ボルダリングに筋肉は必要?
ボルダリングはスポーツクライミングの一種で、一言で表すと「全身で壁を登る」スポーツです。そびえたつ壁を登っていくため、上半身は指先から下半身は足の先まで全身の筋肉が必要となります。
しかし全身といっても、どんな時にどこの筋肉を使うのか、イメージが掴みにくいものです。
そこで、どこの筋肉がボルダリングに必要なのか、筋肉の使い方はどのようなものかを確認していきましょう。
ボルダリングではどこの筋肉が必要?
ボルダリングでは、クライミング用の壁を登るために“掴む”、"引き上げる"、"ひねる"、"脚を振りあげる"などの動作を行います。そのため、上半身・下半身問わず全身の筋肉を必要とするのです。
しかし、全身と言っても全ての筋肉を均等に使うわけではありません。ボルダリングで特に使用頻度の高い筋肉はどこか、確認していきましょう。
使用頻度の高い筋肉➀腕
クライミングで最もよく使う筋肉はどこかと聞けば、大半の人が口に出すのが腕の筋肉です。
腕の筋肉は部位によって、前腕筋・上腕筋の2つに分類されます。登る動作を行うクライミングではどちらの筋肉も非常に重要な役割を担っています。
ボルダリングにおける前腕筋の役割
“ホールドを掴む”、"掴んだままキープする"など、ボルダリングで能えり前に行う動作は、指を使うことが不可欠です。前腕筋はそうした指を動かしたり、物をつかんだり、手首を回転させたりする働きがあります。
ボルダリングにおける上腕筋の役割
上腕筋は身体を持ち上げたり、引きつけたりする際に必要となります。せっかくホールドを掴んでも、しっかり身体を引き上げられなければ、壁を登り続けることは出来ません。
前腕筋・上腕筋はなぜ必要?
ボルダリングでは、ホールド間を移動する際、腕と指先の力だけで身体を支え続ける場合もあります。そんな時に前腕筋と上腕筋を強化してあると、保持力アップに繋がります。
特に手で持ちづらい形状のホールドを使う場合、握る力が発揮できないため、この保持力がとても重要になります。そのため、レベルアップしていくほど上腕筋・前腕筋は必要不可欠のものになっていきます。
使用頻度の高い筋肉②背中
上半身の筋肉で最も大きい筋肉がある部位が背中。背中にある広背筋という筋肉は、身体を持ち上げる際に必要な筋肉です。腕の筋肉も使いますが、長時間の使用には相対的に見て小さく、すぐ疲労してしまいます。
そこで広背筋を使うことで、腕の筋肉の負担が少なくなります。その結果、楽に身体を持ち上げることが出来るようになるのです。つまり、ボルダリングでは背中の使い方で、クライミングの負担削減に繋がることになります。
使用頻度の高い筋肉③お腹
お腹の中でも、特に注目すべきは腹直筋と腹斜筋の2つです。どちらも、ボルダリング中の不安定な姿勢を維持するのに重要な役割を担っています。
ボルダリングにおける腹直筋の役割
腹直筋は上体を曲げる際に働く筋肉で、身体を丸めるなど体幹を動かすときに働きます。
腹直筋など体幹と呼ばれる筋肉は、不安定な場所で身体を安定させるのに役立ちます。ボルダリングは常に不安定な姿勢を取り続けている為、身体を安定させる筋肉はとても重要です。
ボルダリングにおける腹斜筋の役割
腹斜筋は身体をひねる動作を行う際に使う筋肉です。
ねじりの動作はボルダリングではとても重要な動作となっています。腕をただ伸ばすより、壁に腰をつけるほど身体をねじりながら腕を伸ばした方がより遠くへ手を出すことができるからです。
使用頻度の高い筋肉④脚部
ボルダリングで下半身はあまり使わないと思われがちですが、実は上級者ほど、下半身の力を上手く使って楽に登っています。
ただし必要だからと言って、スポーツジムにあるマシンやダンベルでわざわざトレーニングをする必要はありません。下半身は日常生活の立つ・歩くといった動作でも十分に使用されています。
初心者から中級者の場合、クライミングジムで脚の使い方を意識してテクニックを磨く方を優先しましょう。
ボルダリングにおける下半身の役割
身体の中でも下半身、特に脚には腕の数倍パワーがあります。ボルダリングにおいて、登る際に上半身、特に腕力や握力に頼り切ってしまうと、すぐに疲労が溜まり登れなくなります。そこで下半身にある脚の力を上手に使うと、握力や腕力の負荷が少なくなり、結果的に登るのが楽になります。
ボルダリング上達に筋トレは必要不可欠?
