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サワラの生態や基本情報まとめ【魚図鑑】

サワラは関西では春を告げる魚として有名な魚で、親しまれる爽やかなイメージの魚です。しかし獰猛なフィッシュイーターで釣りの良いターゲットとして、ルアー釣りでの人気種です。関西に多い魚でしたが、温暖化で関東でも昨今は狙われます。そんなサワラをご紹介します。
2020年8月27日
adanokinawa83
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サワラの分類

スズキ目、サバ亜科、サワラ族、サワラ属

サワラはスズキ目、サバ亜科、サワラ族、サワラ属、サワラです。サワラ族とは広義のグループ族でニジョウサバや、カマスサワラなどの中間種的な物を含めた族種です。サワラ属はこのサワラ属の中では最も大きなグループで18種おり、日本には5種生息しています。近縁種ではヨコシマサワラ、ウシサワラ、タイワンサワラが知られていますが、漁獲量は共に少なく知られていません。

サワラの外国名

Japanese Spanish mackerel

Japanese Spanish mackerelで、「mackerel」は英語で鯖を意味し、「Spanish」はスペインです。日本を代表する鯖となってしまい、大西洋鯖と日本の真鯖が酷似しているので名付けられたといわれます。

サワラの学名

Scomberomorus niphonius

「Scomberomorus niphonius」ですCuvierという フランスの博物学者が1831年に命名しています。

サワラの名前の由来

鰆(漢字名・和名)

歴史的な仮名使いは「サハラ」で「サ」が(狭い)意で、「ハラ」は(腹)を指します。その意味はサワラの体形を指しマグロが細長くなってしまったような様をみて「サハラ」になったと由来されます。また植物の斑点などを古くは「イサハ」と言い、サワラの斑紋を指し、「イサ肌」と呼んでいて、「イ」と濁点が脱落したという説もあります。漢字の「鰆」は春に多く漁獲される事が多いので「春が旬の魚」を意味しています。

サワラの地方名、出世名

サワラの地方名

他のサワラと区別し「ホンザワラ」と漁業関係者の間では呼ばれます。地方ではサゴセ(徳島県)サゴチ(関東)サゴシ(三重県)ヤナギサワラ(金沢)【金沢ではマカジキをサワラと呼びます。】カマチ(九州)グッテリ(高知、愛媛)

サワラの出世名

サワラもスズキやブリのように成長する事で呼名が変わる「出世魚」です。30㎝~40㎝「ヤナギ」40㎝~50㎝「サゴシ」50㎝~60㎝「ナギ」60㎝以上「サワラ」

サワラの分布

温帯~亜熱帯海域に分布

分布は北海道南部から東シナ海が日本海側の分布で、太平洋側では瀬戸内海、西太平洋~東北沿岸、過去には温暖な海域を好むサワラが、近年の温暖化で、関東、東北沿岸での漁獲が増えています。

サワラの生息域

サワラの生息場所

サワラは季節により回遊しながら捕食を繰り返し、活動しています。アジやサバのように温水域を春から夏のかけては北上し、秋から冬にかけては南下します。季節回遊中は沿岸の表層で小魚を追い回遊しますが、冬はカタクチイワシ等を追って深場にて生息します。

サワラの形態

サワラの形態、体長


サワラはその名の由来の通り(狭腹)細長く、西洋の剣の様な魚です。広義のサワラ族の仲間「カマスサワラ」がいる様にカマスにも似ますが、外見的にカマスとサバの間の様な容姿です。体長は1mを超え、一般的には5kg前後ですが大きな物では10kgを超える漁獲もあります。体色、体表の模様はサバに酷似していて、ヒレなども同様に類似します。口が大きく、鋭い歯が並列している事も特徴的です。

