スキューバダイビングとは?
スキューバダイビングは、背中に装着した空気タンクにより呼吸をしながら海や湖の水中に潜るレクリエーショナル・スポーツです。通常、水深15mから30m程まで潜水し、30分~1時間程度の水中遊泳を楽しみます。最近では魚や水中風景の撮影が人気です。
スキューバダイビングのライセンスは国家資格?
よく「ダイビングのライセンスを持っている」や「ダイビングの免許ってどうやって取るの?」という話を聞きます。しかし実際には、スキューバダイビングの資格はライセンスでも国家資格でもなく、サーティフィケーションです。
あれ?ライセンスじゃないの?
【ライセンスの例】医師免許(厚生労働省)、船舶操縦士免許(国土交通省)、007殺しのライセンス(MI6)
licence :(公式の)認可、免許、認可、免許状、認可書、鑑札、(行動の)自由、自由、放縦、気まま
サーティフィケーションとは?
【サーティフィケーションの例】華道の免状(池坊)、日商簿記検定1級(日本商工会議所)、PADIオープンウォーターダイバーCカード(PADI)
certification:証明、検定、認可、証明書、精神異常の証明
スキューバダイビングは結局どっち?
ダイビング指導団体が使う「サーティフィケーション・カード」という言葉通り、サーティフィケーションが正解です。「ダイビングのライセンス」はちょっとおかしな和製英語と言えるでしょう。とは言っても、日本のダイビングスクールでは何故か「ライセンス」と言われ続けてきたので、慣習として定着しているのは「ライセンス」の方なのです。ちなみに英語では「Certified diver」と呼ぶのが一般的です。
潜水士は国家資格
ダイビングスクールで取得するCカードは国家資格ではありませんが、厚生労働省が認定する「潜水士」という国家資格もあります。こちらは、ダイビングインストラクターや水中作業者、海上保安庁の潜水士などが、水中で業務を行うにあたって必要となる資格です。当然、オープンウォーターダイバーのようなアマチュア・ダイバーが取得する必要はありません。
スキューバダイビングのCカードって?
Cカードとは、「Certification Card(サーティフィケーション・カード)」のことです。スキューバダイビングを楽しむためには、一般的にダイビングスクールでCカードを取得する必要があります。
Cカードがなくてもスキューバダイビングは楽しめる?
Cカードを持たずにスキューバダイビングを行ったとしても、少なくとも日本国内では法律に違反することはありません。ただ、器材の正しい扱い方や減圧などについての知識を持たずに潜るのは非常に危険な行為です。また、ダイビングスクールでCカードを取得していないゲストを潜らせるダイビングガイドはいませんし、タンクを貸してくれる業者もいないでしょう。以上の理由から、ダイビングスクールでCカードを取得せずにスキューバダイビングを楽しむことは実質的に不可能と言えます。
体験ダイビングでもCカードは必要?
体験ダイビングは、ダイビングスクールでCカードを取得していない方を対象としたプログラムです。ダイビングスクールでCカードを取得しているダイバーは、水深20m前後まで自分の責任と意志で自由に遊泳できます。一方、体験ダイビングではインストラクターの保護の元、水深5m前後の海底に着底して岩礁に群れる魚を鑑賞する、といったスタイルが一般的です。
Cカードは更新が必要?
アマチュア・ダイバーがダイビングスクールで取得したCカードは、定期的な更新の必要はありません。紛失した場合は発行した団体に申請すれば再発行が可能です。結婚などにより姓が変わった場合は、Cカードの氏名を変更しておいたほうがよいでしょう。特に海外でスキューバダイビングに参加する場合は、パスポートと照合される場合があるのでご注意ください。
スキューバダイビングのCカードは誰が発行する?
スキューバダイビングのCカードは、ダイビングスクールのインストラクターが認定し、スキューバダイビング指導団体が発行します。
スキューバダイビング指導団体とは?
