白光 ダイヤル式温度制御はんだこて FX600
goot MSD-20
Bestgle 10ピース はんだごて用コテ先 900M-T
白光 半田ゴテ レッド 20W No.500
ホーザン(HOZAN) 耐食ビット付ハンダゴテ H-829
白光(HAKKO) はんだごて FX650-81
goot 電子工作用はんだこて BM-40S
白光 FX600セット
はんだこてとは
はんだこては、はんだという金属を溶かして、電子部品と線材などの接続などをするための道具です。
はんだとは
スズと鉛を主成分とした金属です。金属のなかでも融点(溶ける温度)が低く、接着に使いやすい材料です。最近は、環境のため、企業を中心に鉛を含まない鉛フリーはんだが使われることも多くなっています。
はんだ付けとは
はんだで金属同士を接合する作業です。はんだ自体が電気を通すため、物理的につながるだけでなく、電気的にもほぼ抵抗なしで接続できることがポイントです。
はんだこての使い方①はじめに
金属の接合を実際に行ってみます。電子基板の上に抵抗器を実装し、次に線材と抵抗をはんだで結線してみましょう。実際の写真を参照しながら紹介していきます。
はんだこての使い方②部品や工具などを揃えよう
事前に必要なもの
下の写真を参照ください。はんだこての他にもはんだや、こてを立てる簡易型のこて台なども準備します。また、素材としては、抵抗器、線材、電子基板を用意します。また、作業中に小さなごみが机に散乱することがあるので、机の上には、紙シートやゴムシートなどを引いておくと便利ですよ。
あると便利な工具
部品を押さえるためのピンセットや、線材の被覆をはがすワイヤーストリッパーなどの工具もあると便利です。
はんだこての使い方③こて台を使いこなす
スポンジには水が必要
こて台の多くに付属品として付いているスポンジは、こて先を擦り合わせてこて先の汚れを取るのに使います。乾いているとうまく擦れませんので水を吸わせておいて下さいね。特別な水でなくて大丈夫ですよ。
はんだこての使い方④電源を入れてみよう
こて先をあたためる
はんだごてのコンセントを入れます。5分程度待てば温度が安定します。この時、こて先(先端の細い部分)はこて台の持ち手の金属部分の上には置かないでくださいね。金属が熱を吸ってしまってこて先が熱くなりません。
風に注意
温風や冷風下などで行う場合、こてに直接風が当たらないように調整してくださいね。こて先が冷えてうまく付かないことがあります。
はんだこての使い方⑤こて先の色
こて先は銀色が正常
こて先は上図のように銀色ならば正常です。下図のように褐色や黒っぽい場合は付着物がついており、はんだとの隙間ができて付きにくくなります。
こて先が黒っぽい色の例
こて台のスポンジに下図のようにこて先を擦って、銀色の状態に戻してください。
はんだこての使い方⑥まずは溶かそう
部品などをあたためる
それでは、導電部(電気を通す銅箔、ランドとも言います)のある電気基板に抵抗器を取り付けます。はんだづけする銅色の導電部と抵抗器にこてを押し付けます。数秒こて先に当てれば大丈夫です。
あたためると溶ける
こて先と導電部の間にはんだをやや強く接触させると、溶けたはんだが導電部の上に流れるのが観察できます。
はんだこての使い方⑦定着させよう
はんだを先に離す
導電部に充分行きわたるのを確認したら、はんだを先に抜いてくださいね。
こてを離す
はんだが導電部の上で写真のように尖った形になったら、今度は、こてをさっと抜き取ってください。ゆっくり離すと接触不良の原因になるので注意が必要です。
はんだこての使い方⑧線材の接続をしてみよう
線材を先ほどの抵抗器に接続します。先ず線材の被覆をワイヤーストラッパーで取り除き、金属部分を露出してください。
はんだこての使い方⑨線材に予備はんだしよう
線材は加熱しにくい
線材は熱が長さ方向に逃げやすいため十分加熱しましょう。線材が太いほど温めに必要な時間は長くなります。数秒間温めてみて確認してみてください。
線材に染みた状態
はんだが線材に染み込むようにできればOKです。下のように表面がはんだで濡れている感じになれば大丈夫ですよ。徐々にコツがつかめていきますよ。
はんだこての使い方⑩抵抗器にもはんだをしよう
抵抗にはんだを塗る
抵抗器のほうにも事前にはんだ付けをしておきましょう。抵抗器に熱が通ったら、溶けたはんだを流してみてください。抵抗器が温まっていないと、目視ではわかりにくい接触不良の原因になります。
はんだこての使い方⑪抵抗器と線材を接続しよう
抵抗器と線材を接続
事前のはんだを使って接続することができます。線材と抵抗器のはんだを一緒に溶かして接続しましょう。
なお、本記事では片面のみに導電部のある基板で抵抗の実装の例を図示してきました。わかりやすさを考え、導電部の面に抵抗本体を付けましたが、一般的には、導電部のない側に付けるのが普通です。
