ステーションビバークとは?
ステーションビバーク。直訳すると駅での野営、露営。
つまり駅で寝ること。
何かしらの理由で駅のホーム、待合室で寝泊りすることをステーションビバークという。
広義では酔っ払いもステーションビバークとなるだろう。
いや違う。
旅や冒険の途中、宿やテントを張る場所がなく、駅に泊まることをステーションビバークという。
言いたい。
ステーションビバークのルールとマナー
ステーションビバークは駅で寝泊りするので、当然一般乗客も出入りする。
そこに横たわる旅人は異物で、異質なものだ。
そこに住む住人の生活にどこの物とも分からない人間がいるのは恐怖でしかない。
住民に恐怖を与えず、むしろ歓迎される旅であるためのルールとマナーを解説する。
寝るのは終電が行ってから
ステーションビバークをする駅が決まっても、終電前に駅に着くことがある。
そのような時、いくら疲れているからといっていきなり寝てしまうのは良くない。
24時過ぎまで待てとは言わないが、せめて降車客が少なくなる時間帯まで寝袋を広げるのは待とう。
寝袋に入っても終電後に寝息を立てるのが理想だ。
見知らぬ人にイビキを聞かれるのも恥ずかしいはずだ。
始発前に片付けておくこと
始発前には起床し、寝床を片付けておこう。
通勤に急ぐ横でのんびり寝息を立てられてはサラリーマンだって怒り心頭のハズだ。
シュラフをたたみ、ザックにしまっておこう。
片付けさえしてしまえばベンチで地図を見ようが窓から見えるホームに物語を感じようが好きにすればいい。
それが旅だ。
立つ鳥跡を濁さず
一晩お世話になり旅立つ時はそこに寝泊まりした痕跡を残してはいけない。
これは絶対だ。
いや、むしろ前日よりもきれいな状態で旅立つくらいが理想だ。
飲んだ物や食べ物のゴミを置いて行くなど言語道断。
掃除用具があれば拝借して、掃き掃除をするくらいの気持ちでいよう。
自転車旅の途中ステーションビバークしてみた
2022年の夏に3泊4日だが北海道を自転車で旅して来た。
その際、上手くキャンプ場にたどり着けずにいたが、ある意味このチャンスを待っていた。
「ステーションビバークができる」
道央の田舎をランドナーで走りながら地図とスマホで無人駅を検索。
はやる心を楽しんでいた。
宿代代わりの缶コーヒー
たどり着いた無人駅はとても清潔で、ヘタなキャンプ場で寝るより快適だった。
時々通る乗客はベンチにもたれかかる僕をジロジロと見ることもなく、そっとしておいてくれる。
田舎の人は寛容だ。
駅自体は無人なのだが隣にお土産屋があり喫茶店が併設されていた。
せめてもの気持ちでコーヒーをいただく。
そのような施設がなくとも、宿賃として缶コーヒーくらいは買ってもいいだろう。
ステーションビバークは怖くない
楽しみだったステーションビバークも、はじめての時はドキドキした。
お巡りさんに怒られたらどうしよう。怖いお兄ちゃんに絡まれたらどうしよう。
180㎝90㎏の僕でもそう感じた。
けれどそれははじめてのキャンプ場での夜も同じだったはず。
布一枚向こうの世界が恐ろしく、寝るどころではなかった。
その恐怖を経験し、乗り越え、朝を迎えた時、また違った景色が見える。
新しい自分に出会える。
今度は青春18きっぷと掛け合わせて旅してみようかな?
今回は自転車旅の途中でステーションビバークをした。
そこでふと考えた。
電車で旅をしながら気に入った駅でステーションビバークをする旅もいいんじゃないか?
それには青春18きっぷが打ってつけだ。
5日間乗り降りし放題で全国のJRを利用できる。
ステーションビバークとの相性は抜群。
ぜひ、次回の旅はこの組み合わせで行ってみたいと思う。
撮影:筆者