スキューバダイビング指導団体は、アマチュアダイバーへの安全潜水の教育や、プロフェショナルダイバーの育成を行う営利もしくは非営利の団体です。日本だけでもおよそ30の指導団体が存在し、各団体はオリジナルの理念・方針によってダイバーを指導しています。
スキューバダイビング指導団体.1【PADI】
PADIは、世界最大規模のスキューバダイビング指導団体です。世界180以上の地域に13万人以上のプロフェッショナルダイバーを擁し、5,800以上の加盟ダイビングスクールを持つ、ワールドワイドな組織です。日本国内でも、PADIのCカードを持つダイバーが最多数であると言われています。体力や泳力に自信がない方へも丁寧に指導するスタイルが特徴的です。比較的短い期間と少ない費用でCカードが取得できます。
スキューバダイビング指導団体.2【NAUI】
NAUIはダイビングの歴史とともに成長してきた世界最大級の指導団体です。世界中で6万人を超えるプロフェッショナルダイバーが活躍中。日本国内でもNAUIのCカード保持者は多く、特に体育大学出身者にNAUIプロフェッショナルダイバーが多いと言われています。より安全性に重きをおいた理念から、講習参加者にある程度の泳力を求めることが特徴的です。
スキューバダイビング指導団体.3【その他】
PADIとNAUI以外でも、SSIやCMASといったインターナショナルな指導団体や、JP、JUDF、ADSなど日本で設立された指導団体もあります。規模や費用といった基準だけでなく、それぞれの理念や方針、自分のダイビングスタイル(海外中心など)に合わせて選ぶとよいでしょう。
オープンウォーターダイバーって?
スキューバダイビングを始めるにあたって、最初に取得する種類のCカードがオープンウォーターダイバーです。
オープンウォーターダイバーはダイビングの小学生
体験ダイビングのプログラムを幼稚園とすれば、オープンウォーターダイバープログラムはスキューバダイビングの小学校です。ここで基礎的な知識や器材の扱い方、安全な潜水技術を学びます。中学校(アドバンスド・オープンウォーターダイバー)、高校(レスキューダイバー)、大学(マスタースキューバダイバー)に繋がっていく階段の最初のステップです。
オープンウォーターダイバーは自立したダイバー
オープンウォーターダイバーになれば、自分で潜水計画を建て、自分で器材をセットして、自分の意志と責任で自由にスキューバダイビングを楽しめます。日本人はプロフェッショナルダイバーにガイドしてもらうスタイルが一般的なのですが、欧米人はガイドなしでダイビングするスタイルを好む傾向があります。ガイドを付けない場合でも、後述するバディシステムは絶対に守らないといけません。
オープンウォーターダイバーが潜水可能な場所
スキューバダイビングの小学生であるオープンウォーターダイバーは、潜水可能な場所が限定されています。「オープンウォーター」というその名前が示す通り、水面が開けた場所でのみのダイビングが可能です。「クローズドウォーター」である洞窟や沈没船、流氷などでのスキューバダイビングを楽しむためには、次のステップに進む必要があります。
オープンウォーターダイバーが潜水可能な深度
オープンウォーターダイバーが潜水可能な深度は18mです。一般的なスキューバダイビングは水深20m前後を遊泳することが多いので、十分に楽しめると言えます。しかし、水深30mに横たわる沈没船を探検したり、深い海に暮らす珍しい生物を見るために、18mを超えるダイビングは頻繁に行われています。レクリエーショナルダイバーの限界は30m程度と言われていますが、時には30mを超えて潜水する場合もあるのです。
オープンウォーターダイバーはバディダイブができる
バディダイブとは、ダイビングガイドを付けないで、例えばカップルだけでスキューバダイビングを行うことです。日本ではあまり一般的ではないのですが、海外リゾートでは多く行われています。オープンウォーターダイバーのCカードを取得すれば、このバディダイブを楽しめるのです。
バディシステムとは?
