ルッコラ基本ガイド!
ゴマの香りが食欲をそそり、くせのない味わいで食べやすいサラダ野菜のルッコラ。 日本ではイタリア料理の広まりと共に一般的になりました。 実は、ヨーロッパでは、はるか昔のローマ時代から食用として育てられてきた歴史があります。 パセリやバジルと同じように、菜園や一般家庭のお庭でも栽培されてきた身近な野菜なんです。
ルッコラってどんな植物?
ルッコラ、ロケットなど色々な呼び方がありますが、同じ植物のことです。 最も一般的なルッコラ(rucola)という呼び名はイタリア語です。 ロケットサラダ(salad rocket)はイギリス、アイルランド、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドでの呼び方で、これはフランス語での呼び名ロケット(roquette)が元になっています。 アメリカ・カナダではarugulaと呼ばれていますが、これも「ルッコラ」が訛ったもの。 全てラテン名のerucaから派生しています。
ルッコラの学名は eruca sativa。 アブラナ科、キバナスズシロ属に分類されます。 花を咲かせ、種を残して枯れる一年生の植物です。葉だけでなく、花・若いさや、種も食べることができます。 地中海沿岸地域が原産で、西はモロッコ、ポルトガルから、東はシリア、レバノン、トルコの西まで広く分布しています。
写真はルッコラの花です。食べるとゴマの香りがします。
【ルッコラ注目ポイント①】 高栄養低カロリー!
香りが良くて食べやすいルッコラ。 栄養価的にも優れた食品なのをご存知でしょうか? 以下に詳しく見ていきましょう!
ルッコラの栄養・効能
ルッコラはカルシウムや鉄分、ビタミンAなどを多く含み、その栄養価の高さから海外ではスーパーフードの一つに数えられています。 微量栄養素、ビタミン、ミネラルの中で特にルッコラが優れている部分を3つ紹介します!
ルッコラの栄養・効能①ファイトケミカルがすごい!
「植物栄養素」としても知られるファイトケミカル。 ルッコラにはイソチオシアネート、スルフォラファンなどのファイトケミカルが含まれています。 これらのファイトケミカルは、身体の中の解毒酵素や抗酸化酵素の働きを高め、がんの発生を予防してくれます。
ルッコラの栄養・効能②葉酸の含有量が多い!
ルッコラは葉酸を多く含んでいます。 100gのルッコラを食べれば、97μgの葉酸を摂ることができます。
ルッコラの栄養・効能③ビタミンKを多く含む!
ルッコラを100g食べると、一日の推奨量の90%のビタミンKを摂ることができます。 ビタミンKは血液を固めるのに大事な役割を果たすほか、骨の成長にも欠かせない栄養素です。骨粗しょう症の治療にもビタミンKが用いられます。
ルッコラを食べるとこんな効能が!
効能①身体の抗酸化に役立つ!
ルッコラに多く含まれるのはファイトカロチンやビタミンKだけではありません。 ビタミンA、ベータカロチンも多く含み、100gのルッコラで2373μgのビタミンAと、1424μgのベータカロチンを摂ることができます。 ビタミンA(ベータカロチン)は、粘膜を強くし、皮膚、肺、口腔がんの発生を防いでくれます。 また、抗酸化ビタミンの代表ともいえるビタミンCも多く含んでいます。
効能②食事のカロリーを抑えてくれる!
他の葉物野菜と同じく、ルッコラも低カロリー食品です。 100gでわずか25カロリーと、非常にヘルシーな食材です。
効能③胎児の成長に必要な栄養素が補える!
ルッコラに含まれる、葉酸、ビタミンKは妊娠中に積極的に摂りたい栄養素です。 葉酸は胎児の健康な発育に重要な働きをします。サプリなども売られていますね。 また、新生児でビタミンKが不足すると出血症が見られることもあるため、生まれて間もない時期にビタミンKシロップの投与が行われています。 どちらもルッコラを食べることで補えるのがうれしいですね。
効能④香り成分が食欲を増進してくれる!
ルッコラの香り成分であるアリルイソチオシアネートには、食欲増進効果があります。
効能⑤血液サラサラ効果!
アリルイソチオシアネートには、血栓を予防し、血液をサラサラにする効果もあります。
効能⑥ミネラルが疲労回復に役立つ!
ルッコラに含まれる、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、葉酸などのミネラル分は、免疫を高め、疲労回復に効果があります!
