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【意外と簡単】パプリカの栽培マニュアル!腐らせずに収穫する育て方のコツを解説!

パプリカの栽培方法をまとめました。パプリカの栽培の基本から、育て方のコツまでご紹介しています。育て方が難しいと言われるパプリカですが、基本を押えれば、比較的簡単に育てることができます。腐る原因や病気などのトラブル対処法もまとめたので、ぜひ参考にしてください。
更新: 2021年9月9日
吉岡てんぱ
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パプリカとは?

パプリカは、ピーマン同様、ナス科の植物で、トウガラシ属に属する品種です。日本では、ピーマンよりも肉厚で、苦みや辛みが少ないパプリカが人気で、赤や黄色、オレンジ色のパプリカが多く出回っています。

外国では、紫色や茶色のパプリカも多く出回っているため、そのおしゃれな見た目から、少しずつ赤や黄色、オレンジ色以外のパプリカも、日本で流通するようになってきました。いずれも、その美しい色味から、「パプリカ色素」と呼ばれる着色料の原料にもなっており、さまざまな食品に利用されています。

パプリカの育て方は難しい?

パプリカは、ハンガリーで誕生し、今でもパプリカの世界一の産地はハンガリーです。現在、日本で流通しているパプリカは、韓国産のパプリカが多く、国産のパプリカは、一般的なスーパーマーケットでは、入手するのが難しいのが現状です。

ただ、2006年以降、熊本県でのパプリカの生産が始まり、近年は、茨城県、広島県、宮城県、山形県でも、パプリカの生産を始める農家が増えてきています。
 

そのため、日本の気候でもパプリカを育て、農家として成立することが証明されました。パプリカは、育て方自体は難しいわけではありませんが、収穫するまでの期間が、ピーマンに比べてかなり長いため、育て方が難しいという印象を持つ人も多いです。ただ、実際はピーマンの栽培方法と大差はなく、栽培暦通りに育てれば、さほど難しいというわけではありません。

パプリカは家庭菜園でも栽培可能

パプリカは、料理の彩りにもなりますし、辛みや苦みがないので、とても人気の食材でもあります。ただ、パプリカは、スーパーマーケットなどで購入すると、ピーマンやカラーピーマンよりも高価なため、家庭菜園で育てられたらいいな…と考える人も多いのではないでしょうか。

実際に、夏野菜の植え付け時期にホームセンターを覗くと、家庭菜園向けのパプリカの苗がたくさん並んでいます。また、他の野菜とは異なり、緑から赤や黄色、オレンジ色に果実の色が変化する面白さもあるので、家庭菜園の楽しさが、より一層増す野菜かもしれませんね。

パプリカの栽培暦

ここでは、パプリカの一般的な栽培暦をご紹介しますが、栽培暦は、その年の気候により、若干変動します。ただ、パプリカは収穫までに時間がかかるので、大幅に栽培暦より遅い植え付けになると、収穫量が極端に減ってしまうこともあります。

できるだけ、栽培暦通りに育てられるよう、トンネルやマルチングを使用して土壌の温度を調整すると、発芽の時期も遅れることなく、収穫量も減らさずに、育てることができますよ。パプリカは、栽培暦を見ても、暖地ほど収穫時期が長くなることが明確なので、できるだけ暖かい状態で育てられるよう、工夫してみてくださいね。

寒地・寒冷地の栽培暦

種まきの時期

3月中旬~4月下旬

発芽の時期

4月下旬~5月下旬

植え付けの時期

5月下旬~6月下旬

収穫時期

6月上旬~10月中旬

温暖地の栽培暦

種まきの時期

2月下旬~4月上旬

発芽の時期

4月中

植え付けの時期

5月中

収穫時期

6月下旬~11月上旬

暖地の栽培暦


種まきの時期

2月中旬~3月下旬

発芽の時期

4月中

植え付けの時期

4月下旬~5月下旬

収穫時期

6月上旬~11月上旬

パプリカの育て方1.好む環境と土づくり

パプリカが好む環境

パプリカは、日当たりのよい場所を好みますが、高温多湿になりすぎる場所が苦手という、少しわがままな植物です。そのため、風通しや水はけのよい場所で育てると、家庭菜園でもたくさんのパプリカが収穫できるようになりますよ。畑の場合は、畝を高めにしてあげると、よいですね。

