帽子が飛ばないストラップ クリップ式あご紐
Winglosアウトドアグローブ
モンベル(mont‐bell) レインハイカージャケット
[ミレー]EIRA CREW LS M(アイラ クルー)
まずはライターの自己紹介
おとうさん
初心者でも絶景を楽しめる「樽前山」に登る
2021年10月末。道南の活火山「樽前山」に行こうと前日から決めていた。
基本的にソロで登ることの多い僕は、いつも通り1人で行く。
樽前山は初心者でも気軽に登れて絶景が楽しめる人気の山だ。
実際に子ども連れで登っているパパママもたくさんいる。
僕は前年、知り合いに連れて来てもらい、その絶景が忘れられず今度はソロで登ることにした。
当然前日からワクワクして眠れない。奥さんにおにぎりをお願いして、おやつをザックに入れて何とか眠りにつく。
起きたら曇り…天気予報は雨、でも行きたい!
朝、元気に起きてみたらどんより雲…
天気予報は午後遅い時間から降り出す予報。樽前山へは自宅から車で2時間ほどだ。
いける!
初心者向けの山だし、去年登って難易度も分かっている。
何より行きたい気持ちが強い。
行ってしまおう!
この天候よりも気持ちを優先する判断が、この日の登山に影響することになる。
【徐々に悪化する天候】でも周りも登っているから大丈夫?
道中は晴れたり曇ったり、晴れ間が見える度に心にも日が差し、気分がいい。
雨がパラついても気にしないことにした。
駐車場に着いたらなんと初雪、いくら山とはいえ早い気がする…
周りは登る準備をしていると降りてくる人もいる、山頂までの行程は1時間くらいの予定だ。
【悪天候】頂上では立っていられない、命の危険を感じた
初めは樹林帯を登ることになる。「天気悪いから景色見えないな~」くらいで体を慣らしながら登る。
雪は積もっていないけれど、段々を降り方が強くなってきた。
まだ行けるはず。
7合目から登り始めるのですぐに森林限界に入る。
しかし、一気に風が強くなってきた。帽子が飛ばないように思わず風上に頭を向ける。「うぉ~!」とか声を上げながら悪天候を楽しんでいた。
【対策必須】森林限界では帽子を飛ばされる
今回紹介する樽前山は登山口から10分で森林限界という木々の映えない標高に達する。
木々がなくなると風を遮るものがなくなり、強風にさらされることはよくあることだ。
今回のような常に強風下の登山ではなくても突風が吹き、帽子が飛ばされそうになることは登山あるあるの内の一つである。
風が吹くたび帽子に気を取られるのは体力を消費する登山では避けたい。
そこでぜひ帽子用あご紐の使用をおすすめする。
帽子が飛ばないストラップ クリップ式あご紐
あご紐をハットやキャップに付けておけば突然の風に慌てることはなくなる。
このあご紐はクリップ式なのでどんな帽子にも付けられ、ゴムで伸縮するのでしっかり締めても苦しくなりにくい。
おしゃれ小物にも見えるが、厳しい状況でこそ使いたいアイテムである。
降りてくる人はまだまだ行けると言う人も
登るにつれ徐々に天候は悪くなる。
けれど1時間登れば頂上に行ける、そんな想いで登り続けていた。
標高が高くなるのと同時に時折突風が吹き、身をかがめながら歩く。
降りてくる人に「頂上はどうですか?」と時折聞くが、ダメだという人と「行ける」という人が半々だった。
【命の危険を感じる】頂上直下での最終判断
頂上直下の分岐まで来たが、増々風は強くなっている。身をかがめないと立っていられないほどである。
頂上まではあとほんの少しだけれど、西からの風も吹きつける場所なので、登り切るか判断を付きかねていた。
数秒待っている間に(吹き付ける風に実際はもっと長く感じる)複数のパーティが登って来ていた。
皆一様に顔をしかめている。変な連帯感がうまれ「行く?ダメじゃない?」と声を掛けあう。
そのうち1人また1人と頂上に向かって歩き出す。すると「行けるべ」と勢いづいて登るパーティが出てきた。
手袋の隙間の手首が痛いが、執念の記念撮影
僕はソロなので写真だけ取って帰ることにした。
