はじめに(チェコとチェコ料理の概要)
チェコについて
チェコは、ヨーロッパの中央に位置し、北西にドイツ、北東にポーランド、南にオーストリアとスロバキアに囲まれた内陸の国です。2018年現在、日本からは直行便がないので、近隣のヨーロッパの都市を経由する必要があります。(所要13~16時間)。公用語はチェコ語で、使用通貨はチェコ・コルナです。
チェコ料理の概要
チェコ料理は、近隣のヨーロッパ諸国の料理と、内容や名前が同じような料理が多く、特に西隣のドイツの影響が強く、「ドイツの田舎料理」と評されることがあります。内陸の国なので様々な肉料理があり、それに添えるように、茹でパンがついています。日本人にとっては非常に馴染みがあり、食べやすい味といわれています。
チェコ料理の名産おすすめの味① 牛肉料理
美味しい名物グルメ「スヴィチュコヴァー」
スヴィチュコヴァー・ナ・スメタニェ(svíčková na smetaně)は、チェコを代表する牛肉料理です。これは「スヴィチュコヴァー」と呼ばれる、根菜とクリームで作られているソースが「決め手」の料理です。根菜などと一緒に煮込んだ牛肉(フィレ肉)をスライスし、それにこのソースをかけます。
この食べ物の現地での食事の様子など
この「スヴィチュコヴァー・ナ・スメタニェ」は、コースのメインを飾る料理で、決め手となるソースの出来栄えで、そのレストランのシェフの技量が問われるといいます。一般的にはソースがかったこの料理の上にベリージャムとレモンを載せ、横の添え物としてクネドリーキ(チェコの茹でパン)をつけます。
チェコ料理の名産おすすめの味② 豚肉料理
美味しい名物グルメ「ヴェプショヴァー」
ヴェプショヴァー・ペチェニェ(vepřová pečeně)は、チェコの伝統的でメイン料理と言える逸品で、豚肉料理の代表選手(ローストポーク)です。豚肉の塊をオーブンで「こんがり」と焼きます。それを食べやすい大きさに切り分けて、焼き汁を上からかけて作ります。
この食べ物の現地での食事の様子など
ヴェプショヴァー・ペチェニェの一般的な食べ方としては、キャベツの酢漬け(ザワークラフト)と茹でパン「クネドリーキ」を添えて提供されます。この提供方法がチェコ料理の基本形で、素材を豚肉以外、調理法を別の方法、付け合せを茹でジャガイモのに変えるなどで、様々な料理のアレンジが可能です。
チェコ料理の名産おすすめの味③ ガチョウ料理
美味しい名物グルメ「ペチェナー・フサ」
ペチェナー・フサ(pečená husa)は、チェコの伝統的なガチョウのロースト料理です。中世頃から食べられていた伝統的料理ですが、最近注目されてきているそうです。作り方は、ガチョウの内臓を取り除いて臭みをとります。これに塩や香辛料でガチョウに下味をつけ、そのままオーブンで焼きます。
この食べ物の現地での食事の様子など
ペチェナー・フサを最もよく食べるのは11月11日です。この日はキリスト教カトリックの聖人「聖マルティヌス」の日。収穫祭の時期と重なり、ガチョウを食べる日となっています。実はマルティヌスがガチョウ小屋に隠れて、見つからないようにしたものの、ガチョウが騒いで見つかったので、罰としてガチョウを食べた故事にちなんだものです。
チェコ料理の名産おすすめの味④ ダック料理
美味しい名物グルメ「ペチェナー・カフナ」
ペチェナー・カフナ(pečená kachna)は、鴨肉をローストした郷土料理です。チェコの鴨肉は「柔らかくてジューシー」と評判で、首都のプラハでは鴨肉料理の専門のレストランもあるほどです。ペチェナー・カフナには、茹でパン「クネドリーキ」と、赤ワインとコンソメで煮込んだ紫キャベツが添えられます。
この食べ物の現地での食事の様子など
