F型クランプ
F型クランプ
F型クランプ
F型クランプ
はじめに:木工作業に使うクランプについて
クランプは持ち運べるタイプの固定用工具
木工作業の切断や接着、金属版の取り付けなどで材料を固定する時に使う工具にクランプがあります。クランプの持つ意味には「締め金」や「留める」などがあり、いろいろなタイプがありますが基本的に持ち運べます。
同じように締め付ける工具で作業台などに設置されているものは万力(まんりき)と言います。万力も固定する工具ですが、用途は素材や材料を強い圧力で締め付け、やすりがけや切断、圧着などに使われる事が多いです。
工事現場などでパイプをつないでいる金具もクランプ
クランプは持ち運べるタイプの固定用専門工具ですが、クランプの名前のつくものは他にもあります。工事現場で単管パイプと単管パイプを90度や180度などにつなぎ、足場にしたりする時の金具も(自在)クランプといいます。書類挟みや洗濯バサミもクランプのなかまですね。
いろいろなタイプと種類がある木工用クランプ
木工用クランプには「F型クランプ」やCの形の「C型クランプ」、挟んで固定する「ばねクランプ」、ハンドル部分のレバーを握り固定する「ラチェットバークランプ」、4方向から圧力の「ベルトクランプ」、2方向圧力で90度固定する「コーナークランプ」、日本版クランプの「旗がね」などがあります。
ほかに、強い締め付け力のある「パイプクランプ」、台などにビスで固定して使う「トグルクランプ」も締め付けタイプの固定工具です。
クランプは補助の締め付け工具
前述のようにクランプにはいろいろな種類がありますが、DIYでよく使うノコギリやドリルのように材料を切ったり、穴をあけたりする工具ではありません。あくまでも素材や材料を加工したり組付けをする時などに補助として材料を固定する締め付け工具です。
DIYの木工作業や小物家具制作には固定専門工具のクランプがあると便利ですし、より正確な加工の手助けになりますから、素材や用途に応じたタイプのクランプが必要になってきます。
見た目がF形に見えるからF型クランプ
F型クランプの持つ機能と各部の名称
ねじを回転させることで締めた緩めたりする部分をハンドル(グリップ)といいます。対象物を挟むところは口と言われます。対象物にふれる部分はアゴという名前で上下のアゴで挟み込みますが、材料に傷がつかないように樹脂やゴムで保護されているものが多いです。
F型クランプは自由にスライドさせることが可能な腕をもっていてハンドルで回したねじが対象物に強い圧力をかけて固定する仕組みになっています。
腕の可動域をスライドさせるのがF型クランプ
F型クランプには対象物を挟む時、アゴと言われる固定する材料に触れる部分を腕と言われる部分で移動できる可動域があります。素材、材料のサイズに応じて開口部を行き来させて大まかに挟み、ねじの先端に付いているアゴで締め付けしっかり固定します。
F型クランプの開口部に対象を挟み込みねじで固定
木工作業では用途に応じて、ねじの先端についている上アゴと反対側の下アゴの間で対象を挟み、グリップやハンドルでねじを締め付け固定します。
C型クランプと同じようにグリップやハンドルを回転させることで締めつけますが、F型クランプは上アゴを腕の部分でスライドさせて手早く挟めるのが特徴です。締め付け強度もC型クランプに負けないものがありますし、手早く挟める分だけ早く固定できます。
腕の長さによるF型クランプの用途の違い
腕の長さにより用途に違いがでるF型クランプ
F型クランプはL型クランプとも言われますが、対象を挟む開口部の腕の長さにサイズがあります。DIYの木工作業では腕の短いサイズから長いサイズのまであると使いやすいです。
素材加工で圧着や接合で、より強度を大きくする時には、小さなものには腕の短いF型クランプを使い、厚い材料の締め付けや大きな板組み、箱組みなどには腕の長いF型クランプと使い分けができますので、木工作業では頻繫に使われる用途の広い工具になります。
F型クランプの腕は長いもので1200mm
F型クランプは腕の部分をスライドさせて手早い締め付けができるため腕の長いサイズもあります。メーカーにより違いがありますが、腕の長さが150mm~200mmから1000mm~1200mmとおおよそ100mm刻みのサイズで販売されています。
開口部の奥行サイズにも違いがあるF型クランプ
