2018型セローの登場?
1985年、ヤマハからオフロードバイク史上に名を残すXT225セローの販売が開始されました。原付のヘルメット着用が義務化されたのが1986年ですので、ずいぶん前のことといっていいでしょう。販売開始から32年後の2017年9月、セロー250はオフロードバイクファンから惜しまれながら生産の中止が決まりました。
絶版か?モデルチェンジか?
セローの生産中止が決まると「絶版とせずにモデルチェンジして復活させて欲しい」という要望がヤマハに多く集まり、ヤマハはセローの開発に着手することになりました。セローのモデルチェンジに対しての期待感は強く、ヤマハにとってもプレッシャーとなっているでしょう。史上最高のセローとなるよう開発を進めて欲しいですね。
セローとはどんなバイクなのか?
コンパクトな車体に粘り強いエンジンを搭載したセローは街乗りやツーリングはもちろん、ゲロアタック(ゲロをはくほどバイクを押さなければならない獣道アタック)ではエース級のバイクです。ハンドガードとスキッドプレートが傷だらけになったセローの威圧感は凄まじく、傷ひとつない自分のオフロードバイクに恥ずかしさを感じたライダーも多いでしょう。
セローを非力と蔑むな!
ガレたヒルクライムでのセローの優位性が明確に分かる動画を紹介します。ライダーの力量差もありますが、悪戦苦闘するKTMフリーライドを横目に、セロー225がしなやかに駆け上る姿に感嘆してください。
セローはロングツーリングでも活躍!
キャンプ道具を満載したセローでロングツーリングをするライダーも多いですね。コンパクトで扱いやすいセロー250は路地裏散策や狭路めぐりはお手のもの。空冷SOHC単気筒ならではのトコトコ感で淡々と距離を稼ぐときも楽しさを感じます。高速道路は苦手ですが、オフロードバイクであるセローはスポーツバイクですので、ワインディングロードも楽しく走れます。粋な動画を紹介しますね。
セローの系譜
モデルチェンジした新型セローの全容を予測するには、これまでの系譜を辿る必要があります。歴史を辿って順当に進化するのか?意外な方向へ向かうのか?そのあたりを見極めるためです。セローは大まかに初代セロー、マイナーチェンジした2代目セロー(3種)、フルモデルチェンジした3代目セロー(2種)に分けられます。
セロー225の兄弟車:TW200/225、ブロンコ
セロー225の兄弟車であるTW200/225はカスタムベース車として有名になりましたが、元々は標高が高くなっても出力を得られる調整機構がついたアドベンチャーバイクでした。ブロンコはセロー225をベースにオールドルックでカジュアルなオフロードバイクとして人気がありましたね。
セロー250の兄弟車:トリッカー
トリッカーは使い方をユーザーに委ねたバイクだといっていいでしょう。ホイール径が小さいことやタイヤの選択肢が少ないことから、トリッカーにセローのホイールを履かせてゲロアタックする人もいるようです。13ヶ月前に発売されたトリッカーをベースにセロー250が開発されたという話も聞きますが、セロー250の開発を前提にトリッカーを先行発売した可能性もあります。
セロー225(1KH/1RF/2LN)
セローは発売直後に大ヒットしたオフロードバイクではありませんでした。時代はレーサーレプリカ全盛期で、ハイパワーエンジン以外は見向きもされませんでした。しかしコンパクトで取り回しのいい200㏄クラスのオフロードバイクには以前から一定の需要がありましたし、セローの性能や扱いやすさは少しずつ認められるようになりました。
楽しいセロー
二輪二足で野山をかき分け、童心に戻って泥だらけになれるセローはオフロードバイクの楽しさを再認識できるバイクでした。コンパクトな車体と粘り強いエンジンは扱いやすく、女性にも人気のモデルとなりました。ヤマハのコンセプトが市場に受け入れられたといえるでしょう。
セロー225(3RW1~4/3RW5/4JG1~4/5MP1~4)
セロー225が爆発的に売れたのは2代目セロー225からです。重量がかさむ…という理由でつけられていなかったセルモーターを追加したからだと考えられます。難所での転倒でも再始動しやすくなり、キャンプ道具を満載にした状態でキックペダルを踏み降ろす不安定さからも開放されました。ヤマハらしい美しいデザインも人気ですね。
