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塩見岳の登山コースガイド!難易度別にルートを解説!日帰りもできる?

塩見岳には数多くの登山者が訪れます。初心者向けから縦走とコース難易度もさまざま。夏は高山に咲く花々も必見です。また日帰りはできるのでしょうか。今回はおすすめの登山ルートや登山口へのアクセス方法、地図、塩見岳周辺の温泉なども合わせてご紹介します。
2020年8月27日
西乃みい子
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塩見岳とは?

塩見岳は東峰と西峰の2つの峰がある山です。百名山は新日本百名山や日本百名山、信州百名山に花の百名山と多くの種類で登録されています。山の場所は地図で見ると静岡県静岡市と長野県の伊那市、2県にまたがっています。標高は3052mの東峰と3047mの西峰です。近隣のアルプスの山は比較的短時間で登頂できるでしょう。しかしこの記事でご紹介する塩見岳はコースタイムがどれも長めですので、しっかりと準備をして行くようにしましょう。

塩見岳のある地域は昔塩が採れていた

山の名前の由来は昔塩が採れたことが有力候補です。明治時代頃は製塩施設がここ伊那市に多く存在していました。そこから各地へ採った塩を出荷していたといわれています。山名、温泉名、地名と「塩」が名前に多く入っていることからも、この地域の人々にとって塩は必要不可欠な存在だったのでしょう。

塩見岳のおすすめの登山時期は?

どの季節に登山するかも重要なポイントです。春先は残雪の心配があります。夏、秋、冬もその季節ならではの見どころが気になるところです。おすすめの登山時期を知り、自分のスケジュールと照らし合わせながら計画を立ててみましょう。

登山に最適なのは7月と8月

塩見岳を登るのに最適な時期は夏の7月と8月です。このあたりは各登山口までの交通アクセスが悪く、コースによっては登山口まで30分以上も歩く必要があります。しかし7月と8月のこの2ヵ月のみ、送迎バスが運行される登山口もあり、通常なら歩く時間を短縮できます。加えてこの季節は多くの花々が開花します。塩見岳の多様な風景を味わいたいのなら夏場をおすすめします。

登山経験者なら冬もおすすめ

積雪時期の登山は山にある程度慣れてからが無難です。無積雪時期にはなかった雪の量や状態を見極める必要があります。地図を見ても分かりにくい箇所も出てくるでしょう。無積雪時期よりも登山計画は余裕のある内容にしましょう。

塩見岳の難易度はどのくらい?

初めて登る山はイメージしていたものと実際の景色やペース配分などにズレが起こりやすいでしょう。とくに初心者のうちは経験量も不足しています。塩見岳は初心者でも登れる山なのでしょうか。ここでは難易度についてご説明します。

塩見岳は山登り初心者でも大丈夫

塩見岳は行程が長いですが家族連れからベテランまで登れる難易度です。現在多く利用されているのは大鹿村にある鳥倉林道ゲートからのコースです。危ない所も少なめで初めて塩見岳に登る人はこのルートを使うといいでしょう。中級者から上級者は縦走するのもおすすめです。長い行程ですがそれが山登りの充実感につながるでしょう。

日帰り登山の難易度は高い

日帰りで登山をする場合は難易度が上がります。日帰りだと朝早くに出発することになり厳しい行程です。時間では平均で約14時間程。高山病にかかる危険性もありますから無理をしないようにしましょう。

塩見岳の登山ルートの種類は?

山頂に向かう一般的なコースは、鳥倉林道から行くルート、二軒小屋ロッジから進むルート、縦走でのルートです。以前は塩見街道や塩川から行けるルートもありましたが、崩落などで現在は進入禁止になっています。それに合わせて閉鎖されている山小屋もあります。行く際は現在も通られる登山道か地図でしっかり確認しておきましょう。

塩見岳登山ルート①

鳥倉林道登山口から山頂への初心者コース


大鹿村にある鳥倉林道ゲートから鳥倉林道登山口を通り塩見岳を登るこのコースは登山道の中でも一番道が整備されているので歩きやすいでしょう。登山道は最初林エリアです。そのまま進むと三伏峠と三伏峠小屋にたどり着きます。ここの近くには分岐点があります。ここから小河内岳方面に向かうことも可能です。

見どころはライチョウや高山植物の花畑

塩見岳には高山植物の花が多く咲いています。運が良ければライチョウに会える可能性もあります。花やライチョウが長い道のりを歩く登山者を癒やしてくれるでしょう。なかには絶滅危惧種の花も。花畑には柵がありますが、あちこちでさまざまな花を見られるでしょう。三伏山と本谷山を越えるとその先は塩見小屋です。天狗岩からのラストスパートでは再びきつい登り道です。落石が起こりやすいため注意が必要です。