難易度を上げるにつれてどうしてもクリアできないルートも出てきます。その際に感じることが多いのが様々な部位の筋力不足です。
練習しているのに登れないルートが現れたら、筋トレをトレーニングに加えるのも手です。
レベルによる筋トレの必要性の違い
闇雲に筋トレをすれば良いというものではありません。初心者の場合、ボルダリングを楽しむだけでも自然と筋肉が身に付いていきます。しかし中級者レベルになると身体が刺激に慣れてしまい、ジムへ通うだけでは筋肉がつかなくなります。
レベルアップを目指すにはトレーニングを見直し、必要な筋トレを取り入れることが大切です。
マシンやダンベルは必要?
スポーツジムにあるマシンやダンベルを使うトレーニング方法はターゲットとなる筋肉を集中的に鍛えることが可能です。
しかし、ボルダリングはただ筋肉をつければ上手になるスポーツではありません。自分の体重を支えながら行うスポーツのため、マシンやダンベルでのトレーニングより、自重を使ったトレーニング方法が実践的です。
ボルダリング上達に向けた部位別トレーニング
ボルダリング上達を目指すには、トレーニングを行う際も注意が必要です。なぜなら、ただ闇雲にジムで筋トレをすれば良いものではないからです。
ボルダリング上達に向けてどこの部位を鍛えるべきか、有効な筋トレの方法はどんなものか、それぞれの部位別に確認していきましょう。
広背筋
広背筋は上半身の中でトップレベルの大きさを誇る筋肉です。上手に使うことで指先や腕の負担を減らし、より楽に登ることが可能となります。
背中を使う分筋力が上がって自分の身体を上に引き上げる動きも取りやすくなり、ホールドからホールドへの移動もしやすくなります。
広背筋のトレーニング方法【懸垂】
懸垂は、広背筋はもちろん、前腕から肩まで上半身を幅広く使って体を引き上げるトレーニングです。身体を上へ引きつける力を強化してくれます。
ボルダリングと同様の体勢で身体を支持しながら引き上げるので、より実践に近いトレーニングといえます。鉄棒や懸垂器具だけでなくジムにあるフィンガーボードなどでも行えるため、クライマーには実施しやすいトレーニングです。
懸垂のやり方
肩幅、もしくはやや広い位置でバーを握ります。フィンガーボードを使う場合も同様の位置でボードを掴みましょう。軽く身体を持ち上げて背筋を伸ばしたら、肩甲骨を寄せるイメージで顎がバーもしくはボードと同じ位置に来るまで身体を持ち上げます。トップまで来たら1秒キープし、ゆっくり肘が伸び切らない位置まで身体を下ろします。
この一連の動きを10回繰り返します。身体を下ろす際に速く下ろしてしまうとケガの要因となりますので、下ろす時はゆっくり行うよう注意しましょう。
懸垂の注意点
スピードをつけてしまうと反動で動けてしまい、ターゲットとなる筋肉を効率よく鍛えることができません。また、スピードをつけてしまうと思わぬケガの原因となります。
身体を下ろす際は特に注意して、ゆっくりと動作行いましょう。
腹斜筋
腹斜筋は、外腹斜筋と内腹斜筋の2つに分かれています。
この筋肉は身体をひねる動きをするのに必用な筋肉です。ひねる動作はボルダリングにおいて、より遠くのホールドに手を届かせるのに有効な動きとなります。
また、腹斜筋が鍛えられていると登っている最中に不安定な姿勢を保持する場合でも、ぐらぐらせずに安定させることが可能です。
腹斜筋のトレーニング方法【ツイストレッグレイズ】
