ケイジャン料理は刺激的でこくのある味！アメリカ南部のソウルフード
風味豊かなベーススープとスパイスのきいた刺激的な味付けのケイジャン料理は、フランス、スペイン、アフリカの国の食文化がアメリカ南部地方ルイジアナで混ざり合い、新しい味となったクリエイティブな料理なんです。これがアメリカ南部の郷土料理ケイジャンフードとして世界中で受け入れられ、楽しまれています。
サザンフードの原点
ケイジャン料理を含むサザンフード（アメリカ南部料理）の基本は南北戦争（1861～1865年）前のアメリカ南部地方に、奴隷として渡ってきた黒人が作りあげたものです。彼らは白人家庭で下働きをしていました。
アフリカ原産のピーナッツやオクラを自分たちで栽培し、近くの川や海でとれるザリガニやなまず、シーフードをふんだんに使い、調理に工夫をこらしたことによって、郷土料理の源ができあがっていったのです。
KFCもアメリカ南部の郷土料理
KFC（ケンタッキーフライドチキン）も、アメリカ南部ケンタッキー州の郷土料理として世界中で親しまれていますね。おなじみの骨付きチキンですが、当時の白人は胸肉しか食べなかったため、ももなどの骨付き部分を捨てていました。
これを黒人が油で揚げて食べたのがケンタッキーフライドチキンのはじまりです。 アメリカ南部の郷土料理は、長い歴史の中で自然とできたものなんですね。
ケイジャン料理の発祥
ケイジャンフードは誰がどうやって作ったのでしょうか？ ケイジャン料理の成り立ちを簡単にご紹介します。アメリカ南部の郷土料理の歴史は古く18世紀までさかのぼります。
ケイジャンとは
ケイジャンとは、アメリカ合衆国の隣国、カナダのノバスコシア周辺地域がアカディアと呼ばれており、17世紀初頭にフランス領となったためフランスからの移住者が住むようになりました。
ケイジャンはこの地方出身の人という意味の、アカディアンがなまった言葉で、アカディアン→アケイディアン→ケイジャンと変化してできあがった呼び名です。
この人々の一部が政治的な理由で、18世紀中ごろにアメリカ合衆国ルイジアナ州に移住することになります。 このケイジャンの日々の生活の中で工夫された料理が、今アメリカ南部の郷土料理を代表するケイジャン料理となっています
ルイジアナ州ニューオリンズ
ケイジャンフードはアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオリンズで生まれました。ジャズとタバスコの発祥地でもあるニューオリンズは、合衆国の南部、メキシコ湾に面し、ミシシッピ川の河口にある街で、17世紀後半～18世紀中旬の間はフランス領の街でした。
その後も、ニューオリンズは19世紀初頭まで、スペインやフランスに統治されたため、ヨーロッパからの移住者と、アカディア人のケイジャン、それに奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人が混ざり合う、多国籍な街だったのです。
さまざまな国の出身者は、それぞれの国の食文化をニューオリンズにもたらしたのです。
フランス、アフリカ、スペインの食文化のミックス
18世紀中ごろ、政治的な理由で、ルイジアナ州ニューオリンズにはさまざまな国の出身者が集いました。フランス出身者（アカディア人、ルイジアナ支配階級）、アフリカ出身の黒人、スペイン人（ルイジアナ支配階級）、この3カ国の全くちがった傾向の食文化が混ざりあい、特徴のあるケイジャン料理はでき上がっていきます。 当時の各国の料理の特徴です。
・[フランス] たまねぎ、セロリ、ピーマンを炒めてベーススープにする ・[スペイン] ソースに凝るより新鮮な食材をそのまま味わう 香辛料の多用 ・[アカディア アフリカ] 身近な食材で安く空腹を満たせるよう工夫 ケイジャン料理はこの各国の特徴がうまくミックスされ、アメリカ南部の郷土料理となったのです。
ケイジャンのジャンバラヤは、もともとスペイン料理のパエリアだというのもうなずけますね。
ケイジャン料理とクレオール料理
どちらもルイジアナ州ニューオリンズで発展した料理ですが、ケイジャンは庶民、労働者の料理、クレオールは当時支配国フランスとスペインの、ヨーロッパの料理法からなる上流階級の料理でした。
食材はどちらもニューオリンス地産のもので、料理もジャンバラヤなどは共通しています。 二つの料理は影響し合いながら発展して行き、今はどちらも同じルイジアナ郷土料理とされています。
ケイジャン料理 基本のスパイス
スパイシーな風味を作る香辛料は、パプリカを中心に調合しだいでいろいろな風味になります。
ケイジャンミックス
よく使われる代表的なスパイスです。お好みで加減してください。
・パプリカ （ケイジャンスパイスの基本、入れすぎても問題ない） ・唐辛子 （辛いのが苦手な人は少量か除く) ・クミン （入れすぎるとカレー風） ・コリアンダー ・ガーリック ・オレガノ ・タイム （香りが強いので少し） ・グローブ （香りが強いので少し）
