自然応用科学 山野草の土 5L
紫蘭(シラン)とはラン科の多年草
紫蘭(シラン)/特徴
紫蘭(シラン)とは、ラン科シラン属の多年草です。原産国は、日本、中国、台湾で、日本国内では関東地方以西で多く自生しています。やや湿った土を好みますが、乾燥に強く、繁殖力が強い品種です。球根から5枚ほどの楕円形の葉を出し、開花期(5~6月)には、細長い星型の花を咲かせます。
多くの人に親しまれる花
他のラン科の植物に比べて、育成に手間がかからないという点と、簡単に交配ができるという点から、園芸初心者から上級者まで、多くの人に親しまれています。野生品種は準絶滅危惧種となっていますが、栽培品種との区別がつかなくなっているということも事実です。
紫蘭(シラン)/品種①白花紫蘭(シロバナシラン)
真っ白の花を咲かせる花で、別名「白蘭(ハクラン)」とも呼ばれています。 紫蘭の中では最も流通量が多い品種です。
紫蘭(シラン)/品種②口紅紫蘭(クチベニシラン)
白い花の中心がピンク色に染まる品種です。その姿が口紅を塗った様に見えることから、口紅紫蘭と名付けられました。白とピンクのコントラストが美しく、優雅な印象を与えます。
紫蘭(シラン)/品種③覆輪紫蘭(フクリンシラン)
葉の縁に白い班を持つ品種です。その班が、刀や馬具を守るための装飾である「覆輪」に似ていることから、そう名付けられました。花の色は、白の他にも紫や、薄い黄色があります。
紫蘭(シラン)/品種④黄花小白笈(キバナショウハッキュウ)
中国南西部が原産国で、薄い黄色やオレンジ色の小ぶりの花を咲かせる品種です。他の紫蘭と交配されたものは、全て「小白笈」と名付けられており、花色も多数存在します。暑さや寒さに弱いため、栽培の難易度はやや高めです。
紫蘭(シラン)の花言葉
紫蘭(シラン)/花言葉①「変わらぬ愛」「あなたを忘れない」
紫蘭は英語で「ヒヤシンス・オーキッド」と呼ばれており、その名前はギリシャ神話に由来されていると言われます。ギリシャ神話では、人は死後、血が花に変わると信じられており、ヒヤシンス・オーキッドもまた、ヒアキントスという人物の花と信じられています。諸説ありますが、事故で亡くなったヒアキントスは端正な顔立ちで、人から好かれる人物であったため、こういった花言葉が付けられたのではないでしょうか。
紫蘭(シラン)/花言葉②「美しい姿」
紫蘭が満開に開くことは珍しく、半開きで下を向くことが多い花です。その花姿は、女性がうつむく様子を連想させ、上品で美しいという意味でこの花言葉が付けられました。
野生の紫蘭(シラン)は準絶滅危惧種
紫蘭(シラン)/準絶滅危惧種とは
準絶滅危惧種とは、現時点では絶滅の危険度は小さいけれど、生息の条件が変わることで絶滅する可能性がでてくる品種を指しています。栽培品種と、野生品種の区別がつきにくくなっている紫蘭ですが、野生品種はこの準絶滅危惧種に登録されています。
紫蘭(シラン)/準絶滅危惧種になったワケ
多くの絶滅危惧種の主な原因は、乱獲と土地開発による自然破壊と言われています。野生の紫蘭もそのひとつであり、見れる場所は年々減少しています。野生らしい紫蘭を見つけても、採取することは控えましょう。
紫蘭(シラン)の栽培は初心者向け!
一般的に蘭の栽培と考えると、水やりの頻度や植え替えなどの手入れが難しいイメージがありますが、紫蘭の栽培はとても簡単です!もともと日本で自生している植物なので、夏の暑さ、冬の寒さに耐えられ、乾燥にも強いです。 地植えで放置しておいても、自然に繁殖することがしばしばあるそう。もちろん、庭がない家でも鉢植えでベランダ栽培を楽しめます!
紫蘭(シラン)の育て方①環境づくり
紫蘭(シラン)/種まきから開花までの時期
種まき・植え替え:4~5月、9~10月 開花期:5~6月 肥料:4~6月、9月~10月 休眠期:11月~2月頃
開花時期は品種によって若干異なる
開花時期は品種によって若干異なります。黄花小白笈(キバナショウハッキュウ)は、やや遅れて咲くでしょう。 休眠期には葉や花が枯れますが、次の年の準備期間なので心配はいりません。暖かくなる春には、新しい芽が出ます。
紫蘭(シラン)/種まきの場所
日当たりのよい環境を好みますが、夏に直射日光を浴びると葉焼け(葉が茶色く変色すること)になる場合があります。鉢植え栽培で移動が可能であれば、一時的に半日陰に移すとよいでしょう。葉焼けが気にならなければ、そのままでも大丈夫です。完全な日陰で栽培をすると、丈ばかりが伸びて花付きが悪くなるので、できる限り日の当たる場所を選んでください。
紫蘭(シラン)/鉢のサイズ
植え替えを頻繁に行うことは避けたいので、成長の早い紫蘭には少し大きめの鉢を選んでおくとよいでしょう。目安としては、植える球根のよりも2回りくらい大きいサイズです。
紫蘭(シラン)/土の選び方
地植えをする場合は、もともとの用土に腐葉土と緩効性化成肥料を混ぜてください。腐葉土を入れることで、水はけがよくなります。緩効性化成肥料は、葉や花を大きく育てるための肥料です。配合が面倒であれば、植える部分の土を取り除き、市販の培養土(山野草用)を入れて植え付けを行う方法もあります。鉢で育てる場合は、上記の培養土を使用するか、土の配合を行ってください。比率は、赤玉土1:鹿沼土1:軽石1(全て同じ分量)です。
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大きさはいくつか種類があるので、鉢に合わせて選びましう。
紫蘭(シラン)の育て方②種まき
紫蘭(シラン)/種・球根・苗 どれを選ぶ?
