紅葉の景勝地・花貫渓谷とは
関東の北東部高萩市の自然あふれる山間にあって、花貫川の大小の滝やいくつもの冷涼な淵を流れ下る清流域を花貫渓谷と呼びます。北茨城市の花園渓谷とともに“花園花貫県立自然公園”に指定され紅葉の名所となっています。
花貫渓谷は多賀山地の山稜に属し、四季折々に移り変わる自然を楽しむことができる景勝地です。緑も豊かで野鳥のさえずりも聞こえ、ハイキングも楽しめます。特に秋の紅葉まつりが催される時期には渓谷沿いに見事な色のグラデーションは見事な景色です。
花園花貫県立自然公園
花貫渓谷が属する「花園花貫県立自然公園(はなぞのはなぬきけんりつしぜんこうえん)」とは、茨城県北部地域で阿武隈山地に連なる多賀山地の山々と、北茨城市の五浦海岸の海浜部から形成されています。
県立公園の指定は昭和28年で、その後地域が広がって追加され面積約25,000haとなり、県内にある国定公園や自然公園では最も広い地域であると共に、山や海、渓谷など景勝地が多く行楽に多くの人々が憩います。
花貫渓谷の魅力
紅葉観光地として有名な花貫渓谷は茨城県高萩市に位置し、太平洋の大海原から山間地域に分け入った場所にあることから、夏は海水浴場でビーチレジャーを楽しんだら、花貫渓谷の小滝沢キャンプ場で自然のなか遊ぶのもよいでしょう。
花貫渓谷は、太平洋が望める珍しい花貫ダムから花貫渓谷周辺を温暖帯と冷温帯に生育する植物が混在する場所として市により「花貫渓谷ジオサイト」として認定されていますので、貴重な美しい自然を楽しむことができます。
花貫渓谷・紅葉の見頃
花貫渓谷は四季それぞれに自然のなかでアウトドア気分を味わえる場所となっています。初夏の新緑、夏の川遊び、特に秋の紅葉シーズンは県北有数と言われる色とりどりの景色を楽しむことができます。
花貫渓谷の紅葉の見頃は恒例の紅葉まつり(2021年度は新型コロナ感染予防のため未定)が開催される11月上旬から下旬です。山モミジを始め、ナラやクヌギ、カエデなど樹木ごとに色合いの違う見事なグラデーションの紅葉が見られます。
花貫渓谷・紅葉まつり
花貫渓谷の紅葉まつりは例年10月末の土曜日から11月末の日曜日まで開催されます。見頃となるのは11月中旬頃になるでしょう。花貫駐車場には県産の特産や農産物の販売コーナーや飲食の出店も多く賑わいを見せます。
花貫渓谷紅葉まつり期間中小滝沢キャンプ場は閉鎖され、花貫駐車場と大能駐車場間の道路は歩行者専用の遊歩道となり車は通行止めとなりますので、ゆっくり歩きながら美しい紅葉風景を楽しめます。
花貫渓谷アクセス・駐車場情報
花貫渓谷へは車を利用します。花貫駐車場は広い駐車場で紅葉の見所である汐見滝吊橋まで約20分ほど上り坂を歩きます。紅葉まつり期間中は出店も多くあります。大能駐車場は汐見滝吊り橋まで12分ほどで着きます。
花貫駐車場
- 住所〒318-0104
茨城県高萩市中戸川地区 - アクセス【公共交通】JR常磐線高萩駅より車利用約25分【車】常磐自動車道高萩ICより約20分
- 駐車場あり
普通車:80台
大型車:20台
駐車料金:無料(紅葉まつり期間中は有料) - 電話番号0293-23-7316(高萩市観光商工課観光G)
大能駐車場
- 住所〒318-0104
茨城県高萩市大能地区 - アクセス【公共交通】JR高萩駅より車利用約25分【車】常磐自動車道高萩Cより約20分
- 電話番号0293-23-7316(高萩市観光商工課観光G)
- 駐車場あり
80台 大型20台
花貫渓谷の紅葉スポット
花貫渓谷の紅葉スポットは、花貫川に沿って花貫ダムから名馬里ヶ淵(なめりがふち)、キャンプ場のある小滝沢にかけて色とりどりの紅葉が渓谷に覆いかぶさるように美しいトンネルの景観を築きます。
花貫渓谷の紅葉は独特の景観を作り出すことによって人気を博します。幾つもの流れを変える渓谷の川筋と、その流れに色とりどりの彩りを映してインスタ映えもさることながら、まるで絵画のような幽玄と優美を兼ね備えた美しい風景を醸し出しています。
