ムラソイとは
概要
ムラソイとはスズキ系でカサゴやメバルの仲間に分類される海水魚です。全体的に茶褐色系の暗めの色合いをしているのは外敵からのカモフラージュのためだと言われています。本州ではカサゴやメバルとよく混同されてしまい魚市場に並べられていますがカサゴやメバルとは仲間というだけで別種の魚です。
あまり利用されない魚
この魚は型の大きなものなら味もよく、釣りの対象魚としても一部のアングラーには人気があるのですが、それでも他のメジャーな魚、例えばカサゴやメバルと比較するとマイナーな部類となります。
ただ、その白身は上品で味わい深く、カサゴやメバルと同様の食べ方をしても甲乙付けがたいほどだと絶賛するコアなファンがいるほどの魚です。今回はこのムラソイについてをご紹介します!
ムラソイの生態.1
ムラソイは根魚
根魚という表現は釣りを嗜んでいるアングラーの方たちにとっては見慣れた表現でしょう。根魚とは、藻や岩礁の境目などの海の底の方にある隠れ場所を特に好んでいる魚たちのことを言います。
ムラソイもそんな根魚の一種というわけ。海外では根魚のことを岩礁に身を潜める様からロック(岩)+フィッシュ(魚)と表現して専門のアングラーがいるほどの人気の釣り対象魚です。
ムラソイの体長と特徴
ムラソイはおおよそ成魚でも30cmほどにしかならない比較的小型の魚となります。特徴は先述したように暗色系のカラーをした体色に、大きな頭部と分厚い唇、そしてメバルのように大きくはった瞳が印象的です。専門の魚屋さんでもぱっと見てメバルと間違えてしまうほどの紛らわしい見た目をしています。
ムラソイの生態.2
ムラソイの生息地
ムラソイの生息地は太平洋側と日本海側で少しだけ違います。太平洋側の海では宮崎県から青森県までが主な分布で、日本海側では九州地方から北海道まで広く見られます。基本的に寒暖の差を問うことなく生息地を広くもつ魚となります。
比較的に浅瀬の岩礁域を好んで、テトラポッドなどの人工物の隙間などにも潜んでいます。この習性は他のメバルやカサゴなどの根魚とほぼ同一の特徴となります。
ムラソイの産卵期
ムラソイは胎生魚です。胎生魚とは、卵ではなく魚にまで育った赤ちゃんの状態で子供を産むタイプの魚のことを言います。ムラソイは桜が咲き始めた4月前後の季節から夏にかけてが産卵期となります。この頃のムラソイはお腹がぱんぱんに膨れてズングリとしているのが特徴です。
ムラソイと似た魚.1カサゴとの見分け方
カサゴもムラソイと同じく根魚
カサゴもムラソイと同じく根魚です。生息地も似通っていて、北海道から南の海に広く生息しており、またその知名度はムラソイとは比較にならないでしょう。アングラー以外の方たちもムラソイは聞き覚えがなくてもカサゴの名前は一度は耳にしたことがあるはず。
釣り対象魚としてはもちろん、食材としても人気のあるカサゴですが、生息する場所や環境がムラソイと共通しているだけに外見も本当に類似しているのです。
体色は決定打にならない
一般的にカサゴは赤い体色をしていますから「見分け方は体の色だ」と言う人もいますが、根魚は住む環境でその体色を変化させてしまう魚です。そのため、ムラソイとカサゴの見分け方として体色の違いを根拠とするのは少し難があります。
見分け方で重要なのは顔も含めた体型
そこで見分け方の決定打となるのはずばり体型です。まず、カサゴとムラソイでは顔の形が違います。カサゴの方がムラソイよりも下顎が出っ張っているいわゆるシャクレ顔。見る人はここを見ればすぐにカサゴとムラソイの区別がつくほどです。
そして、尾びれの形も違います。カサゴの尾びれはカクカクとした台形。対してムラソイの尾びれは丸型です。
ポイントは顎と尾びれ
他にも一般的な違いとしては体色に入る筋模様の違いや鱗の大きさなどがあげられますが、住環境で個体差がある上に少し分かりにくいでしょう。一番分かりやすい見分け方としては、「顎の形」と「尾びれの形」です。これで釣り上げた魚がカサゴかムラソイかすぐに区別がつきますね!
ムラソイと似た魚.2クロソイとの見分け方
クロソイもムラソイと同じく根魚
クロソイもムラソイと同じく根魚です。そして、実は根魚といえばムラソイよりクロソイの方が知名度は高いとされています。クロソイは養殖ものが流通するくらいの人気の食材で味わいもよく、刺身から鍋物にまで重宝されている重要な食用魚です。型もムラソイより大きく倍以上の60cm以上にまで成長します。
クロソイとムラソイの違い
カサゴとムラソイの違いはわりと分かりやすいのですが、クロソイとムラソイはなかなか見分けるのが難しい魚となります。まず、先述したようにクロソイの方がムラソイよりも大型になりますので、明らかに大きな個体の場合には違いはすぐに分かることでしょう。
ただ、30cm程度の個体を見分けようとすると一見しただけではなかなか違いを見つけられません。
体色の違いは目安程度に
一般的に、ムラソイよりもクロソイの方が体色が黒に近いとされています。ただ、これもカサゴの例に漏れず根魚と呼ばれる魚全般がもつ宿命ですが育った環境で体色には個体差が出てしまうのです。そのため、クロソイの方が黒に近いという情報はあくまでも目安程度に考えておくのが吉でしょう。
決定打は口の上のトゲ
ムラソイとクロソイの見分け方の決定打となるのは、口の上にあるトゲの本数です。ムラソイにもクロソイにも口の上に小さなトゲがあります。よく注視しなければ分からないほど些細な違いなのですが、この違いが両者を区別するための決定打となるのです。
ムラソイのトゲが2本以下なのに対して、クロソイのトゲは3本となります。ここをきちんと見れば型の同じくらいの魚が釣れた時に、もうムラソイかクロソイかを迷うことはなくなりますね!