ツイストレッグレイズは上半身を固定させ、脚を左右に動かすことでねじりの動作を行い、腹斜筋を鍛えるトレーニング方法です。ねじりの動きだけでなく、体幹を使って足を上げる動きもあり、強傾斜でのフットワークを養うことが出来ます。
ツイストレッグレイズのやり方
まず、床に仰向けの姿勢になります。そのまま両足を閉じ、腰から下までをまっすぐ上に上げましょう。両足を閉じたまま、右に移動させ、床すれすれまで下ろします。1秒その位置で姿勢をキープしたら、ゆっくり足をまっすぐ上に戻します。同様の動きで、今度は左に足を移動させます。
この一連の動きを10回繰り返します。
ツイストレッグレイズの注意点
ボルダリングでも姿勢を安定させられるよう、動作中は呼吸を一定に保ちぐらぐらしないように注意しましょう。
また、トレーニング中に呼吸を止めてしまうと血圧上昇のリスクも高まります。まずは呼吸を止めないことを意識して動作を行いましょう。
胸
大胸筋は上体の動きに大きく関与する体幹部の筋肉です。体幹部の筋肉が安定することにより、ボルダリングでは不安定な場所での姿勢の維持、さらにそこからの様々なムーブへと繋がります。
また、大胸筋は、前述した広背筋の拮抗筋(対となる筋肉)で、広背筋と同様にトレーニングすることによって、バランスの取れた身体となります。
大胸筋のトレーニング方法【腕立て伏せ】
腕立て伏せはボルダリングの筋トレとして非常に優秀なトレーニングでもあります。胸だけでなく、ボルダリングでも大切な上腕三頭筋、三角筋も鍛えることが可能だからです。
腕立て伏せのやり方
四つん這いの状態になり、手を肩幅より手のひら1枚分外側に置きます。この時、つま先以外を床から離し、頭の先からつま先まで一直線の姿勢をつくります。そこからゆっくり腕を曲げて身体を床に近づけましょう。その時お尻が上がらないように注意してください。顔が床に近づいたら、ゆっくり地面を押し上げて最初のの姿勢に戻ります。
この動きを20回繰り返します。
腕立て伏せの注意点
腕立て伏せはトレーニング中にまっすぐな姿勢をキープすることが重要です。数をこなすことより、まずはしっかり一直線の姿勢をキープすることを意識しましょう。
姿勢をキープするのが難しい人は、スタートポジションで膝をついて行いましょう。
筋トレはどれだけ必要?
ボルダリングなどクライミング競技に向けたトレーニングの場合、闇雲に筋肉を発達させるのはおすすめしません。筋肉は脂肪より軽いため、筋肉がつけば体重は重くなります。ボルダリングは身体を垂直に持ち上げる動作が多いため身体が重いとかえって登りづらい身体にしてしまうのです。
ボルダリングのレベルアップを図りたい場合の筋トレは、どこの筋力を上げればよいかをきちんと見極め、必要なだけ行うよう心がけましょう。
筋トレでボルダリングの更なるレベルアップを図ろう
レベルアップするについて、克服したい課題や苦手なルートなど、自分の弱点が徐々に見えてきます。そんな時こそ、自身の更なるレベルアップのチャンスです。
上半身の保持力が足りなければ上半身の筋力アップ、指先や腕に頼り切ってしまう人は下半身の強化など、自分に必要なトレーニングを見極めましょう。自己分析を行いトレーニングを積んでいくことで、目標達成の日も近づいていきます。
自分に合ったトレー二ングで、更なるレベルアップを図りましょう。
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