雨でもキャンプを楽しもう!
ソロキャンプでは、雨が降っても「楽しみのひとつ」として受け止められました。しかし、今回のファミリーキャンプでは大雨に見舞われてしまい、とても疲れてしまう結果に。
ソロキャンプとの違いや、ファミリーキャンプでの雨対策を私の経験をもとに解説します。天気はコントロールできませんので、自分ができることから取り組んで雨でもキャンプを楽しみましょう。
当日の状況や準備
天候
1週間前にフィールドを予約し、直前の天気予報では夕方から小康状態になるとチェック。当初は15時からキャンプを開始する予定でしたが、キャンプ開始時刻を17時に繰り下げて始めるように変更しました。
事前準備
普段であれば着替えは2着準備しますが、念のため3着と多めにタオルを用意しました。それに加えて、レインウェアと予備のシューズをそろえて出発。防寒対策としてダウンジャケットやカイロなども整えました。
実際にこうなった
到着前に日没時間を18:40と確認。そのため、17:40まで待機しても雨が弱まらなくても設営すると決めました。結果として、雨は天気予報どおりにはならず、雨が降る中設営開始。
19時過ぎに夕食を開始しますが、横なぐりの雨が降り、炭火の火力が上がらないことなどからバーベキューは中断しました。
夜は軽食で済ませ、翌朝にバーベキューを持ち越すように変更。降ったり止んだりを繰り返していたので、結果として正解でした。
ソロキャンプとの違い
設営・準備は人数分手間がかかる
ファミリーキャンプはギアも大きくなり、テント設営も時間や人手を必要とします。設営の順序は「タープ→テント→その他」とソロキャンプと変わりませんが、待たせている時間や状況変化への対応など、考えることが増えました。
設営人数は基本的に2人
ファミリーキャンプの場合、設営できる人数も限られます。私には高校生の息子がいるので、3人で設営しました。子どもが小さい場合は、風邪をひかせたくないことなどから待たせてしまうことがほとんどでしょう。
小回りが利かない
極端な大雨が降った場合、ソロキャンプであれば車中泊へと気軽に切り替えられます。しかし、4人を超えるファミリーキャンプの場合は、元々車中泊仕様にカスタムしておかなければ難しいことがほとんどです。
フィールド選びのポイント
テントサイトはどこを選べばいい?
前日が雨、もしくは雨が降った場合、まずはサイトの状態をチェックしましょう。フリーサイトの場合、水が流れ込みやすい窪んだ土地、土の場所はなるべく避けてください。
今回は、天気予報が外れてしまい強い雨が長時間降り続きました。予約状況を確認させてもらい、施設側のご厚意によって、フリーサイトから設備が整った区画サイトへ変更。
また、雨のときは芝生や砂利のサイトがおすすめです。水捌けがよく、泥も跳ねにくいため、汚れや浸水の可能性を下げられます。木の下にテントを張れる林間サイトも最適です。
河川の近くにあるフィールドでは……
雨が強く降っているような状況では、河川が増水する可能性もあるため、川岸のキャンプ場は安全確認できる場所を選ぶとよいでしょう。
万が一、増水や氾濫した場合に備えて避難経路の確認も怠らないようにしておくと安心です。
キャンセル規定の確認
多くのフィールドでは、当日キャンセル料が設定されています。しかし、大雨などの場合はその限りではありません。予約日程の変更などを受け付けてくれる場合がありますので、当日の天気予報にかかわらずチェックしておきましょう。
雨キャンプ設営の基本は?
タープから設営する!