紫蘭は、種・球根・苗の3種類から育てられます。種からの栽培は、時間と手間がかかり、上級者向けと言われています。一番簡単なのは一定の状態まで育っている苗ですが、販売される時期に限りがあり、値段も球根に比べてやや高めです。そのため、一般的に、紫蘭の栽培には球根が選ばれています。球根は、苗木屋さんやホームセンターの様な小売店の他に、オンラインショップでも購入が可能です。
紫蘭(シラン)/植える深さは?
紫蘭の球根は、玉ねぎが潰れたような円盤形をしています。地植えの場合は、10~15cmの深さに球根の平らな部分を下にして植えます。株間は狭くても大丈夫です。鉢植えでは、8~10cmの深さを目安にしてください。 種に土を被せ、たっぷりと水を与えたら種まきは完了です!
紫蘭(シラン)の手入れ
紫蘭(シラン)/手入れ①水やり
地植えの場合は、ほとんど水やりは不要です。雨の降らない日が続く様だったら水をあげてください。鉢植えの場合は、土の表面が乾いてきたら、鉢の底から染み出るくらいたっぷり水をあげてください。紫蘭は乾燥に強いので、多少水やりを忘れても問題はありません。一度の水やりでたっぷりとあげることがポイントです!根腐れの原因になるので、少量の水を毎日あげる様なことは控えましょう。
紫蘭(シラン)/手入れ②追肥
種まきの際にすでに肥料を混ぜていれば、基本的に追肥は要りません。花付きや葉つやの悪化で肥料をあげるのであれば、4~6月、又は寒くなる前の9~10月の追肥がよいと言われます。肥料のあげすぎは逆効果になることがあるので、適量を与えましょう。
紫蘭(シラン)/手入れ③植え替え
紫蘭は根を張るスピードが速いので、鉢植え栽培の場合は最低でも2年に1回は植え替えが必要でしょう。タイミングは、種まきの時期と同様の4~5月と9~10月です。植え替えた後は水をたっぷりあげ、しばらくは半日陰で育成をします。地植えの場合は4~5年に1回、株分けが必要です。紫蘭は毎年バルブ(球根)が分球していくので、徐々に地下が窮屈になっていきます。株分けとは、くっついているバルブを離して植え直す作業です。
紫蘭(シラン)の害虫と病気
紫蘭(シラン)/害虫①ナメクジの対策
ナメクジは植物の芽や花を食べて、その発育に害を及ぼします。まずは周囲の雑草を取り、ナメクジが隠れる場所をつくらないことが大切です。もし発生した場合には、即座に除去して被害を抑えます。ナメクジ用の殺虫剤や、捕獲器もあるので、被害が大きい場合は使った方がよいでしょう。
紫蘭(シラン)/害虫②アブラムシの対策
花びらや、つぼみに付きます。アブラムシ用の捕獲シートや殺虫剤もありますが、おすすめはコンパニオンプランツでの対策です。コンパニオンプランツとは、害虫が嫌う匂いを放つ植物のことで、唐辛子やニンニク、カモミールやマリーゴールドなどが含まれます。食べられる植物も多いので、害虫対策と一石二鳥になりますね!
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紫蘭(シラン)/病気
紫蘭は他の品種に比べて病気に強いですが、根腐れや、ウイルス性の病気にかかる場合があります。根腐れは、適当な量の水やりと、日当たりのよい場所を選ぶことで予防できます。ウイルス性の病気は、葉に黒いすすの様なムラができるものです。見つけたら、他の株への感染を防ぐために抜いて除去しましょう。
紫蘭(シラン)の楽しみ方
紫蘭(シラン)/楽しみ方①交配
栽培に慣れてきたら、交配に挑戦してみるとよいでしょう。花の中心の花粉を、柱頭に付着させるだけの作業です。 開花後に実がなり、秋から冬にかけて細長く粉状の種を採取できます。自分だけのオリジナル品種がつくれますよ。
紫蘭(シラン)/楽しみ方②漢方薬
紫蘭の根は昔から漢方として使われてきました。主に、皮膚の痛み止め(火傷やアカギレ)や止血に効果があると言われています。水で煮詰めて練るだけなので、植え替えの際にバルブを取って置き、時間のある時に作るのもよいでしょう。使用前に必ずパッチテストを行ってくださいね!
紫蘭(シラン)/楽しみ方③押し花
紫蘭を押し花に使うこともおすすめです!しおりやコースター、ハガキなど。ほかの花との相性もよいです。自分で栽培した花を押し花にするって素敵ですよね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。紫蘭は準絶滅危惧種という一面を持ちながらも、栽培品種としては多くの人に親しまれています。他の蘭とは異なり、手入れが簡単なので、園芸初心者でも心配なく育てられるでしょう。交配や、漢方薬、押し花など、楽しみ方もさまざまです。ぜひ紫蘭の栽培に挑戦してみてください!
中心にある赤紫の花が紫蘭です。