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誕生までの歴史が世界的に有名な昭和新山の魅力をご紹介!周辺の観光スポットも!

北海道壮瞥町の国の天然記念物である昭和新山は、昭和中期に突如麦畑に誕生したことで知られている火山です。私有地のため立ち入りが禁止されていますが、駐車場などからも見どころを堪能できます。昭和新山の特徴や魅力、生い立ちや歴史、周辺観光地などをご紹介します。
2021年2月23日
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昭和新山の特徴は何?

Photo by MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito)

今も水蒸気を噴出する昭和新山の特徴は、樹木のないむき出しの赤い色と、溶岩が固まったゴツゴツした形です。生い立ちも特徴的なため、1951年(昭和26年)に国の「特別天然記念物」に指定されています。

特別天然記念物は、通常の天然記念物より世界的にも価値が高いものを指します。現在、特別天然記念物は動植物や地質などを合わせて60件ほどの指定ということから、昭和新山の貴重さがわかるのではないでしょうか。

昭和新山は一大観光地!

Photo by Kinden K

昭和新山(標高398メートル)がある地域は、果樹栽培でも有名な北海道南部にある人口3,000人弱の壮瞥町(そうべつちょう)です。札幌から車で約2時間で函館へ行く途中、真ん丸な形が特徴の噴火湾の入り口にあります。

ロープウェイでも登山できる有珠山のすぐ近くにあり、非常ににぎやかな観光地として有名。昭和新山の周辺エリアは洞爺湖を始めとする観光スポットも多いことから、北海道を代表する観光地なのです。

昭和新山と有珠山は兄弟!

Photo by Kentaro Ohno

昭和新山の歴史を語るうえで外せないのが、昭和新山のすぐ近くにある有珠山(標高733メートル)です。有珠山は、近くにある洞爺湖のあとにできた火山であり、たび重なる噴火は地形や人々の生活に大きな影響を与えてきました。

有珠山の噴火は、一帯の地下にマグマがあることを意味しています。昭和新山は、有珠山をつくったのと同じ場所のマグマによってできた火山で、二つの山の関係は兄弟といえるのではないでしょうか。

昭和新山の成長の記録者は誰?

Photo by Kinden K

昭和新山の成長の様子は、壮瞥町の郵便局長だった三松正夫が「ミマツダイヤグラム」として記録しました。三松正夫の火山学への造詣は、1910年(明治43年)の有珠山噴火のために現地調査を行った火山学者を案内したことにあります。

ミマツダイヤグラムの大まかな特徴は、多くの定点観測スケッチ画をもとに昭和新山の隆起活動の全過程をハンドトレースで記録したこと。世界唯一の火山誕生の記録として評価されているのです。

ミマツダイヤグラムの記録期間

Photo bywuzefe

具体的にミマツダイヤグラムとは、お皿に豆を置いて地震の回数を記録し、台にあごを載せることで視点を固定させて糸を水平に張り、日々の隆起活動を測るという独特のもの。

昭和新山を記録した期間は、1943年(昭和18年)12月28日から1945年(昭和20年)9月20日までの約600日。標高250メートルから406.9メートルまで昭和新山が成長する様子を細かく記録し、一枚の「新山隆起図」を作成したのです。

洞爺湖温泉の発見者も三松正夫

Photo by Kentaro Ohno

三松正夫は1917年(大正6年)に鉱山見学をした仲間と共に、洞爺湖畔で43℃の源泉を発見して道庁に温泉利用出願の提出をしています。翌年の秋には、洞爺湖温泉の旅館第一号である「竜湖館」という温泉宿も開業したのです。

当時の名称は洞爺湖温泉ではなく「床丹温泉」(とこたん)でした。のちに湖の名前にちなみ、現在の洞爺湖温泉に名称を変えました。

三松正夫記念館で知識が増える

Photo by Hotice Hsu

昭和新山一帯の敷地内にはミマツダイヤグラムの原図やスケッチ・写真などの貴重な展示品を観察できる三松正夫記念館(大人300円)があり、三松正夫の偉業に触れられる見どころの一つ。

現在、昭和新山のある一帯は三松家の私有地であり、昭和新山には許可がないと登れません。三松は硫黄採掘などから昭和新山を保護するため、1946年(昭和12)に昭和新山周辺の土地を買い、天然記念物の指定運動も行いました。

三松正夫記念館

  • 住所
    〒052-0102
    北海道有珠郡壮瞥町字昭和新山184-12
  • 電話番号
    0142-75-2365
  • 駐車場
    あり
    昭和新山の有料(一般乗用車500円)
  • 営業時間
    4月から10月 : 8:00-17:00 / 11月から3月 : 9:00-16:00
  • 定休日
    無休(1月~3月は不定休)

昭和新山の誕生の歴史とは?