マイナーチェンジを繰り返した2代目セロー225
2代目セロー225は16年間マイナーチェンジを繰り返しました。大まかには、リアがディスクブレーキとなったセロー225W、リアにチューブレスホイール/タイヤを装着したセロー225WEに分けられます。最も売れたセロー225Wは年齢性別、用途を問わず活躍しました。セロー225WEにチューブレスのトライアルタイヤを装着して山に入る人も多くいましたし、タイヤの選択肢が多いチューブタイヤを装着する人もいましたね。
セロー250(BA-DG11J/JBK-DG17J)
エンジン:空冷4サイクルSOHC単気筒 排気量:249cm3 最高出力:16Kw(21PS)/7,500r/min 最大トルク:21N・m (2.14kgf・m)/6,500 r/min 乾燥重量/装備重量:115kg/126kg ※装備重量とはオイルやガソリンなどを入れた数値。
初代目セロー225の発売から20年後の2005年、初めてのフルモデルチェンジを受けてセロー250が登場しました。傷だらけにしてしまうのが惜しいくらいの美しいデザインに躊躇した人も少なくありません。スペック以上にパワー感がありますが「コンパクトで扱いやすいオフロードバイク」というコンセプトにブレはありません。
トレールバイク色が強いセロー250
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒 排気量:249cm3 最大出力:14kW(18PS)/7,500r/min 最大トルク:18N・m(1.9kgf・m)/6,500r/min 燃料タンク容量:9.6L 車両重量:130kg ※乾燥重量不明 ※車両重量と装備重量は同義
セロー250はトレールバイク色が強いオフロードバイクとなりました。より多くのユーザーを取り込むための味付けだといえるでしょう。スペックシートだけを見るとセロー225の方が上かも…と思われがちですが、常用域での扱いやすさは進化しています。2008年モデルからはキャブレターからFI(フューエル・インジェクション)に変更され、環境性能と燃費性能が向上しています。
2018型セローの方向性を探る
初代セローから3代目セローまでの系譜を確認すると、コンパクトな車体に粘り強いエンジンを搭載した扱いやすいバイク…というのが一貫したコンセプトで、少しずつトレールバイク寄りのオフロードバイクに変化しています。新型型セローでも同様に、街乗りやツーリングを意識したフルモデルチェンジとなるでしょう。
2018年型セローの課題
厳しい環境基準に対応することが新型セローに与えられた一番の課題です。ABSの装備も必要ですね。絶版が決まったWR250Rの穴埋め役を果たさなければならない可能性もあります。250㏄は人気排気量ですが、ヤマハのラインナップはかなり寂しくなっていますので、新型セローに失敗は許されないでしょう。
2018型セローのエンジン
新型セローにはブルーコアエンジンが搭載される可能性が高いでしょう。ブルーコアとはパワーと環境性能を高次元で両立する設計思想のことで、2016年以降新規製造されているヤマハの小排気量エンジンは全てブルーコア思想に基づいた設計です。軽二輪ではTMAX、NMAX155、トリシティー155にブルーコアエンジンが搭載されています。
ブルーコアエンジンを搭載する理由
フルモデルチェンジですので、新型セローに設計が古いエンジンを搭載することはできません。環境性能に余裕がなければ、また生産を終了せざるをえなくなるからです。バイクの開発には費用がかかりますし、人間の感覚を頼りに開発する部分も多いので時間がかかります。セローは人気モデルですので先を見通したフルモデルチェンジとなるでしょう。
2018型セローのエンジン候補①
FZ25に搭載されたブルーコアエンジン
インドで製造・販売されているFZ25のブルーコアエンジンは新型セローの第1候補だ…とネット上でうわさされていました。最高出力と最大トルクは、新型セローにとって申し分ない性能で、低中回転域でトルクが豊かなエンジンですので、街乗り、ツーリング、ゲロアタックで活躍しそうですね。
FZ25のブルーコアエンジンを搭載する可能性は?
