輪作の基本情報
続けて同じ野菜を植えない
輪作とは、同じ場所では同じ野菜を続けて作らずに順番をつくりローテーションで育てる野菜を変えていく手法になります。基本的に育てる野菜の科も変えます。例えばトマトやナスは同じ科に属するので、別の野菜になりますが一般的な輪作ではこの2つを続けて植えるということはしません。
ローテーションでより効果的
輪作では作物を育てる土壌を4つから5つほどに分けてローテーションをさせていくとより効果的です。輪作には相性の良い組み合わせ、相性の悪い組み合わせもあり、せっかく輪作をしていても場合によっては逆効果ということもありえます。野菜同士の相性をよく考えて輪作体系を組む必要があります。
連作障害を対策
輪作をする最大の理由は連作障害を防止することにあるといっても過言ではないでしょう。野菜は同じ土壌で同じものを栽培し続けると、生産量の減少などのデメリットがある連作障害を引き起こします。輪作によって計画的に野菜を育てることで連作障害が起こらないように対策をしていると言えます。
連作障害について1
連作障害はなぜ起こるのか
輪作は連作障害の対策という面を大きく持ちます。連作障害は他に忌地、厭地、いや地と呼ばれることがあり、その名称からもわかるように野菜を育てる上で全くよいものではありません。連作障害とはどういったことが原因でおきるのかを説明します。
連作障害の原因1
連作障害の起こる原因は大きく3つに大別できます。一つ目の原因はわかりやすく、土壌の欠乏です。野菜が必要とする養分には違いがあり、ひとつの野菜ばかりを育てていると当然ながら同じ養分ばかりが失われます。土の中の養分が偏ることにより成長が悪くなったり、病害虫の被害を受けたりします。
連作障害の原因2
2つ目の原因が微生物のバランスが崩れることです。ひとつの野菜を栽培し続けることで変わるのは土壌の養分だけでなく、微生物の環境も変わります。その結果として土壌内の生物多様性が崩れてしまいます。病原菌が増殖して農作物の病気が引き起こされます。
連作障害の原因3
3つ目の原因が線虫の発生です。線虫とは非常に小さなミミズに似た虫になります。必ずしも農作物に悪影響を与える虫ではないのですが、連作によって土壌のバランスが崩れると、線虫の善玉と悪玉の生態系のバランスも崩れてしまいます。結果、農作物に甚大な悪影響が発生することもあります。
連作障害について2
連作障害のない野菜も
連作障害の対策として、輪作体系は非常に重要です。しかし、適切に輪作を実施するために知識と計画が必要になります。野菜によって、栽培をあける期間に違いがあり、また野菜によっては連作障害のない野菜もあります。これらを知識として踏まえた上で適した輪作の順番を作ることが必要です。
輪作の計画で要注意の野菜
輪作をする上で、あける期間の長い野菜をいくつか紹介します。これらは輪作を計画する際には大きな注意が必要です。エンドウ、ゴボウ、スイカ、ナスの4種類は期間が非常に長く、6年から7年をあけなければなりません。サトイモやトウガラシ、トマトやピーマンも4年から5年と長めです。
連作障害のない野菜
輪作に細心の注意の必要な野菜とは反対に、連作障害のない野菜もしくは連作障害の出にくい野菜もあります。アスパラガスやカボチャやサツマイモやタマネギやニンジンなどは連作障害のない野菜(出にくい野菜)です。家庭菜園でも代表的な野菜で連作障害のない野菜があるのは嬉しいですね。
輪作の計画の立て方
作物をリストアップ
具体的に輪作の体系を計画する際にどのようにすればよいのか、その一例を紹介します。輪作の方法として、まず植えたい野菜から考えるという順番があります。輪作に適した野菜から体系を考えるのもよいですが、自分の植えたい野菜を優先することも可能です。育てたい作物をリストアップしましょう。
科ごとに作物を分ける
作物をリストアップしたら輪作体系の計画を立てます。同じ科の野菜同士をまとめます。植える時期による違いもあるので、その点も注意しましょう。作物を科ごとにひとまとめにして、後は順番ごとに区画をローテーションして植える場所をずらしていきます。
作物の特徴を把握する
輪作では野菜の特徴まで把握するとさらに効果的になります。例えば、作物の生育のスピードや大きさがどの程度になるかを知っていると植える順番を変えることで、全ての作物に満遍なく日光を当てることができるようになります。
作物をローテーションしていく
輪作の体系は4年から5年を目安に計画すると良いです。ノートなどに区画分けした畑を書いておいて、どの時期にどこに何を植えたのかをわかるようにしておきましょう。付箋を使うと剥がして貼り直しができるので便利です。計画を立てて順番通りに野菜をローテーションしていきましょう。
輪作で相性の良い作物の組合せ
相性の良い組み合わせを紹介
輪作は連作障害を防ぐだけでなく、相性の良い組み合わせがあります。代表的な相性の良い組み合わせを紹介します。輪作体系を計画する上で参考にしてください。
ナス科と相性の良い作物
家庭菜園でも人気のトマト・ナス・ピーマン・じゃがいもは全てナス科に属しています。これらの野菜と相性がよいのは、アブラナ科・ウリ科・イネ科の野菜です。これらの科の野菜との組み合わせとしては、ナス科の後にブロッコリーやキャベツやネギを組み合わせるという順番があります。