設営するサイトを決めたら、一番最初にタープを張りましょう。これはソロキャンプと変わりありません。タープを設営しておくと、テントを張るときも雨避けとなってくれますし、グランドシートを敷いておけば、ほかのギアも水濡れから守れます。
テントを張るときのポイント
テントを設営する場合もタープの下で方向を確認してから設営場所に動かすようにしましょう。普段よりもスピーディーに設営しなければ、撥水力の弱いインナーテントはすぐに水浸しになってしまいます。
大雨が降っている場合は、シャベルを使ってテントの周りをぐるりと囲むように堀を作り、水の通り道を作るとよいでしょう。
役割分担する
タープ、テントが設営できたら、テント内の環境を整える人、リビングスペースを設営する人と役割分担しましょう。
今回はテーブルとチェア、食事準備と(テント外)コット・シュラフの設営(テント内)に分けて設営。すべての準備を整えてから子どもたちを車内からタープ・テントに呼び寄せてキャンプを開始しました。
想定外の雨が降った場合
スケジュール変更
強い雨を避けるために、到着時間を遅らせるなどの対策が必要です。今回はそれでもさらに雨が降り続いてしまいました。当初スケジュールから雨天を想定、変更後までを事例として紹介します。
当初スケジュール
- 15:00 チェックイン
- 16:00 設営完了
- 17:00 バーベキュー開始
雨天を想定して
- 17:00 チェックイン
- 18:00 設営完了
- 19:00 バーベキュー開始
変更後
- 17:30 チェックイン(サイトの下見・変更により+30分)
- 19:00 設営完了(雨が降り止まなかった)
- 19:30 軽食(翌朝にバーベキュー振替)
悪条件が重なり、スケジュールを繰り下げても天候は回復しませんでした。そのため、キャンプ内容自体を変更。横殴りの雨でバーベキューを楽しめる状態ではなく、夕食は簡単に済ませて、翌朝に振替しました。
周りのキャンパーさんも同じように対応していたようです。
テントへ入る前に
就寝前には、雨が入り込むような場所に薪や炭などの燃料類、防水性が低いアイテムを置きっぱなしにしていないかを確認しましょう。燃料類は湿気ってしまうと着火に時間がかかる場合があります。また、防水性が低いアイテムは故障してしまうおそれがありますので、車内やテントに入れておきましょう。
就寝前は必ず着替える
就寝前には、濡れた衣服を取り替えましょう。濡れたままシュラフに入ると不快ですし、気化熱で体温が奪われます。「翌日の着替えだから……」とためらわないようにしましょう。雨が降っている場合、気温が通常よりも低い状況が多いので、低体温症につながるリスクも高まります。
撤収のポイント
いつもより時間がかかる
雨が降っている場合、撤収作業にいつもより時間がかかります。撤収時間は「普段の1.5倍は必要」と想定して、チェックアウトの時間から逆算して取り掛かるようにしてください。
いつもならチェックアウトの1時間前から作業に取り掛かりますが、30分前から分担しながら作業しました。
割り振りの例
- A:テント内コット・シュラフの収納→テントの撤収→タープの撤収
- B:タープ下のテーブル・チェアの収納→積み込み準備→積み込み
設営の逆から
テントやタープなど、大きくてかさばるものを車内の下に積載するのが一般的ですが、雨の場合はテントやタープを最後に収納するため、撤収後どこへ積むのかを考えておきます。
テント内の荷物や寝具類とタープ下のテーブルやチェアなどから片付け始めます。濡らしたくないものは、一旦タープの下にグランドシートを張って仮置きしておきましょう。
テントの撤収
テントの撤収は、まずガイロープとペグを外します。ペグに水分や泥をつけたままにしておくと、サビて劣化してしまう原因です。ウェットティッシュなどで拭いておきましょう。ガイロープは束ねて結んでおいてください。
ペグを片付けたらテントをたたみますが、雨降りの場合、完全に乾かしての撤収はできません。そのため、たたむ前にテントを振って水分を可能な限り払っておきましょう。
タープの撤収
タープを撤収する前に、仮置きしておいたギアを車内へ移動させておきます。最後に積載場所の微調整が必要となる場合が多いため、軽いものは後部座席に入れておきましょう。タープもテントと同様にペグ・ガイロープを外し、濡れているときは水分を払っておいてください。
ドライバッグを活用
