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【熊よけスプレーの必要性】何故必要なのか
例えば、登山という行為について、みなさんはどのように考えますでしょうか。登山というのは、人間以外の動植物のテリトリーに侵入していく行為でもあり、したがって登山においては野生生物と遭遇する可能性もはらんでいます。
熊と遭遇する可能性はゼロではない
数ある野生生物の中でも、とりわけ登山で要注意となるのが熊です。熊は、山林等に広く生息しており、中でも月の輪熊(ツキノワグマ)は一部で森の王者とも呼ばれる存在です。そんな熊にもし襲われた場合、大けがする可能性は決して少なくありません。 そんな熊と実際に遭遇してしまった場合、その熊を追い払う必要が出てきますが、その為に有効とされるのが熊よけスプレーというアイテムです。
熊よけスプレーの必要性
熊という生き物は、基本的に人間を警戒する生き物です。(あくまで基本的に、です)登山中、他の登山者がラジオを付けていたり、鈴を鳴らしている人を見かけたことはないでしょうか。あれは敢えて音を発して、周辺にいるであろう熊に向かって人間の存在を知らせ、熊の方でさけてもらうためのものなのです。
非常手段としての熊よけスプレー
そのように対策を施してもなお熊と遭遇して、尚且つ、襲われそうである場合の非常手段が熊よけスプレーというアイテムなのです。以下に、その熊よけスプレーの効果的な使い方や選び方を、何故襲ってくるのかと併せて順を追ってご紹介します。
熊よけスプレーを使う場面
しかし前述のように、対策はしていてもなお熊と遭遇してしまうことがあります。たとえ鈴(熊鈴といいます)を鳴らしていても、近くの川の流れる音にかき消されたりと要因は様々です(沢沿いで元から熊が来やすい環境だったという場合もありますが)。
何故、襲ってくるのか
熊が襲ってくる理由は種々考えられますが、よく言われているのは子熊を連れた母親熊が「子熊を守らなければ!」と攻撃してくるというものです。よく登山関係のサイトで、子熊を見かけたら注意が必要と書かれてあるのは、こういった母親熊の動きを警戒してのものなのです。
熊に与えている誤解
熊よけスプレーを使う必要のないことが一番ですが、案外とそのような状況に人間が自ら飛び込んでいるケースもあります。登山だけでなく、山菜採りで森等に入っていくのもそれに該当します。この時、登山道を外れて行動する方がいらっしゃいますが、これは隠れている熊に近づいている危険性があります。 また山菜取りなどでは、普通の登山とちがって人間は行ったり来たりの不規則な動きを繰り返すことになります。すると近くで見ていた熊が、その行動の意味を自分への威嚇と取って襲ってくるというケースも想定されます。
熊よけスプレーの成分
スプレーには何が使われているか
熊よけスプレーとは、つまりは熊の器官に刺激を与えるスプレーであり、一般的に知られている対人防犯の催涙スプレーと同様の成分で構成されています。熊よけのスプレーの成分がどのようになっているかというと、その成分は主に『OC』『CN』『CS』の3種類です。
OC:オレオレシン・カプシウム
最初の『OC』はオレオレシン・カプシウムという、とうがらし等から抽出することが出来る辛味の成分で、環境への負荷がないものになります。
CN:クロロアセトフェノン
次の『CN』はクロロアセトフェノンというもので、前時代には対人の暴動対策に使用されていたもので、安全性に疑問符がついていることから使用されなくなっています。
CS:クロロベンジリデンマロノニトリル
最後の『CS』はクロロベンジリデンマロノニトリルといい、劇物に分類されているシアン化合物を含むので、一般流通品では使われていないものになります。
熊よけスプレーの効果
前項の通り、熊よけのスプレーとはつまり催涙スプレーのことです。なのでスプレーを目前に迫る熊に吹き付け、含有成分である香辛料の成分で熊の感覚器官に強い刺激をあたえ、追い払う効果を期待するスプレーとなります。
対人用との違い
ただし、ひとくちに催涙用スプレーと言っても対人用のそれと違うのは、成分も効果も熊よけ用のスプレーの方が強力だということです。なので間違って人間がその成分をまともに浴びると、皮膚も含めとても危険です。熊よけで効果を発揮するスプレーということは、裏を返せば人間には尚のこと劇物であるという理解が必要です。
熊よけスプレーの効果的な使い方①
すぐ取り出せるようにしておく
熊よけスプレーは、もっているだけでは意味がありません。熊に対してきちんと効果を発揮するような使い方をしてこそ、熊よけスプレーを用意する意味も出てきます。前述した熊が襲ってくる理由やその状況を加味すると、出会いがしらでもすぐに熊よけスプレーを吹き付けられるような状態になっていないといけません。
しまっておく場所がとても大事
熊は待ってくれません。まちがってもリュック等の中にしまい込んでいては、使い方以前の問題です。不意の遭遇でも速やかに熊よけ出来るようにするためには、ズボンのポケットなどすぐに手を入れて取り出せるようにしておくことが鉄則です。
熊よけスプレーの効果的な使い方②
風向きを感じる
前述のように、熊よけスプレーは、まずすぐさま取り出せるような状態にしておくことが、使い方を考えるうえでの大前提です。そして使い方でもう一つ忘れてはならないのが、風向きに注意するということです。もし熊よけスプレーが必要になった時、自身が風下にいると、せっかく吹き付けた熊よけスプレーも飛距離が抑制され、効果が激減してしまいます。
風向きによっては効果が激減することも
無風に近い状態であればさほど効果に影響はありませんが、風の通り道となっているような場所では地形次第で風もその向きを変えます。結果、熊よけスプレーの効果的な使い方を考える必要も出てくるので、覚えておきたい要素です。