紅葉見所スポット①/花貫ダム
花貫渓谷へのスタート地点にあるのが、海の見えるダムとして全国でも稀なのが「花貫ダム」です。ダムへの道筋にある“花貫さくら公園”では春は桜が見頃となるほか、四季を通じて緑や花々を楽しめます。
総貯水量が288万m3で堰堤の高さが45mもあり、海の青さと紅葉の時期には入り組んだ地形の山々の色づいた樹木とのコントラストが絶妙の景色を作り出し、多くの人が訪れる人気観光スポットです。
紅葉見所スポット②/汐見滝吊り橋
花貫渓谷に架かり汐見滝を見下ろす全長60mの吊り橋です。花貫渓谷の紅葉を眺めるには絶好のロケーションで、渓谷沿いや吊り橋にも色とりどりの枝が覆いかぶさる様に紅葉のトンネルを作ります。
花貫渓谷のなかでも一番の見所スポットといってよいでしょう。駐車場から徒歩20分ほどで辿り着ける場所で、花貫川沿いにも降りられるので、川から紅葉に染まる吊り橋を眺めるのもおすすめです。
紅葉見所スポット③/汐見滝
花貫渓谷の不動滝より少々上流にあります。ごく短い落差の滝ですが、白く泡立つ飛沫をあげて岩だな沿いに流れ落ち、滝つぼはエメラルドグリーンの水を湛えて深みが見えず思わず引き込まれそうな感を受けます。
前述の汐見滝吊り橋からも眺めることができ、滝の周囲の紅葉と流れ落ちる水の白さ、滝つぼ周囲の苔の緑などの景色は日本庭園の趣を感じさせる雰囲気が楽しめます。
紅葉見所スポット④/名馬里ヶ淵(なめりがふち)
名馬里ヶ淵(なめりがふち)は花貫渓谷の不動滝より下流にあり、小さな滝が流れ込んで静かで神秘的な淵を作りだしていて、色づいた紅葉と緑が混在して淵を囲み、落ち着いた雰囲気の景色が心を和ませます。
滝の水が流れ落ちる淵を眺めていると伝説を生み出した謂れを感じさせるような不思議な気分にさせられます。
名馬里ヶ淵(なめりがふち)の伝説
この花貫渓谷の名馬里ヶ淵には伝説があり、奇怪な行動をする子馬を恐れた村人がこの淵に沈めたところ、その夜に嵐によって大洪水が起き、村はそっくり流されてしまったという話ですが、この洪水は1745年に本当にあったということです。
森の中にひっそりとたたずむ名馬里ヶ淵は、馬にまつわる伝説を秘めており、神秘的でさえあります。周辺には、大小さまざまな滝が連なりすばらしい渓谷美を誇っています。 名馬里ヶ淵の伝説 昔、野々平という小さな村に伊兵衛という男がいた。この家で飼っていた雌馬が、不思議な子馬を生んだ。子馬には角があり体は竜のようで、ません棒(馬をつなぎ止める棒)の上で昼寝をしていた。家の者たちが奇怪なしぐさをするこの子馬を怖がるので、伊兵衛はナメリガ淵という所へこの子馬を沈めてしまった。するとその夜、大嵐が起こり、大きな洪水が野々平を襲って、村は跡形もなく流されてしまった。村人は伊兵衛の子馬の霊の祟りだと噂をしたという。 本当にあった大洪水 この洪水は、延享2年(1745年)5月9日に実際にあったもので、当時、秋山村内新田にあった野々平は、この洪水によって壊滅しました。その状況は、『松岡地理誌』や『中戸川新田延享ニ年丑五月九日夜半大嵐下書控』などに詳しく書き残されています。
紅葉見所スポット⑤/不動滝
花貫渓谷紅葉の名所”汐見滝吊り橋“から0.8kmほど下流域に不動滝があります。黒く見える大きな岩の上を流れ落ちる滝の落差は約6mとそれほどの大きさはありませんが、マイナスイオンたっぷりの癒しの滝です。
滝の周囲は自然いっぱいの緑に覆われ、夏でも涼しさを味わえ、秋の紅葉シーズンには緑の残る樹木と紅葉した樹々とのコラボレーションが美しく、花貫渓谷の自然美のなかに身をおいて心身が癒されます。
花貫渓谷でキャンプ
花貫渓谷では無料で利用できるキャンプ場です。近くには高萩市営の駐車場もあり、清涼な流れを見せる花貫川と広葉樹林に囲まれて豊な自然がいっぱいです。近くの汐見滝吊り橋まで見事な紅葉も楽しめます。
屋根付きの炊事場や簡易水洗トイレの設備もあり、四季を通じて自然と触れ合い、川遊びや花貫渓谷沿いにトレッキングを楽しむこともでき、家族で楽しめるアウトドアスポットとなっています。