他のやりかたもあります
予備はんだが面倒と思われる場合は、テープや固定治具を用いて一挙に取り付けることも可能です(この場合、手が足りないので、その代わりに冶具を使います)。いろいろなやり方があるので得意な方法を見つけてくださいね。
はんだこての使い方⑫これはNG
事例1
下図の左側は、表面がざらついていて形がいものようになっていますね。はんだのみに熱がまわって導電部に熱がまわっていないため接触不良の可能性があります。見栄えだけでなく電気が流れないという実用的な問題が発生しますので注意してくださいね。
事例2
右側は導電部のみを熱したため抵抗器に熱が伝わらず、はんだが接触していません。隙間が見えて目玉のようになっていますね。この場合、電気的にもですが、物理的にもつながらない(抵抗器が落ちてしまう)という不具合になります。
はんだこての使い方⑬はんだの除去方法
はんだ吸取り線
はんだの量の調整には、写真のように網の銅線ではんだを吸収する吸取り線や、はんだを溶かして吸い取る吸取り器があります。ここでは、比較的安価な吸取り線を紹介します。まず、取りたいはんだに吸取り線をセットしましょう。
はんだを吸収
こてで温め、はんだが溶けると吸取り線が銀色になってきます。必要な分を吸い取ったらこてと吸い取線をはんだから離してください。長く置いておくと導電部のパターンを破壊する可能性があるので注意してくださいね。
はんだこての使い方⑭かたづけの前に
こてをしまうときは、こて先の先端部分にはんだを付けて覆っておいてください。空気と触れないので酸化が予防できます。写真のように溶けたはんだで盛り上がっている状態になったら電源を切って温度を下げてください。
安全のための注意点
安全に関する注意をいくつかリストアップします。
①やけどに注意
こて先や金属の部分には体を近づけないようにしてくださいね。最大500℃以上のものもありますのでやけどをしてしまいます。また、こて先が可燃物と接触するのも危険です。こて台などで固定するようにしてくださいね。こちらの事例では簡易型のこて台を紹介しましたが、もっとしっかりしたこて台も販売されていますよ。
②煙の吸い込み注意
はんだが溶けるときに煙が出ます。上の写真は意図的に多く煙を出させたものです。普通はこれほどは出ませんが、煙には人体に有害なものも含まれているので注意が必要です。なるべく吸わないようにしましょう。
煙を吸ってくれる機器もあります。頻繁に作業を行う場合など、必要に応じて活用してください。また、直接煙を吸わないようにマスクを付けるのも対策になります。
③飛散に注意
作業中に小さなはんだが飛ぶことがありますので注意してください。安全メガネや保護メガネなどの名称で売っていますので活用してみてください。
はんだこての選び方
選び方①こて先の種類
こて先は太さや形状など多くの種類があります。選び方のポイントをいくつか挙げます。細いものは、ICなどの細かい部品の作業には向いています。太いものは太いリード線の接続など熱容量が必要な場合に使用します。
また、対象の大きさや形状により、適したこて先が違います。後でメーカーのHPに沿って、いくつかのこて先の種類の選び方を説明しますね。
Bestgle 10ピース はんだごて用コテ先 900M-T
選び方②ヒーターの種類
ヒーターの構造の違いから写真上側のようなセラミック式と写真下側のニクロム式に分類できます。各ヒーターの特徴と選び方のポイントを説明します。
セラミックヒーター
ヒーターをセラミック製の板で包んだ構造になっています。下の分解写真では、白いセラミック製の板が先端に見えてます。絶縁性が良いという特徴があり、静電気に弱いICなどの電子部品に向いています。製造ラインなど電気製品を扱う場合はこちらが良く使われてきました。
ニクロムヒーター
下の分解写真のようにこて先にニクロム線を巻いた構造をしています。ニクロム線でこて先を加熱するしくみとなっています。学習向けや家庭での使用に適しています。はんだ付け温度への到達が遅い(5分以上)ことやこてが大きめなどの弱点がありますが、熱容量が高い、価格が安いといった利点もあります。
選び方③電力の種類
商品には必ず電力が記入されています。使う部品や用途によって選びましょう。はんだ関連の専門メーカー白光のホームページから選び方について記述があります。電気配線や抵抗やスイッチ類は電力20Wや電力30Wで大丈夫です。
トランスなどの大型部品は40から60W程度、金属線は60W以上、ステンレス以外の板金には80W以上、ステンレス板は電力100W以上が目安となります。金属線や板金は面積が大きいほど熱が必要のため、それらに応じて必要な電力が違ってきます。
選び方④温度調整機能
