近畿の最高峰「八経ヶ岳」について
八経ヶ岳は大峰山脈の主峰で標高は1,915 mあります。奈良県の最高峰でもあり、近畿の最高峰でもあります。奈良県吉野郡天川村と上北山村の境に位置している山です。日本百名山のひとつに数えられています。別名を八剣山(はちけんざん)とも呼ばれます。役行者が法華経8巻を埋納したとの言い伝えがあり、仏経ヶ岳(ぶっきょうがたけ)とも呼ばれることもあります。
アクセスしにくい百名山
八経ヶ岳がある山域は近くて遠い山と言われるほで交通の便があまりよくなく、登山口行のバスがないという場所もあります。道路も道幅が狭く山肌を縫うように走っていて、近畿からでも結構時間がかかるエリアです。
運が良ければ富士山も
本当に近畿から富士山が見えるのかと思ってしましまいますが、近畿の最高峰八経ヶ岳から富士山が見れます。いつも見れるわけではありませんが、台風が通り過ぎ去り、大気が澄み切っていて快晴というような条件が揃っていることが前提です。
八経ヶ岳がある大峰山脈について
大峰山脈は近畿の屋根といわれ、東側は吉野川、北山川、西側は十津川が流れています。
位置
大峰山脈は紀伊半島の真ん中、奈良県南部と一部和歌山県にまたがる位置にあります。近畿の最高峰八経ヶ岳を始め、山上ヶ岳、行者還岳、稲村ヶ岳、釈迦ヶ岳など標高1,200m以上の山々が連なります。
気候
奈良県北部で天気が良くても南へ行くほど雲行きが怪しくなってくるようなことがよくあります。大峰山脈は日本でも有数の雨が多く、天候が不安定な場所です。降水量は年間1,500〜2,500ミリに達します。
初心者でも大丈夫、八経ヶ岳日帰り登山
八経ヶ岳の登山口までの交通手段が限られてしまいますが、初心者には行者環トンネル西口からの日帰り登山をおすすめします。マイカーを使えるなら、朝早くに大阪を出発して行者環トンネルへ向かうと、近畿の最高峰八経ヶ岳への日帰り登山ができ、眺望を楽しんだ後は下山後の温泉で疲れを吹き飛ばして帰路に付けます。
八経ヶ岳登山のおすすめシーズン
春から初夏の花のシーズン
5月下旬から6月上旬は、シロヤシオやシャクナゲの花が見ごろを迎えます。6月から7月初旬は、絶滅危惧種に指定されているオオヤマレンゲの花が見ごろを迎えます。花のシーズンは梅雨の時期と重なってますが、多くの登山客でにぎわいます。
紅葉
近畿の最高峰にはブナの原生林があります。10月中旬から11月初旬にかけて紅葉が一面に広がります。赤や黄色に染まった山々はとてもきれいです。この紅葉を見ようとこの時期もかなりの登山客が訪れます。秋になると日の入りが早くなってきます。早めに下山できるように計画を練ってください。
八経ヶ岳への2つの登山口
天川川合または行者環トンネル西口からの登山口を利用するのが一般的です。天川川合までは、奈良交通のバスがあります。行者環トンネル西口へはマイカーまたは天川川合からタクシーの利用になります。登山初心者や八経ヶ岳初心者には、行者環トンネル西口の登山口から近畿の最高峰八経ヶ岳を目指すルートをおすすめします。
八経ヶ岳の登山口①(天川川合)
アクセスルート
公共交通機関を利用する場合は、まず、近鉄下市口駅まで行きます。 大阪方面からは、近鉄阿倍野駅から、近鉄特急(吉野行)で約1時間です。 京都方面からは、近鉄京都駅から、近鉄特急(橿原神宮前乗り換え)で約1時間30分です。 下市口駅から奈良交通のバスに乗り換えて54分ほどで、天川川合に到着します。
八経ヶ岳の登山口②(行者環トンネル西口)
アクセスルート
公共交通機関がありません。天川川合からタクシーを利用することになります。タクシーで約30分です。マイカーの場合、行者環トンネル西口に駐車場があります。駐車場は1日1,000円で、30台ほど駐車できます。梅雨時期でも、行者環トンネル西口の駐車場は花のシーズンのため登山客で混んでいる場合がありますので、早めに到着するようにしてください。
行者環トンネルからの八経ヶ岳登山
初心者なら、行者環トンネル西口にある登山口からアクセスするルートをおすすめします。
頂上へのアクセスルート