・シナモン ※オレガノ、タイム（ハーブ）を入れないとカレー風味に近くなる可能性あり ざっと見るとメキシコ料理のタコスや、インド料理のカレーの香辛料と共通してます。大きな違いはにおい消しに使われるスパイスやハーブが入っていることですね。
タイムやグローブは強烈な香りで肉や魚貝類のにおいを消してくれるものです。ケイジャンは裕福ではなかったため、風味にくせのある野生動物を食べることが多く、調理の工夫によって生まれたのがこのケイジャンスパイスなのです。
スープの煮込み、食材の漬け込み、しあげの風味付けなど使い方はいろいろです。
自分のオリジナル風味を
ケイジャン料理の基本はなんといってもスパイスです。まずは香辛料を何種類か購入し、料理に合わせて自分好みのオリジナルスパイスを混ぜ合わせてつくるのがおすすめのですが、面倒な方はスーパーや輸入食材店でケイジャンスパイスが売られているので買ってしまってもいいですね。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ１
ジャンバラヤアカディアン
冷蔵庫のあまり物で簡単にできるトマトスープのジャンバラヤです。具材、スパイスはお好みで変えてみてください。ペルペッパーは赤パプリカのことですが、なければピーマンで代用できます。トマトスープがお米にしっかりしみこんでおいしそうですね。
細長い形のインディカ米は給水の必要がなく、すぐ調理してもしっかりスープがしみ込みます。パプリカとトマトスープの赤色が食欲をそそりますね。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ２
南部風フライドチキン
衣にバタークリームを使った南部風レシピです。衣にお好みでケイジャンスパイスをいれてください。フライパンで揚げるので少量の油ででき、後始末も楽です。バタークリームとは、クリームからバターを作った時に残った液体で、やや酸味があります。なくてもサワークリーム、ヨーグルトで代用可能です。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ３
フレンチフライドポテト
2度揚げするフレンチフライドポテトです。一回目は低温、2回目は高温で色づくまで揚げます。しあげにケイジャンスパイスをお好みでふりかけてください。いつも食べているポテトフライは南部の郷土料理なんですね。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ４
ケイジャンシュリンプ
シュリンプはエビ。スパイスがよくからまり、食欲をそそります。ブランデーとオリーブオイル、ケイジャンスパイスが合わさって風味豊かなエビ料理です。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ５
ケイジャンシーフード＆クロウフィッシュ（ザリガニ）
具財をスパイス入りのお湯でゆでてから、焼きます。ボイル中にスパイススープが具財にしっかりしみ込んで豊かな風味になります。アメリカザリガニは手に入りにくいので参考までに。食べにくいので手づかみがおすすめ。汚れてもいい服でたべましょう。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ６
オイスターポーボーイ
ケイジャンのサンドウィッチです。牡蠣をつかうのがもともとのポーボーイということですが、海の食材豊富なニューオリンズならではですね。貧しい少年が食べていたということからこの名前がついたそうですが、充分栄養もあり、おいしそうです。牡蠣をサンドウィッチにするという発想は日本にはないものでしょう。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ７
ガンボ
オクラという意味のガンボは、もともとアフリカの野菜です。ビタミン豊富な夏野菜ですがスープに入れると、粘りが適度なとろみとなって、なめらかなスープになります。 ペルペッパー（赤パプリカ）はピーマンで代用可能。
シチューよりさらっとしているので胃にもたれず、食欲がない時にもおすすめのスープです。スパイスはお好みでたしてください。
ガンボスープは、カレーのようにごはんにかけてもいいし、おじやのように中に入れてもいいのでお米の新しい食べ方の一つでしょう。食べるスープですね。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ８
フライドオクラ
日本でもおなじみのオクラの原産地はアフリカなんです。いつものオクラもフライにするとまた違った味になりますね。オクラはビタミンA、B、C、Eがあり、栄養豊富な夏野菜。夏のビールに、日々の食卓にいかがでしょうか？
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ９