【ルッコラ注目ポイント②】 栽培しやすい!
ルッコラの栽培は難しくありません! ベランダやお庭、室内でルッコラを育ててみましょう。
ルッコラの育て方!栽培してみよう!
ルッコラの注目すべきポイントとしては、何といっても栽培しやすさにあります。 育てたいと思ったときにすぐ育てられる、身近な野菜です! 以下に育て方を詳しく見ていきましょう。
〈ルッコラの育て方〉プランターで栽培する
ルッコラは生育期間が30日~60日と短く、管理も容易なのでプランターでの栽培に向いています。 また、サラダ向きの柔らかいルッコラを育てたいなら、明るい日陰が最適。ベランダやキッチンの窓際にぴったりの野菜です。 プランターは普通のサイズのもので大丈夫です。 水はけのよい土を用意しましょう。種をまいたら(バラまきあるいはすじまき)、軽く覆土しておきます。 種が流れないようにジョウロでやさしく水やりをして下さいね。 通常一週間も経たないうちに芽が出てきます。
背丈が5cmほどになったらおいしそうなものから順に摘んで、気軽に食べきってしまいましょう。 直射日光が強いときや、台風などのときに場所移動がしやすいのもプランターの利点です。
〈ルッコラの育て方〉畑や庭で栽培する
ルッコラを露地栽培(畑や庭での栽培)すると、しっかりとした株が育ちます。 酸性の土を嫌うので、種まきをする2週間ほど前に苦土石灰を土に混ぜ込んでおきましょう。 畝を作り、すじまきにするのがおすすめです。
ルッコラを露地栽培するときには、いくつか気をつける点があります。 ・春まきはトウが立ちやすい。秋まきが育てやすい。 ・アブラムシや青虫がつきやすいので、防虫ネットをはるのがおすすめ。 ・連作障害があるので、2年連続同じ場所で栽培しない。 ・直射日光を浴びすぎると硬くなり、寒すぎると生育しない。トンネルをはると日差しや寒さをやわらげることができる。 ・水不足になると苦味や辛味が強くなる。しっかり水やりをしましょう。
〈ルッコラの育て方〉水耕栽培で育てる
ルッコラは水耕栽培に向いています。 最近では家庭用の水耕栽培器なども売られていて、注目の栽培方法です。 LEDライトや空気循環装置などを取り付けると大がかりになりますが、100円ショップのざるとスポンジなどを組み合わせて自作で水耕栽培用の装置を作ることもできます。
ルッコラはリーフレタスなどに続いて野菜工場で多く栽培されている野菜です。 やわらかく、くせのない野菜が育つので、サラダ向きと言えます。 1年中、害虫の被害を気にせずに新鮮なルッコラを食べられるのはありがたいですね。
水耕栽培とは?始める前に知っておきたい5つの基本知識をご紹介!
水耕栽培(ハイドロカルチャー)で観葉植物を育ててみませんか?園芸の分野でも農業の分野でも、水耕栽培の需要が年々増しています。園芸はちょっと苦...
〈ルッコラの育て方〉栽培に適した季節は?