サワラの生育環境・生態

サワラの生育

サワラは稚魚時には植物性、動物性プランクトンを摂取し、幼魚になるとプランクトン、オキアミなどの動物性の食性に変わります。春に生まれたサワラは浮遊生活後、稚魚生活のなかでイワシなどの小魚を追い回し、同サイズ位の魚でも鋭い歯で襲い捕食します。一年は湾内で過ごし、豊富な稚魚やイワシなどの小魚を捕食し成長します。翌年の春から日本の沿岸を南北に回遊し、エサのエビや小魚に合わせ表層から中層までを群生して活動しています。

サワラの回遊

サワラは上述のように春から外海へ出て餌を求め回遊します。日本沿岸を回遊するサワラは2つのグループの魚群に分けらています。瀬戸内海群と東シナ海群です、瀬戸内群は初夏から夏にかけ太平洋沿岸を通過し、北陸沖まで小魚の群れを追う「索餌回遊」し、温度が下がる秋口には南下し、瀬戸内海周辺の海域の深場で過ごし越冬します。翌年の5月に瀬戸内海で産卵します。東シナ海群は8~9月頃に三陸の沿岸に魚群が見られ、北海道沿岸まで索餌回遊し、秋に戻っていく回遊パターンです。

サワラの産卵

瀬戸内海での産卵は、5月から7月に浅瀬の静かな海域で行われ、1匹の雌から80万粒前後産み、夜間に放卵、放精します。東シナ海でも同時期に行われます。孵化した稚魚は、内湾で秋まで群れで回遊し、捕食活動を繰り返し、秋には深場に潜るイワシなどの群れと共に深場で春まで過ごします。

サワラの食性

サワラの口は下顎が若干突き出た受け口で、表層のイワシやアジなどの小魚を突っ込んで丸呑みや噛み付いて捕食します。小魚のイワシ、アジ、サバ、ワカナゴが主な餌ですが、エビやイカなどの軟体類も捕食する旺盛な食性です。

サワラの釣り情報

ここは魚種図鑑ですので釣りの情報は概要でご紹介します。詳細はリンクを貼りますので、ご参考下さい。また、釣りの動画もご紹介しますので参照下さい。

サワラ釣りのポイント

サワラが釣れるポイントは、当年魚の若魚は潮通しのいい外洋に面した防波堤や磯から狙います。成魚の大物はカツオのように沖合性が強く、岸からでは難しいので、ボートや乗合船で沖で釣ります。

サワラ釣りのシーズン

若魚の陸からの釣りは8月から11月までで、ベストシーズンは8月から10月の回遊魚を追って接岸したサワラを狙う釣りとなります。船では周年狙えば釣れますが、ベストシーズンは陸と逆で、深場にて狙いが付けやすい12月~3月までがベストです。

サワラの釣り方

若魚は防波堤や磯から餌でのウキ釣りか、ルアー釣りで狙います。成魚は船から餌釣り、ルアー釣り、ジギング、で人気のターゲットで大物も競って釣れています。

サワラ釣りのタックル(陸から)

陸からの投げウキ釣りでは磯竿の4.5m前後でリールは磯物の3000番前後のリールをセットし、ラインはナイロンの4号を使用します。 ルアー釣りではシーバスロッドの8ft前後と3000番のスピニングリールに、PEの1号を使用します。

サワラ釣りのタックル(船釣り)

餌釣の竿は2m前後の6:4調子のワンピースタイプと小型の電動リールでPEラインの2号を使用します。 ルアー釣りはジギングとキャスティングに分かれますが、キャスティングなら8ft前後のシーバスロッドに4000番のスピニングリールにPEラインの2号をセットします。 ジギングはジギングロッド6ft前後(150g負荷)にスピニングリール4000番前後ラインはPEライン3号をセットします。