ペチェナー・カフナの焼き方ですが、用意した生の鴨肉を水で洗い、一旦乾燥させます。その時に内蔵が入っていればすべて取り除きます。その後に塩とクミンを肉にすり付けます。柔らかい肉に仕上げるための事前準備として、鴨肉を最初は100℃の低温で、数時間かけてオーブンで焼きます。その後、本格的に焼き目の美しいローストを作る時には、オーブンの温度を200℃に上げて20分間で焼き上げます。
チェコ料理の名産おすすめの味⑤ 小麦料理
美味しい名物グルメ「クネドリーキ」
チェコ料理の肉料理の添え物として欠かせないのが、クネドリーキ(Knedliky)です。これは「茹でパン」と訳され、実は世界的に珍しいチェコ独自のパン。そしてチェコの「主食」といえる存在です。茹でパンの特徴は、「もちもち」とした食感が特徴で、実はこの食感が四方を陸で囲まれ、海のない肉文化の国「チェコ」の様々な肉料理との相性が抜群なのです。
この食べ物の現地での食事の様子など
クネドリーキは、小麦に塩とイーストを加え、ぬるく温めた牛乳と卵を入れてかき混ぜてひと塊にし、3・40分かけて発酵させます。いくつかに分けて、形を整えると、お湯が入った鍋に入れます。中まで火が通るまで茹でる(20分程度)と、できあがりです。このパンは非常に柔らかく、食べる時にはナイフではなく手で搾り取るように切り分けます。
チェコ料理の名産おすすめの味⑥ スープ
美味しい名物グルメ「グヤーシュ」
「グヤーシュ(Gulasch)」はスープ料理で、ビーフシチューのように、茹でパン「クネドリーキ」につけて食べられます。実はこの料理、チェコだけでなく、ハンガリーやドイツ中南部、あるいはオーストリアと、ヨーロッパで幅広く食べられる料理です。ちなみにハンガリーではこの料理の扱いは非常に高く、郊外の観光牧場に出かけてこのスープ料理を食べるのが一般的だそうです。
この食べ物の現地での食事の様子など
グヤーシュの作り方は、最初にみじん切りした玉ネギをラードで炒め、クミンを入れて茶色になったら、牛肉を加えます。肉に火が通れば、塩コショウを入れます。肉の水分が飛んでから、トマトペーストとパプリカパウダーを入れ、お湯に溶いてあるブイヨンを入れて煮込みます。ちなみにチェコでは、ビールの「おつまみ」として食べられます。
チェコ料理の名産おすすめの味⑦ ポテト
美味しい名物グルメ「クライダ」
チェコのポテトをベースに作られたスープが、クライダ(kulajda)。スープの具には、うずら玉子や「マッシュルーム」などのきのこ類を使用します。スープの上にはディルを入れることもあります。このスープには酢が入っています。そのため味がさっぱりしておりまして、チェコでは朝食としてよく食べられます。
この食べ物の現地での食事の様子など
このスープは、プラハを含めたチェコ中西部の「ボヘミア地方」の南部地域で生まれました。日本の味噌汁のような扱いで、「おふくろの味」として、各家庭で様々なレシピがあります。プラハにはこのスープを出している専門店が人気で、ヴァーツラフ・ハヴェル元大統領もそのお店に頻繁に通ったそうです。
チェコ料理の名産おすすめの味⑧ 菓子パン
美味しい名物グルメ「コラーチ」
丸い形をしているチェコの菓子パン「コラーチ(Kolache)」は、伝統的なパンで、プラハのパン屋さんで容易に販売されています。チェコの各お店・各家庭で独自のレシピがあります。季節のフルーツを中に入れます。また、「ケシの実の餡」や「プルーンのジャム」を入れることもあります。
この食べ物の現地での食事の様子など
結婚式のデザートなどでも登場する「コラーチ」実は移民によってアメリカに渡って広まりました。主にテキサス州などで独自の進化を遂げていきます。本来菓子パンでしたが、パンにソーセージを入れた変形バージョン(Klobásníky)もつくられました。
チェコ料理の名産おすすめの味⑨ お好み焼き
美味しい名物グルメ「ブランボラーク」