アブラナ科と相性の良い作物
コマツナ・キャベツ・ブロッコリー・ハクサイ・大根・カブはアブラナ科の野菜です。アブラナ科と相性が良いのは ユリ科・マメ科の野菜です。アブラナ科の野菜の後に枝豆やインゲンやネギを育てるといいローテーションになります。
ウリ科と相性の良い作物
キュウリ・スイカ・かぼちゃはウリ科の野菜で、イネ科・ユリ科と相性がいいです。この場合は、ウリ科の後にトウモロコシやネギやタマネギが植える作物として適します。トウモロコシもネギもタマネギも連作できる野菜でもあるので重宝しそうですね。
輪作で相性の悪い作物の組合せ
相性の悪い組み合わせを紹介
輪作においては相性の悪い組み合わせもあります。基本的に科が同じ作物は相性の良くないとことが多く、注意が必要です。輪作体系を計画する時に気をつけるべき同じ科を続けて育てない方がいい代表的なものを紹介します。
ナス科は続けて植えない
基本的に同じ科の野菜は科の野菜は続けないほうがいいですが、ナス科を続けるのは良くないと言われています。ナス科の野菜をローテーションすると、最悪の場合は作物の枯死も有り得る青枯れ病という病気にかかってしまいます。例えばキュウリの後のカボチャ、そしてメロンというような順番はやめましょう。
注意すべき3つの科
ナス科の他にはアブラナ科とウリ科も続けて植えるとよくない科の代表格です。これらのものは続けて植えることで共通する病気や害虫が増える可能性があります。この3つの科については特に注意して輪作の計画を立てた方がよいでしょう。
輪作の応用テクニック
隣接して好影響
輪作と関連の高い手法としてコンパニオンプランツと呼ばれるものがあります。近接する作物同士で良い影響が発生する組み合わせもあり、この効果を利用するのがコンパニオンプランツです。コンパニオンプランツと代表的な組み合わせを紹介します。
代表的なマリーゴールド
コンパニオンプランツの代表的なものにマリーゴールドの利用があります。マリーゴールドは植物のお医者様という異名もあるほど、多くの作物と相性が良いです。マリーゴールドには、線虫を遠ざける効果、防虫効果があると言われており、アブラナ科全般の他、キュウリやジャガイモとも相性が良いです。
アブラナ科のコンパニオンプランツ
アブラナ科の作物でおすすめのコンパニオンプランツは、レタスなどのキク科の野菜があげられます。アブラナ科の作物はモンシロチョウを害虫とすることが多いのですが、キク科の野菜はモンシロチョウを遠ざける効果があります。結果的にモンシロチョウ対策につながります。
トマトやキュウリのコンパニオンプランツ
トマトやキュウリは連作できる野菜のネギおよびネギ類全般と相性が良いです。ネギ類の根が病害虫を撃退してくれる効果を発揮します。またこの他キュウリはトウモロコシを植えることで風を防ぐことができます。トウモロコシも連作できる野菜なので役立ちそうです。
輪作の注意点
相性の悪い組み合わせも
隣に植えることで相乗効果を発揮する野菜の組み合わせもありますが、それとは逆に双方にとって悪い効果が起きる組み合わせもあります。もしも思った通りに育たないという場合は、相性の悪い組み合わせで植えてしまっているのかもしれません。こちらもいくつか代表的なものを紹介します。
キュウリとインゲンは要注意
キュウリとインゲンの組み合わせは要注意です。虫がつきやすくなり、線虫が発生する環境では被害が甚大なものになる可能性もあります。キュウリとインゲン及びマメ科の野菜の組み合わせは避けた方がよいでしょう。
ジャガイモとキャベツも相性が悪い
ジャガイモは相性の悪い野菜が多いですが、その中でもキャベツがその代表としてあげられます。キャベツの出す生育阻害物質がジャガイモのを生育を妨げることが原因のようです。またジャガイモはナス科の全般の野菜とも相性が悪いです。
連作をする際の注意点
連作できる野菜環境づくり
理想としては輪作ができればよいのですが、例えば畑の面積が小さい場合など輪作ができないということもあります。この場合は出来る限り連作できる野菜環境づくりを進めておくと良いでしょう。連作できる野菜環境作りの方法を紹介します。
牛糞など有機肥料を投入
最も取りやすい対策が牛糞などの有機肥料を投入することです。このことにより土壌の有用微生物の密度が高まり、連作障害の可能性を低下させることができます。冬の間は地中と土壌を入れ替えると連作できる野菜環境づくりとしてさらに効果的です。
連作障害のない野菜のみ育てる
畑の面積が狭い場合は連作障害のない野菜(出にくい野菜)で、家庭菜園を楽しむという方法もあります。長期間をあけなければいけない野菜は意識的に避けて、連作できる野菜かもしくはあける期間が短期間のものだけを選んで栽培します。何を植えたか忘れてしまう場合などはこの方法でもよいでしょう。
輪作についてまとめ
連作障害や相性による組み合わせを紹介
輪作について連作障害との関係や、相性の良い組み合わせ、悪い組み合わせなどを紹介しました。基本は科をそろえることで、相性については非常に多種多様なので全てを覚えるというのではなく、その都度調べて確認して対応するという方法がよいでしょう。
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