ニギスの基本情報
ニギスとは、ニギス科ニギス属に分類されれる深海魚です。漢字で「似鱚」と表記されます。この名前の由来は、その形状がキスに似ていることからつけられたようです。
生息域は、青森から九州まで広範囲にわたります。ニギスは、主に水深200m程の海底に生息する深海魚で、体長は20cmほどです。形状は、左右から押しつぶされたように平べったい円筒形をしています。
ニギスに含まれるおもな栄養素
ニギスには、疲労回復をはかりエネルギーを生み出すビタミンB1や細胞の新陳代謝を促すビタミンB2、動脈硬化を予防するといわれているパントテン酸といった栄養素が含まれています。
その他にも貧血などに効果があるとされる葉酸、抗酸化作用の高いビタミンCやビタミンEなど健康や美容に良いとされている栄養成分が豊富に含まれているのが特徴です。
ニギスとキスの違い
系統によるニギスとキスの違い
ニギスは、その形状がキスに似ていることからつけられた名前です。でも、魚の系統としてはキスとは全くの別物で、その点がニギスとキスの違いになります。一般的にキスと呼ばれているシロギスがスズキの仲間なのに対して、深海魚であるニギスはサケの仲間です。
呼び名によるニギスとキスの違い
地方のお魚屋さんなどで扱われる場合、ニギスのことを「メギス」「沖ギス」などという表記で販売されていることがあります。このように呼び名で見分けるのもニギスとキスの違いです。ニギスの呼び名は、地方などでも様々で青森地方では「カマス」、島根地方では「トンコロ」などともいわれるようです。
ニギスの旬はいつ?
ニギスがおいしく食べられる旬は、9月~10月頃だといわれています。キスが6月~8月に旬を迎えることから、この点もニギスとキスの違いになります。
深海魚と言ってもニギスは、食べ方もいろいろ楽しめ調理方法次第で幅広い料理が楽しめます。特に旬の季節には、脂がのって味もひとしおです。新鮮なニギスなら刺身にする食べ方もおすすめですね。
深海魚の料理と食わず嫌いにならず、脂ののった旬の季節に深海魚のニギス料理を味わってみてはいかがでしょう。
ニギスの選び方のポイント
目と身の透明感がポイント
深海魚のニギスは、鮮度が落ちやすい魚だといえます。ニギスを選ぶ時のポイントは、まず目の澄んだものを選びましょう。それ以外の選び方のポイントとしては、身に透明感があるかどうかです。透明感が高いほど新鮮なニギスだといえます。
大きめの太ったものを選ぶのがポイント
ニギスを選ぶ際には、少し大きめの太ったものを選びましょう。小ぶりのものより大きめの太っているニギスは、脂がのっていておいしさが一段と増しています。旬の時期にニギスを選ぶ場合は、太めのものを選ぶと脂がのっていて料理がおいしくなるでしょう。
ニギスの上手な開き方
開き方手順【背開き】
ニギスをフライやソテーなどにする場合は、背開きにするのがおすすめです。開き方も意外と簡単で、家庭でも手軽に調理することができます。
1.うろこをとってから、ニギスの頭を落とします。 2.包丁を入れ、背開きにします。 3.開いたら、内臓をきれいに取り除きましょう。 4.次に中骨をきれいにそぎ落とします。 5.左右の腹骨をしっかりとそぎ落とせば完成です。
開き方手順【3枚おろし】
天ぷらなどにする場合は、3枚おろしにするのがおすすめです。3枚おろしというと少し難しそうですが、手順通りにやれば家庭でも手軽に調理することができるでしょう。
1.背開きの時と同じ要領で、頭を落とします。 2.開き方のポイントは、側面からの開き方ではなく下腹からの開き方をするのがポイントです。 3.腹を開いた後は、きれいに内臓を取り除きましょう。 4.次に中骨にそって包丁を入れ、3枚におろします。 5.身の部分に残っている腹骨をきれいにそぎ落とせば、開き方は完了です。
ニギスのいろいろな食べ方
幅広い用途に使えるニギス
深海魚のニギスは、見かけによらず美味しいのが魅力です。鮮度のいいものならお刺身にして食べることもできます。オーソドックスに天ぷらやフライ、煮つけ、焼き魚などにしてもおいしいですね。
ニギスは、白身魚なのでバターでソテーしてもおいしくいただけます。