ブランボラーク(bramborak)は、チェコの「お好み焼き」とも訳される料理です。ジャガイモを原材料に使った家庭料理で、ジャガイモの食感が香ばしく広がります。外をパリパリに固く焼き、その反面、中をモチモチと柔らかく焼くのがポイントです。
この食べ物の現地での食事の様子など
ブランボラークの作り方は、ジャガイモをすりおろし、そこにたまご、小麦粉、にんにく、牛乳、塩コショウなどをいれます。それをかき混ぜながら、生地の固さを、小麦粉を入れて調整します。後はフライパンに油を薄く引いて生地も薄く焼きます。最初に両面を軽めに焼き上げ、そこに油を入れて生地の外側を「揚げる」ように焼きます。
チェコ料理の名産おすすめの味⑩ カナッペ
美味しい名物グルメ「フレビーチェク」
フレビーチェク(Chlebíček)は、チェコのカナッペとも呼ばれる、かわいらしいパン風のおつまみです。パンの上に、ハムやチーズ、トマトや玉ネギ、あるいはたまごを載せて食べます。オープンなサンドイッチともいえそうな逸品。色々なバリエーションで具材が載っているので色が鮮やかです。
この食べ物の現地での食事の様子など
フレビーチェクは、チェコ人にとっては非常に大切な食べ物です。それは主に重要な記念日に登場するからです。結婚式や誕生日のお祝いには必ず登場しますし、日本の「年越しそば」のように、チェコの年越しにはなくてはならない逸品でもあります。プラハにはこのフレビーチェクの名店がいくつかあります。
チェコ料理の名産おすすめの味⑪ ポークカツレツ
美味しい名物グルメ「ヴェプショヴィー」
ヴェプショヴィー・ジーゼク(Veprovy rizek)とは、チェコの「カツレツ」というべき料理です。これはイタリア・ミラノで誕生した料理で、ドイツやオーストリア、そしてチェコにも伝わり、大人気となりました。作り方は主に豚肉を叩いて薄く延ばします。これにラードやバターを使って揚げます。
この食べ物の現地での食事の様子など
ヴェプショヴィー・ジーゼクは、一見日本の「とんかつ」に似ていますが、両者を比べるとこちらの方が、「カリカリ」していて香ばしいのが特徴です。塩味が聞いているので、レモンを絞って食べます。食事の時には、他のチェコの肉料理同様、茹でパン(クネドリーキ)とザワークラフトが添え物として付きます。
チェコ料理の名産おすすめの味⑫ カマンベール
美味しい名物グルメ「ナクラーダニー」
ビール大国「チェコ」の居酒屋で欠かせないのが、ナクラーダニー ヘルメリーン(nakládaný hermelín)です。これはカマンベールチーズのマリネといえるべき食べ物で、カマンベールにスライスした玉ネギとニンニクなどを熱殺菌した保存容器に入れ、そこにオリーブオイルを入れて、2・3日貯蔵して作ります。
チェコ料理の名産おすすめの味⑬ ピクルス
美味しい名物グルメ「ウトペネッツ」
「水死体」の意味を持つウトペネッツ(Utopenec)は、チェコやドイツで食べられるピクルスの様なもの。酸味が聞いていて、お酒によく合い、現地の居酒屋の定番メニューです。作り方は簡単で、酢に砂糖・塩・スパイス香辛料類を入れ、一旦煮立たせて冷ましてから皮をむいた野菜を入れて、3日ほどつければ完成です。
チェコ料理の名産おすすめの味⑭ 蜂蜜ケーキ
美味しい名物グルメ「メドヴニーク」
チェコのケーキで最も一般的なのは、蜂蜜(はちみつ)が入ったケーキ、「メドヴニーク(Medovník)」です。作り方は小麦・砂糖・バター・玉子・はちみつ・ペーキングパウダーを入れて、薄い(1cm)の厚さの生地をつくり、オーブンで焼きます。焼いた生地の間に、キャラメル風味のバタークリームを入れて重ねていきます。最後に砕いたクルミを振り掛けて完成です。
チェコ料理の名産おすすめの味⑮ 屋台スィーツ