濡れたテント・タープ生地をそのまま収納袋に入れると、フレームなどもすべて濡れてしまいます。大きめサイズのドライバッグを準備しておくと、ほかのものを濡らさずに持ち帰れるので準備しておくとよいでしょう。ドライバッグ以外にも45L以上のポリ袋を複数枚常備しておくのもおすすめです。
帰宅後のメンテナンス
疲労回復を最優先に
雨の中でのキャンプはとても疲れます。特にファミリーの場合、気遣うポイントが多くソロキャンプよりも疲労困憊になりがちです。キャンプ以外に立てていた予定も白紙にして、帰宅するほうが安全でしょう。
帰宅後は、濡れた衣服や食材などを家の中に入れておくことを優先し、しっかりと身体を休めてください。
また、お風呂に浸かるのは面倒に感じてしまいますが、30分程度は入浴してから休むようにすると疲労回復も早まります。
テント・タープのメンテナンス
雨に濡れたテントやタープは、きっちりメンテナンスをすると撥水性を保ったり、劣化を避けたりできます。
まずは収納袋から出して、庭やテラスなどに広げておきましょう。気温が高い季節は、カビや雑菌が繁殖するため、できるだけ早いうちに取り掛かるとよいでしょう。
濡れている場合は木の葉や草を取り除きにくいため、乾かしてからゴミを掃くようにすると簡単です。
シュラフ・コットのメンテナンス
テント内装備のコットやシュラフも見た目では濡れていなくても、湿度が高い状況で一晩使用すると、多くの湿度を含んでいることがほとんどです。シュラフは陰干ししておき、コットは一度収納袋から出してフレームは外気に当て、キャンバス生地も乾燥させておきましょう。
次回以降の対策
雨装備の拡充
今回は、私と妻以外の雨具を疎かにしていました。そのことから、家族全員分のレインウェア・シューズを天候に関わらず準備します。雨が降る中でも車で待機させておかなくても大丈夫な状態を整えられれば、気苦労をひとつ減らせるでしょう。
テントの見直し
私がファミリーキャンプする際、コールマン「モンタナ」を使用しています。ドームテントとはいえ、8人対応のテントは設営に時間が必要です。その対策として、ワンタッチテントを買い増して、テント設営の時間を短縮できるようにしたいと考えています。
また、設営が簡単なものは撤収もすぐにできるため、全工程の時短にもつながるでしょう。
リスケ基準の見直し
キャンプ場は、山の中や海沿いなど天気が荒れやすい場所がほとんどです。天気予報だけをアテにせず、訪れる日程をリスケすることも考えようと思いました。今回は「15時以降に雨は止む」との予報を元にキャンプを決行しましたが、失敗が多かったと反省。
ファミリーキャンプの場合、雨降り予報の時点で先に伸ばす・キャンセル料を支払ってでも中止するとリスケ基準を見直します。
雨ファミリーキャンプでの気付き
痩せ我慢
当初の予報と反して、強い雨が降り続く日でした。子ども達の手前「こんなこともある」「温かい飲みものがより美味しく感じる」と少しでもキャンプ気分を演出。
しかし、言葉と裏腹に足の指、手の感覚はほとんどなくなるほど冷え切って涙が出そうな気持ちでした。
久しぶりに家族でキャンプへ出かけたのに、申し訳ない気持ちと肉体的なつらさは拭えず……。また、家族と一緒にいると、過酷な状況に我慢できてしまうことに驚きました。
「楽しかった」の一言
1泊2日のキャンプは、雨・寒さで過酷な状況のまま終了。帰りの車中で私は終始「ごめんね」と子どもに伝えました。しかし、子どもから「寒かったけど、楽しかったよ」といってもらえただけでうれしい気持ちで一杯です。
最適な行動を考える
ソロキャンプでは雨が降っても、テントの中で籠もっていれば時間が過ぎていきます。しかし、ファミリーキャンプの場合は、自分が家族にとって最適な行動を考えなければいけません。設営のタイミング、予定の変更、メンテナンスなど少しでもリスクを下げる行動を選びます。
これまでなら考えもしなかったことや動き方は、今後のアウトドアライフの深みを増す経験です。
「失敗も経験」と考えて、よりキャンプを楽しもうと思わせてくれました。
雨でもファミリーキャンプを楽しもう!
雨の中、ファミリーキャンプをした私の経験から、ソロとの違いから考えておくべき対策、帰宅後のメンテナンスまで解説しました。ファミリーキャンプでは、考えることが増えるため、事前準備や対策が大切です。ポイントを知って、雨でもキャンプを楽しみましょう。
ライターのSNSアカウント
こんな記事を書いています!
キャンプに関する連載や、読者さんからいただいたご質問にお答えする記事を担当しています。気になるトピックスがあれば、こちらからチェックしてみてください!
ライター撮影