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サーモスタットとは?その仕組みや平均寿命・交換方法も徹底解説!

サーモスタットは自動車やバイクに必須の部品です。サーモスタットが故障した場合、エンジンがオーバーヒートを起こす可能性があります。サーモスタットの基本的な仕組みや平均寿命から、交換方法までを徹底解説します!サーモスタットを交換して安心のカーライフを送りましょう。
2020年8月27日
石倉
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はじめに

サーモスタットはエンジンに必須の部品

自動車やバイクを自分で整備する方でもサーモスタットというパーツまでご自身で交換するという方はなかなか少ないのではないでしょうか。このパーツはエンジンなどには必須のものです。

サーモスタットをご紹介!

このパーツが故障しますと、最悪の場合には自動車やバイクは不動の状態になり、エンジンをまるまる交換しなければ修理不可能という事態になってしまいます。今回は、このサーモスタットについてご紹介します。

サーモスタットとは

サーモスタットは「温度調節のための部品」

このパーツの役割は、「温度調節」です。エンジンは車体を動かすために非常に高い温度にまで上昇します。エンジンが高温になりすぎた場合にはオーバーヒート現象を起こして最悪の場合、エンジン自体が機能停止に陥ります。

エンジンのオーバーヒートを防ぐために

これを防ぐために、車体にはエンジンを冷やすための冷却水と、その水を低温に保つためのラジエーター装置が付属しています。

ラジエーターは冷却装置

冷却水を超高温のエンジンに循環させていくと、冷却水はどうなるでしょうか。当然、エンジンの熱が伝播していき冷却水の温度もどんどん上昇していきますよね。この高温になった冷却水を再びエンジンを冷ませる程度にまで冷やす役割を担った装置が、ラジエーター装置なのです。

エンジン始動時にラジエーターは不要

ただ、ここで一つ問題があります。エンジンを始動したばかりのときにはまだエンジンはそこまで高温にはなってはいません。加えて、エンジンというものはある程度まで高温にならないと、万全の運行を行うことができないので、エンジン始動からほどよくエンジンに熱が入るまでは冷却水はラジエーターを通さずに循環させた方が都合がよいのです。

冷却水の道順を決めるサーモスタット

効率よくエンジン・冷却水・ラジエーターを運用していくためにはどうしたらいいのか。それをなしえるために考案された装置が、サーモスタットと呼ばれるものです。このパーツは、エンジンの内部を駆け巡ってエンジンの温度を適温に保っている冷却水が、装置で冷やす必要があるほどの高温に達しているのかを判定して、適温でないときにだけラジエーターへ冷却水を送り込みます。

重要部品サーモスタット

このパーツはエンジンと冷却水、そしてラジエーターの三つの箇所を結ぶバイパスであり、その三つの機関が上手に働けるように水路を適宜切り替えるための重要な存在です。サーモスタットによって、エンジンを暖めた方がよいときには冷却水はそのまま循環して効率よくエンジンを暖め、逆にエンジンを冷やした方がよいときには冷却水はラジエーターを通り効率よくエンジンを冷まします。

サーモスタットの仕組み

サーモスタットの構造は多種多様

このパーツの構造原理はさまざまあります。もともと400年以上前にこのパーツの構造原理は発見されていました。そして自動車の発展に伴って車体構造に必須のエンジンを管理するために各メーカーが効率よく温度調節できる独自のサーモスタット開発を目指して構造と原理を改良していったのです。

主流はバルブ式構造のもの

現在、自動車やオートバイのエンジンに利用されているサーモスタットは主にバルブ式構造が採用されます。中央に据え付けられたバネ状の構成部分が特徴的です。冷却水の温度がまだ低い状態のときにはバルブが閉じた状態になっており冷却水はそのままエンジンの内部を駆け巡り効率よくエンジンを暖めていきます。


温度変化でバルブが開閉する仕組み

エンジンが十分に暖まり、それに伴って冷却水の温度が上昇してきたらバルブが少しずつ開いていき、冷却装置に高温になった冷却水が入り込んでいきます。そして、ラジエーターでまたエンジンの温度管理をするのに適した温度にまで水温を下げてから、再び循環させていくわけです。