サワラの餌釣り

堤防での餌釣りの仕掛けは投げウキにオモリとハリスのシンプルな仕掛けで臨みます。タチウオ釣りの仕掛けをそのまま流用出来ます。餌はキビナゴやサンマの切り身をセットし、基本的に待つ釣りです。合わせは向こう合わせで大丈夫です。 船での餌釣りは青物の釣りと一緒で片テンビンに錘付きのカゴをセットし、アミエビで集魚します。ハリスにサワラ用のコアワイヤーフックのM、Lを使い合わせます。エサはサシアミ、ワカナゴ、サンマの切り身などを使用します。

サワラのルアー船釣り

陸からのルアー釣は回遊待ちでの釣りが主体になりますので、情報収集が肝です。サワラの歯が鋭いのでリーダーを組みます。ルアーはフローテイングミノー、トップウォーター、バイブレーション、メタルジグを状況に合わせローテーションします。 船でのキャスティングも主にナブラ撃ち(サワラなどの餌食い時)で狙います。ナブラを直撃するか、奥に投げ、魚にルアーをアピールし狙います。早巻が基本です。 ジギングは60g~150gのメタルジグを投入します。ジギングの場合、ラインを切られる可能性が高いので、80ポンドのリーダを組みます。リフト&フォールで探り、サワラを探ります。弾丸のようにジグに飛びついて来ますので直合わせは必要ありませんが、追い合わせを入れてファイトを楽しみながら取り込みます。

サワラ釣りの動画

堤防からジグで巨大サワラが釣れた!ライトショアジギング

佐賀県の堤防のルアー釣りの動画です。1月初旬の釣果の様です。東シナ海群の深場から餌を探しに出てきた個体でしょうか?ルアーはメタルジグの20g 10㎝位のものに見えます。堤防からでは最大級の釣果の動画です。

今福港にてメタルジグでサワラ釣り【つり具のまるきん釣り情報】

釣り具の「まるきん」さんのショアジギングの動画です。10月3日の長崎県今福港で30gの10㎝位のメタルジグでサワラを狙い、ボトムパンピングで、誘いサワラを釣っています。

東京湾寒サワラ:キャスティングゲーム怒涛の入れ食い:釣福丸

東京湾沖で2月の船でのナブラ撃ちの釣行の動画です。群れに当たるとこんなに釣れるのか?という位入れ食いをしています。大きなプリプリの美味しそうなサワラを釣りあげていて羨ましいです。

石井修二さんのサワラ教室 /茅ヶ崎港 一俊丸

サワラのジギング教室という事で、ジグの誘い方を動画で説明してくれています。サワラのジギングをチャレンジしたい方は必見の動画です。

サワラの味・選び方

サワラの選び方(一匹物)

一匹物のサワラは大きいほど高価で脂がのっています。脂がのった物がお好みなら、大きく、身の張りがあるものを選びます。鮮度が良い物は目がみずみずしく澄み、体の表面に艶があるものを選び、体表の斑紋がはっきりしていて、触ってみて身が固く引き締まっている物を選びましょう。

サワラの選び方(切り身)

切り身は血合いの赤い色が鮮やかで、切り口が鮮やかな物を選びます。身が割れている物や、身の表面が白濁している物、血合いが黒ずんでいる物、タッパーの底に水が浮いている物や、生臭いものは鮮度が落ちているので避けます。サワラは鮮度が落ちやすい魚ですので、よく見て選びましょう。

サワラの栄養

サワラの栄養素

サワラはタンパク質、ビタミンB2、脂質が多く入った栄養素の多い魚です。ミネラル類でもカリウムや亜鉛が程よく含まれています。

サワラの栄養素の効能

豊富に含まれるたんぱく質の効能は肌や爪、筋肉組織を作る栄養素です。また、免疫力を強化する効能もあります。獣肉のようにコレステロールが多く生活習慣病の原因になる事はありませんので、組み合わせて多量に取る事で、健康維持が可能になります。豊富な脂質はDHA、EPAを含み血液を浄化し、中性脂肪の低下効果もあり、血栓を防いで、動脈硬化、脳卒中の予防になります。DHAは脳細胞に含まれる要素で脳の活性化を促します。記憶力向上の効果が望めます。魚の脂質に含まれる必須アミノ酸はアンチエイジング(若返り効果)が望め、とても良い脂として健康食品です。