パプリカの土づくり

パプリカは、苗を植え付ける2週間以上間に、苦土石灰を土壌に梳き込み、1週間前に、たい肥や化学肥料を混ぜ込んでおきます。土を1から準備する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1に苦土石灰と化学肥料を適宜混ぜ込めば、完成です。

プランターでパプリカを栽培する場合の注意点

プランターでパプリカを栽培する場合も、地植え同様の土を用意しましょう。プランターのサイズに合わせて、ピーマンなどの夏野菜向けの培養土を使用するのもおすすめです。ただ、プランターでパプリカを栽培する際は、注意すべき点が1つあります。それは、プランターを置く場所です。

プランターを置く場所が、日当たりが悪いと生育不良になりますが、一番気を付けなければならないのは、エアコンの室外機の風です。パプリカは、夏野菜なので、エアコンの室外機の前に置くと、ほとんどの時間、自然環境ではありえない風を受け続けることになります。そうすると、土が乾燥しやすかったり、葉や果実が腐る原因にもなるので、くれぐれもプランターの置き場所には注意しましょう。

パプリカの育て方2.種まき

パプリカの種まきは2月ごろから

パプリカは、先述の栽培暦通り、2月ごろから種まきが可能です。ただ、パプリカの種まきが、少し寒さの残る頃からできるとはいえ、発芽温度は15度前後なので、発芽するまで、少し気長に待つ必要があります。

パプリカの種まきは難しい

パプリカは、家庭菜園に慣れた人や、農家でも、発芽させるのが難しいと言われています。そのため、家庭菜園等で少量の苗が欲しい場合は、種まきにチャレンジするのではなく、苗を購入する方が無難かもしれませんね。ただ、種まきが難しい分、発芽したときの達成感はすごいです。「発芽しなかったら苗を買おう」というくらいの、寛大な心で苗を育てると、失敗してもダメージは少なくすむかもしれませんね。

パプリカの種まきの手順

パプリカは、セルトレイなどに種まき用の土を入れ、それぞれのセルに1~3つぶずつ種まきします。この時、土を被せないのがポイントですが、水やりの際に種が流れることがあります。そのため、発芽するまでは、霧吹きなどで丁寧に水やりをするようにしましょう。

パプリカの種まきは、まだ寒い時期に行うので、マルチや敷き藁、新聞紙などで多い、保温と保湿しやすいようにしましょう。気温が15度を超えてくると、徐々に発芽してくるので、発芽して、本葉が4枚くらいになったら、元気な苗を選んで、育苗ポットに移植しましょう。本葉が10枚くらいになったら、いよいよ植え付けです。

パプリカの育て方3.植え付け

パプリカの植え付け時期と植え付け時間

パプリカは、本葉は10枚以上になったら、植え付けが可能です。栽培暦でもご紹介した通り、日本では5月ごろが植え付けに最も適した時期です。また、パプリカの植え付けは、晴れた日の午前中に行うと、その後の生長が旺盛になると言われているので、本葉の数だけでなく、天候にも注意してみてくださいね。

パプリカの植え付けのコツ

パプリカの植え付けの際は、ポットから苗を取り出しても、土を崩さずに浅めに植えるのがコツです。苗と苗の間隔を狭くすると、株全体の日当たりが悪くなってしまうので、地植えの場合は、50㎝程度の間隔をあけて、植え付けてあげましょう。プランターの場合は、サイズにもよりますが、プランターの両端に1株ずつ植えると、日当たりが悪くなるのを防ぐことができます。


また、パプリカは、ある程度生長するまでは、茎が細くて折れやすいので、苗の植え付けと同時に、支柱を立ててあげましょう。

パプリカの育て方4.水やり

地植えでパプリカを栽培している場合

地植えでパプリカを育てている場合は、基本的に水やりは朝行います。朝たっぷりと水やりをしておけば、夕方の水やりはしなくても大丈夫なことがほとんどです。夕方の水やりは、パプリカの間延びに繋がるので、できれば避けたいですが、もし夕方にパプリカがぐったりしているようであれば、間延びのことは気にせずに、たっぷりと水やりをしてあげましょう。