サーモスタットは閉じた状態が基本

このパーツはエンジンルーム内部にあり、一般的には専用のケースに構造体ごとすっぽりと収められています。通常の状態ではバルブ構造は開いていません。閉じた状態が基本です。エンジンを始動し、自動車を運転していき冷却水の温度上昇を検知したときにだけバルブ構造が開いていくという仕組みになります。

サーモスタットの原理

原理も構造同様にいろいろ存在する

このときに冷却水の温度を検知してバルブ構造を開閉していく原理についてはいくつかの種類があります。また、このパーツは車やバイクだけでなく、「温度調節」が必要なものにはほぼ全てに組み込まれている利便性の高い部品です。そのため、利用される用途ごとに原理が違います。

自動車やバイクは「膨張式原理」

大まかに原理を分類すると、金属の性質を利用した機械式原理。ワックスの性質を利用した膨張式原理に、電気回路を利用した電気式原理などがありますが、ここではとくに自動車とバイクに採用されているワックスを利用した膨張式原理を解説していきましょう。

ワックスの性質を利用したサーモスタット

ワックスは、温度変化によって個体から液体へと変わる性質があります。温度が上昇するとワックスが液体になるわけです。物質は個体から液体になると膨張するという性質があります。この性質を利用して構造体に組み込んだものが、自動車やバイクに採用されているサーモスタットです。

芯にワックスが入っている

先述したとおり、自動車に利用されているこのパーツは中央にバネ状の構造体があります。このバネ状構造体に巻き込まれている芯が、サーモスタットの最も重要な構成要素です。この芯にはワックスが入っており、高温になると膨張していき、巻き付いているバネを押し出してバルブを開きます。

サーモスタットの構造原理

そして、冷却水をラジエーターに通していきエンジンが冷めたらまた芯の内部にあるワックスが固形に変化して収縮することでバルブを閉じます。これが自動車やバイクに採用されているサーモスタットの構造原理です。

愛車のサーモスタットを確認しよう

レース仕様の車体では水冷ではなく空冷でエンジンを運用しているものも存在しますが、一般利用されている自動車やバイクにはほぼ全てにこの構造原理のサーモスタットが組み込まれていますので、実際にご覧になりたい場合には愛車のエンジンルームを確認してみるとよいでしょう。

サーモスタットの平均寿命

サーモスタットの寿命は10年or10万キロ

一般の自動車やバイクの場合にはこのパーツの平均寿命は10年です。また、時間だけでなく走行距離にも寿命は左右されます。走行距離で見た場合の交換時期の目安としてはおおよそ10万キロ走行した時点が適当でしょう。

平均寿命はタイミングベルトと同じ

乗用車ですと10年あるいは10万キロという数字はいろいろなパーツの交換時期としても知られていますね。例えばタイミングベルトが代表的です。ただ、タイミングベルトにも言えることですが、自動車などのパーツの平均寿命はあくまでも目安です。メンテナンス状況や自動車の置かれている環境によって平均寿命にはどうしても長短が発生します。

「サーモスタットの交換時期」はとても大切!


タイミングベルトの交換時期については把握しているドライバーの方が多いのですが、このパーツの交換時期をきちんと把握できているドライバーの方は非常に少ないです。タイミングベルトもサーモスタットも交換を怠ると、車体に致命的なダメージが発生する可能性が高いパーツとなります。

タイミングベルトと一緒に交換しよう

そのため、平均寿命である10年あるいは10万キロ走行が迫ってきたなら早めにこのパーツを交換しておくことが重要です。タイミングベルトの交換と同じ時期に、一緒にサーモスタットの交換をしておきましょう。

サーモスタットの交換方法.1

自分でサーモスタットの交換をしよう

このパーツの交換は専門業者に依頼しなくてもご自身で可能な作業です。ただ、サーモスタットはどうしてもエンジンに近いところに設置してありますので、自動車の最も重要な機関に触れる可能性が高い作業となります。そのため、十分な準備と心構えが必要です。以下、基本的な交換方法についてご紹介しますので参考にして、慎重に作業していきましょう。