ルッコラは、暑すぎず、寒すぎない気候を好みます。 真冬と真夏を避ければ、比較的長い期間育てることのできる野菜です。 春まきならば3~5月に種をまき、梅雨や猛暑を迎える前に収穫します。 秋まきの場合は夜の気温が下がってくる9月以降に種をまき、30~60日ほどで収穫します。 春まきのルッコラはトウが立ちやすく(花芽が出やすい)、また害虫の被害にあいやすいため、初心者には秋まきがおすすめです。
花が咲くのは5~7月頃
ルッコラの種は-5~40℃で発芽します。生育に適した温度は15~25℃です。ある程度の耐寒性はありますが、寒すぎるとよく育ちません。 また、日本の夏は暑すぎるので、露地栽培での出荷も夏にはあまり行われていません。 過湿にもあまり強くありませんので、梅雨の間は雨を避けたほうがいいでしょう。
写真は採取したルッコラの種です。
〈ルッコラの育て方〉好む土
ルッコラは水はけがよく、肥沃な土を好みます。 ベランダ栽培の場合は、野菜やハーブ用の培養土を用いるか、赤玉土7に腐葉土3を混ぜ込んだ用土を使います。 水はけを良くするために、川砂やバーミキュライトを1割程度混ぜ込んでもいいです。 新しい土ならば問題ありませんが、以前にアブラナ科の植物を育てていない用土を使うようにしましょう。連作障害をさけるためです。 また、酸性を嫌い、アルカリ性の土を好みます。畑や庭で育てる場合は、種まきの2週間前に苦土石灰をよく土に混ぜ込んでおきましょう。
〈ルッコラの育て方〉種を選ぶ(品種)
手に入りやすく、育てやすいルッコラには「オデッセイ」「ロケット」「ルッコラ」「アストロ」などの品種があります。
〈ルッコラの育て方〉種まき
ルッコラの種をまくときに、まずどのような収穫スケジュールを立てるのか、考えてみましょう。 普通のサイズのプランターで、たくさんまいて、たくさんスプラウトやサラダ野菜として収穫したい。 →ばらまき 露地栽培、あるいはプランター栽培で、株をしっかり育てて収穫したい。 →すじまき
葉を若いうちに収穫し、ベビーリーフとして用いたいのであれば、ばらまきがおすすめです。 特に間引きなどを考えずに、おいしそうな葉から順次摘み取ってしまいましょう。 他の葉物野菜と同じようにしっかり株として育てたいのであれば、すじまきにして、間引きをし、株間を20cmほど取って育てます。 60cmのプランターですじまきにする場合は、横に2条すじを作り、そこに種をまいていきます。 畑や庭ですじまきにする場合は、畝を作るのがおすすめです。 ルッコラの種は小さいので、水に流れたり風に飛ばされたりする場合があります。 土に種をまいた後、軽く細かい土をかぶせてあげましょう。ふるいを使えば簡単です。
ここに注意!ルッコラ栽培
丈夫で育てやすいルッコラですが、いくつか気をつけたいポイントがあります。
育て方の注意点① 水やり
ルッコラの水やりには、目の細かいジョウロを使いましょう。特に発芽の前後は種が流れたり芽が倒れたりしないよう気をつけて水やりをします。 普段の水やりは、土が乾いてから行います。 ルッコラは水を好むので、あまり乾燥させすぎないように気をつけましょう。 乾燥させると、苦味や辛味が強くなります。 ・雨には当てないほうがいいが、乾燥しすぎるとまずくなる! 水やりに気を使いましょう。
育て方の注意点② 間引き
家庭菜園でルッコラを育てる場合は、間引きも立派な収穫です! おうちで食べるサラダとしてルッコラを栽培している場合は、むしろきれいな芽やきれいな葉をどんどん収穫してしまいましょう。 スプラウト、ベビーリーフ、サラダ菜として、どの段階でも食べることができます。 収穫していくうちに、陰になっていたものにも日が当たり、生育が良くなります。 株をしっかりと育てるときは、きれいなものを残して、生育の悪いもの、曲がって生えているもの、密集しているものなどを数回にわたって間引きします。 他の葉物野菜と同様に、双葉が出揃った頃に1回目、本葉が4枚ほどになった頃に2回目の間引きを行います。生育の良いものを残して、株間を広げていきます。 間引きしたあとは株と株の間に追肥として化成肥料を施すとよいでしょう。
育て方の注意点③ 摘蕾
春に種をまいたルッコラは5月から7月にかけて花芽をつけます。 この花芽はみつけたらすぐにかきとりましょう。 花を咲かせたい場合は別ですが、花芽を放置しておくとトウが立ち、葉が硬くなります。 葉を収穫したいのであれば花芽を残さないようにしましょう。 写真はルッコラの花です。花も食べられますよ。
ルッコラを収穫しよう!
ルッコラの収穫①外葉を収穫する
本葉が4~5枚に出揃ったら、ベビーリーフを収穫しましょう。 きれいな葉を外側から一枚ずつ、清潔なはさみで株元から切りとっていきます。 このときは、まだ株全体は収穫しません。 外葉だけを収穫するので、長い期間新鮮なベビーリーフを楽しめます。
ルッコラの収穫② 株ごと収穫する
草の丈が15~20cmほどの大きさに育ったら、株ごと収穫します。 このときは、根から抜き取るようにしましょう。 大きく育ったルッコラは、ベビーリーフの頃より味が強くなっています。 苦味や辛味が強い場合は、おひたしや炒め物など、火を通して食べましょう。
【ルッコラ注目ポイント③】どんな料理にも合う!