行者還トンネル西口の登山口から弥山小屋を経て近畿の最高峰八経ヶ岳山頂を目指します。登山口は行者還トンネル西口にある駐車場のすぐそばにあります。登山口から奥駈道出合~聖宝の宿~弥山を経て八経ヶ岳頂上を目指すルートです。
所要時間
登山口から近畿の最高峰八経ヶ岳の頂上までの所要時間はおおよそ次のとおりです。あくまでも参考の時間です。荷物や天候によって所要時間は異なります。 登山口~奥駈道出合:1時間 奥駈道出合~聖宝ノ宿跡:1時間10分 聖宝ノ宿跡~弥山:50分 弥山~八経ヶ岳:35分
難易度
日帰りできるルートです。初心者向きです。初心者にも特に難しいコースはありませんが、登山口から稜線へ出るまでは、結構急な登りです。
天川川合からの八経ヶ岳登山
近畿の最高峰八経ヶ岳へアクセスするもうひとつのルートです。行者環トンネル西口からのルートより距離が長くなります。日帰りも可能ですが、初心者のかたは余裕を持たせるために、途中での宿泊することをおすすめします。
頂上へのアクセスルート
天川川合から栃尾辻を経て近畿の最高峰八経ヶ岳頂上へアクセスするルートです。登山口は天川村役場のそばにあります。登山口は天川村役場の近くにあります。登山口~栃尾辻~狼平避難小屋~弥山を経て八経ヶ岳頂上を目指すルートです。
所要時間
登山口から近畿の最高峰八経ヶ岳の頂上までの所要時間はおおよそ次のとおりです。あくまでも参考の時間です。荷物や天候によって所要時間は異なります。 登山口~栃尾辻:2時間40分 栃尾辻~狼平避難小屋:2時間 狼平避難小屋~弥山:1時間 弥山~八経ヶ岳:35分 途中で宿泊できる山小屋は弥山小屋です。テントやシュラフ持参なら、栃尾辻の避難小屋か狼平避難小屋を利用できます。
難易度
初心者にも特に難しいコースはありません。日帰りとなると行者環トンネルへ下山するにしても距離が長くなってしまいます。初心者だけでなく登山するかたは長時間の歩行に対応できる充分な体力が必要です。
八経ヶ岳へ日帰り登山するときの装備
特別な装備は必要ありません。通常の登山のときの装備で十分です。何かトラブルがあって下山が遅れるなど思いのほか時間がかかってしまうことがあります。日帰りでも、ヘッドライトは持参しましょう。雨の多い地域です。日帰りでも天候が急変するときがあります。下界は晴れていても登山中に雲行きが怪しくなることがあります。雨具の用意は忘れないようにしましょう。
八経ヶ岳登山のあとに
登山のあとは汗と疲れを流した。近くにあるなら温泉は外せないと思いませんか。特に、雨にやられたときはゆっくりと温泉に浸かって疲れを吹き飛ばしてから、帰宅するのもいいものです。2つの登山口から少し足を延ばせば、日帰り温泉があります。
洞川温泉センター
洞川温泉バス停から徒歩で5分のところにある日帰り温泉施設です。泉質は弱アルカリ性単純泉です。 電話:0747-64-0800 営業時間:11:00〜20:00 休日:毎週水曜日
天の川温泉センター
天川川合から車で約10分、天河大弁財天社の近くにあります。泉質はナトリウム、炭酸水素塩泉です。 電話:0747-63-0333 営業時間:11:00~20:00 休日:毎週火曜日
八経ヶ岳登山での宿泊
大峰山系の登山口へのアクセスは公共交通機関に限りがあり、近畿圏からでもアクセスに時間がかかってしまいます。それゆえ、近くて遠い山と言われています。前日に登山口近くまでアクセスしてそこで宿泊して、翌日に登山するという計画も考慮していたほうが良いかもしれません。移動だけで疲れてしまっていると初心者でなくとも身体的にもきついです。
天川川合で宿泊
天川村の中心地で天川村役場などがあるエリアです。天川川合のバス停周辺の旅館やキャンプ場で宿泊できます。
洞川温泉で宿泊
避暑地としても親しまれている趣のある温泉街です。昭和の佇まいが残っていて、水がきれいな場所です。観光客にも人気があります。名水を使った豆腐やさんなどがあります。宿泊施設としては、旅館や民宿が20数軒立ち並んでいます。
弥山小屋で宿泊
弥山山頂にある山小屋です。営業期間は4月下旬〜11月中旬までです。料金は1泊2食で、8,000円、素泊まりで5,500円です。電話で予約してください。電話番号は0747-52-1332(弥山小屋)です。テント設営可能です。
狼平避難小屋で宿泊