バナナフォスター
フライパンにバターと砂糖を溶かし、バナナを絡めます。ポイントはブラウンシュガーを使うので、香ばしいカラメル風味になっていることですね。簡単にできて栄養も豊富なので、疲れているときはうれしい一品です。
ケイジャン料理の簡単おすすめレシピ10
ベニエ
四角い揚げドーナツ、丸型より作りやすく食べやすいのでおすすめの一品です。揚げたてが一番おいしいので早く食べましょう。食べ過ぎに注意してくださいね。
ケイジャン料理 東京のおすすめ店５選！
東京のケイジャン料理店をご紹介します。気軽にアメリカ南部のソウルフードを楽しめる場所で、個性的なおもてなしのお店を選んでみました。近くに行ったらぜひ立ちよってみてください！
東京のおすすめ店１.ダンシングクラブ
ルイジアナスタイルのシーフードレストランです。ハワイやアメリカ西海岸で見られるキャッチスタイル、テーブルに直接ケイジャンシーフードをおき、みんなでわいわい手づかみで食べるという食べ方。味付けはケイジャン料理を基本に、アジアのスパイスがプラスされ、さらに多国籍でグローバルな味へと進化しています。
場所：東京都新宿区新宿3-37-12 新宿NOWAビル 2F アクセス：JR「新宿駅」東南口 徒歩1分、京王線、小田急線、東京メトロ 丸ノ内線、都営地下鉄新宿線 各「新宿駅」から徒歩5分 TEL：03-6380-5151 営業時間 11:30-15:30(LO15:00) 17:00-23:30（LO22:30）
東京のおすすめ店２.soul food house
外国人が多く、国際的だけど家庭的な雰囲気もあるお店です。奥さんが歌手ということもあってか、毎週音楽イベントが開催されており、誰でも参加可能。ご夫婦ともアメリカ南部出身なので、アメリカ郷土料理にはこだわりがあるでしょう。
場所：東京都港区麻布十番2-8-10パティオ麻布十番６F アクセス： 東京メトロ南北線｢麻布十番駅」 都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」から徒歩３分 TEL:03-5765-2148 営業時間 [水～金] 11:00～15:00 [水～土] 17:00～23:00(L.O. 22:00) [日] 11:00～15:00(L.O. 14:00)
東京のおすすめ店３.ボイルストン
東京渋谷で1979年にオープンされ、今も続くアメリカ料理＆バーのお店で、お酒の種類もバーボンを中心に豊富です。料理はケイジャン、テクスメクス（メキシコ風）、和風他多数。雰囲気は60～80年代のアメリカで、家庭的できどらずに行ける場所。20年以上かよう常連客もいます。
場所：東京都渋谷区渋谷1-15-22 上村ビル２Ｆ アクセス：JR・京王電鉄・東京急行電鉄・東京地下鉄「渋谷駅」から徒歩2分 TEL:03-3407-2417 営業時間 土・祝日 18:00～23:30(FOOD L.O. 22:00) ※日月連休の場合は月曜も休みます。
東京のおすすめ店４.フリーフローランチ
料理はケイジャン、スペイン、メキシコ、テクスメクスなどルイジアナ関係の各国の品々。定番ガンボスープはシーフードです。スペイン風生ハム、ガーリックシュリンプなどお酒がすすみそうなメニュー。
もちろんドリンクも各種そろっており、夜の音楽生演奏は投げ銭（チップ）制と、現地の雰囲気をあじわえます。貸しきりパーティーもできるのでチェックしておくと便利でしょう。
場所：東京都豊島区西池袋3-29-3 梅本ビル B1F アクセス 「池袋駅」 Ｃ３出口を出て正面。 「池袋駅」西口出口から徒歩5分 池袋駅から418m TEL:03-5952-6599 営業時間 11:30～14:30（ラーメンのみの提供） 17:00～02:00
東京のおすすめ店５.オットットブルワリー
米野菜は減農、サラダ油不使用、食品添加物を制限など欧米の食品基準もとり入れ、健康を考えた料理になっています。油物の多い南部料理にうれしい配慮ですね。オリジナル地ビール、パーティープランもあり飲み会にもむいているでしょう。
場所：東京都千代田区神田司町2-13 神田第4アメレックスビル 1F アクセス 地下鉄丸ノ内線 淡路町駅 徒歩2分 都営新宿線 小川町駅 徒歩2分 淡路町駅から105m TEL:050-3312-8624 営業時間 月～金ランチ 11:30～14:30 月～金ディナー17:00～23:30 土ディナー 16:00～22:00
まとめ
いかがでしたか？ケイジャン料理のレシピと東京のおすすめ店をご紹介しました。レシピはおおざっぱで細かい計量は必要ありません。アウトドアでも可能なものなのでぜひおためしください。
色とりどりの地産の食材にピリ辛スパイスをからめて食べる、一度食べたらやみつきになりそうなこの味、ご家族や友人とのパーティーにケイジャンフードを楽しんでみてはいかがでしょうか？