熊よけスプレーの効果的な選び方①
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飛距離をチェックする
熊よけスプレーは、効果的な使い方を実現する前段階として「何を選ぶか」という選び方も重要な要素です。使い方のイメージがあっても実際の手にした熊よけスプレーにその性能がなければ、いざその熊よけスプレーを使わなければいけない状況に置かれたときに、何もできないという結果になりかねません。 その、熊よけスプレーの選び方の重要なポイントは、もちろん店頭などでの販売価格および期限も大事ですが、もっと大事なのはそもそもの飛距離とその確認です。
射程距離を意識する
熊よけスプレーの選び方の第一ステップは、この飛距離の確認に始まります。ネットショッピングでのラインナップを見ていると、おおよそ5メートル程度の最小噴射距離が設定されています。そして実際に熊よけスプレーを使うとして、5メートルというのがどの程度の肌感覚かを見てみてください。かなり近い距離であると感じられると思います。販売価格や期限が気になるという方もいらっしゃることと思いますが、身を守る為に購入するという事をお忘れなく。
熊よけスプレーの効果的な選び方②
持続時間をチェックする
熊よけスプレーは、スプレーというだけあって消耗品です。選び方はもちろんですが、選び方よりもむしろ事前の確認といった側面が強いとも言えます。ある意味販売価格や期限といったところを一旦おいてでも選び方では注意するべき部分です。これをわきまえていないと、実際に熊よけスプレーを使う場面になった時、無駄撃ちをしてしまって肝心の標的に当てる前に切れてしまうという最悪の状況になりかねません。
弾切れに注意する
こちらもネットショップなどを調べてみると、7秒程度のものが見受けられます。これから熊よけスプレーを購入、ないし既に熊よけスプレーを所持している場合のいずれでも、意識できるようにしておくことが賢明です。
熊よけスプレーの効果的な選び方③
サポート品をチェックしてみる
これは熊よけスプレーそれ自体ではありませんが、選び方の一つとして、サポート品を視野に入れることも一考です。使用期限もなく、また使いこなすという目的のために困っていなければ、販売価格も考慮して購入の可否を検討してもいいものです。 しかし、使用するときにすぐに取り出せるイメージを描けなければ、販売価格も見比べながら購入を考えることは大いにアリと言えます。
どうすれば「使いこなせるか」を考える
物事に100パーセントはないと言われるように、熊よけスプレーにしても、これさえもっていれば熊よけは確実に大丈夫といったものではありません。熊よけスプレーを信じていいか、ということは、言い換えればいかにきちんと使いこなすかにかかっているといっても過言ではありません。
熊よけスプレーの信頼性は「備え方」次第
これにはもちろん、既に持っている熊よけスプレーの期限管理も含まれますし、対象となる熊よけスプレーの性能を把握すること、そして実際に熊よけスプレーを使う状況をなるべく正確にイメージして、それを実際に再現できるような準備が必要になってきます。それによってはじめて、熊よけスプレーは信頼に足る性能を発揮してくれます。
最後に
熊よけスプレーというのは、決して安い買い物ではありません。それこそ販売価格を目にして、購入をためらってしまうこともありえます。また期限が過ぎて新しく買い直すにしても同様で、その販売価格のものを購入し、期限がきたらまた買い直すということの繰り返しになると考えると、そこまでコストをかける必要があるかと考えるのもまた自然なことです。
持たないという選択肢
勿論、販売価格から購入しない、もしくは期限切れを理由に持つのをやめる、というのもちゃんとした理由です。実際の所、入林や入山をするすべての人が、熊よけスプレーを持っているわけではありません。では持っていない人はリスク管理がなっていないかというとそういう訳ではありません。 実際の所、山菜取りで正規ルートを外れるとか、熊の観察目的でアプローチするのでなければ、熊の方から人間を避けようとするのでそうそう目撃できるわけではありません。
リスク管理は捉え方次第
その意味から言えば、熊対策を移動中の鈴やラジオの音出しをもって良しとするのも、熊に対するリスク管理の一つの形です。ちなみに、スプレーを持たない状態で遭遇してしまった場合の、極力攻撃に発展させないための退避方法や襲われた際の致命傷回避方法など、スプレーでの撃退以外の方法もあり、そちらを採用する人も少なくないです(全くの無策という人もいますが)。
熊の行動についてのエピソード
筆者が、山に詳しい人に聞いたエピソードで次のようなものがあります。積雪期の登山で、まだ自分以外誰の足跡もついていない状態で山頂に行ったときのことです。もと来た道を歩いて戻る際に誰ともすれ違わなかったのに、自分以外の足跡がついていたことがあるといいます。しかもよく見ると、人間ではなく熊のものだったというオチでした。つまり人間が通り過ぎるまで熊はどこか近くで隠れていて、人間の気配が消えてから動きを再開していたという事です。
「熊と人間の双方が無事」が最善
人間と熊が遭遇しての事故は、お互いにとって不幸なことです。熊よけスプレーひとつとっても、是非きちんとした使い方を理解して、不意の事故防止に役立ててください(出会わない為の対策も、お忘れなく)。
熊対策が気になる方はこちらもチェック!
スプレーに限らず、熊対策という大枠で考える場合には、是非下記の関連記事も参考にしてみてください。熊よけスプレーの具体的な選び方のポイントのみならず、その前段階となる熊鈴についても言及しています。
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