狼平避難小屋はログハウス風の建物で避難小屋と思えない立派なものです。宿泊にはシュラフなどを持参してください。トイレはありません。避難小屋ですので、建物はそれほど大きくはありません。15名ぐらい宿泊できます。狼平避難小屋周辺で5張ほどテントを設営できます。
八経ヶ岳を経由して他の山への登山
八経ヶ岳から大峯奥駆道を通って吉野方面あるいは熊野方面へ縦走できます。吉野方面に行くと行者還岳があり、熊野方面へ行くと釈迦ヶ岳があります。
難易度
大峯山系で宿泊できる山小屋は弥山小屋ぐらいしかありません。小屋があったとしても避難小屋レベルです。途中で宿泊するような登山ルートを計画した場合には、宿泊先はテントになります。歩行距離も長くなる傾向にあります。
大峯奥駆道とは
大峯奥駈道は、吉野と熊野を結ぶ修験道で、熊野古道の中で最も険しい道とされています。大峯奥駈道は、修験道の開祖である役の行者が開いた山岳信仰の道です。吉野から熊野本宮大社まで全長100キロを超える道になります。縦走するには6日間ほど必要です。八経ヶ岳はその大峯奥駈道の途中にあります。ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつです。大峯奥駈道は「参詣道」ではなく「修行道」のため、普通の登山とはちょっと違う雰囲気を味わうことができます。
冬の八経ヶ岳登山
冬期は結構な積雪があります。霧氷など冬山の美しさを体験できる場所です。当然、アイゼンなどの冬山装備が必要になります。初心者でもチャレンジできるレベルですが、初心者の人は経験者と同行することをおすすめします。冬期は道路が閉鎖になったりします。そのため入山できる登山口も限定されます。道路の閉鎖状況等をご確認のうえ、登山を計画してください。
八経ヶ岳がある天川村のスポット
せっかく時間をかけて天川村まで来たのだから、温泉だけ入って日帰りするのではなく、もう少し天川村を楽しみたいというかたのために天川村の観光スポットをいくつか紹介します。
天河大辨財天社
天河神社とも呼ばれています。天川川合のバス停より徒歩で約30分のところにあります。日本の三大弁天の1つとされています。中央に弁才天女、右に熊野権現、左に吉野権現(蔵王権現)をお祀りしています。弘法大師も訪れたと言われています。弁財天女は音楽や芸能の神様でもあるため、芸能関係のひとが多く参拝しています。
みたらい渓谷
天川川合のバス停より徒歩で約45分のところにあります。関西でも美しいといわれている渓谷です。エメラルドグリーンに輝く清流は神秘的です。川沿いに遊歩道が整備されています。天川村川合バス停から、みたらいの滝を経て、洞川温泉まで約7.4キロのハイキングが可能です。大きな岩や滝、深い淵などの美しい自然を手軽に楽しめます。
ごろごろ水
洞川温泉のバス停から徒歩で40分のところに奈良県の天然記念物に指定されている五代松鍾乳洞があります。その鍾乳洞のすぐ近くに湧水があり、そのうちのひとつが「ごろごろ水」と呼ばれています。環境庁選定の名水百選に選ばれています。水はただで飲めますが、マイカーの場合駐車場代として500円必要です。
五代松鍾乳洞
五代松鍾乳洞へはまず、ごろごろ茶屋よりモノレールに乗って行きます。ごろごろ茶屋はごろごろ水採取場にあります。モノレールといいながら、山仕事のための簡易的なモノレールで、山の斜面を登っていきます。鍾乳洞へ行くまでに、スリリングな体験ができます。鍾乳洞は奥行きが80m以上あります。鍾乳洞の内部に入ると、鍾乳石や石柱、石筍が浮かび上がり、自然の神秘を実感できます。 入洞料は、大人400円で小人200円です。 トロッコ乗車料金は、上りが大人300円で小人(小学生まで)200円、 下りが大人200円で小人(小学生まで)100円です。4歳未満無料となっています。
まとめ
行者環トンネルができたおかげで、アクセスも良くなり、近くて遠い山も随分と身近になりました。そのおかげで近畿の最高峰へ日帰りという選択枝もできました。オオヤマレンゲが咲きほこる時期にぜ訪れてください。
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