一応手袋はしているのだが、登山用ではないため手首が短い…防寒用のレインウェアとの隙間から露出する肌はすでに真っ赤になり痛いほどだ。
僕もスマホで自撮りをする。手袋を外すのは勇気がいるが作業用の手袋にスマホ対応の機能など付いていない。
すると「写真撮りましょうか?」と声をかけられたので「ありがとうございます」とスマホを渡した。
帰ってから確認すると画面の中にはこの状況でもサムズアップしてしまう昭和男がいた…
寒風から守ってくれたグローブ
強風の中の登山だが同時に雪が降るほどの低温でもあった。
記述にもある通り当時使用していたグローブは作業用品店で購入した雪除け用の手袋。
手首を曲げる度に肌が露出し痛みが走るほどだった。
もっと長い時間留まっていたら凍傷になっていたのではないだろうか。
そこで秋から春にかけての登山では手首まで覆われた冬用のグローブをおすすめしたい。
Winglosアウトドアグローブ
写真でも分かるように、手首に長めのゴムがあり手首の露出が少なくなっている。
内側はボア仕様で真冬でも使用可能だ。
気温がプラスで降雪した際の濡れ雪でも対応できるように、防水機能もしっかりしているので、南方の地域から北国の凍てつく寒さまで耐えられる。
加えて昨今のグローブらしくスマホ対応なので着けたまま写真を撮ったり、地図を見ることが可能だ。
【必死の下山】遭難する時は多分こんなとき…
記念写真を撮ったら(最早なんの記念かわからないが)もう頂上に用はない。そそくさと下山を開始する。
幸い登山道の幅は広く、一度に複数人が降りても混雑はしない。
けれど、樽前山は火山なので足元が非常に滑りやすい。急ぎつつも転倒しないように慎重に降りることが大切だ。
いつもなら下山で膝にかかる負担を軽減してくれるトレッキングポールも、吹き下ろす風で流されて僕の前でブラブラ揺れるだけだ。飛ばされると大変なので、必死に握りしめる。
【命懸けの下山】吹雪と砂ぼこり、風で目が明かない。
とにかく風が強い。役に立たないトレッキングポールを必死に握る。
吹雪で視界は数メートル先しか見えない。強風と共に小さな石も飛んでくる。帽子で風を遮りつつ視界を確保し、滑る足元を確認しながら一歩ずつ降りているとおぞましい思いが頭を過った。
「遭難するかも…」
「いや、帰るんだ、絶対に帰るんだ」
大袈裟ではなく命の危険を感じた。
【中腹まで来て一息】凍る帽子に背筋も凍る
中腹まで降りて来ると何とか風は収まってくれた。
視界を遮っていた霧も風に流されたようだ。展望が開けて息を飲む。
「これを見たかったんだよ」
あとは足元さえ気を付ければ怖くない、流れる霧を楽しみつつ写真に収める。
下山したら汗で濡れた帽子と飲む余裕のなかったスポーツ飲料が凍っていた。
背筋も凍るとはこの事だ。
【2度目の撤退】春になり再挑戦
2022年5月。10年ぶりに再会した幼なじみに「山に連れて行け」と突然言われた。
ちょうどそのとき、数年前にホームにしている山で偶然出会った青年と連絡を取っていた。また一緒に登山しようと連絡をしていたので、3人で登ることを提案。
2人とも快諾してくれたので、さっそくグループLINEを作って登山に向かう。
登る山は僕の提案で樽前山。初心者の幼なじみでも登りやすく眺望を楽しめるのもあるが、何より僕が再挑戦したい気持ちが強かった。
【運動不足】あれ?登れない…
待ち合わせは登山道のゲート前にした。前回と違い、山開き前なので5合目までしか車で行けない。
それでも前回の登山口である7合目までは平坦な道なので余裕だ。初対面の2人もすぐに仲良くなりおしゃべりしながら約2㎞歩く。
やけに疲れる、平坦な道なのに汗も凄い。朝から降っていた霧雨で湿度が高く蒸れているのだろうと思った。
けれど登るにつれ息が切れて足に力が入らなくなる。運動不足...かもしれない。
最近、ライターの仕事が忙しくなり、運動する機会がずいぶんと減った今シーズン。初登山の幼なじみの方が先を登るほどペースが上がらない。
【吹き荒れる風】今回もダメか?
