サガリバナとはどんな花?
サガリバナは「下がり花」
サガリバナは、その名が示すように「下がり花」です。枝から垂れ下がった「総状花序」という長さ30センチメートルから60センチメートルほどの細長い枝に、10個から20個ほどの花が横向きに咲きます。花弁は4枚で、その上部に細い糸状の雄しべが無数に並びます。
サガリバナは一晩限りの幻の花
サガリバナは、夜の花です。しかも、一晩限りで散ってしまう儚い花なのです。開花時間は日が落ちた20時頃から始まり、夜中に満開となります。そして、明け方の5時頃には、ぽとりと散ってしまうのです。
サガリバナは常緑高木
サガリバナは、サガリバナ目サガリバナ科の常緑高木です。1年中緑色の葉が付き、高さは3メートルから10メートルほどになります。
サガリバナの花の色
サガリバナの花の色は、白や淡いピンク、ピンク色です。個体によって異なり、白とピンクのグラディエーションが美しさをより一層引き立てます。
サガリバナの花の香り
サガリバナの花は、バニラのような甘い香りです。花が咲く夜中は、遠くまで甘い香りが漂ってきます。私たちもこの香りに引き寄せられますが、虫たちもこの甘い香りに引き寄せられて集まってきて、受粉のお手伝いをするのです。
サガリバナの果実
サガリバナの果実は楕円形で、ちょうど鶏卵ぐらいの大きさです。
サガリバナの別名・方言名
サガリバナは別名で「サワフジ(沢藤)」や「モウカハナ(舞香花)」とも呼ばれています。また、方言で「クダリバナ」、「キーフジ」、「ジルガキ」などと呼ばれている地域もあります。
サガリバナは英語で
サガリバナは英語で「Barringtonia racemosa」です。ただ、とてもめずらしい植物なので、私たちにとっても「サガリバナ」が耳慣れない言葉であるように、海外の方も聞いたことがない方が多いでしょう。
サガリバナはどんな場所に分布している?
サガリバナは熱帯・亜熱帯に分布
サガリバナは熱帯植物です。熱帯気候および亜熱帯気候の地域に分布しています。日本国内のほとんどをしめる中南部の温暖湿潤気候および北部の冷帯湿潤気候には分布していません。国外では、台湾や中国大陸南部、東南アジアなどにも分布しています。
サガリバナの日本での分布地
サガリバナの日本国内での主な分布地は、南西諸島(奄美地方と沖縄地方)です。奄美・沖縄地方以外では、植物園の温室で栽培している場所もあります。
サガリバナの咲くエリア1.【バックマングローブ】
バックマングローブとは?
サガリバナの野生での主な分布地は、バックマングローブです。バックマングローブとは、川沿いのマングローブと山の狭間にあるエリアです。真水と海水が混ざった汽水域であるマングローブと違い、バックマングローブは真水の低湿地です。
バックマングローブの生態系
このバックマングローブには、サガリバナの他にも「サキシマスオウノキ」という板状に発達した根が特徴的な大木が分布しています。また、「オキナワアナジャコ」という体長が30センチメートルほどもある巨大なシャコが生息しているエリアです。
バックマングローブの注意点
バックマングローブはジャングルにあるので、十分な装備と地形や危険生物の知識がないまま真っ暗な夜間に入域するのはとても危険です。必ずガイドツアーに参加しましょう。
サガリバナの咲くエリア2.【栽培地】
沖縄県では、公園や街路樹などでサガリバナが栽培されている場所があります。また、沖縄本島や宮古島では、民家の庭でサガリバナを栽培しているサガリバナ愛好家も多いです。
栽培地での注意点
公園や街路樹は自由に見学できますが、民家の庭のサガリバナを見学するときは、住んでいる方がいることに配慮が必要です。開花時間の夜中に住宅街で大声で騒ぐようなことは絶対にやめましょう。