おいしい旬のニギスは、和食から洋食まで様々な調理に活用できます。クセのない白身魚なので、調理法を工夫すれば料理にバリエーションを持たせることができるでしょう。
新鮮なニギスはお刺身がおすすめ
新鮮なニギスの食べ方でおすすめなのは、やはりお刺身ですね。釣りあげたその場でさばけば、鮮度の良い絶品の刺身を味わうことができるでしょう。
鮮度を保ちにくいといわれるニギスですが、釣りたてなら安心して味わうことができます。特に旬のニギスは、脂がのって美味しいのでおすすめの一品です。
ニギスの人気料理レシピ①【お味噌汁】
ニギスの団子汁
材料 材料 (5人分) にぎすのすり身300g A みそ大さじ1 A しょうが汁小さじ1 A 酒大さじ1 大根1/8本(120g) 人参1/3本(60g) 里芋2個(80g) ごぼう1/4本(60g) 長ねぎ2/3本(40g) みそ大さじ1 しょうが汁 小さじ1 だし汁 600cc
ニギスの団子汁に関する主な材料は次の通りです。食材の量は、5人分となります。家族の人数などに合わせて、材料を増減させましょう。寒い季節なら、多めに作っておいても体が温まる料理として重宝しますね。
団子汁の作り方
1.にぎすのすり身をまな板に置き、包丁でたたく。Aを加え、よく混ぜる。 2.大根、人参は皮をむき、5mm厚さのいちょう切りにする。里芋は皮をむき、5mm厚さの半月切りにする。 3.ごぼうは縦に2つ切りにしてから、斜め薄切りにする。長ねぎは小口切りにする。 4.鍋にだし汁を入れ、2の野菜と、3のごぼうを入れて煮る。野菜に火が通ったら、1のすり身を適当な大きさに丸めながら入れる。 5.すり身が浮き上がってきたら、そのまま1~2分煮る。みそを溶き入れ、3の長ねぎとしょうが汁を加える。
ニギスの団子汁は、秋から冬にかけて体が温まる料理ですね。団子を作る際のニギスのすり身が手に入らない場合は、ニギス本体を開いた後にたたいて細かくするとよいでしょう。レシピ以外でもお家の冷蔵庫で眠っている野菜や根菜類を加えてみるのも栄養満点でおすすめです。
ニギスの人気料理レシピ②【天ぷら】
ふんわり☆にぎすのシソ巻き天ぷら
材料 (2人分) にぎす8尾 塩適量 大葉8枚 玄米粉(or米粉や小麦粉)大2 ■ *衣* 卵黄 1個 水(or炭酸水)卵黄と合わせて100cc 玄米粉(or米粉)40g 揚げ油 300cc ■ *あしらい* 大葉適量 レモン適量 一味唐辛子 お好みで
普通の天ぷらとしての食べ方もいいですが、ひと手間かけてシソを加えることでよりおいしい天ぷらを味わうことができるでしょう。サクッたした衣の歯ごたえとふんわりとしたニギスの身、そしてシソの風味が絶妙にマッチした一品です。
天ぷらの作り方
1.開いたニギス1尾に大葉を1枚、頭側にのせます。 2.くるくる巻いて尻尾のところで楊枝で止めます。 3.玄米粉をまぶします。 4.玄米粉をボウルに入れ卵液を加え菜箸でざっと混ぜ衣を作ります。 5.衣にシソをまいニギスをくぐらせ、後は揚げるだけです。
ニギスの身でシソを巻き込む形が、食卓の演出を高めてくれるでしょう。いつもの天ぷらとは少し違った趣を与えてくれるのがいいですね。調理の際にも、下ごしらえで子供と一緒にひとつひとつ巻きあげるのも楽しいものです。
ニギスの人気料理レシピ③【フライ】
ニギスのフライ
材料 (2人分) ニギス4匹 キャベツの葉3枚 ししとう6個 トマト1個 ○塩コショウ適量 ○卵1個 ○小麦粉・パン粉適量 揚げ油 適量 ■ タルタルソース キュウリのピクルス1本 塩漬けラッキョウ3個 ゆで卵1個 マヨネーズ大さじ2杯
彩もよく子供に魚を食べさせるのにおすすめの料理だといえるでしょう。煮魚や焼き魚が嫌いだという子どもにもタルタルソース付のフライなら食べやすいですね。
外はかりっとしていて、中の身がふっくらとした揚げたてのフライにタルタルソースをつけて食べれば、ご飯の量も多くなりそうですね。
フライの作り方
1.ニギスは塩コショウをして小麦粉、溶き卵、パン粉の順につけてからっと揚げる、ししとうは素揚げにしておきます。 2.キャベツは千切りして冷たい水にサーッと入れてザルに上げておく、トマトはくし型に切る。 3.ピクルスのキュウリ、ラッキョウはみじん切りゆで卵は荒みじんにしてマヨネーズと合わせておきます。 4.器に盛りフライにタルタルソースをかけて出来上がりです。