プランターでパプリカを栽培している場合

プランターでパプリカを育てている場合は、朝と夕方、鉢底から水が流れ出すくらい、たっぷりと水やりをしましょう。プランターは、水の管理が難しいので、夕方、いつも株がぐったりしている場合は、思い切って一回り大きめのプランターに植え替えるのもおすすめですよ。

パプリカの育て方5.肥料

パプリカは、植え付けの際に、しっかりと元肥(たい肥や化学肥料)を施しておけば、それ以降は、実のつき始めと同時に、2週間に1度、追加で肥料を与えるようにしましょう。肥料は、ナス科の植物用の肥料や、液体肥料がおすすめです。液体肥料を使用する場合は、1週間に1度程度使用すると、株全体の勢いが増しますよ。

パプリカの育て方6.栽培中に注意したい害虫

テントウムシダマシ

テントウムシダマシは、パプリカの葉を食べます。パプリカの葉がなくなると、光合成ができなくなり、果実が腐る場合があります。最悪の場合は、株全体が腐ることもあるので、見つけたらこまめに捕殺するようにしましょう。

ナメクジ

ナメクジは、パプリカの新芽を好んで食べます。新芽がなくなると、株の生長が停滞してしまうので、見つけ次第捕殺しましょう。また、ナメクジの被害が大きい場合は、夕方の水やりを控えて、夜中、乾燥気味に育てると、ナメクジの活動が控えめになるので、おすすめですよ。

タバコガ

タバコガは、パプリカの表皮に穴をあけ、内側から果実を食べ進めるやっかいな害虫です。タバコガの食害が進むと、次々に果実が腐ることもあるので、1つでも様子がおかしい果実を見つけたら、中を確認するようにしましょう。

パプリカの育て方7.栽培中に注意したい病気

尻腐れ病

パプリカの果実のお尻の部分が、黒くなって腐る病気です。尻腐れ病は、土壌のカルシウムが不足したり、高温や土の乾燥が原因で、カルシウムの吸収が上手くできない時に発生します。最悪の場合、すべての果実が腐ることもあるため、症状に気づいたら、腐った果実は収穫し、尻腐れ病予防の農薬等を散布しましょう。

青枯病

青枯病は、その名の通り、葉が青いまま枯れてしまう病気です。青枯病は、根から感染します。青枯病を発症したパプリカは、ちょっとした傷からでも、細菌を含んだ液体を出すので、丁寧に抜き取り、焼却処分しましょう。家庭菜園で、処分する株が少ない場合は、通常のゴミに出しても大丈夫です。

萎凋(いちょう)病

萎凋(いちょう)病は、パプリカの下の方の葉から少しずつ黄色く変色し、最終的に株全体が黄色くなり枯れてしまう病気です。土壌のカビが原因なので、カビ性の病気の予防に役立つ農薬や、コンパニオンプランツとして、ニラを一緒に育てることで、予防したり治療することができます。

パプリカの育て方8.栽培中の手入れ

1番花は摘み取るのが原則

パプリカが花を咲かせると、ついうれしくなってしまいますが、1番目に咲いた花「1番花」は、咲き次第摘み取るのが原則です。まだ株が小さいうちから、果実が生長し始めると、株の生長が止まってしまい、花つきが悪くなり、結果的にたくさんの果実が収穫できなくなります。

脇芽を摘んで3本仕立てに

パプリカは、葉が茂りすぎると、風通しが悪くなり、病気になったり、害虫が集まったり、果実が腐る原因になります。そのため、3本仕立てになるよう、脇芽をこまめに摘むようにしましょう。3本仕立てにした後も、葉が茂りすぎるようであれば、適宜摘芯して風通しがよくなるように、手入れをしてあげてくださいね。