ムラソイの美味しい食べ方
ムラソイは美味しい魚
ソイと名がつく魚はムラソイやクロソイ以外にもたくさんいます。そのなかでも食用として養殖魚が出まわるクロソイが一番食味がよい魚だと言われていますが実はムラソイもクロソイと並んで美味しい魚です。
クロソイよりも小ぶりなぶんだけ身がほどよくしまっていて刺身はもちろん加熱調理しても絶品の食べ方を選ばない優れた食材なのです。
ムラソイの旬
ムラソイの旬は9月の秋口からはじまり冬まで続きます。この時期のムラソイは上品な白身のなかにまろやかなコクがあって絶品。他の高級な白身の魚にも引けをとらないその美味しさを生かしたムラソイ料理は知る人ぞ知る一品といえます。
ムラソイの美味しい料理4選
煮ても焼いても揚げても美味しい
ムラソイは煮ても焼いても揚げても美味しい魚です。上品でほどよく引きしまった白い身は新鮮な状態なら刺身で美味しく他の料理でも、例えば煮魚にすれば口のなかでホロホロとほどけて食べる人を楽しませてくれます。それではなぜカサゴやメバルほどの知名度がないのかと言うと、市場に流通するだけの個体数が捕れないためというのが理由です。
運よく手に入ったときのために
運よくムラソイが手元に来たときのためにも「美味しいムラソイ料理」をあらかじめ知っておくのが最善の準備と言えましょう。たまに釣り上げられたムラソイは漁師の方やアングラーなどの釣り師たちにとっての密かな楽しみ。
そんなムラソイの美味しい料理のなかから特におすすめの絶品料理を4選チョイスしました!是非、将来のためにもチェックしておきましょう!
ムラソイの美味しい料理.1
お刺身
刺身はシンプルでいて定番の人気のある食べ方です。ムラソイは他の白身魚よりも身がもつ甘みが強いのが特徴です。ムラソイは一般に市場には出回らないレアな魚で手に入るとしたら、釣り人などが出所となるのが多いことでしょう。
そうなると鮮度を生かした刺身という食べ方が一番、ムラソイの美味しさを生かしてくれます。刺身醤油とわさびという、オーソドックスな食べ方でムラソイを楽しみましょう!
ムラソイの美味しい料理.2
煮付け
ムラソイの白身は甘辛く砂糖と酒と醤油で煮れば、ごはんのお供としてメインとなれるほどの深い味わいとなります。白身魚としては意外なほど良質な脂をもつムラソイは煮ることで口の中でほろほろとほどける繊細な美味しさ。
ポイントは煮すぎないことです。飾り包丁をムラソイのお腹に十文字にいれておくことで少ない煮込み時間でも十分に味がつきます。
ムラソイの美味しい料理.3
から揚げ
ムラソイはから揚げも絶品です。捌いたムラソイに塩コショウをふって冷蔵庫で少し寝かせておき、水気をキッチンペーパーでふきとったら片栗粉をまぶして170度の油でカラッと揚げます。
ご飯のお供にはもちろん、お酒のアテにもこれ以上ないくらいの美味しさ!じっくり揚げれば小骨ごと食べられるのもポイントが高いですね!
ムラソイの美味しい料理.4
塩焼き
猫も狙うほどの美味しい食べ方が塩焼きです。内臓を取り出したムラソイに飾り包丁を入れておき、大目の塩をまぶしてグリルでじっくりと焼きましょう。この食べ方もシンプルですが、ムラソイのもつ脂の豊かな風味を生かすには満点の食べ方です。
ポイントは少し焦げ目が付くくらいにまで香ばしく焼き上げること。ムラソイの脂がはじけてジュウジュウと音が鳴れば食べごろの合図です。猫ちゃんにあげる時には塩は不要ですよ!
ムラソイの釣り方
ルアーフィッシングがおすすめ!
ムラソイは堤防のテトラポッドなどの比較的、陸から近い部分にあるストラクチャーを好む魚です。そこでおすすめの釣り方としてはルアーフィッシング!ムラソイは食欲旺盛で「海のブラックバス」と呼べるほどルアーへの食いつきがよく、ルアーが目の前を横切っただけでバクンと食いつきます。
使うルアーはワームやジグヘッドで
ミミズを模したワームやジグヘッドがおすすめです。ただ、前述したようにこの魚、好奇心旺盛で何でもパクンと口に運びますので、そこまでこだわる必要はありません。ロッドなどの他の道具はブラックバス用のものをそのまま使っても問題ないでしょう。
十分にムラソイ釣りを楽しめますよ。ムラソイはブラックバスと比べると少し型が小さいですが活発さでは引けをとりません。ググっと竿を伝わる感覚は初心者からベテランのアングラーまで十分に楽しませてくれること間違いなしです!
まとめ
食べて美味しい釣って楽しい魅力的な魚、ムラソイについていかがでしたでしょうか。根魚はムラソイや他に紹介したカサゴ、クロソイ以外にもたくさんの種類が存在しています。釣り上げた魚がムラソイなのか、カサゴなのか、はたまたクロソイなのか。
その場ですぐにずばりと答えられれば一味違うアングラーとして周囲から一目置かれること間違いなしです。是非、簡単な見分け方を覚えて明日からの釣りライフに生かして下さい!
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