尾瀬国立公園とはこんな場所
群馬・福島・新潟の三県に接する尾瀬国立公園は、標高1,660m・東西約12㎞・南北約9㎞の面積を有する、活火山である燧ケ岳(ひうちがたけ)の噴火活動でつくられた盆地状の湿原です。
6月初旬にシーズンを迎えるミズバショウやニッコウキスゲの群落、ナガバノモウセンゴケなどの世界的に珍しい植物は、山に取り囲まれた絶景と共に多くの人を魅了する素晴らしさです。ほぼ全域が国立公園の特別保護地域ならびに特別年々記念物に指定されています。
尾瀬国立公園の主な見どころエリアは2つ
西側の「尾瀬ヶ原」と東側の「尾瀬沼」
尾瀬国立公園のメインスポットは、西側の東西6㎞・南北2㎞の「尾瀬ヶ原」エリアと、東側にある一周約2時間半の「尾瀬沼」エリアです。両エリアは歩行で片道約2時間離れており標高差も200mあることから、一方だけのハイキングがベストとなります。
尾瀬国立公園のすべてを堪能したいときは、山小屋に宿泊して自然を満喫するのがおすすめ。しかし花の開花時期は両エリアで数日異なること、開花シーズンの混雑などに注意して旅行計画を立てましょう。
尾瀬国立公園を挟む2つの山もおすすめ
尾瀬国立公園でのハイキングスタイルは、あまり時間を気にせずに尾瀬ヶ原や尾瀬沼でゆっくり過ごすことが多いようです。
登山愛好者は、尾瀬ハイキングと共に尾瀬を挟むようにしてそびえる燧ヶ岳(約2,356m・頂は5つで登頂可能なのは3つ)と、至仏山(約2,281m)を目指すのもよいでしょう。尾瀬をつくった燧ヶ岳は尾瀬沼の北側に、至仏山は尾瀬ヶ原の西側にそびえています。登山するときは時間に余裕を持って旅行計画を立ててください。
尾瀬国立公園「鳩待峠」ハイキング2コース
①定番の「尾瀬ヶ原」ハイキング
尾瀬国立公園の定番ハイキングコースは、関東方面からアクセスしやすい群馬県側の「鳩待峠」から入山する尾瀬ヶ原となり、歩行時間6時間30分・17㎞・標高差約200mとなります。ハイカーの5割が利用する合計約6時間30分のコースです。
山ノ鼻から尾瀬ヶ原を一周する「牛首分岐」まで約1時間、さらに牛首分岐から反時計回りの一周コースで約2時間20分歩行して牛首分岐に戻ります。ハイキングの帰路は牛首分岐から鳩待峠に戻るだけです。
「尾瀬ヶ原」ハイキングコースの特徴
尾瀬国立公園の尾瀬ヶ原コースはブナの原生林からスタートし、歩行路のほとんどが整備されている木道です。ハイキングコース途中にはビジターセンタの他に、4つの山小屋・休憩所・トイレ・ベンチがある点や、途中で引き返せる点なども初心者には安心できるハイキングコースといえます。
健脚者は「至仏山」にも挑戦
尾瀬国立公園の至仏山ハイキングコースは、約6時間20分・11㎞・標高差820mの本格登山コース。山ノ鼻からの標高差は820メートルほどのため、初心者以外は体力があれば充分に登山ができます。
ハイキングコースは尾瀬ヶ原の山ノ鼻を経由(約1時間)し、約3時間で登頂です。途中で「植物研究見本園」をチェックしておくと、尾瀬国立公園にある蛇紋岩地の至仏山もより楽しめるはず。頂上から小至仏山を経由して約2時間20分で鳩待峠に到着します。
②穴場な天井の楽園「アヤメ平」
尾瀬国立公園の「アヤメ平」ハイキングコースは訪問者が少ない、富士見峠を経由して尾瀬ヶ原までの歩行約7.5時間・18㎞・標高差570mのコース。360°のパノラマは、湿原を浮かんでいる気分になるともいわれている穴場スポットです。
アヤメ平から尾瀬ヶ原「竜宮十字路」までは約2時間20分ですが、日帰りは尾瀬ヶ原を一周せず鳩待峠に戻ります。尾瀬国立公園の自然を静かにハイキングしたい人にはうってつけのコースといえるでしょう。
「アヤメ平」ハイキングコースの特徴
アヤメ平の手前にある「中原山」までは、急な坂や木の根、ぬかるみ道、背丈ほどのクマザサなどの道もある野趣たっぷりのハイキングコース。
尾瀬ヶ原に比べると標高が高いため7月まで残雪があるなど植物の開花がやや遅く、秋も早く紅葉します。富士見峠では山小屋があるので、食事やトイレ休憩が可能です。
尾瀬国立公園「大清水」ハイキング2コース
①花の名所「尾瀬沼」・「大江湿原」
尾瀬国立公園の群馬県大清水から尾瀬沼へのハイキングコースは、歩行時間約6.5時間・17㎞・標高差約570m。入山口から尾瀬沼まではきつい登りが2時間30分程あるため、初心者ではなく登山に慣れた人向けのハイキングコースです。
尾瀬沼に到着後は、時間によっては燧ヶ岳を眺めながら尾瀬沼を一周して尾瀬国立公園の自然を満喫するのもよいでしょう。日帰りの場合は東側にある大江湿原まで行き、引き返してくるハイキングコースがおすすめされています。
②「尾瀬沼」「大江湿原」から沼山峠縦走
尾瀬国立公園の大清水から沼山峠への縦走ハイキングコースは、歩行時間約4.5時間・10㎞・標高差580m。先にご紹介したように、大江湿原から大清水まで引き返すハイキングコースもよいですが、沼山峠に縦走するハイキングコースもおすすめ。
大清水からの傾斜はきついため上りで済ませておき、転倒の危険性が高まる下りに危険度の少ない沼山峠を歩行するハイキングコースとなります。尾瀬国立公園までの交通機関の時間をしっかり確認しておきましょう。