こて先の温度をダイヤルなどの設定により自動調整できるものがあります。ICの耐熱温度がシビアだったり、熱が逃げやすい部品などで、出来が安定しない場合に使用すると良いですよ。温度調整機能のないものよりも温度が安定しているので失敗が少なく、多少値が張りますがこちらから始めるのも良いと思います。
選び方⑤メーカー
日本の主なメーカーははんだ付け関連機材の専門メーカーの白光(HAKKO)や太洋電機産業株式会社、工具一般を手掛けるメーカーのホーザン(HOZAN)などです。
これらのメーカー品を購入すれば品質的には間違いないでしょう。これらのメーカー以外でも値段やスペックなど様々なものがあります。用途に合わせて価格を調整してくださいね。
おすすめの人気はんだこて①
白光の人気はんだこて
白光 半田ゴテ レッド 20W No.500
型名で電力が違います
価格も手ごろで扱いやすく人気メーカー品のため初心者にもおすすめできます。上のNo.500は電力20Wとなりますが、種類としてはNo.501(電力30W)やNo.502(電力40W)、No.503(電力60W)もラインナップとしています。電力に合ったものを選んでくださいね。
おすすめの人気はんだこて②
ホーザンの人気商品
ホーザン(HOZAN) 耐食ビット付ハンダゴテ H-829
型名で電力が違います
こちらのメーカーも人気で多くの種類のはんだ関連品を扱っています。ニクロムヒーターの比較的入手しやすいものとなります。H-829は20Wで最も小電力です。H-839(電力28W)、H-849(電力35W)、H-869(電力45W)などの種類がありますよ。
おすすめの人気はんだこて③
小型で扱いやすいセラミックヒーター品
白光(HAKKO) はんだごて FX650-81
ラインナップで様々なこて先があります
小型で、鉛筆感覚で使えるのでお勧めです。こて先はメーカーによって一部の名称や型名が異なりますが、白光から出ているこのラインナップではB型という円錐形のこて先が細すぎず、太すぎずということで初心者向けとなっています(型番はFX650-81)。
抵抗やICなどの様々な種類の電子部品に対応できます。また、I型という細いこて先の型番FX650-82はチップ部品や表面実装の電子部品向け、3C型なるやや太いタイプ(型番FX650-83)はスイッチ・端子などの温まりにくい(熱容量の大きな)電気部品に向いていますよ。
おすすめの人気はんだこて④
温度が調整できる人気品
白光 ダイヤル式温度制御はんだこて FX600
温度が調整できるタイプです。ICの耐熱に注意が必要だったり、熱を逃がしやすい部品でも一定の温度ではんだ付けしたいときなどに使用します。
メーカーのホームページによると、温度は200~500℃まで調整可能で、調整温度に到達するとLEDが点滅するなど便利な機能が付いています。通常の場合は350℃くらいの調整温度にすることが多いです。
おすすめの人気はんだこて⑤
すぐ始められるセット品
goot 電子工作用はんだこて BM-40S
一通り揃っています
太洋電機産業株式会社(goot )の電力40Wのニクロムヒーターのはんだこて、こて台や吸取り線 、はんだがセットとして売られています。これさえあれば、すぐに開始できておすすめですよ。こて台はしっかりとしたこて置きがついており、転倒しにくい構造になっています。初心者には扱いやすい商品ではないでしょうか?
おすすめの人気はんだこて⑥
温度調節ができるセット
白光 FX600セット
水の必要ないこて台
先ほど説明した温度調整機能付きのFX600にこて台が付いたセットです。こて台にはクリーニング用の金属ワイヤーが入っており、この中でクリーニングすることによりこて先に薬剤に付着し、酸化を防止できます。
スポンジのように水を入れなくてよい、水が入っていないので、クリーニングの時にこて先の温度が低下しないなどの利点がありおすすめです。
おすすめの人気はんだこて⑦
コンセント不要
goot MSD-20
携帯に便利
太洋電機産業株式会社の電池式のはんだこてです。単三アルカリ乾電池3本で動きます。また重さも100g以下と持ち運びに便利ですね。なんといっても電源ケーブルにひっかかるなどのわずらわしさがないのがおすすめです。15秒程度で350℃になりますので実用的にも大きな問題はないですよ。
まとめ
はんだごての使い方と種類や選び方を説明いたしました。使い方については、これだけだったら簡単なのでやってみようと、思っていただけたらうれしいです。また、選び方では温度を自動調整してくれるものや、電力の大きいものなど種類がたくさんありましたね。用途に適したものを選んでトライしてみてくださいね。
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