フェンダーツメ折り機|フェンダーベンダー
はじめに
鬼キャンバー(異常なキャンバー角度)やシャコタン(車高がとても低いサス)に並んで車のカスタム界隈で必ずと言ってよいほど施されるカスタムのひとつがツライチ(面一)です。今回はそのツライチカスタムはどのようなものか、そのメリット・デメリットに加え、カスタム方法に必要工具を紹介します。また、日本では行動を走るために不可避の車検対策についても説明します。
ツライチとは
フェンダー面とホイール面を揃えること
ツライチとは、車のフェンダー面とホイール面を揃えることカスタム方法のことです。基本的に、何も弄っていない純正状態の車のタイヤ部分を正面からよく見ると、車輪はフェンダーの内側に入り切っています。フェンダーの内側にホイール・タイヤが入り込んでいるとカッコ悪いから車検に通る範囲で外側まで出してしまおう(詳しくは後述)、という考えからこのような車のカスタムが流行っています。
王道を往くカスタム
ツライチはカスタムの中でも王道を往くカスタムの1つです。タイヤの選び方やスペーサーの使い方次第でツライチカスタムをすることができます。ホイールのオフセット値の計算が必要ですが、オフセット値もホイールに記載してああるので心配ありません。車検対策もし易く、カスタム初心者には取り組みやすい足回りカスタムとなっています。
ツライチにカスタムで必要な知識:オフセット
取り付け面からホイールセンター間の距離
ツライチカスタムをするにあたって必ず理解しなければならない車の知識はオフセットです。オフセットの意味は、ホイールとハブの取取り付け面が、ホイールセンターからどれくらいの距離があるのかを示す数値です。例えば、オフセット38、という表記のあるホイールは、取り付け面とホイールの中心線の距離が38mmという意味になります。
トレッドに関係するオフセット
そのホイールが取り付け車両の取り付け面(ハブのこと)からどれくらい内側に入り込むかを示すのがオフセットです。ですので、オフセット値が大きいホイールを付けると、その分トレッド(左右ホイールの間の距離のこと)が狭くなり、乗り心地に関わってきます。トレッドが狭すぎると路面の凹凸が強く伝わるので、気を付けましょう。
ツライチにするメリット
見た目を自分好みにできる
ツライチにするメリットの1つは見た目を自分好みにできることです。もし自分の車の足回りの外観が印象に残りにくく地味なデザインだと感じたら、ツライチにしてイメージを変更することができます。ツライチにするに当たってホイールやタイヤ、あとキャンバーにオフセットを見直して嗜好に合った外観を生み出すことで満足感を得ることができるのです。
トレッドが広くなる
ツライチにすることでトレッドが広くなります。タイヤが内側に大きく入り込んでいる状態からフェンダー面ギリギリまで移動することになるので、左右タイヤ間の距離(トレッド)がその分広くなります。トレッドが広がればレバー比の関係で乗り心地も良くなりますので、快適な車内空間を生み出せます。見た目を自分好みにしつつ乗り心地も向上すれば、一石二鳥、良くないわけがありません。
ツライチにするデメリット
お金がかかる
当然ですがお金がかかります。ツライチにするためにスペーサーを購入したり、オフセット値の低いホイールやサイズの大きいホイールに交換する、業者に出すと工賃もかかるためDIYでやろうとしても工具が無ければまず工具を揃えるところから始まる、などいずれかを選択してもお金が必要です。決して安くはないので、今後のことを考えて作業を進める必要があります。
タイヤがフェンダーに干渉する
ツライチにするとタイヤがフェンダーに当たります。ホイールサイズ大きくして幅だけでなく外径も大きしていけば、いつかはフェンダーにタイヤが当たってしまいます。そのためただ大きくするのではなく車に見合ったサイズで抑えなければなりません。見た目ばかり気にして機能を損なったら車としての意味が無いので、気を付けましょう。
アライメントをさらに注意する必要が出てくる
ツライチにするとなると、アライメント調整をさらに意識する必要が出てきます。アライメントがずれた状態で走行を続けていると、ステアリングセンターがずれる、タイヤの減り方が部分的に極端になる、などの問題が発生します。大きいタイヤサイズは価格も高いので、摩耗が速いと無駄な出費を増やしてしまいます。
ツライチにするのに必要な工具
フロアジャッキ
フロアジャッキは車を持ち上げるために必要な工具のひとつです。ツライチにする作業するにあたってタイヤを外す必要があるので、フロアジャッキで持ち上げる必要が出てきます。フロアジャッキでなくてもパンダジャッキなど小型タイプでジャッキアップできますが、安全性の面からジャッキスタンドをかけて作業することをおすすめしますので、フロアジャッキを買うなり借りるなりして用意してください。
ジャッキスタンド
ジャッキスタンドを車にかけることで足回りの整備や下に潜り込んで駆動部分の整備も可能となります。ジャッキスタンドを使って車を固定しておけば、よっぽど作業中に車が落ちてくる心配のないので安全です。作業性と安全性を確保する非常に意味のある工具のひとつです、今後のためにもジャッキスタンドは4本購入してください。
レンチ