バディシステムは、潜行計画や器材のチェック、ダイビング中の安全管理まで、二人でバディ(相棒)を組んで行う仕組みのことです。スキューバダイビングでは、このバディシステムにより安全を担保しています。バディと言えば映画「海猿」で有名になりましたが、仙崎と池澤のように永続的な関係ではなく、ダイビングをするごとにバディを替えて大丈夫です。
オープンウォーターダイバーのCカード取得で必要な期間は?
オープンウォーターダイバーのCカード取得では、「学科講習」、「プール実習」、「海洋実習」を4日間で行うのが標準的な期間です。3日間、なかには2日間で取得できることをアピールしているショップも見受けられるようですが、Cカード取得後に安全で快適なスキューバダイビングを楽しむためには、時間をかけてしっかりとした知識と技術を身につけることが重要です。
ライセンス取得期間.0日目【eラーニング】
最近は講習に参加する前に、eラーニングを受講できるWEBサイトを用意しているダイビング指導団体が増えてきました。eラーニングなら、24時間いつでもどこでも学科講習を受講できるので、忙しい方にはおすすめです。インストラクターから直接教わりたい方は、店舗講習を実施しているスクールを選びましょう。
ライセンス取得期間.1日目【学科講習、プール実習1】
事前にeラーニングを受講していれば、スクールでは知識の確認をするためのテストを1時間程度で実施します。eラーニングを利用していない場合は、6時間程度の講習を受ける必要があります。プール実習は、ダイビング器材のセット方法から始まります。
ライセンス取得期間.2日目【プール実習2】
プール講習は6~8時間程度を必要としますので、体力や泳力に自信がない方は2日間に分けての受講をおすすめします。プール実習では、「水中での呼吸方法」から始まり、「BCDでの中性浮力の取り方」、「水中でのマスククリアの方法」など、安全で快適なスキューバダイビングを楽しむために必要な技術をひと通り実施します。
ライセンス取得期間.3日目【海洋実習1】
海洋実習は4ダイブ行われます。1日2ダイブで2日間行うのが一般的です。1日目は初めての海中遊泳を楽しみながら、プール実習の復習も兼ねて「レギュレーターのリカバリーとクリア」、「バックアップ空気源の使用と浮上」などの技術を実習します。
ライセンス取得期間.4日目【海洋実習2】
海洋自習では、1回の講習で45分ほど潜ります。ダイビング間には1時間以上の休憩が必要なので、午前中で1回、午後に1回と分けて実習を行うのが一般的です。海洋実習2日目では、「ダイビングの計画」や「水中での器材の脱着やマスククリア」などの実習を行います。「水深5mからの緊急浮上」などハードな訓練をクリアできたら、オープンウォーターダイバーの誕生です。
スキューバダイビングのCカード(ライセンス)はどこで取得できる?
スキューバダイビングのライセンスを取得するには、各スキューバダイビング指導団体に加盟するダイビングスクールが開催する講習に参加するのが一般的です。ダイビングスクールには主に「都市型ショップ」、「国内リゾート」、「海外リゾート」の3種類があります。
Cカード(ライセンス)を取得する費用.1【都市型ダイビングショップ】
東京や大阪などの都市部には、多くのダイビングショップがあります。都市型ショップでは、学科講習はお店、プール実習は近郊の室内プールで行い、海洋実習はスキューバダイビングができる近場の海(関東であれば静岡県の伊豆、関西であれば和歌山県の串本や白浜)で行います。自宅近くのショップを選べば、1週目の平日に学科、2週目の週末にプール実習、3週目の週末に海洋実習といったようにフレキシブルなスケジュールを組めるというメリットがあります。
都市型ショップでCカード(ライセンス)を取得する場合の講習費用
都市型ショップでオープンウォーターダイバーのCカードを取得する場合、費用の相場は6~8万円です。こちらには、器材レンタル代、保険料、試験代、カード発行料金も含まれているのが一般的です。この他に、海洋実習のための交通費や宿泊代が必要となる場合があります。
Cカード(ライセンス)を取得する費用.2【国内ダイビングリゾート】
