な食べ方ですよ。ポイントは、揚げ時間をあまり長くしないこと。抹茶塩やレモンなどをかけて食べると、美味しいです。
材料(2~3人分)
コチ(下処理済み)・・・200g
塩・・・少々
片栗粉・・・適量
揚げ油・・・適量
レシピ
1.コチを一口サイズに切り分けます。
2.コチに塩を振り、30分程度冷蔵庫で寝かせます。
3.コチに片栗粉を薄くまぶし、170℃の油で少量ずつ揚げれば完成です。
コチの料理レシピ2.コチの煮つけ
小ぶりなコチでも美味しく食べられるレシピ
小ぶりなコチが釣れたら、刺身にするには物足りませんよね。そんな時におすすめなのが、煮つけです。煮つけにすると、身がほろほろとほぐれて、とても食べやすくなります。身と一緒に、肝や卵を煮ても美味しいですよ。お子様がいるご家庭にも、おすすめの料理レシピです。
材料(1~2人分)
コチ(下処理済み)・・・1尾分
酒・・・200cc
醤油・・・大さじ2杯
砂糖・・・大さじ1.5杯
水・・・少々
レシピ
1.煮汁の材料を鍋に入れ、に立てます。
2.コチを入れて落し蓋をし、15分程度中火で煮れば完成です。
コチの料理レシピ3.コチ飯
コチ飯は鯛飯にも負けない美味しさ
コチの白身はクセがなく、ご飯との相性はバッチリです。コチ飯は鯛飯にも負けないくらい、上品な味わいなので、ぜひお試しください。ポイントは、ごま油で炒めることです。お好みで、ミツバや刻みのり、白ごまなどを飾るのもおすすめですよ。
材料(1~2人分)
コチ(下処理済み)・・・適量
ごま油・・・適量
だし汁・・・大さじ3杯
酒・・・大さじ1杯
砂糖・・・小さじ1杯
醤油・・・少々
塩・・・少々
レシピ
1.コチの皮を剥ぎ、やや厚めにスライスします。
2.コチを多めのごま油で、炒めます。
3.だし汁と酒、砂糖、醤油、塩を2に加えて煮立てます。
4.炊き立てのご飯の上にコチの身を載せ、煮汁をかけたら完成です。
コチの料理レシピ4.コチのちり鍋
コチの白身はちり鍋にぴったり
ちり鍋というと、ふぐを思い浮かべる方も多いと思いますが、実はコチでも美味しいちり鍋ができます。大きなコチが釣れた時は、ぜひちり鍋にして、コチの出汁までしっかりと堪能してみてくださいね。締めは雑炊がおすすめです。
材料(3~4人分)
コチ(切り身)・・・あるだけ
白菜・・・1/4カット
長ネギ・・・1本
しいたけ・・・4個
えのき・・・1パック
ニンジン・・・5cm
昆布(5cm程度)・・・1枚
ポン酢・・・適量
レシピ
1.コチは食べやすい大きさに切ります。
2.白菜、長ネギ、しいたけ、えのきは食べやすい大きさに切り、ニンジンは輪切りにします。
3.鍋に昆布と水を入れ、軽く出汁を取ります。
4.野菜類とコチを鍋に入れ、火が通ったら、ポン酢をつけながら頂きます。
コチを釣って美味しく食べよう!
コチは、見た目は少しグロテスクですが、本当に美味しい魚です。大物が釣れたという情報も、各地で耳にするので、次の釣りの目標は、コチにしてみてはどうでしょう。無事、コチが釣れたら、ふわふわの白身を、ここでご紹介したレシピを参考に、余すことなく堪能してくださいね。
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ここでは、コチの食べ方やレシピを中心にご紹介しましたが、コチの生態や釣り方について、もっと知りたいと思いませんか。コチについてご紹介した記事は、他にもあるので、ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
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