Photo by Kentaro Ohno

昭和新山がいつできたかというと、1943年(昭和18年)12月28日に10分ごとに続いた地震が始まりでした。三松正夫の記録には、1910年(明治43年)に45個もの火口ができた地震を思い起こし、パニックになる人々を収めたほどの規模とあります。

地震発生翌日の29日には、100回以上ものはっきりわかる地震があったそうです。特に洞爺湖温泉街で激しく、地面の割れや水道の断水、小さな隆起もありました。

始まりは50メートルの隆起

フリー写真素材ぱくたそ

地震は、1944年(昭和19年)には有珠山の東側に集中するようになり、10数メートルの隆起や地割れ、建物などの損壊が起きました。3月から4月になると地震は北側に移動し、各所で隆起が起き、現在の昭和新山がある「東九万坪」では50メートルの高さに隆起したのです。

これらの地殻変動は、近くを走る胆振線の鉄道が損壊するなどの大きな影響を与えました。地域の住民は、地震のために大きなダメージを受けていたのです。

軍需品の鉄鉱石を運んでいた胆振線

昭和新山ができた時代は太平洋戦争中で、鉱山で採れた鉄鉱石を軍需品として室蘭の製鋼所に鉄道で運んでいました。壮瞥町を走る胆振線は重要な鉄路だったため、軍は地震で損傷した鉄路を早く修復するように圧力をかけます。

しかし修復してもすぐに地震で損壊を繰り返すため、強制労働というひどい話もあったそうです。世界的に有名な昭和新山誕生の陰にあった、地域の人々の過酷な状況も忘れてはいけません。

麦畑で水蒸気爆発

Photo byPexels

山の始まりなどの成長過程は簡単に観られるものではありません。この常識を裏切ったのが昭和新山であり、噴火前には麦畑だった場所で誕生したことが歴史的に驚きなのです。

東九万坪の麦畑では、1944年(昭和19年)6月23日に水蒸気爆発が始まりました。高温のマグマが豊富な地下水層に触れて発生したもので、間欠泉に似た活動でした。7月2日には水蒸気爆発が起こり、マグマ由来の火山灰も多く含まれていたのです。

麦畑が標高250メートルの山に

Photo byLife-Of-Pix

昭和新山をつくったマグマ水蒸気爆発は7月10日にも発生し、高熱の岩石や破片が洞爺湖岸を襲って家屋や保安林を破壊。10月末までに十数回の爆発があり、火山灰は火口から1キロメートルの場所にまで及び、数センチメートルもの厚さに積もったのです。

昭和新山の地下の浅い場所では粘り気の強い円頂丘がつくられて「屋根山」となり、噴火前の麦畑が盛り上がり、250メートルほどの高さになりました。

火口から再び現れた溶岩ドーム

Photo by 雷太

11月中旬には、隆起した標高250メートルの屋根山の火口から、ピラミッドのような新しい溶岩が現れました。粘り気が非常に強い性質の溶岩のため、ユリ根のように割れて動きながら少しずつ上昇し、溶岩円頂丘をつくったのです。

溶岩円頂丘は天然の赤いレンガの膜をかぶり、成長し続けました。1945年(昭和20年)9月には地震が減って成長も止まり、標高406.9メートルの昭和新山が誕生したのです。

現在の昭和新山の標高

現在の昭和新山の標高は398メートルで、昭和新山ができたときよりも8メートルほど低くなっています。その理由は、火山が冷えたことで膨張が収まったことと、長年の風雨による浸食といわれています。

標高400メートル足らずの山ですが、昭和新山は小さいからこそ、山はそのままの形ではなく、常に地球の力によって動くものだということが実感できるのではないでしょうか。

昭和新山の名称の由来

昭和新山の名称は、火山研究者の第一人者である田中館秀三によって付けられました。田中館は三松正夫の案内で、1910年(明治43年)の有珠山噴火のために現地調査を行っています。二人は昭和新山をきっかけに師弟関係となり、田中館が亡くなる昭和26年まで交流が続きました。

昭和新山の名前は「三松山」「正夫山」という案もありましたが、本人が固辞したため、当時の東大地震研究所長との熟慮の末に名付けられたのです。

昭和新山の魅力・見どころは?


昭和新山は赤い

Photo by shane_1014

昭和新山の特徴であり、見どころの一つに赤い色という点があげられますが、これはもともとの土が溶岩の熱で焼かれてレンガのように固まったためです。赤い色でも部分的に濃淡があり、観ていると飽きさせません。

噴火前は広大な畑作地帯の麦畑でしたが、約2年間という短い期間で誕生した昭和新山。昭和新山の赤い色は、火山としての絶え間ないパワーを感じさせます。

雨が降ると湯気が立ち上がる

Photo by taku412

活火山の昭和新山は今も噴煙を上げていますが、晴天時には噴煙を観られないことも多くあります。雨が降ると、湯気がモクモクと過熱した溶岩から立ち上がるのを観られます。

青空と昭和新山の赤い溶岩円頂丘のコントラストが美しいのはスッキリと晴れている日ですが、雨の日の湯気の噴出もまた見どころの一つでもあります。

途中まで樹が生えている

Photo by keiyac

昭和新山の溶岩円頂丘の部分は、未だに植物が定着しない溶岩がむき出しの赤い岩肌です。一方、中腹から下の屋根山には、ダケカンバなどの樹木が生えています。屋根山に樹木が生えている理由の一つとして、多くの人が入山しないことで保護されている点があげられています。