沖縄や奄美諸島といった国内のダイビングリゾートでもオープンウォーターダイバーのCカードを取得できます。最短で3泊4日の旅行中に、ぎゅっと凝縮した講習を行うのが特徴です。ダイビングリゾートでは、プール講習の代わりに限定水域(湾内やビーチなどおだやかで流れの少ない海域)で最初の実習を行うことが多いです。
国内ダイビングリゾートでCカード(ライセンス)を取得する場合の講習費用
沖縄でオープンウォーターのCカードを取得する場合の講習費用は、3~5万円が相場です。この料金には沖縄までの航空機料金とホテル宿泊代は含まれていません。なかには提携するホテル宿泊と航空機、講習費用がセットになったお得なパックを販売しているショップもあるようです。
Cカード(ライセンス)を取得する費用.3【海外ダイビングリゾート】
グアムやサイパンといった海外のダイビングリゾートでも、オープンウォーターダイバーのCカードを取得できます。海外といっても、日本人のスタッフが日本語で講習を実施しますので、英語が話せなくても大丈夫。日本とは雰囲気の違うリゾートで、バカンスを満喫しながらCカードも取得できるのが海外リゾートの最大のメリットです。
海外ダイビングリゾートでCカードカード(ライセンス)を取得する場合の講習費用
海外リゾートでオープンウォーターダイバーのCカードを取得する場合、航空機料金、ホテル宿泊代と講習料金がセットになったパックツアーが人気です。サイパンの場合、エコノミーホテル宿泊、5日間で10~15万円が相場となります。海外リゾートで取得する場合は、テキスト代やCカード申請費が料金に含まれていない場合が多いようです。
スキューバダイビングCカード(ライセンス)の資格の種類とランク
スキューバダイビングのCカードには、さまざまな種類の資格があり、オープンウォーターダイバーから始まるランクがあります。各ダイビング指導団体により呼称は少し異なりますが、ほぼ同様のランクが設定されています。時間をかけてステップアップしていくこともスキューバダイビングの愉しみの一つです。
資格の種類.ランク1【オープンウォーターダイバー】
ダイビングスクールで取得するCカードの種類のランクは、オープンウォーターダイバーから始まります。世界中の海を潜ることができますが、潜水可能深度が18mまでなど限定付きのカードです。
資格の種類.ランク2【アドバンスドオープンウォーターダイバー】
オープンウォーターダイバーの次のランクがアドバンスドオープンウォーターダイバーです。水深30mへのディープダイビングやナイトダイビングが楽しめるようになります。
資格の種類.ランク3【レスキューダイバー】
アドバンスドオープンウォーターダイバーの上のランクがレスキューダイバーです。不測の事態に備え、セルフレスキューや溺水者救助のトレーニングを行います。
資格の種類.ランク4【マスタースキューバダイバー】
アマチュアダイバーが持つCカードの種類で最上のランクがマスタースキューバダイバーです。経験を積んだダイバーのみが到達できる、全てのダイバーの目標となります。
資格の種類.ランク5【ダイブマスター】
アマチュアダイバーを卒業して、プロフェッショナルダイバーの世界に足を踏み入れるのなら、まず取得するのがダイブマスターです。ダイブマスターになれば、仕事としてガイドできるようになります。ダイブマスターになるためには相当な期間の訓練が必要です。
資格の種類.ランク6【ダイビングインストラクター】
講習を開催できるダイビングインストラクターにもさまざまなランクのCカードがあります。アシスタントインストラクターから始まり、最高峰のコースディレクターに上り詰めるまでには、多くの費用と期間を要するでしょう。
スキューバダイビングのライセンス取得方法まとめ
今回の記事では、スキューバダイビングのライセンスを取得する方法や場所、費用と期間について詳しくお伝えしました。自分にぴったりのダイビングスクールを見つけて、素敵なダイビングライフをスタートしてくださいね。
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