リュックは正しく背負うと山歩きが楽に!
荷重が身体の一か所に集中すると次第に疲れが溜まる原因になるため、登山リュックの正しい背負い方のコツは荷重を分散させることです。荷重は、登山リュックの各パーツのベルトを上手に調節することで分散させることができます。
登山リュックの正しい背負い方は、体力が少ない女性も身体への負担を減らして楽に山歩きを実行できるテクニックといえるでしょう。ぜひいろいろチェックしていただき、山歩きのご参考にしてください。
登山リュックのパーツごとの名称と機能
①荷室とポケット関係の名称
登山リュックの正しい背負い方をご確認する前に、登山リュックの名称についてご紹介します。主な各パーツの名称は、登山リュックの上部から順番に述べると以下のとおりです。
雨蓋(トップポケット)・フロントアクセス(無いものも有り)・フロントポケット・メインコンパートメント・サイドポケット・ウェストベルトポケット・ボトムスコンパートメントとなります。
②ベルトとバックル類の名称と機能
続いて登山リュックの背負い方で重要な、ベルトやバックル(留め具)の名称と機能、使い方についてご紹介します。ベルト類で特に重要な部分は次の4つです。
登山リュックの荷重を腰で支える「ウェストベルト(ヒップベルト)」、登山リュックを背負うときに肩に掛ける「ショルダーベルト」(調整するのはショルダーストラップ)です。そして登山リュックを背面に沿わせる「リフターベルト」、ショルダーベルトが外側に開くのを防ぐ「チェストベルト」があげられます。
他のベルト類
正しい背負い方をするためのベルト類は、他に以下のものがあります。しかし登山リュックの種類によって付属されていないベルトもあるため、購入前にしっかり確認してください。
登山リュックを背中から下ろすときに手で持つ「グラブループ」、重心を背中に寄せる「コンプレッションストラップ」、登山リュックの前面下部にあるループ状の「スリーピングバッグストラップ」、同じく下部にある小さめのループ「アックスホルダー」(ピッケルなどを固定させる)など。
メイン部分の登山リュックの背負い方
①ウェストベルトを締める
- 荷重は「ウェストベルトが8割」
- 荷重は「ショルダーベルトが2割」
登山リュックの背負い方で重要な点は、最初に「ウェストベルト」の調整をすることです。ウェストベルトの位置はお尻の上にあるのが最適とされています。ウェストベルトを締め上げて手を放したときに、お尻の上に登山リュックが載っている感覚がベストです。
登山前に、実際に荷物を入れて背負い、登山リュックが"腰に載る"正しい背負い方の感覚をつかんでみてください。
ウェストベルトのバックルは身体の中心に
ベルトを締めるときは、ウェストベルトのバックル(留め具)が左右のどちらかに偏らないようにし、身体の中心に合わせてください。
こうすることで登山リュックの背面も身体の中心に位置し、正しい背負い方になります。長時間の登山で、重い登山リュックを背負っても安定感が保てることでしょう。
②ショルダーベルトを締める
登山リュックの背負い方で重要なショルダーベルトの調整は、ショルダーベルト付属の「ショルダーストラップ」で行います。ショルダーストラップを肩に少し負担がかかる程度に引っ張り、登山リュックの背面を身体に沿わせてください。
登山リュックの荷重の8割はウェストベルトで支えますが、2割はショルダーベルトで支えます。ウェストベルトがお尻よりもかなり上、または下がっていたときも、ストラップでショルダーベルトのサイズを調整してください。
ショルダーベルトが浮くときの対処法
ショルダーベルトが浮く原因は、ウェストベルトの位置が高すぎることにあります。ショルダーベルトが浮くときは、ウェストベルトをお尻の上に載るように再び調整してください。
調整してもまだ浮くときは、登山リュックのサイズが身体に合っていないことが原因といえます。購入前に可能であれば、ショルダーベルトが浮かないかどうかチェックするのがいいでしょう。
③リフターストラップ
リフターストラップは、登山リュックの背面上部を身体に沿わせるためのものです。登山リュックが背中に沿っていればよいので、締めすぎずないように注意しましょう。歩いたときに登山リュックが左右にぐらつかなければ、リフターストラップがちょうどよい加減で締まっている証拠です。
④チェストストラップを締める
チェストベルトはきつすぎず緩すぎず、上下左右に身体を動かしながら違和感のない位置を探してください。正しいといわれている位置は、わきの下と同じラインです。
チェストスベルトはショルダーハーネスが外側に開かないようにするものなので、ウェストベルトとショルダーハーネスのあとに締めます。
パターン別の登山リュックのベルト調整方法
肩や腰が痛いとき
ウェストベルトをお尻に載せていても、次第にウェストが疲れてくることもあります。そのようなときはウェストベルトを外して楽にし、一時的に肩だけで背負って歩くのも間違いではありません。逆に肩が痛いときは、ウェストベルトの位置をさらに上げて肩を楽にしましょう。臨機応変に身体の状態に合わせてベルトを調整することが大事です。
