気になるGIXXERのスペック
GIXXERのネーミング
一風変わったネーミングの由来はスズキのスーパースポーツ「GSX-R」シリーズが欧米のファン層から”ジクサー”のニックネームで呼ばれるところから、その名を着想したといいます。
基本スペック
主要諸元 ◆エンジン形式=空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ◆総排気量=154cc ◆ボア×ストローク=56.0㎜×62.9㎜ ◆最高出力=10kw(14HP)/8,000rpm ◆最大トルク=14NM/6,000rpm ◆トランスミッション=5速リターン ◆サイズ=全長2,005㎜/全幅785㎜/全高1,030㎜ ◆最小回転半径=2.5m ◆車両重量=135㎏ ◆シート高=785㎜ ◆ホイールベース=1,330㎜ ◆タンク容量=12リットル ◆キャスター/トレール=25°45’/105㎜ ◆Fタイヤサイズ=100/80-17 ◆Rタイヤサイズ=140/80-17
「GIXXER」150ccの持つ特徴
今時珍しい空冷2バルブロングストローク単気筒ですが、スペックだけ見ると150ccというのは125ccのスケールアップ版と感じてしまいます。しかし実際にGIXXERに乗ってみると、連想されるのは250ccを軽く扱いやすくした、つまり250ccのダウンサイジング版なのではないか?といった印象を感じました。ツーリングも問題なくできそうです。 250ccと比べると高級感を求めず、日常の足として使うだけならば、価格も安く、重量の軽いGIXXERに経済的には軍配が上がりそうですが、とはいえ数十万円の高いお買い物です。我慢を強いて毎日使うことが出来るか気になるところですが、スズキはこの150ccをどう設計したのでしょう。
「GIXXER」はスズキらしいデザイン
GIXXERのネーミングの由来はスズキのスーパースポーツ「GSX-R」シリーズが欧米のファン層から”ジクサー”のニックネームで呼ばれるところからその名を着想したといいます。 エッジの効いたスパルタンな外観で、まさに「GSX-R」シリーズの弟分といえるでしょう。 特に赤/黒のツートンカラーは「ちょい悪」なイメージがして、いかにも速そうな印象を受けます。
「GIXXER」の個性あふれるヘッドライト
最初に目に飛び込むのがスズキらしいデザインの大き目なハロゲンヘッドライトです。照射範囲も広く夜間は不安を感じることはないでしょう。対向車からも目立ちます。また、テールランプはLEDが採用されており、球切れの心配が少なく安心ポイントだといえます。
「GIXXER」の特筆すべきサスペンション
正立フロントサスペンションのフォーク径は兄貴分のスズキGSX250Rよりも太い41mmとなり、見た目も踏ん張り感を感じます。実際に今回のインプレでも峠の下り坂のブレーキングでは不安に感じることがありませんでした。 リアサスペンションはモノショックとなり、7段階のプリロード調整が可能となっています。前後合わせてソフトで乗り心地は良いが、しっかりと仕事をこなしてくれるサスペンションと言えます。
「GIXXER」の見やすいメーターまわり
スタート時に「GO REAdy」の表示で走る気にさせるデジタルメーターは、シフトポジションインジケーター、設定可能なシフトタイミングランプまで装備されており、上位車種のような印象を受けます。 タコメーター、速度計、燃料計、いずれも見やすい表示となっています。
「GIXXER」のシートは懐が深い
シートは厚みがあり、高級感の感じられるレッドステッチで縁取られています。実際に跨り、距離を走ってみると疲れにくく、懐の深いシートだと感じました。シート表面のグリップ感も滑ることなく、ひっかかることなく、ちょうどいい感じです。 またリアシート部分も広く、カウルと一体化されたグラブバーと合わせて、タンデム走行も無理なくできそうです。シートバッグとの相性もかなりよさそうです。ただしシート下の収納は期待できそうもありません。
「GIXXER」のマフラーデザイン
マフラーのデザインも人気の要因となっているようです。 マフラーエンドが縦2本に分離されており、まるで400cc以上の車両のマフラーを連想してしまいます。こういったポイントが所有欲を満たしてくれます。
「GIXXER」のメリハリの利いたタンク
ガソリンタンクは横への張り出しと後端部の絞り込みでメリハリが効いた、非常に凝った造形となっています。膝のあたりがスリムになっており、操安性が高そうな感じがします。 インプレの途中給油時に気づいたのですが、タンクキャップを取り外す形なので、給油時にキャップを落として綺麗な塗装を傷めないように気を付けなくてはいけないのが残念な点です。
「GIXXER」の整備性
センタースタンドが装備され、毎日使う車両としてメンテナンスしやすいというのは十分な加点ポイントです。 ハンドルロックは左右どちらの方向にも可能となっており、盗難防止に役立ちます。車載工具にリアサスペンションの調整レバー(フックレンチ)がないのが残念でした。
「GIXXER」は価格を考えるとかなり優秀
価格が価格なので、目立たないところの質感は価格相応といった感じは否めません。しかし、要所要所はしっかりとまとめられており、スペックからは想像できない操作性や走行性能の向上に貢献しているといえるでしょう。
「GIXXER」の出来ることすべてを使い切って走る楽しさ
取り回しの良さがGIXXERの個性