FZ25のブルーコアエンジンが新型セローに搭載される可能性は低いでしょう。画像をよく見てみるとセロー250のエンジンに酷似していますよね。ボア&ストロークも全く同じです。FZ25のエンジンはセロー250のエンジンをベースにしていると考えられ、環境性能に余裕があるとはいえません。
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒 排気量:249cc ボア&ストローク:74.0x58.0mm 最高出力:20.9PS / 8000rpm 最大トルク:20.0Nm / 6000rpm
2018型セローのエンジン候補②
FAZER FIのブルーコアエンジン
インドで製造・販売しているFAZER FIにもブルーコアエンジンが搭載されています。150㏄ですので非力ですが、低中回転域の扱いやすさがありますので、新型セローに搭載されるエンジン候補としては十分な性能を備えています。軽量ですので、街乗りやゲロアタックを中心にセローを使う人には大歓迎なエンジンかもしれません。
FAZER FIのブルーコアエンジンを搭載する可能性は?
FAZER FIのブルーコアエンジンを搭載する可能性は低いといっていいでしょう。新型セローにはWR250Rの穴埋め役も課せられるので、セロー250より非力なエンジンを搭載することは考えられません。逆を言えば、新型セローがFAZER FIのブルーコアエンジンを搭載して登場した時点で、WR250Rに代わるモデルの開発に期待していいでしょう。
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒 排気量:149cc 最高出力:9.7kW(13.2PS)/ 8000rpm 最大トルク:12.8Nm(1.3kgfm)/ 6000rpm
2018型セローのエンジン候補③
新開発水冷ブルーコアエンジン
新型セローには新開発の水冷ブルーコアエンジンを搭載する可能性もあります。水冷エンジンはクリアランスをシビアに設定できるので、環境性能に余裕があるからです。ホンダのCBR250RRに搭載されたスロットルバイワイヤーシステムに似たものが導入される可能性もありますね。
新開発の水冷ブルーコアエンジンの役割
新型セローに新開発水冷ブルーコアエンジンを搭載する場合、ヤマハは長期にわたって生産し続けられるエンジを開発するでしょう。長期にわたって生産し続けることで、エンジン1機あたりの開発費用を抑えられますし、開発費用を回収できるからです。その目処が立たない場合、ヤマハは既存のブルーコアエンジンを新型セローに搭載し、水冷ブルーコアエンジンは先送りとなるでしょう。
新開発エンジンには汎用性が必要
オフロードバイクはオンロードバイクよりも販売台数が少ないので、ヤマハはエンジンの出荷台数を増やすために、新型セローのブルーコアエンジンを軸にモデル展開をするでしょう。そのために汎用性の高いエンジンを開発すると思われます。250㏄のアルプスローダー(国内版テネレ250?)やシングルスポーツ(SR250?)が登場するかもしれません。
2018型セローのフレーム・サスペンション
新型セローのフレームやサスペンションはモデルチェンジで大きなサイズ変更をしないでしょう。WR250Rの穴埋め役を課せられ若干足が長くなる可能性もありますが、大きなサイズ変更をして「コンパクトで扱いやすいオフロードバイク」のコンセプトから外れてしまうとセローではなくなるからです。
裏切れないセロー
フレームはセミダブルクレードル、フロントサスペンションは正立フォーク、リアサスペンションはリンク式スウィングアームといった定番のフレームとサスペンションとなるでしょう。前後サスペンションに調整機構が備えられるとうれしいですね。
リアタイヤはチューブレス?
リアタイヤがチューブレスになる可能性は低いでしょう。街乗りやツーリングをメインにセローに乗る人はオンロードパターンのチューブタイヤを装着する人が多いからです。チューブレスのトライアルタイヤを装着する人は少数派ですし、必要ならば自分でチューブレス化できる人が多いですからね。しかしビードストッパー用の取り付け穴が設けられる可能性はあります。
2018型セローの発売時期
セローユーザーを横取りされないよう、ヤマハは急ピッチで新型セローの開発を進めているでしょう。これまでヤマハの独占カテゴリーでしたが、間が開くことでユーザーを取り逃がしてしまう可能性があるからです。
2019モーターショーが目標か?