ホイール取り付けに使われるホイールナットやスペーサー固定用のナットのためにレンチを用意しましょう。十字レンチがあれば、時間はかかりますが、作業はすべて行えます。インパクトレンチを持っていればベストです。また、レンチだけでなく規定トルクでホイールとスペーサーを取り付けるためにトルクレンチを用意しておきましょう。
糸に石を付けたもの
糸に石を付けたものを用意してください。これを用意する意味は、フェンダーとホイール面の間にどれくらいの距離が開いているかを確認するためです。フェンダーに沿ってその糸を垂らせば、石の重量で真っすぐになる仕組みを利用し、ホイールとの間を測定するのです。
フェンダー爪折り機
フェンダーツメ折り機|フェンダーベンダー
【スペック】 価格:7,980円(2018/6/25時点) 対応サイズ:4穴・5穴 対応PCD:98mm〜120mm 対応ハブボルト:M10〜M14 重量:7.5kg
フェンダー折り機もツライチカスタムには欠かせない工具です。ホイールのオフセット値を低くしてサイズアップすればするほど、フェンダーにタイヤが干渉する確率が高くなります。具体的には、フェンダーの内側に入り込んでインナーフェンダー側に入り込んで折れ曲がっている鉄の鉄板(これが爪と呼ばれています)に干渉するのです。そこでこの爪を切るために使うのがフェンダー爪折り機です。
ツライチのカスタム方法・計算方法
ツライチにするためのカスタム方法・計算方法を紹介します。
フェンダーとホイール間の距離を計算する
フェンダーとホイール間の距離を計算します。糸の先端に石を取り付けたものをフェンダーに沿って垂らします。その糸を基準にしてホイール面と糸の間の距離を測ってください。それを基準に、あとどれくらい余裕があるかを計算します。ここでは、その距離が20mmほどあったと仮定して計算を勧めます。
ホイールのスペックを確認する
ジャッキアップしてホイールを取り外したら、ホイールのスペックを一度確認しましょう。ホイールにはホイールの外径・幅・オフセット値が記載されています。例えば、15 x 6.5J、というのは外径15インチのホイールで幅が6.5インチ、という意味です。+40、という文字が有ったら、そのホイールのオフセット値は40㎝ということになります。
ホイールを可能な範囲で大きくする
フェンダーとホイール間が20mmでしたので、いかにこれを狭くしていくかがツライチには必要になります。そこでホイールを大きくする方法があります。もしこの車に15 x 6.5J、オフセット40のホイールが付いていたら、ホイールを15 x 7.0Jに変更してみましょう。そうすると、0.5J分広くなるので、0.5J x 25.4=12.7mm、となります。そうすればホイール面とフェンダー間の距離を計算すると、20-12.7=7.3mm、となるのです。
スペーサーを取り付ける
ホイールは高価なものですので、スペーサーを取り付けてトレッドを広くする方法もあります。そうすればスペーサー代だけでツライチにすることも可能です。スペーサーを正しい方法で取り付けて、アライメント調整も再度行うようにしましょう。
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オフセットを小さくする
ホイールサイズを変更しないかつスペーサーも使わずにツライチにするなら、オフセットを下げるという方法もあります。オフセット40のホイールをオフセット30のホイールに変更すれば、計算すると40-30=10mm分フェンダー側に動くことになります。
爪を折っておく
ツライチをすればするほどツメに当たる可能性が高くなるので必要に応じて爪折り機で切るないしは内側に織り込んでおきましょう。
ツライチにする上での注意点
ツライチにすることで足元周りの印象が大きく変化し、ホイールの迫力・印象が強くなります。しかし、キャンバーやトーなどのアライメントの影響をより受けやすくなるので、正確なアライメント調整をするようにしましょう。キャンバーやトーが狂っているとステアリング操作やタイヤの寿命にも大きく関わってきます。乗り心地を程よく残したカスタムが重要です。
ツライチの車検対策
ツライチでも車検は通る
ツライチでも車検は通ります。車検ではフェンダーからタイヤがはみ出していないかどうかを確認しています。そのためツライチだから車検通りません、というのはよっぽどありません(仮にあったとしたら検査員の独断です)。ただ、際どいツライチにしてしまうと検査員が目を光らせる可能性が高いので、ほどほどにしておきましょう。
車検におけるフェンダーとタイヤについて
上述した「タイヤがはみ出しているかどうか」のはみ出している、というのは、ホイール面上において、タイヤの中心を通っているかつそこから前方方向に30°、後方方向に50°の枠内の部分、それに該当する部分がフェンダーから10mm以内に収まって出ている分なら車検は通ります。異常なキャンバーをかけていなければ、ほどほどのツライチ車両だったら車検をパスできるということです。
まとめ
シャコタンや鬼キャンバーと比べると、まだ意味のある(快適を損なわない)カスタムの部類なのがツライチです。トー・キャンバーなどの正確なアライメント調整ができてステアリングをしっかり切り込めれば乗り心地も悪化しません。少しマイカーを弄りたい方におすすめですので、機会が有ったら試してみてください。