サガリバナの見頃の季節
サガリバナの見頃の季節は初夏
サガリバナは、夏の季節の花です。沖縄地方では、梅雨明けする6月中旬から10月頃までが開花時期となります。6月下旬から8月が最盛期です。特に、満月の夜は見事に咲くと言われています。
サガリバナの開花時間と散る時間
サガリバナの開花時間
サガリバナの開花時間は、夜の9時(21時)頃から始まります。徐々に開き始め、日付を超える真夜中に満開となり見頃を迎えます。
サガリバナが散る時間
サガリバナが散る時間は、明け方です。5時頃から散り始め、日が昇る頃にはほとんどが散ってしまいます。一晩限りのはかなく美しい花なのです。
サガリバナが見られる地域1.【沖縄本島】
沖縄本島では、南部・中部・北部それぞれでサガリバナが鑑賞できます。観光客が多いこともあって、市街地で気軽に見られる場所が多いのが特徴です。サガリバナの見頃の季節に沖縄本島を訪れるのなら、ぜひ身近にあるサガリバナを訪れてみましょう。
【沖縄本島中部】
沖縄本島では、那覇市内などでも気軽にサガリバナを鑑賞できる場所があります。最も有名なのは、沖縄県庁の前にある「パレットくもじ」で、外階段の脇にサガリバナがあります。また、モノレール「旭橋駅」近くにもありますし、新都心公園内でも鑑賞できます。
【沖縄本島南部】
沖縄本島南部にある首里城の石畳側の馬場通りは「サガリバナの並木道」とも呼ばれていて、サガリバナの鑑賞会が開催されています。首里城では、琉球王朝時代から役人たちによりサガリバナが愛でられてきたそうです。また、首里城近辺は水辺が多く、サガリバナの栽培に適しています。
【沖縄本島北部】
沖縄本島北部の名護市真喜屋では、「おきなわ名木100選」に選ばれた樹齢約150年の大木に咲くサガリバナを鑑賞するライトアップイベントが7月に開催されています。
サガリバナが見られる地域2.【宮古島】
宮古島で有名なサガリバナスポットが「添道(そえどう)サガリバナ群生地」です。開花期間中は「宮古島環境クラブ」が夜のお花見会を開催しており、遊歩道沿いにライトアップされたサガリバナを安全に鑑賞できます。「添道サガリバナ群生地」は宮古島市街地から近く、駐車場も用意されているので気軽に訪れても大丈夫です。夏に宮古島旅行を計画しているのなら、ぜひサガリバナ鑑賞も予定にいれておきましょう。
サガリバナが見られる地域3.【石垣島】
石垣島北部の平久保崎地区では、私有地に咲く大規模なサガリバナ群落を鑑賞できます。平久保サガリバナ保存会により足元を照らすためのガイドライトが設置されるので、夜間でも安心してサガリバナを見に行けます。平久保崎地区までは、石垣島市街地からは車で約1時間かかります。北部に入ると道も狭くなり街灯もないので、安全運転で向かいましょう。
サガリバナが見られる地域4.【西表島】
野生のサガリバナを見るのなら、西表島が一番です。日本国内のマングローブの約70%が分布する西表島では、それだけサガリバナの分布地であるバックマングローブも広大です。アウトドア・アクティビティが盛んに行われている西表島では、夜中に咲いているサガリバナを鑑賞するツアーだけでなく、早朝に散って川面に浮かぶ幻想的なサガリバナを見に行くカヌーツアーも大人気です。
サガリバナが見られる地域5.【由布島】
海を渡る水牛車で有名な由布島では、ビニールハウス「蝶々園」内で栽培しているサガリバナを見学できます。ビニールハウス内は春から温度が高いので、屋外のサガリバナより見頃が早いのが特徴です。初夏の季節に由布島に行くのなら、ぜひ「蝶々園」を訪れてみましょう。
サガリバナの花言葉は?