前回と同様、風が強い。雪こそ降ってはいないがところどころに残雪がある。
山開き前で階段の整備が終わっておらず足場が悪く、前回の事が頭を過る。またしてもダメかと不安になった。
視界は悪いのにそれでも「楽しい!」と言ってくれる幼なじみに助けられるが、時折振り返りながら僕のペースに合わせる2人に申し訳ない気持ちで一杯になる。
【引き返すことに】頂上直下
ようやく頂上直下まで来た。
「おつかれ!」と迎えてくれる2人に「まいったわ」と応えるのが精一杯。「すげー風だな」と顔では笑ってはいるが、笑えないほどの風が吹いている。
予定ではこのあとお鉢周りをするはずだったが、経験豊かな青年の判断で「かえろう」「また来ればいい」
彼らのやさしさに甘えることにした。
寒さと風から守ってくれたレインウェア
家を出たときはまさか雪が降るとは思っていなかったのでダウンジャケットは持って行っていない。それでも吹雪になるほどの寒さに耐えられたのは三種の神器の1つレインウェアのお陰だ。
モンベル(mont‐bell) レインハイカージャケット
ゴアテックス使用ではないが、モンベル独自の防水透湿素材ドライテックの使用で汗冷えすることはなかった。
この状況で汗がこもり、それが冷えていたらと思うとゾッとする。
レインウェア自体に防寒機能はないが、中に着るものを工夫すれば晩秋から春に掛けての登山で十分使えることが今回学ぶことができた。
【汗冷えを軽減】汗を効率よく発散するベースレイヤーの重要性
寒さの中の登山だったが、登る過程でどうしても汗はかく。その汗が風によって冷やされるとあっという間に体温が奪われてしまう。
登山で一番怖い低体温症は今回のような状況でも十分起こりうる。
低体温症を防ぐにはしっかりした下着(ベースレイヤー)を選ぶこと。
[ミレー]EIRA CREW LS M(アイラ クルー)
汗を吸収し素早く発散する給水速乾性にすぐれるのはもちろん、コットンのような肌触りで日常でも使いたくなるミレーの逸品だ。
今回は汗をいかにコントロールするかが大切かと痛感した。それには速乾性と透湿性が重要で、命に直結する機能なのだと学ぶことができた。
登山者は帰る義務がある
今回は記事は楽しい登山ではなく、惜しくも撤退したという話。しかも難易度の高い登山ではなく、初心者向けの山で撤退した話である。
ここでもう一度考えて欲しい。登山に慣れてくると、本人も周りも本来登山は危険な遊びという感覚が薄れて来る。
今回筆者は、初心者向けの山で2連続撤退を経験して登山は危険な遊びだと再認識した。特にソロで登った時は助けがないので本当に怖かった。
その怖さを乗り越えるからこそ登山は楽しいとも言えるのだが、忘れてはいけないことがある。登山者たちは不安を隠して送り出してくれる家族の為、家で待つ人の為に無事帰る義務があるということだ。
はじめまして、アウトドアライターをしている「おとうさん」です。
普段は北の大地【北海道】でアウトドアを楽しんでいます。
アウトドアの経験はキャンプ約20年、登山5年、サイクリングは北海道縦断を達成。
モットーは自分にやさしく人にやさしく、自然にやさしく。お財布にやさしく(ここ大事)
そして山に入ったら、笑顔で送り出してくれる家族の元に無事帰ること。
今日も家族を熊鈴で家族を起こさないようにこっそり出かけます…