尾瀬国立公園「沼山峠」ハイキング2コース
①最短「大江湿原」経由の「尾瀬沼」
福島県側の尾瀬国立公園の沼山コースは、尾瀬沼の東側を散策しなければ3時間未満・10.4㎞・標高差110mと、最短のハイキングコース。沼山峠から針葉樹林帯を歩行し、花の湿原として人気な大江湿原まで約50分、大江湿原経由の約30分でビジターセンターがある「尾瀬沼」入り口に到着します。
大江湿原のニッコウキスゲやビジターセンター周辺の水芭蕉の群生、数々の高山植物を楽しめるハイキングコースとなります。
②大江湿原から「尾瀬沼一周」
尾瀬国立公園の尾瀬沼一周コースは、約6時間・14.3㎞・標高差110、ビジターセンターから歩行約2時間30分の日帰り可能なハイキングコース。尾瀬国立公園の自然が織りなす絶景を満喫するならば、3つある山小屋での宿泊がおすすめです。
高低差があるのは最初と最後の30分のみで、平坦で整備された木道歩行のため安心できるハイキングコースです。沼や湿原を始め、燧ヶ岳や樹林帯など変化に富む自然を満喫できます。
大江湿原・尾瀬沼から「燧ヶ岳」登山も
尾瀬沼の北側にそびえる燧ヶ岳の5ピークのうち「ミノグチ岳」は、沼山峠から大江湿原と尾瀬沼を経由の日帰り登山も可能。歩行時間は約7.5時間・14.3㎞・標高差約860mとなり相応の体力が求められますが、燧ヶ岳自体は登山経験者やガイド同行であれば小学校高学年でも登頂可能です。
逆回りで難易度の高い御池コースもありますが、尾瀬沼を楽しめる点や御池よりも標高が160mほど高いため、アプローチのしやすさからこちらのコースが人気です。
絶景を眺める燧ヶ岳単独ハイキング
最短で東北最高峰「燧ヶ岳」登山
絶景の尾瀬をつくったとされている活火山の燧ヶ岳は、登頂可能な頂きが3つあり、登山愛好家ならば憧れる尾瀬国立公園の名峰です。
燧ヶ岳のピークの一つ「俎板嵓」単独ならば、歩行時間約6.5時間・10.4㎞・標高差860mです。長時間に加え、沢越え・ガレ場・道迷いしやすい場所もあるため地図読みのスキルも必要など、登山の中・上級者向けのハイキングコースといわれています。
燧ヶ岳から「尾瀬沼・大江湿原」縦走
登山上級者であれば、御池から尾瀬国立公園の燧ヶ岳「俎板嵓」のあとは、尾瀬沼の北側と大江湿原を経由して沼山峠に縦走する尾瀬国立公園のハイキングコースもおすめめです。
山頂から尾瀬沼北西の沼尻までは約1時間30分、北東の長蔵小屋近くまでは約2時間。沼尻から尾瀬沼を回り込み1時間20分で大清水分岐の三平峠となります。
尾瀬国立公園へのアクセス方法
主な入山口は群馬県側と福島県側の計5つ
尾瀬国立公園へのアクセスするメインの入山口は東西南北に5つあり、西側になる群馬県の「鳩待峠」・同県南側の「富士見下」と「大清水」、北側になる福島県の「沼山峠」・同県東側の「御池」となります。
ハイキングコースで一番アクセスがよいのは、西側の「鳩待峠」から尾瀬ヶ原、東側の「沼山峠」から尾瀬沼です。尾瀬国立公園のハイキングコースを決めてから入山口とアクセス方法を確認してください。「鳩待峠」と「沼山峠」へのアクセスをご紹介します。
①「鳩待峠」へのアクセス
ハイキングコースの尾瀬ヶ原に1時間で行ける「鳩待峠」は、関東方面から一番アプローチしやすい入山口です。上越新幹線で「上毛高原駅」から関越交通バス乗車で戸倉で下車し(110分)、鳩待峠行に乗り換えます(25分)。またはJR上越線で沼田駅から関越交通バス(90分)で戸倉下車し、あとは同じです。
②「沼山峠」へのアクセス方法
ハイキングコースの尾瀬沼へ1時間で行ける「沼山峠」は、尾瀬の北側にある檜枝岐村へアクセスできる人や日光周辺に旅行をする人、山小屋に宿泊する人などにおすすめです。
便利なシャトルバスが有料で運行されているため、事前に最新情報を観光協会のホームページで確認するなど上手に利用してください。
尾瀬国立公園へハイキングに出かけよう!
「尾瀬ヶ原」と「尾瀬沼」のエリアに分かれている尾瀬国立公園は5つの入山口があるため、目的地と過ごし方、時間に応じて入山口を決めてください。
日帰りの場合はエリアを絞り、時間があれば山小屋に宿泊して両エリアを堪能するのがおすすめ。また尾瀬国立公園は水芭蕉などのシーズン中は大混雑となるため、静かな雰囲気を楽しみたい人は少し時期を外すとよいでしょう。
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尾瀬の山小屋が気になる人はこちらをチェック!
尾瀬国立公園は日帰りハイキングもよいですが、やはり山小屋に宿泊してじっくり自然を楽しむのがおすすめです。尾瀬国立公園にはハイキングコース上に複数の山小屋があるので、事前にチェックしてお出かけください。またm尾瀬国立公園のハイキングシーズン中は大変込み合うため、早めの予約がベストです。
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出典:photo-ac.com