昭和新山の赤い溶岩円頂丘と緑色の屋根山の対比が美しく、函館出身の三箇三郎氏のように、画家たちはこの二色を強調して昭和新山を描くことが多いようです。

中腹に丸い石がある

Photo byFree-Photos

もう一つの昭和新山の見どころは、中腹に川原にあるような丸い石があることです。昭和新山の噴火前には地下に埋まっていた石が溶岩で持ち上がったため、普通の山では観られない丸い石が転がっているのです。

山の石は雨で流されるたびに角が取れて丸くなっていきます。他の山にある石を観ると、昭和新山の石との違いがわかることでしょう。ただし昭和新山は立入禁止なので入山の機会があるときに観察してくださいね。

周辺のおすすめ観光スポット5選

フリー写真素材ぱくたそ

昭和新山の周辺には、有珠山や洞爺湖を始め、見どころの多いおすすめ観光スポットがたくさんあります。北東側の支笏湖や大滝村、北西側のニセコ方面、南側の室蘭や登別などです。

近場の観光スポットである有珠山と洞爺湖はもちろん、車で1時間もドライブすると出合える、おすすめのすてきな観光スポットを5つご紹介します。

ロープウェイで登る有珠山

出典:ライター撮影

昭和新山の近くにある有珠山は、昭和新山と同じ有料駐車場(500円)に車を停め、有珠山の山頂駅までロープウェイで上がれます(往復/大人1,800円)。山頂駅には、有珠外輪展望台へ続く片道1.1キロメートル・徒歩約50分の有珠外輪遊歩道があります。

展望台からは噴火口や洞爺湖、羊蹄山や有珠湾の背後にある平洋も望める大パノラマ。有珠町へのルートがあるので、元気な人は往復3時間のトレッキングもおすすめです。

湖畔道路を一周できる洞爺湖

Photo by1443435

20分ほどで行ける洞爺湖は、周囲42キロメートルのほぼ円形の美しいカルデラ湖です。道路が整備されており、湖畔や樹林帯を通りながらの快適な湖の一周ドライブができます。

寄り道におすすめなのが、月浦地区の洞爺湖を見下ろすガラス工房の「glass cafe gla gla」でのショッピングや、浮見堂公園近くの「カフェレイクトーヤ」でのコーヒータイム。時間をたっぷり取り、思い切り洞爺湖をお楽しみください。

有珠善行寺で歴史にふれる


出典:ライター撮影

20分ほどの有珠善光寺(タクシーの場合/最寄駅のJR洞爺駅から10分・徒歩の場合/最寄駅のJR有珠駅から25分)は、慈覚大師が彫ったとされる本尊阿弥陀如来が安置されているパワースポット。

花の名所でもあり、周囲の有珠善行寺自然公園のエゾエンゴサクやキクザキイチゲなどの野草、公園やお寺の桜(石割桜など)、ツツジやアジサイなどが見どころ

ニセコで温泉めぐり

出典:ライター撮影

1時間ほどのニセコ方面はシンボルの羊蹄山が美しく、格好のドライブスポットです。羊蹄山に並ぶように西側には25キロメートルに及ぶニセコ火山群が連なり、木道の遊歩道が整備されている神仙沼などのトレッキングも気軽に楽しめます。

ニセコ火山群の麓には五色温泉などの個性豊かな温泉や産直所などもあるので、ニセコの山間を縫うパノラマラインを快走しながらの湯めぐりや新鮮野菜と名産品などのお買い物もおすすめです。

室蘭で夜景と焼き鳥三昧

フリー写真素材ぱくたそ

40分ほどで行ける室蘭の名所は、地球岬や断崖絶壁の金屛風・銀屏風、白鳥大橋などですが、工場夜景も有名な観光スポットです。

夜景は、室蘭港がある白鳥湾を挟むように建ち並ぶ工場や住宅の灯りが水面に映え、夕暮れ時に美しい景色を見せてくれます。夜景観賞後には豚肉で作る、辛子を付けていただく室蘭焼鳥もおすすめです。

昭和新山までのアクセスは?

Photo by hans-johnson

昭和新山へは、車で道央自動車道を利用し、伊達ICから約15分です。下道利用の場合は、札幌からは国道230号の中山峠・喜茂別町・留寿都村経由で約2時間かかります。

JRの場合は、最寄駅のJR洞爺駅から道南バス洞爺湖温泉行に乗車し、終点の洞爺湖温泉バスターミナルで下車(15分)、道南バスの昭和新山行に乗り換えて終点で下車(約15分)。

貴重な昭和新山を観に行こう!

Photo by Kentaro Ohno

昭和新山がいつできたかというと、1943年から1945年の間。噴火前は麦畑だった場所が、火山活動でたったの2年ほどで誕生したのです。短期間で火山が成長したため、世界的に有名に。

細かく誕生の過程を記録したのが三松正夫ですが、その記録も特徴的な「ミマツダイヤグラム」という価値あるものでした。北海道の一大観光スポットの昭和新山では、三松を始め火山に多大な影響を受けた人々の苦労にも思いをはせてみましょう。

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