塩見岳登山ルート②

二軒小屋から尾根を経由する中級者コース

塩見岳登山は既に経験済みの人には少し難易度の高いコースはいかがでしょうか。二軒小屋ロッジから蝙蝠尾根を通るルートは中級者向けです。この行程では徳右衛門岳と蝙蝠岳を通ります。二軒小屋ロッジへ向かう交通手段は限られています。さらには登山距離も長いため利用者は少なめです。ですので雪がない季節でも迷いやすくなっています。地図で入念に確認をしましょう。

蝙蝠尾根では解放感溢れる展望が広がる

尾根を歩くこのコースはやはり景色の素晴らしさが魅力でしょう。整備された登山道と違い石や岩と、歩きにくい道が続きますが山らしい自然の姿でもあります。機会があれば登ってみるといいでしょう。

塩見岳登山ルート③

縦走で塩見岳と北岳を満喫する上級者コース

山に慣れている人なら縦走で塩見岳と北岳を登るのがおすすめです。縦走は山から山と、連泊して複数の山に登ります。塩見岳の周辺には百名山に載っている山が複数あります。北岳もその一つです。標高は3193mで富士山の次に高い山です。鳥倉登山口から塩見岳に登り、休憩や宿泊には途中の熊の平小屋などが利用しやすいです。3泊4日程度を目安にするといいでしょう。

明石山脈を巡る縦走も人気

明石山脈の縦走も難易度は高いですが一度は挑戦してみたい人気のルートです。こちらのコースは塩見岳までまず登頂し、そこから小河内岳への分岐点がある三伏峠まで下ります。分岐点を越えてからは鳥帽子岳、小河内岳、荒川岳を目指します。山小屋の利用は休憩、宿泊含めて3、4カ所必要になる道のりです。ゴールデンウィークなどの長期連休中に計画してみてはいかがでしょうか。

塩見岳周辺の山小屋は?

登山中休憩や宿泊でとてもお世話になる山小屋。なくてはならない存在です。この記事でご紹介している塩見岳ではどんな山小屋が利用できるのでしょうか。小屋によって利用条件や設備が違いますから実際に訪れる際は注意しましょう。

塩見岳周辺の山小屋①

塩見小屋

頂上まで約1時間、その近さから塩見小屋を利用する人も多いのではないでしょうか。寝室は別館と本館に分かれており、テント場はありません。水のある場所は小屋の外で往復35分の道のりです。小屋の下に行くには急な下りる必要があります。夜など足元が見えにくいときはとくに気をつけた方がいいでしょう。この小屋で1泊し、翌朝塩見岳の山頂からの日の出を見るために早朝に出発するのもおすすめです。

塩見岳周辺の山小屋②

三伏峠小屋

三伏峠小屋はとくにテント泊が人気です。週末になるとたくさんのテントが並び場所探しに時間がかかる場合もあります。テント場を借りる際も有料なので詳しい施設の利用ルールを確認しておくとスムーズでしょう。また三伏峠小屋では登山口から駅や鹿塩温泉までのタクシーの手配もお願いするとしてくれます。交通手段が自家用車以外の人にはうれしいサービスでしょう。


塩見岳周辺の山小屋③

二軒小屋ロッジ

二軒小屋ロッジは新館、本館があり室内、外観どちらもとてもおしゃれな造りになっています。部屋は個室、ツインと相部屋のドミトリールームがあります。ドミトリールームは男女混合で1室6名まで利用可能です。冬季は登山小屋のみの利用です。

塩見岳下山後は温泉でひとやすみ

登山のあとは日帰り温泉でゆっくり疲れをとるのに最適です。塩見岳周辺には複数の温泉施設があります。その中からとくにおすすめなスポットをご案内します。

塩見岳周辺の温泉①

鹿塩温泉・山塩館

山塩館の客室は全部で15室です。日本秘湯を守る会にも加盟しています。雰囲気のある外観と和室で登山の疲れを癒やせるでしょう。特徴は強食塩泉と呼ばれる泉質です。源泉に山塩が生成されていて実際に採れるその塩は希少性から「幻の塩」といわれています。浴室は石風呂とヒノキ風呂の2種類です。強食塩泉で体の芯までじんわり温まるでしょう。温泉で採れる塩はお料理に使用されています。天然の素材ならではの味にこだわったおいしい食事を楽しめるでしょう。

日帰り入浴は問い合わせが必要

休憩や日帰り入浴のみの利用も対応しています。日帰り入浴の場合は当日朝に電話での確認が必要です。混んでいる日や繁盛期は予約不可の場合もあります。事前に問い合わせをするといいでしょう。

鹿塩温泉・山塩館へのアクセス

地図で自家用車で向かう方法を確認すると、中央高速道の松川IC方面から県道59号線を走り小渋ダムを経由して約1時間です。電車の場合はJR飯田線の伊那大島駅で降ります。駅から35分。送迎バスは予約時に伝えると利用できます。