F型クランプには開口部の懐(ふところ)と言われる奥行にもタイプがあり、50mm、80mm、120mmなどのサイズがあります。作業では挟む対象物の用途にあわせて、腕の長さと開口部の奥行(懐)を選んでさまざまな作業します。
腕の長短で用途に違いがでるF型クランプ
F型クランプが木工作業でよく使われる用途は切断作業、穴あけ作業、圧着作業、仮どめなどになりますが、切断作業や穴あけ作業ではクランプの長い腕がじゃまになることがあります。
また、圧着作業、仮止めなどでは短い腕では届かない大きさのものがありますから長いクランプを使うことになりますし、F型クランプの腕の長短は作業シーンに合わせて選ぶようにします。
切断(カット)作業に適したF型クランプ
作業時に手早く締め付け固定するF型クランプ
DIYの木工作業で正確なカットをするには、材料を確実に固定することです。作業台などにF型クランプで固定すれば手足で押さえるよりもきれいにカットができます。材料のサイズにあわせて上アゴをスライドさせて手早く挟み、ねじを回して締め付けます。
F型クランプの固定箇所は材料の使用方向を考えて決めます。また、強い強度を持つF型クランプの締め付けで材料にクランプの痕が残らないように必ず当て木をしてカットしましょう。
材料の切断、カットに使うF型クランプのおすすめサイズ
F型クランプを使い固定し、角材や板などの素材、材料を切断、カットする時には長い腕はかえってじゃまになることがあります。切断、カットを正確にするには、懐と言われる開口部の奥行が50mm~120mmで腕の長さは200mm~300mmぐらいが取り回しがよく使いやすいのでおすすめです。
F型クランプ
穴あけ作業に適したF型クランプ
固定し正確な穴あけ加工を補助するF型クランプ
F型クランプの用途にはいろいろありますが、正確な穴あけ加工をする時には必須の工具になります。素材、材料を傷をつけないように当て木をして締め付け、穴あけの中心がずれないようにしっかりと固定してからドリルやインパクトドライバーなどで穴あけをします。
DIYの木工作業や小物家具製作では穴あけ加工を求められますが、長さのある穴あけは多くはありません。穴あけ加工でもF型クランプの腕の長さは長くないものが使いやすいです。
小さな材料の穴あけには腕の短いF型クランプ
F型クランプの特徴は長い腕の上アゴをスライドさせて手早く挟み、ねじを回して固定するところにあります。ただ、F型クランプはC型クランプなどよりもかさばってしまい、カットの時と同じように穴あけ加工のじゃまになってしまうことがあります。
ドリルで穴あけする時や小さな材料を固定する時のF型クランプの腕も長すぎない方が使いやすく、穴あけ加工の時も、切断、カットする時と同じぐらいの開口部と腕の長さが使いやすいですね。
F型クランプ
圧着作業に適したF型クランプ
圧着作業には腕の短いものから長いものまでが必要
DIYの木工作業では切断、穴あけ、圧着など、いずれの作業でも材料を固定して行うことでずれがなくなります。材料をビス止めをするときもF型クランプを使って固定すればドリルドライバーやインパクトドライバーの回転力によるずれが防げます。
ずれを防ぎながら圧着する材料は、小さい物から大きな物までありますから、F型クランプも開口部の奥行、腕の長さもいろいろ種類が必要です。
組み立ての圧着作業にも使われるF型クランプ
DIYや木工作業では、腕の長いF型クランプはボックスや引き出しをつくる時などの素材と素材の接着などにもによく使われます。棚板などで大きさや強度が必要な材料の圧着にも使われる使用頻度の高い専門工具です。
F型クランプは開口部が広く(腕が長い)C型クランプより用途が広く、使う場面も多くなりますが、圧着の時に長い腕がたわんで正確な接合にならないこともありますのでF型クランプ自体の強度にも注意が必要になります。
幅の狭い板をつなぎ合わせて大きな板にする板つぎにも
F型クランプは小物家具制作などで、狭い板をつなぎ合わせて天板や底板などを作る板つぎ(板はぎ)にもよく使われます。板つぎは材料の間に接着材をつけ、F型クランプなどで挟み、固定し幅広い板にする方法です。
板つぎをする時にはF型クランプ以外にも「ラチェットバークランプ」や「旗がね」も使われますが、板に強度が必要ですし、強く締めると板が反りますので板表だけでなく裏にもクランプをかけて反りのない板を作るようにします。
リフォーム作業でも活躍するF型クランプ