サガリバナの花言葉は「幸運が訪れる」
サガリバナの花言葉は「幸運が訪れる」です。夏限定、夜中限定、限られた分布地と、「幻の花」と呼ぶにふさわしいサガリバナの開花を見れば、それだけで幸運が訪れたようなものです。花言葉の通り、見る方に幸せをもたらすことは間違いないでしょう。
他の熱帯植物の花言葉
同じ熱帯植物で有名なブーゲンビレアの花言葉は「情熱」、ハイビスカスの花言葉は「新しい恋」など、熱帯植物の花言葉はポジティブなものが多いです。
サガリバナの愛で方
サガリバナの愛で方1.【夜中に咲いている花を愛でる】
木に咲くサガリバナを愛でるなら、夜中に鑑賞しましょう。開花時間は日没(19時~20時)頃で、夜中に満開となります。明け方(5時~6時)頃には散ってしまうのですが、散り始める直前が開花数が一番多く見ごたえがあります。
サガリバナの愛で方2.【早朝に散った水面の花を愛でる】
野生に生育しているサガリバナは、川沿いの低湿地に分布しています。そのため、明け方に散った花は、湿地や川の水面に漂い、その姿はとても幻想的です。川面に浮かぶ美しいサガリバナの花を鑑賞したいなら、ネイチャーガイドが開催する「早朝サガリバナカヌーツアー」に参加するのがよいでしょう。
サガリバナが見られるおすすめツアー5選
サガリバナが見られるおすすめツアー1.【クラブツーリズム】
クラブツーリズムでは、サガリバナの見頃の季節である初夏に、沖縄本島・石垣島・西表島を巡ってひたすらサガリバナを鑑賞するツアーを開催しています。飛行機やホテル、食事がパッケージになったこのプランは、沖縄旅行が始めてという方や、とにかくサガリバナを満喫したいといった方おすすめです。
サガリバナが見られるおすすめツアー2.【宮古島モーニングツアー】
宮古島でサガリバナを鑑賞するなら、宮古旅倶楽部が開催する「サガリバナ観察モーニングツアー」がおすすめです。ツアーは早朝5時からの約2時間で、「添道サガリバナ群生地」を現地ガイドが案内してくれます。宮古島の美しい日の出と共に散りゆくサガリバナを気軽に楽しみたい方にオススメのツアーです。
サガリバナが見られるおすすめツアー3.【石垣島ナイトツアー】
石垣島でサガリバナツアーに参加するなら、フィールドネイチャー石垣島が開催する「車で行くサガリバナ観賞」がおすすめです。日没後の20時ころにツアーがスタートし、所要時間は2時間30分程となります。自生数が200本を超え、日本最大規模のサガリバナ群落である「平久保崎サガリバナ群落」を訪れ、咲き乱れるサガリバナを鑑賞するツアーです。
サガリバナが見られるおすすめツアー4.【西表島カヌーツアー】
西表島西部地区で早朝サガリバナカヌーツアーに参加するのなら、GoodOutdoorが開催する「サガリ花と静寂の滝(ナーラ) 西表島サガリバナ・ロングツアー」がおすすめです。早朝5時のまだ夜が明けぬ頃からカヌーを漕ぎ出し、ナーラ川上流のサガリバナ群生地を目指します。川面に散った大量のサガリバナが浮く光景はファンタジーそのものです。そこからさらに上流のナーラの滝も満喫できるボリュームたっぷりのプランで、アウトドアでの朝食とランチも付いた、アウトフィッターにおすすめのツアーとなっています。
サガリバナが見られるおすすめツアー5.【西表島SUPツアー】
西表島東部地区でサガリバナを鑑賞するなら、ANchanToursが開催する「早朝サガリバナSUPツアー」がおすすめです。早朝5時頃からSUPを漕ぎ出す所要時間3~4時間のツアーで、真っ暗な川をヘッドライトを点灯してSUPを漕ぎ進めます。やがて夜が開ける頃にサガリバナ群生地に到着し、川面に浮かぶ幻想的なサガリバナをゆっくりと楽しめます。SUPもサガリバナも両方楽しみたいといった方におすすめのツアーです。
サガリバナのまとめ
サガリバナは、奄美・沖縄地方に分布する熱帯植物で、真夏の夜にだけ開花する幻の花です。沖縄本島や宮古島、八重山諸島などでは、サガリバナの並木・群落で夜間に鑑賞会が開催されています。また、早朝に水面に散った幻想的なサガリバナを鑑賞するカヌーツアーも人気です。サガリバナの見頃の季節である初夏に沖縄を訪れるのなら、ぜひ幻の花サガリバナを探してみて下さい。
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