塩見岳周辺の温泉②

小渋温泉・赤石荘

収容人数は50人、客室17室の小渋温泉は露天風呂がおすすめです。雄大な景色と温泉でゆっくり癒やされるでしょう。温泉は日帰りも利用できます。日帰り入浴は期間限定で4月から11月です。料理は特別メニューもあり鹿刺しやイノシシ鍋などを味わえます。登山のあとに、登山前にと、こちらの温泉を利用してみてはいかがでしょうか。

小渋温泉・赤石荘へのアクセス

自家用車で小渋温泉に行く方法は、中央高速自動車道の松川IC方面から県道59号線から小渋ダム方面へ進みます。約24km、45分の道のりです。赤石荘の近くには鹿塩温泉と赤石岳登山口があります。

塩見岳周辺の温泉③

南アルプス赤石温泉

平成21年にリニューアルオープンした赤石温泉は露天風呂に多目的浴室に大浴場と種類がたくさんあります。オクシズ100選にも選ばれています。南アルプスの秘境の雰囲気漂う温泉です。日帰り入浴は4月から11月、12月から3月で利用可能な時間帯が違うため、利用する際は注意しましょう。宿泊の場合のみ予約が必要です。

南アルプス赤石温泉へのアクセス

自家用車では東名高速道路静岡ICから国道362号線を走り約2時間20分です。バスの場合は静岡駅から3時間10分。バスの本数は1日数本と少ないため、乗る時間をしっかり確認するといいでしょう。

塩見岳への各方面からのアクセス方法は?

塩見岳に行くにはおもに長野県と静岡県の2県から行くことができます。市街地よりも離れた場所にあるためバスの本数や車でのアクセスが難しくなっています。他県から向かう際は交通手段に注意しましょう。


長野駅から鳥倉方面へのアクセス

JR篠ノ井線、飯田行きの電車で伊那大島駅に向かいます。約4時間15分かかります。乗り換えがないので初めて訪れるような場合におすすめです。少しでも早く、安く済ませたいときは、松本・岡谷と乗り換えるのがいいでしょう。7月と8月のみ伊那大島駅から鳥倉林道登山口までの臨時バスを利用できます。バスの運行は1日2本です。

静岡駅から二軒小屋方面へのアクセス

JR東海道本線、浜松行きの電車に乗り金谷まで。大井川鉄道大井川本線で千頭行きに乗り換えて千頭へ。千頭からは大井川鉄道井川線、井川行きに乗り換え井川駅に。3時間50分の道のりです。二軒小屋ロッジは小屋の宿泊者限定で畑薙第一ダムから出る送迎バスを利用できます。こちらは1日3本の運行ですが夏は駐車場の場所と時間が変わるため間違えないようにしましょう。

自家用車でのアクセス

自家用車で塩見岳へのアクセスは鳥倉林道ゲートにある駐車場に車を停めてそこから登山口まで歩いて行きます。登山口まで約40分ほど。前日から出発して駐車場に着きそこで車中泊をするのがいいでしょう。駐車場には水、トイレの施設があります。

塩見岳周辺の天気や気温は?

塩見岳やその周辺の天気や気温はどうなのでしょうか。登山に限らず慣れない環境で体調を崩したり、せっかく登ったのに天気が優れなかったなどの可能性も起きやすいです。伊那市の過去の天気と気温のデータを参考に大まかな対策を立ててみましょう。

夏は冷房がいらないほど涼しい

年間の平均気温は11℃と森林があるおかげからか伊那市は涼しく過ごしやすい日が多いでしょう。夏場も最高気温は34℃程度です。夏は登山中に汗をかいて休憩や下山時の涼しい空気に体を冷やさないようにしましょう。降雪日は10日前後と少ないですが、塩見岳では春先まで雪が残っているため、その頃に登るときは積雪期用装備も必要になるでしょう。

塩見岳に登るときは地図を忘れずに

登山の際は地図を見て迷わないように気をつけましょう。難易度が高いルートは登山道も整備不足で天候などによっては迷う場合もあります。今はスマホで見る地図が大変便利ですが電池切れや電波障害などのリスクに備えて紙タイプの地図も用意するのをおすすめします。加えて年々登山道も変化していますから地図は最新の情報が載っているものがいいでしょう。

塩見岳に登ってアルプスの景色を満喫しよう!

いかがでしたか。塩見岳は登山のほかにも花やライチョウと魅力がたくさん詰まっています。登山後の日帰り温泉も秘湯好きにはたまらないでしょう。塩見岳やその近隣の山々からの縦走ルートと、さまざまな花とすてきな景色を地図を片手にぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。

南アルプスが気になる方はこちらもチェック!

今回は難易度別に塩見岳の登山コースを中心にご紹介しましたが、塩見岳以外の南アルプスに関する情報はこちらの記事を参考にしてみてください。