作業に入る前に

まず、冷却水を抜いておく必要があります。サーモスタットは、エンジンとラジエーターと冷却水が入っているリザーバータンクとを仲立ちするパーツですので、古いサーモスタットを取り外す際にあらかじめ冷却水を抜いておかないとエンジンルーム内にこぼれてしまう可能性があります。

冷却水を抜いておこう

このパーツの装着位置は自動車の車種によって変わり、その位置によっては冷却水を事前に抜かなくてもよい場合がありますが、念のために先に抜いておいた方が無難です。

ラジエーターホースを外そう

次にラジエーターのホースを外します。このパーツの位置はラジエーターの上部からのびるアッパーホースに装着されているか、あるいは下部からのびるロワーホースに装着されているかの2パターンがあります。作業時に確認してから装着されている側のホースを取り外しましょう。

サーモスタットの交換方法.2

ボルトの締め付け具合に注意!

ホースが外せたら、サーモスタットを交換します。新しいものをはめ込み、ボルトで固定していきます。このときにボルトの一箇所だけがきつく締められた状態になると圧力が局所的にかかってしまい、緩みの原因になります。ボルトは全体が均一の締め付け具合になるように締めていきましょう。

ジグルバルブの方向に気をつけよう

また、取り付けの際の注意点としてサーモスタットの上部のエア抜き部分、「ジグルバルブ」が必ず上を向くように設置しましょう。このパーツは「どんぐり」のような形状をしていますが、このジグルバルブはどんぐりの帽子部分に当たる箇所に付いています。

新しい冷却水を補充する

新しい冷却水を補充していきます。冷却水補充はリザーバータンクから行えば簡単にできます。これは樹脂で作られた半透明のタンクです。前述した冷却水を抜く作業のときに確認しておきましょう。

冷却水の気泡を抜いたら作業完了

新しい冷却水を入れたときには余計な空気が入り込んでいるので、気泡を抜かなければいけません。ラジエーターのキャップを開けてからエンジンをかけて少し時間を置きます。冷却水からコポコポと気泡が出なくなったらキャップを閉じて、作業完了です。

サーモスタットが故障した場合.1

サーモスタットの故障の仕方は2パターン

このパーツの故障の仕方には2種類あります。開いたままか、あるいは閉じたままかです。開いたままの状態で固定される故障の場合には、冷却水がラジエーターを循環する状態がずっと続きます。

開いたままだとエンジンは「オーバークール」に

その結果、エンジンが暖まりにくく冷却水もずっと低温のままなので、水温計のランプがずっと点いたままになります。この状態をオーバーヒートと対比して「オーバークール」と表現します。


オーバークールは燃費が悪くなる

ただ、この故障の仕方の場合にはエンジンに致命的なダメージは発生しませんし、水温計の警告ランプで比較的すぐにドライバーは異常に気付けますので大事には至りません。エンジンの運転効率が下がりますので走行距離に比して燃料の消費は激しくなります。

サーモスタットが故障した場合.2

サーモスタットが閉じたままだと

厄介なのは閉じたままサーモスタットが固定される故障の場合です。この故障の仕方は、水温計のメーターを確認すれば気付けますが、メーター確認の習慣のない方が故障に気付くのはエンジンがオーバーヒートを起こして自動車が運行不能に陥ったときが多いです。

オーバーヒートは車体に重大なダメージが

オーバーヒートになった自動車は最悪の場合にはまるまるエンジンの積み替え修理となりますので、修理費用に数十万円以上は覚悟しなければいけません。

サーモスタットの交換時期に要注意!

サーモスタットの交換整備にかかる費用は車種にもよりますが1万円から2万円あれば十分にまかなえる場合が多いです。交換時期である10年あるいは10万キロが迫っているときには忘れずに交換しておきたいところですね。

まとめ

サーモスタットは重要部品

サーモスタットについてはいかがでしたでしょうか。このパーツは一般のドライバーの方にはあまり聞きなれない部品ですよね。ただ、故障した場合に車体にかかる負担はタイミングベルトなどの他の重要部品と比較しても決して引けを取るものではありません。

早めにサーモスタットを交換しよう!

大切な愛車を長く乗り続けるためにも、また余計な修理代を払わずに済ませるためにも、早めにサーモスタットの交換をしておきましょう!

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