ネット上ではフルモデルチェンジした新型セローが2018年中に発表されると騒がれていますが、2019年のモーターショーでの発表を目標に開発するのが精一杯だと考えられます。SR400の新エンジン開発のほうが優先順位が高いでしょうし、YZF-R25のマイナーチェンジも必要になっていますのでヤマハは大忙しですね。SR400と抱き合わせて発表し、話題性を高めることも目論まれているでしょう。
2018型セローのライバル車
新型セローが登場するまでにセロー離れの原因になりそうなライバル車を紹介します。セローはライバル車を寄せ付けない性能とキャラクターを持っていましたので、新型セローの登場を待ってから買い換える人も多いでしょう。しかし、ゲロアタックメインなのか?ツーリングメインなのか?使い方が明確な人にはセロー以外の選択肢もあるのです。
カワサキ KLX125
エンジン:空冷4サイクルSOHC単気筒 排気量:124cm³ 最高出力:7.5kW(10PS)/8,000rpm 最大トルク:9.8N・m(1.0kgf・m)/6,000rpm 車両重量:112kg
自動車のファミリーバイク特約を利用すれば経済的な負担が少ないので、KLX125に乗り換えるセローユーザーがいるかもしれません。タイヤ径が小さいこと、アルミリムへの変更、非力なバイクを操るテクニックなど…クリアしなければならない問題もありますが、ゲロアタックメインでセローを使う人には有力候補となるでしょう。ロングツーリングには厳しい車格かもしれません。
スズキ V-STROM250
エンジン:水冷4サイクルSOHC2気筒 排気量:248 cm3 最高出力:18kW(24 PS)/ 8,000 rpm 最大トルク:22 N・m(2.2 kgf・m)/ 6,500 rpm 車両重量:188 kg
スズキがアドベンチャーツアラーとして製造しているV-STROM250は、ダート走行をしないセローユーザーにとっては魅力的だといえます。セロー250と比較すると車両重量がかなり重いのですが、オフロードバイク同様のライディングポジションは馴染みやすいでしょう。ロングツーリングではオンロードバイクの快適さを見せ付けられるかもしれません。
ホンダ CRF250L
エンジン:水冷4ストロークDOHC単気筒 排気量:249cm3 最高出力:18kW[24PS]/8,500rpm 最大トルク:23N・m[2.3kgf・m]/6,750rpm 車両重量:144kg
CRF250LはXR250よりも低中回転域のトルクが豊かになったので、セローユーザーには妥協できる範囲かもしれません。大柄で重い車体を克服する必要がありますが、ローダウン仕様ならば足つき性もいいので、フラットダートを含めたツーリングをする人にピッタリなオフロードバイクだといえます。
2018型セローの予想:まとめ
新型セローのスペックについてヤマハはまだ沈黙を守っていますので、詳細は不明です。ネット上での予想には根拠がなく、あくまでも予想の範囲に過ぎません。しかし、新型セローに対する期待が大きいことは事実ですし、ヤマハはその期待に応えてくれるメーカーだと誰もが信じています。オフロードバイク史上に残るモデルチェンジとなるよう、見守っていたいですね。
セロー250を振り返りたい人は必ずチェック!
数々のライバル他車を撃破してきた性能と美しいデザイン…セロー250の完成度の高さは目を見張るものがあります。新型セローが登場する前にセロー250を詳しく振り返りたい人は要チェックです。ここで記述できなかったセローのツーリング性能も知ることができますよ。
旅バイクならツーリングセロー!見た目・性能・乗り心地のインプレまとめ!
ツーリングセロー250の特別装備アクセサリーやお薦めアイテムを紹介しています。走行性能・乗り心地バランスのとれたバイクで実際の燃費も驚くほど...
エンジン:空冷4サイクルSOHC単気筒 排気量:223cc 最高出力: 20ps/8000rpm 最大トルク: 1.9kg-m/7000rpm 燃料タンク容量:7.6L 車両重量:106kg(乾)