美味しい名物グルメ「トゥルデルニーク」
トゥルデルニーク(Trdelník)は、チェコでは伝統的で国民的なお菓子です。これは小麦粉の生地をつくり、ひも状に生地を延ばしてパイプにぐるぐる巻きにします。それをシナモン・砂糖が入っているところで、回転させながら味を塗りつけると、回転式のグリルに置いて、回しながら焼いていきます。焼けたら様々な味にトッピングしていただきます。
チェコ料理の名産おすすめの味⑯ ハム
美味しい名物グルメ「トラチェンカ」
トラチェンカ(Tlačenka)は、「豚の煮こごり」と訳され、元々は豚肉の様々な部位(耳・舌を含む)を細かく刻んで煮こごりにしたものです。チェコのコースの前菜としては定番となっている料理で、ビールには最適な味。イースターの直前40日間の「肉絶ち」の直前に行われる、「謝肉祭(しゃにくさい)」の時に、美味しいトラチェンカのコンテストが行われます。
チェコ料理の名産おすすめの味⑰ パンケーキ
美味しい名物グルメ「パラチンキ」
薄く焼いたクレープのパラチンキ(palačinky)は、チェコだけでなくドイツやハンガリーなどヨーロッパ各地で食べられています。語源はラテン語の「プラケンタ(平たいケーキ)です。オーストリア・ハンガリー帝国では「宮廷料理」の一つとして採用され、洗練された料理の一つとなりました。今では塩味を効かせて料理に使用したり、甘いデザートに使われるなど、様々な方法で幅広く食べられています。
チェコ料理の名産おすすめの味⑱ 鱒(マス)
美味しい名物グルメ「鱒のバター焼き」
チェコの国には海がありません。内陸国のため、魚料理は淡水魚が主流です。チェコの魚料理では鱒(マス)のバター焼き(Grilované máslo na pstruhu)が有名です。チェコの国内にある「トラウト養殖場」で、新鮮な鱒をバター焼きにしたり、パン粉をつけて「ディープフライ」にして食べることができます。鱒以外の魚なら、鯉(こい)料理やナマズ料理などがあります。
チェコ料理の名産おすすめの味⑲ 炭酸飲料
美味しい名物グルメ「コフォラ」
チェコのソフトドリンクで有名なのは「コフォラ(Kofola)」です。一言でいえばコーラの代用品で、共産主義時代に外国製品が手に入らないことにより作られました。現在は普通にコーラが手に入る時代ですが、それでもチェコでは「コフォラ」の人気が圧倒的です。コフォラはコーラと比べて炭酸が低めで、カロリーも低めなので意外に侮れません。
チェコ料理の名産おすすめの味⑳ ビール
美味しい名物グルメ「ビヴォ」
一人あたりのビール消費量世界一を誇るのがチェコといわれ、外せないのがビールの存在です。チェコではビヴォ(Pivo)と呼びます。ビールの消費量もさることながら、チェコはそれまでのビールのイメージを一新した「革命」ともいえるビール「ピルスナーウルケル」を、150年以上前のピルゼンの町で造りました。
日本を含めた主流のビールはチェコで誕生した
ビールは古代メソポタミア時代から存在し、ヨーロッパで色々な種類のビールが造られました。当時のビールは「エール」と呼ばれるタイプで、味の濃いビール(クラフトビール)でしたが、「ラガー」と呼ばれる、エールよりも味があっさりしたビールが登場します。そのラガーの作り方で、日本でもなじみの透明の黄金色のビール「ピルスナー」がチェコで作られると、瞬く間に世界中に広まり、現在の一般的なビールの元祖となりました。
まとめ
チェコのあらゆる分野の名物料理を、20個紹介させていただきました。チェコ料理はいろんな肉料理があり、その濃い味を抑えるように添えられているのがあり、そしてビールが大量に消費される国なので、ビールのおつまみのような料理も多数あります。日本人に食べやすい料理ばかりなので、少し遠い場所ですが、機会あれば、ぜひ本場で味わいたいところです。