登山リュックの正しい背負い方は、ベルトやストラップの締め方が決め手。上手に調整できると、身体への負担がかなり軽減されます。
斜面を登るとき
チェストスベルトは、斜面を登るときに限り少し緩めることがおすすめされています。重心が後ろにあるため登山リュックの荷重がかかり、チェストベルトで胸を締め付けられて呼吸が苦しくなるからです。登山者によっては斜面を登るときに完全にチェストベルトを開放する人もいます。
チェストベルトで胸が締め付けられている感じがするときは、左右にぐらつかないことを確認して緩めてみましょう。
斜面を下るとき
下りは、チェストベルトはきつくない程度にしっかり締めます。下りは前傾姿勢のため、チェストベルト周りに緩みが出やすくなるからです。また登りよりもスピードが出るため、登山リュックが左右にぐらつかないように注意しなくてはいけません。同様に他のベルト類が身体に当たるときも、きつくない程度にしっかり締めてください。
こうすることで下りでは、登山リュックの荷重で身体が引っ張られずに安全な山歩きができることでしょう。
衣服を脱いだときや食事後のとき
登山リュックのベルト類の調整は、衣服を着脱をしたときや食事でおなかが膨れたりしたときにも必要です。
アウター一枚でも、登山リュックを背負ったときのサイズ感が異なります。食事をしたあとも面倒くさがらずに各パーツのベルトを調整し、快適な山歩きのために正しい背負い方をしましょう。
コンプレッションベルトを調整する
コンプレッションベルトは登山リュックに詰める荷物の量で調整します。コンプレッションベルトを緩いままにしておくと、登山リュックの荷重が身体とは反対側に向いてしまうため快適な登山ができません。
昼食後や上着を脱いだ後は、コンプレッションベルトが荷物が入っていたときと同じ状態にしておくのは避けてください。必ずコンプレッションベルトを荷物のサイズに調整することで、正しい背負い方ができます。
登山リュックの荷物を詰めるコツ
登山リュックの背負い方をチェックしたあとは、荷物の詰め方についても確認しておきましょう。登山リュックが楽になる背負い方には、「重たい荷物は上部で背中側」という原則があります。
この原則と逆に荷物を詰めてしまうと、山歩きが苦痛になるので詰め方には充分に注意してください。正しい背負い方をするためには、荷物を4つのグループに分けて考えることが前提です。
①登山中に使わないものは下部に収納
登山中にあまり使わないものは、登山リュックの底のほうに収納します。例えば、シュラフ関係や着替えなどです。
登山リュックから荷物を取り出す作業は、身体的な負担が少なくない登山においては精神的にもダメージを与えます。登山中にあまり使うことが想定されないものは一番下に収納しましょう。
②重いものは背中側に収納
重たい荷物は、身体に沿うように背中側に収納してください。例えば、行動中に使わない水や食料などがあげられます。身体に沿わせることで重心が安定し、山歩きが楽になります。
あまり使わない荷物は下部に収納しますが、あまり使わなくても重い荷物の場合は、可能な限り中間程に収納したほうがよいでしょう。
③軽いものは外側に収納
身体から離れている登山リュックの外側には、重心移動をスムーズに図るために軽いものを収納します。例えば、セーターやフリースなどの上着、エマージェンシーシート、ティッシュペーパーなどです。
これらの荷物の中でも使用頻度を考え、フリースなどの上着は肌寒いときにすぐに着られる上部に収納するとよいでしょう。
④登山中に使用するものは上部に収納
登山リュックの上部には、使用頻度の高いものを収納します。例えば、雨具や中間着、地図やスマホ、ヘッドランプやファーストエイドなどです。行動中に調理をするときはクッカーも上部に収納するとよいですが、重量があるためできるだけ背中側に寄せるようにしましょう。
やはりこれらの荷物の中でも、使用頻度の他に緊急性も考慮して収納するのがポイントです。
⑤下部にある2気室には収納しない
登山リュックによっては2気室構造のタイプもありますが、基本的には収納しないほうがよいでしょう。荷物を簡単に取り出せる点が長所ですが、上部の気室と下部の気室の間に隙間が出てしまい、スムーズな重心移動が図れなくなるからです。
ファーストエイドは使う心配が少ない場合でも緊急性を要するため、登山リュックの上部に入れて取り出しやすくしておきます。
登山リュックの正しい背負い方をして楽に!
登山中に疲れる多くの原因はリュックの背負い方にあります。登山リュックの正しい背負い方は、重心バランスが崩れないようにするのがポイントです。そのため「ウェストベルトをお尻に載せるように締める」「ショルダーベルトは身体に沿わせて締める」ことを意識しましょう。
しかし、どんなときも締めればよいというわけではなく、コンディションに合わせて臨機応変に調整してください。経験を積み、自分の身体に合ったベルトの調整方法を見つけましょう。
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出典:ライター撮影