サラダ以外にも、ルッコラのおいしさを味わえるレシピはたくさんあります! そのいくつかを紹介します。
〈ルッコラの食べ方〉おいしい食べ方をご紹介!
大切に育てたルッコラを早速味わってみましょう。 生で味わうのももちろんですが、火を通して食べるのもおいしいですよ。
ルッコラといえばまずはイタリアン。 オリーブオイルやトマト、チーズとの相性は最高です! ですが、実は和風のおひたしや中華風の炒め物など、色んな料理に使える万能な野菜なんです。
ルッコラの食べ方① サラダレシピ
まずは定番!シンプルにルッコラのおいしさを味わえるサラダを紹介します。 ルッコラ 好きなだけ オリーブオイル ルッコラ2周分ほど レモン汁 レモン4分の1~2分の1 塩 適量 黒こしょう 適量 トッピング 適量 ルッコラに合うトッピングは色々あります! パルメザンチーズ、クリームチーズ、カリカリベーコン、生ハム、スモークサーモン、ローストビーフ、カリカリにんにく、クルトン、くるみ、松の実などのナッツ類、ドライクランベリー、りんご、ざくろ、柿 etc. レモン汁をバルサミコ酢に変えると大人の味わいです。
栄養満点サラダレシピ
上の写真のサラダでは、たっぷりのルッコラにざくろ、ローストかぼちゃ、ビート、フェタチーズ、クミンシード、松の実がトッピングされています! 見た目も鮮やかで、おしゃれなサラダですね。
ルッコラとブルーチーズのサラダレシピ
こちらのサラダはルッコラに梨、ブルーチーズ、松の実を乗せています。
【動画】ルッコラとパルメザンチーズのサラダ!(副菜レシピ)
〈ルッコラの食べ方〉 ②和風サラダレシピ
ルッコラは和風・中華風の味付けにも合います。ごまの香り+ごま油でゴマ好きにはたまらないサラダです! ルッコラ 好きなだけ ツナ 1缶 ごま油 大さじ1 酢 小さじ2 塩 適量 材料をあえるだけでできあがり。お酢をポン酢にしてもおいしいですよ。 和・洋・中どんな食卓にも合いそうなサラダです。
〈ルッコラの食べ方〉 ③ピザに乗せる
新鮮なルッコラを、焼きたてのピザの上にどーんと乗せて、オリーブオイルをかけて味わうのもイタリア風です。
〈ルッコラの食べ方〉 ④ルッコラペーストを使ったレシピ
バジルペーストのパスタはよく知られていますが、ルッコラペーストのパスタも最高です! ぜひお試しあれ!
〈ルッコラペーストの材料〉 ルッコラ 1~2束(80g) くるみ 20g にんにく 一かけ オリーブオイル 50cc 塩 小さじ4分の1 こしょう 少々 ・材料を全てフードプロセッサーあるいはミキサーに入れて、なめらかになるまで攪拌します。 お好みのパスタをゆでてルッコラペースト、オリーブオイル、パルメザンチーズとあえます。
〈ルッコラの食べ方〉 ⑤生ハムとルッコラのパスタ
生ハム+ルッコラ+にんにくオイルのパスタは間違いなくおいしい組み合わせです! おしゃれな昼食にどうぞ。
〈ルッコラの食べ方〉 ⑥和風おひたし
実はおひたしにしてもおいしいルッコラ。 ほうれんそうや小松菜など、他の葉物野菜と同じように使えます。
〈ルッコラの食べ方〉 ⑦ガーリック炒め
ルッコラとにんにくをオリーブオイルで炒めて、塩コショウするだけの簡単レシピです。 お酒のおつまみにも合いますよ。
〈ルッコラの食べ方〉 ⑧サンドイッチ
ルッコラと相性のいいトマト・生ハム・パルメザンチーズと一緒にはさんで、おしゃれなサンドイッチのできあがりです。クラッカーやトーストに乗せたり、オープンサンドにしてもいいですね。
〈ルッコラの食べ方〉番外編 育ちすぎた場合
ルッコラは育ちすぎると苦味や辛味が強くなることがあります。 うさぎさんなら喜んで食べてくれますよ!
新鮮なルッコラを育てて食べよう!
ルッコラの魅力にとりつかれたあなた。 種まきは一年中できますよ! ぜひ、自宅で育ててみてくださいね。