キッチンやリビングルーム、子供部屋のリフォーム作業時は、現場の寸法にあった造り付けのラックや収納棚を作るときなどにもF型クランプは活躍します。材料をカットしたり、ビス止めしての圧着などの作業には欠かせません。
リフォーム作業では現場に合わせてつくりますので、実際の寸法にあう組み付けができます。なので、引き出しや棚板もきれいに収まります。
DIYで使う腕の長いF型クランプは少ない本数でOK
F型クランプの腕の長いサイズは大きな材料の圧着などで強度をつくる補助工具になりますが、DIY作業では各方向から締め付けや大きなサイズのものをつくる機会はそう多くはありません。
ただ、長い腕を持つF型クランプが必要な作業は必ずありますので、最初は4-5本でいいと思います。仮どめなどで大きなサイズのものを何本か同時に使って各方向からの締め付ける作業があれば、その時の状況に応じて揃えましょう。
圧着作業に使う開口部の奥行と腕の長さ
F型クランプの使用頻度では圧着作業がいちばん多いので、各サイズがあると使いやすいです。
サイズとしては開口部の奥行が50mm~120mmで腕の長さが200mm~1200mmですが、それを腕の長さの短いグループ、中間のグループ、長いグループの3段階に分けて、それぞれ2~4本の偶数本でそろえることをおすすめします。
F型クランプ
F型クランプを使ってDIYを楽しみましょう
F型クランプを使えば棚やラックづくりも簡単
キッチンに食品や食器などを置く造り付けの棚やラックがあると便利ですが、食器や瓶詰めの物などはけっこうな重さがあります。その重量にに耐えるだけの棚をDIYする時もF型クランプを使うことでラックなどをらくにつくれます。
F型クランプは持ち運びができますし、棚やラックを作るときでも現場での圧着やビス止め接着をしながら強度を確保し、皿やビンの重量に耐えるものを作ることができます。
F型クランプを使ってDIYの1人作業も安全に
木工作業でいろいろな物の制作やDIYのリフォーム作業では、重くて持てないような材料を使う場合以外は1人での作業がほとんどです。そんな時には強度のあるしっかりしたF型クランプがあると作業がらくになります。
構造材でも材料でもF型クランプで固定してしまえば、両手を使っての組み付けや組み立て作業ができますから、安全に仕事するための補助工具になります。ただ、F型クランプ自体の強度の確認も必要になります。
おわりに:F型クランプは役に立つ補助工具
腕を持つF型クランプは、同じ長さのクランプを揃えるといろいろな方向から同時に締め付けができるようになります。長短や種類が豊富で100円ショップで扱っているものでも十分な強度です。
金物工具店やホームセンターにはプロの大工さんや職人さんたちが使う、強い圧力で締め付けても不安を感じさせないF型クランプがあります。いずれも、作業の正確さ、安全性を高める固定用工具ですが持ち運べるので役に立ちます。
DIYでする木工作業や小物家具製作
DIYの木工作業で使うF型クランプをご紹介してきました。DIYでなにかを作ろうと思うものを形にする時は、測って予算をたて、材料をそろえて工具で切る削るをして最後に接着接合で仕上ます。
いくつかの製作物を作られた方はお分かりになると思いますが、F型クランプをはじめとする木工用のクランプは材料の加工から仕上りまで関わる工具となり、加工の時の補助専門工具で安全に正確な作業をするには欠かせないものです。
長短それぞれをペアで揃えて安全に
F型クランプの揃え方ですが、F型クランプは自由に移動できる固定用の工具ですが、補助する加工の種類も多く加工の仕方によっては短い腕が役に立つときや長い腕が必要な時があります。
なので、圧着作業のところでも紹介しましたが、短いサイズと中間サイズ、長いサイズをそれぞれペアで揃えておけば安全に作業ができ、制作物もきれいに作れます。ぜひ、ペアでそろえることをおすすめします。
F型クランプ
F型クランプが気になる方はこちらをチェック
いかがでしたか?クランプは金属加工の溶接などでも使われていますが、ここではF型クランプの木工作業での使い方や用途などを紹介してきました。こちらには100均グッズを使った素敵なDIY情報が載っていますのでご覧ください。
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出典:pixabay