このワンプレートだけでもご飯がすすみそうですね。食卓の彩もにぎやかで、食事が楽しくなります。自家製のタルタルソースで、家庭の味を演出することもできるでしょう。タルタルソースは、作り置きしておけば別のフライ料理にも便利ですね。
ニギスの人気料理レシピ④【焼き魚】
ニギスの塩焼き
ニギスの塩焼きをおいしくいただくポイントは、その鮮度です。ニギスの鮮度の見分け方は、澄んだ目と透き通った身です。お店などで選ぶ際には、ニギスの目の澄み具合や身の透明度を見極めたから購入しましょう。旬のニギスは脂ものっていて、シンプルな塩焼きにしてもおいしいですね。
塩焼きの作り方
塩焼きは、オーソドックスな調理方法なので、家庭でも簡単に作ることができます。うろこをきれいに落としたニギスから内臓を取出し、後は塩を振りかけて焼くだけです。
この時注意する点は、水気をしっかりと拭いてやることです。余分な水があると、折角のニギスのうまみが落ちてしまいます。
塩を振るタイミングは、焼く少し前ぐらいに準備しておくとよいでしょう。串をうって炭火で焼き上げとおいしさが増します。家庭の場合は、フライパンで焼き上げるのも簡単な調理法です。
ニギスの人気料理レシピ⑤【煮つけ】
煮つけの作り方
通常の煮つけと同じように用意する調味料は、醤油・酒・みりん・砂糖です。分量の目安としては、砂糖の比率を1として他の分量の比率が3になるように調節しましょう。
合せた調味料にニギスをいれ、ニギスが浸る程度に水を加えます。その後、少し弱めの中火で煮ていきます。冷めた煮つけは、味がニギスの身まで浸透して美味しく召し上がれます。
ニギスの賢い保存方法
一夜干しにする
ニギスは、鮮度がすぐに落ちてしまうので長期保存をするなら干物にするのが一番良い方法です。自宅でも簡単にできる干物の作り方としては、一夜干しがあります。
作り方は、次の通りです。干したニギスは、2~3日中に塩焼きなどで食べるとよいでしょう。 1.水気を良く拭き取ったニギスに塩・酒を万遍なく振り掛けましょう。
2.準備が整えば、日当たり良好な風通しの良い場所で干します。 3.充分に乾燥させれば完成です。
丸干しにする
丸干しにするニギスは、できれば鮮度の良いものを選びましょう。ニギスの鱗を取り除いた後は、綺麗に水洗いします。その後、20分~1時間程度塩水につけておきます。
塩分の目安は、5~15%がおすすめです。脂が多いものは、塩の回りが早いので少なめの塩加減にするのがポイントです。つけ終わったニギスは、軽く水洗いしてしっかりと水けをとります。
その後、網などの上で天日干しにし魚の表面が乾いてきたら、ひっくり返して両面を充分に乾燥させます。乾燥具合の目安としては、目の部分がくぼんで来たら完成です。
ニギスを通販で購入
下処理済みで便利なパック
生ニギス
ニギスを食べたいけれども下処理が面倒という方におすすめの商品です。下処理がすでにされているので、届いたら後はそのまま料理に使うだけ。
冷凍保存されているので、そのまま冷凍しておけばある程度の期間保存しておくことも可能です。塩焼きや天ぷら、フライなどいろいろな料理にすぐに使うことができます。
贅沢な干物のセット
「浜焼き」セット
Amazonや楽天では、ニギスの丸干しなどを通販で購入することができます。ニギスだけでなく他の干物とセットになった商品もあり、干物好きにはたまりませんね。
脂ののった新鮮なお魚を干物にした贅沢な味わいは、贈り物としても最適です。お酒の好きな方や食通の方にも喜ばれる商品だといえるでしょう。
まとめ
様々な調理に使える食材
ニギスは、焼き魚や煮物、刺身などの和食だけでなく洋食のバターソテーといった食べ方もできる食材です。値段もお手頃で、家庭で調理する食材にはピッタリだといえるでしょう。
深海魚という見た目に反し、旬を迎えるニギスのおいしさは試してみる価値ありです。
一般的な家庭料理の調理法でおいしくいただけるニギスを魚料理のレパートリーに加えてみるのもいいでしょう。
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