小滝沢キャンプ場
- 住所〒318-0103
高萩市大能地内 - アクセスJR常磐線高萩駅からタクシーで約25分常磐自動車道高萩ICから20分
- 電話番号0293-23-7316
- 定休日年中無休(但し、紅葉まつり期間中は利用できません)
花貫渓谷の周辺観光スポット
花貫渓谷は高萩市のお隣北茨城市の紅葉名所「花園渓谷」とで前述の「花園花貫県立自然公園」に指定されていますので、両渓谷を巡り美しい紅葉を楽しむツアーなども催されています。
花園渓谷のある高萩市は茨城県北東部に位置し太平洋にも近いことから夏のシーズンは海水浴で賑わい、近隣にも知名度のある紅葉時期にもおすすめの観光スポットが点在しています。
日本三名瀑「袋田の滝」
花貫渓谷からは約34km、車で約1時間の距離にある久慈郡大子町の「袋田の滝」は落差約120m、幅約70mで四段になって流れ落ちることから別名「四度の滝」とも呼ばれ、日本三名瀑のひとつとされている観光名所です。
花貫渓谷と同じように紅葉の名所としても知られ、滝の両側から覆いかぶさる様に色とりどりの紅葉と緑、流れ落ちる滝とのコラボレーションが絶妙な美しさで絵画の様な雰囲気を感じさせます。
袋田の滝・概要と口コミ情報
袋田の滝
- 住所〒319-3523
茨城県久慈郡大子町袋田3-19 - 営業時間観瀑台トンネル営業時間:9:00~17:00 夏季(5~10月)8:00~16:00
- アクセス【公共交通】JR袋田駅より徒歩約35分
【車】常磐自動車道「那珂IC」より約50分 - 駐車場あり
270台 - 電話番号0295-72-0285
- 定休日年中無休
龍神大吊り橋
花貫渓谷からは約24km、車で約40分の距離にある常陸太田市にある「龍神大吊橋」は奥久慈県立自然公園に属し、V字形の龍神峡に架かる全長375mで歩行者専用の橋では日本では最大級です。
渓谷からの高さは100mあり、橋上から四季折々の絶景が眺められ、特に紅葉まつりが催される時期は目を見張る美しい風景を堪能できます。橋上からの大バンジージャンプが行われることでも有名です。
龍神大吊り橋・概要と口コミ情報
龍神大吊り橋
- 住所〒313-0001
茨城県常陸太田市天下野町2133-6 - 電話番号0294-87-0375
- 営業時間8:30~17:00
- 定休日年中無休(天候により通行制限の場合あります)
- アクセス【公共交通】JR常陸太田駅よりバス利用約45分【車】常磐自動車道那珂Cより約40分
- 公式サイトURLhttps://ohtsuribashi.ryujinkyo.jp/
- 駐車場あり
黄門様の隠居所「西山荘」
花貫渓谷からは距離約40km、車で約65分の常陸太田市にある「西山荘(通称:西山御殿)」は黄門様で知られる水戸藩二代藩主“徳川光圀”公が晩年の10年間を過ごし、大日本史を編纂した隠居所です。
西山荘は静かな山間にあって、四季を通じて自然の風景を織りなす落ち着いた雰囲気が楽しめます。秋の紅葉時期はとりわけ趣きのある庭園とともに大変人気のあるスポットとなっています。
西山荘・概要と口コミ情報
西山御殿
- 住所茨城県常陸太田市新宿町590
- 電話番号0294-72-1538
- 営業時間9:00~16:00
- アクセス【公共交通】JR常陸太田駅よりバス利用約10分【車】常磐自動車道「日立南太田IC」より20分
- 駐車場あり
- 定休日年中無休
- 公式サイトURLhttp://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page000214.html
五浦六角堂
花貫渓谷からはお隣の北茨城市にあり距離約25km、車では40分ほどにある太平洋に面し、奇岩絶壁の風景が見事な五浦海岸に朱塗りの外壁で六角形の建物「五浦六角堂」が岩礁の上に建てられています。