GIXXERは車体が軽量なので、マンションの駐車場など狭いところでの取り回しが非常に楽といえます。 大柄に見える車体なので、跨るときに構えてしまいますが、車体を起こしてみると、その軽さにほとんどの人がびっくりしてしまうようです。
GIXXERに跨ってみると
足つき性は車体が軽いので、あまり両足で支えるといったことはないとは思いますが、身長165㎝の私で両足をつけると、かかとが浮く程度です。 広めでアップライトなバーハンドルは、窮屈さのみじんも感じられません。 長時間のツーリングでも肩や腕の疲れは少ないでしょう。 若干後ろにあるステップは状態の軽い前傾をかもし出し、操縦性の向上に期待できます。
ハンドルまわりの操作感
クラッチは軽く操作感は良好です。クラッチレバー、ブレーキレバーともにグリップに近いため手の小さな女性でも扱いは楽でしょう。 てのひらが大きめな男性には近すぎるかもしれません。アジャストが出来ればよかった箇所です。
フロントブレーキはブレンボ系
ブレーキはフロントが「ブレンボ」の小排気量向けブランド「バイブレ」というメーカーのもです。 しっかりした制動力もあり、なおかつ上質なタッチが感じられます。
乗り出し感良好
発進時は軽量ピストンの恩恵を受け、低中速域から高回転域への移行も十分で、あっという間に制限速度に到達します。 2速発進でも気づかないほどの低速重視性能なので、渋滞などでもクラッチを離しての2速アイドリング走行が可能です。
しっかりした走りのバランス
タイヤ径が17インチというのも走行性能の向上に一躍買っており、車体の軽さ、ラジアルタイヤになったリアタイヤとの相乗効果で、シャープなコーナリングを実現しています。正直言って、こんなにコーナリングが楽しいバイクはなかなか出会えないでしょう。 インプレでこんなにも楽しいGIXXER、これはツーリングに出るのが楽しみになるバイクです。特筆すべきはアルミフレームの剛性感で、このGIXXERの一番優秀な部分とも言えます。コーナリングにしても、直進性能にしても、このフレームが全体の走りを引き締めているといえます。
街乗りは大の得意
軽い上に排気量を感じさせない低速トルクも相まって、GIXXERのメインステージである街乗りでは、250ccよりもはるかに軽快に走れるため、街乗りが楽しくなります。今回のインプレでも一番楽しめました。 また低速域での粘りが強いので、Uターンも楽にこなせますし、前後ブレーキもしっかり効いてくれるので、キビキビした走りが堪能できます。またライディングポジションがアップライトなため、広い視界が確保できるのも街乗り向きだといえます。
峠道での高いレスポンス
峠道のインプレは今回非常に楽しみにしていました。 2,3,4速を多用するワインディングではGIXXERの得意な6,000~8,000rpmを主に使うことになり、ブレーキ性能、コーナリング性能と相まって、下手な250ccスポーツモデルよりもGIXXERのほうが速く走れるような気がします。 通常であれば失速気味になってしまうようなタイトなコーナーも、余計な力をハンドルに入れなければ、きれいに回っていくことが出来、テクニックが上がったような錯覚を覚えます。
150ccでの高速道路
高速道路は想像以上に快適で、クルージングの速度域である90~100㎞は剛性感があるため非常に安定しており、150ccという排気量ゆえ心配だった入り口からの合流、遅い車の追い抜きといった場面でも、そのエンジン特性から問題は感じられませんでした。ツーリングの時もストレスを感じないでしょう。ちなみに最高速度は120㎞とのことです。
長距離を走り切る燃費性
今回、インプレで市街地・高速道路・ワインディングとツーリングを想定して150㎞ほど走り、燃費が平均で44㎞と非常に経済的でした。12リットルというタンク容量から、航続距離は450㎞を超えそうです。ツーリングの時もガソリンスタンドをヒヤヒヤしながら探すことはなくなるでしょう。
「GIXXER」のその価格は?
まさにコスパ最高の街乗りからツーリングまでこなせるオールラウンダーといったGIXXER。 一般の250ccのバイクの新車時車両価格がおおよそ50万円前後なのを踏まえると、そこそこの高級感があり、250ccに匹敵するような動力性能を持っているGIXXERの30万円前後という価格は、スペック以上のものを手に入れることが出来、非常にお得だといえます。どこにもスキがない上質なつくりというわけにはいかないのですが、走りのために必要なところにコストを惜しみなく使っていると感じられました。
まとめ
150ccという今までにあまりない排気量から、スペックのみで判断してしまい、インプレ前は期待を抱いてすらなかったのですが、いい意味で裏切られました。基本スペック以外のところでてんこ盛りでした。従来250ccが維持費、気軽さ、取り扱いのしやすさ、そこそこのパワー感から選ばれてきましたが、その反面、燃費性能、低速の弱さなどの欠点を持っている車両も存在しました。また、250ccが高性能化するのに従い、そのパワーを持て余していると感じている人がいるのも事実です。 GIXXERはベテランから女性・初心者まで幅広いユーザーをターゲットとしており、街乗りからツーリングまで幅広い利用シーンを対象にしているといえます。今後は、GIXXERのような、日本人にとってちょうどいいサイズ感があり、スペック以上のお得感を感じさせてくれる150ccが増えてきて、多くの人が2輪車を楽しいと感じるような時代になってくるのかもしれません。
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