サワラの料理


サワラの刺身

西日本で食べられる刺身は若魚の物が主流で、爽やかな魚本来の美味しさが味わえます。関東は成魚の餌を豊富に食べた、秋から冬の霜降り状態の物を旬として好み、最上級の霜降りはマグロのトロより美味しいともいわれ、旬の物は5000円/kgで取引されます。

サワラの焼き霜降り

皮を付けたサワラを炙ってサク造りで戴きます。皮も柔らかく旨みが詰まっていて、香ばしく、若魚でも脂の美味しさが味わえます。成魚の脂ののった物でも皮と身の脂が口の中でとろけ絶品です。

西京漬け

サワラの切り身に、京都の西京味噌とみりんを合わせ漬け込んだものでサワラの淡白でしっかりとした柔らかい身に良く合う、京料理です。

船場汁

船場汁(せんばじる)昔から大阪市で作られていた潮汁で、魚の出汁と塩とネギ、大根などの野菜だけで作られている質素な汁物ですが、サワラの美味しさが良く味わえる汁物です。

サワラの寄生虫

アニサキス

アニサキスはサバやカツオに多く付く寄生虫で、内臓に取り付く寄生虫なので、内臓を食べなければという所ですが、魚が死んで鮮度を失うと、胃壁や腸壁を食い破って筋肉組織に取り付きます。それを食べると人間にも害をなす、という訳です。稀にですが刺身に着いたこの寄生虫を食べ、生きたまま胃に取り付いてしまって、大変な痛みを伴い病院に担ぎ込まれる事があります。内視鏡で取り除くのですが、大変な作業と痛みです。この寄生虫の被害を防ぐには魚に熱を通すか、冷凍し魚を駆除すれば間違いなく防げます。また、どうしても生食というのであれば、大変ですが、薄造りにして目視で確認する事です。

サワラの雑学

サワラの旬

春が旬の魚で知られるサワラですが、実際は関西でも5~6月に瀬戸内海に産卵の為入って来るので春が旬とは言い難い実情です。これは和歌山や四国で獲れた一番物がサクラの時期と重なり、関西では「桜鰆」と呼んだ事に由来しています。また、関東では「寒鰆」と呼ばれ、厳寒期の身の締まった脂ののった物を好み、最近では高級魚並みの価格で取引されています。

サワラは刺身の王様

寒鰆は脂肪が15%程ありクロマグロやインドマグロのようにトロリとした食感と脂のとろける味わいを楽しめます。鮮度が落ちやすい魚の為扱いが難しく、釣り師か漁師しか、刺身は味わえないという事で、知られざる事実でした。その美味しさに「鰆の刺身は皿までなめる」という俗諺もあります。最近ではTVやインターネットで旬の寒鰆が紹介されはじめ、この王様説が波及しています。

サワラまとめ

サワラは関西や日本海沿岸では昔からとても愛され、食べられてきました。これは沿岸に回遊してきた地域に限られ、全国区とは言い難いと思います。関東ではあまり有名な魚ではなく、スーパーにあっても「中々美味しいらしいね」位のイメージで素通りしてきました。ですが昨今、東京湾沖や相模湾沖の首都圏で漁獲が増え、寒鰆の美味しさが認識され、寒鰆はマグロより美味しいという噂がまことしやかに流布しています。金目鯛や、のどくろ等の高級魚でも過去にはこの様に知られざる高級魚でしたが、サワラははるか昔から知られる魚ですので珍しい事実と言えます。さらに魚群の移動が速く、餌釣りよりジギングやキャスティングの方が釣れる魚ですので、今後の釣りの世界を実りのあるものに変えてくれそうな予感がします。サワラは釣りの世界にも春を告げるのか?と、これからも目が離せません。