雨が続く場合は雨よけを


パプリカの果実は、雨に当たると腐ることがあります。パプリカは、完全に色づくまで、1ヶ月程度時間がかかるので、雨が続く場合は、雨よけをしてあげましょう。家庭菜園の場合は、ビニール傘を株の上に立ててあげてもいいですね。特に、完熟間近のパプリカは、腐る可能性が高いので、少しの雨でも雨よけをしてあげると、安心です。

パプリカの育て方9.収穫

パプリカは、開花から約50日で収穫時期を迎えます。手でポキっと折って収穫することもできますが、枝にダメージを与えたくない場合は、清潔なハサミで切り取って収穫しましょう。

パプリカは、最初はピーマンのように濃い緑色をしていますが、そのまま置いておくことで、赤や黄色、オレンジ色に変わってきます。ただ、放置しすぎると、果実の表皮にハリがなくなってくるので、完全に色が変わったら、早めに収穫してあげてくださいね。

パプリカは、秋になると、徐々に色が変わりにくくなってきます。そのため、放置しすぎると、腐ることもあるので、今後色が変わるのかどうか見極めが難しい時は、早めに収穫するのもいいですね。パプリカは、緑の状態でも、ピーマンより甘みがあり、おいしく食べることができますよ。

パプリカが栽培中に腐る?

パプリカが栽培中に腐ることは多い

パプリカが、育て方が難しいと言われる原因の1つに、腐りやすいということがあります。ただ、パプリカが腐るのにはきちんと理由があるので、事前に対策をしておくことで、パプリカが腐るのを防ぐことができます。パプリカが栽培中に腐る原因は、主に次のようなものが挙げられます。
 

肥料が合わない

パプリカは、カルシウムが不足したり、窒素分が多い肥料を与えすぎると、尻腐れ病などにかかり、果実が腐ることがあります。家庭菜園で、土を使いまわしている場合などは、植え付け前に日光消毒などをしてから、適切な土づくりを行うと、トラブルを防ぐことができますよ。

雨が多い

雨が多い年は、パプリカの果実が腐ることがよくあります。雨が多い時期は、雨よけをし、台風など際は、応急処置として、果実の上部にビニールをかけておくだけでも、だいぶ腐りにくくなりますよ。

パプリカの栽培で収穫量が少ない時は

肥料が足りないかも

パプリカの収穫量が少ない場合、まず疑うのが肥料不足です。家庭菜園の場合、花や野菜の栽培用の培養土を使う方も多いかもしれませんが、パプリカは生長が旺盛です。そのため、培養土を使っていても、肥料切れになる可能性は高いです。パプリカの収穫量が少ないと感じたら、ナス科の植物専用の肥料を与えてみましょう。

水が足りないかも

パプリカは、真夏の時期は水が足りないことで、株の勢いが衰えることがよくあります。パプリカの栽培中は、土の表面だけでなく、土の中の状態も気にかけ、しっかりと土の中まで水が浸透していることを確認してあげましょう。

葉が茂りすぎかも

パプリカの葉が茂りすぎると、栄養が葉に取られてしまい、花つきが悪くなったり、果実の生長が遅くなることがあります。また、風通しが悪くなり、害虫がつきやすくもなります。もし、葉が茂りすぎていると感じたら、剪定してあげましょう。また、一般的な化学肥料を使用している場合は、葉が茂りやすいので、ナス科の野菜向けの肥料を使用するようにすると、果実に栄養が届きやすくなりますよ。

パプリカの正しい育て方で収穫量アップ

パプリカは、正しい育て方をすれば、家庭菜園でも1株につき2~3個程度の収穫ができます。もちろん、もっと多くの果実を収穫することもできますが、先述の通り、わがままな植物なので、1個も収穫できないということもあります。まずは欲張らずに、2~3個を目標に、手入れしてあげてくださいね。慣れてくれば、1株でもっとたくさんのパプリカが収穫できるようになりますよ。

パプリカの育て方が気になる人はこちらもチェック

パプリカは、ピーマンと基本的な育て方は同じなので、一緒に育てるのもおすすめです。また、家庭菜園ではあまり農薬を使いたくないという人は、コンパニオンプランツについての知識を深めるのもおすすめです。夏野菜は、いろいろなコンパニオンプランツが存在しているので、ぜひ、この機会に勉強してみてくださいね。