岡倉天心がこの地を気に入り、日本美術院を創設して横山大観や下村観山などともに日本画の研鑽を行った場所です。絶壁に打ち寄せる白波と緑の松林の風景も美しく、秋にはカエデなどの紅葉も雑じって錦絵のような艶やかさです。
五浦六角堂・概要と口コミ情報
五浦六角堂
- 住所〒319-1703
茨城県北茨城市大津町五浦727-2 - 電話番号0293-46-0766
0293-24-9084(FAX) - アクセス【公共交通】JR常磐線「大津港駅」より車利用約10分【車】常磐自動車道北茨城Cより約15分
国民宿舎「鵜の岬」
ゆっくり1泊して花貫渓谷の紅葉を楽しみたい方は、日立市十王町の太平洋に面した伊師浜海岸に建つ「国民宿舎鵜の岬」が人気の宿です。客室は全室太平洋に面したオーシャンビューが楽しめます。
岐阜県長良川の鵜飼い用にウミウを捕獲する場所であることから“鵜の岬”の名があり、7~9月、1~3月には有料で捕獲風景が見学できます。国民宿舎鵜の岬は客室稼働率が常に90%以上ですので早めの予約が必要です。
国民宿舎「鵜の岬」・概要と口コミ情報
国民宿舎「鵜の岬」
- 住所〒319-1301
茨城県日立市十王町伊師640 - 電話番号0294-39-2202
- アクセス【公共交通】JR常磐線十王駅より車利用約10分【車】常磐自動車道日立北ICより約8分
- 営業時間8:00~22:00
チェックイン15:00 チェックアウト10:00 - 定休日年中無休
- 駐車場あり
200台 - 公式サイトURLhttp://www.unomisaki.com/
花貫渓谷でのハイキングコース
花貫渓谷の清涼な空気を感じながら歩く大人気のハイキングコースがあります。五月のゴールデンウイークから夏の時期はもちろん、特に秋の紅葉シーズンは絵画のような景色のなかを楽しみながら歩けます。
「茨城の自然百選」に選ばれている標高599mの土岳を花貫渓谷沿いに往復するコースです。周囲が浸食されて残った「浸食残丘」という地形の山で、貴重な植物も豊富で、山頂からの展望も良く、那須連峰や遠く富士山まで遠望できます。
コース概要①/花貫渓谷から小滝沢登山道入口
花貫ダム手前の“花貫さくら公園”からスタートします。海の見えるダムとして知られる花貫ダムを眺めながら花貫渓谷に沿って歩き、伝説の伝わる名馬里ヶ淵を過ぎ、乙女の滝から汐見滝吊り橋に着きます。
汐見滝吊り橋で景色を楽しんだら土岳登山口のある小滝沢キャンプ場についてトイレ休憩します。登り始めは杉の樹林帯を歩きますが、徐々に広葉樹となり少し岩場のある道を登ります。
コース概要②/土岳頂上
花貫渓谷から比較的歩きやすい登山道で特に危険な個所はありませんが土岳へは急登が続きます。途中の展望は望めませんが、細尾根を歩き雑木林を過ぎると展望台のある土岳頂上に到着します。
頂上からは筑波山や那須の連山、天候が良ければ富士山まで遠望できる絶景が楽しめます。ゆっくり休憩をとったら帰路は往路を辿り、また花貫渓谷の自然のなか花貫自然公園に戻ります。
コースDATA
スタート地点へのアクセス | JR常磐線高萩駅より車利用約20分 (車)常磐自動車道高萩ICより約20分 (駐車場有り) |
行程 | 日帰り 難易度:☆☆☆☆★ 体力度:☆☆☆★★ |
コース情報 | 距離:約14km 標準標高差:上り・下り562m 地図上標準コースタイム:約3時間40分 |
コースタイム | 花貫さくら公園スタート⇒(10分)花貫ダム⇒ (60分)小滝沢土岳登山道入口⇒(50分)土岳 山頂⇒(40分)小滝沢土岳登山道入口⇒(40分) 名馬里ヶ淵⇒(20分)花貫さくら公園ゴール |
花貫渓谷の紅葉・まとめ
花園花貫県立自然公園として春夏秋冬それぞれに自然いっぱいの景観が素晴らしく、特に秋の紅葉時期には渓谷の冷涼な景色と相まってオレンジ、赤、黄色など様々な樹々の彩りが素晴らしい大人気の紅葉スポットの花貫渓谷をご紹介しました。
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