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天然記念物の生物たちと出会えるかも?氷ノ山のおすすめ登山コースをご紹介!

氷ノ山は自然の宝庫というのがキャッチフレーズ。実際に行ってみると、本当にその通りなのがわかります。四季を通じてさまざまな動植物に出会える氷ノ山は、登山やスキーなどの楽しみも豊富です。この記事では、氷ノ山の魅力を肌で感じ取れる登山コースを紹介します。
2021年2月11日
カレーパン
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自然の宝庫・氷ノ山への人気登山コースを全解説!

氷ノ山(ひょうのせん)は、兵庫県の北部と鳥取県の県境にある山で、中国山地の東の端に位置します。鳥取県側では「須賀ノ山」と呼ばれ地形図でも併記されていますが、現状では兵庫県側の氷ノ山が通りがいいようです。

標高1,510mで中国山地では大山につぐ高峰です。近隣の鉢伏山を含む一帯は「氷ノ山後山那岐山国定公園」に指定されていて、自然環境が豊かな地域の主峰として存在感を示します。ちなみにこの地域での山の読みは、大山(だいせん)など「せん」です。

氷ノ山ってどんな山?登山のベストシーズンは?

氷ノ山は日本二百名山や秘境100選にも名を連ね、四季それぞれに美しい姿をもつ知名度の高い山です。山頂はなだらかなドーム状の斜面が広がりますが、その下部は険しい渓谷になり、多くの滝がみられます。

山頂の下にはスギの原生林があったり、ブナやトチなどの広葉樹林があります。西日本では珍しい亜寒帯性の湿地植物がみられることでも有名です。そして、運がよければ天然記念物のイヌワシや、クマタカが見られるかもしれません。

氷ノ山の登山適期はオールシーズン

氷ノ山への登山は、やはり雪のないシーズンがおすすめです。雪が解けてしまう5月~11月のシーズンが、初心者にも安全で豊かな自然が楽しめます。ただし、真夏は要注意です。山頂付近は日かげがなく直射日光を長時間受けるので、脱水対策も必要になります。

冬のシーズンでは、中級以上の登山者に限って冬山登山が楽しめます。アイゼン、かんじきなど雪山装備・服装を整えたうえで登ってください。なお、スキーシーズンにはスキーリフトが使えます。

氷ノ山登山ではぜひとも訪れたい見どころを紹介

氷ノ山は山容が美しいだけではなく、自然環境が素晴らしい山でもあります。ここへ登山に行くのなら、国定公園の自然を目いっぱい楽しみたいものです。氷ノ山で見ておきたいおすすめは、珍しい植物群や動物、地形などいろいろあります。

例えば氷ノ山の兵庫県側にある瀞川渓谷。ここは「21世紀に残したい日本の自然100選」と「日本の秘境100選」に選定されました。登山道が渓流に絡み合うように伸びていて、沢や滝を眺めながらの散策がおすすめです。

山頂近くの古生沼周辺に注目

氷ノ山の頂上から兵庫県側に数分下ったところに、古生沼(こせぬま)があります。太古の火口跡といわれ、見過ごしてしまいそうな小さな沼ですが、ここには千島列島クラスといわれる亜寒帯湿地植物が群生する場所なのです。

モウセンゴケやヒメミズゴケ、トキソウ、ノギランなど、ここ以外ではなかなか実物が見られない北方系の湿地植物が自生します。天然記念物なので見つけても見るだけ。取ってはいけません。

氷ノ山の登山道には天然記念物の動物や見事な紅葉も

Photo byzoosnow




 

氷ノ山の鳥取県側には、ブナやシイなどの広葉樹の原生林が広がります。また、兵庫県側はスギなどの針葉樹林におおわれ、山肌には多くの渓流があるなど自然環境に恵まれたエリアです。そのため、秋には見事な紅葉・黄葉が人気で、登山道からも楽しめます。

また、さまざまな動物が生息しやすい環境になっていて、天然記念物のイヌワシやヤマネ、クマタカやツキノワグマの姿が見られます。ヤマネは見られないでしょうが、イヌワシはスキー場周辺でも目撃情報がありました。

氷ノ山の登山で見ておきたいその他の景観

氷ノ山周辺の見どころはまだまだあります。兵庫県側・福定登山口の近くにある、推定樹齢500年のボードー杉は高地には珍しい幹回り12ⅿ、高さ22ⅿの巨木。山頂下の巨岩・こしき岩は権神社の供物用の餅をついた場所といわれます。

また登山道途中の不動滝展望所からは不動滝が見え、反対側の布滝は岩の上から白い布を垂らしたような優雅な滝で人気です。このような見どころが登山道周辺に点在するので、ちょっと立ち寄って眺めると氷ノ山登山がより楽しくなるでしょう。


氷ノ山へのオススメ登山コース・兵庫県側2選

出典:https://www.yabu-kankou.jp/sightseeing/hyonosen

氷ノ山への登山道は、兵庫県側から登るルートと、鳥取県側から登るルートがあります。難易度レベルが高いのは兵庫県側で、スタート地点の標高が低く高度差が900ⅿほどになります。距離も長く時間がかかり、体力的なレベルが高いコースです。

兵庫県側から氷ノ山への登山コース①氷ノ山越コース

兵庫県側で一番ポピュラーで人気のコースは、福定親水公園から氷ノ山越経由で尾根伝いに山頂へ向かう氷ノ山越コースです。約13㎞あって、所要時間は6時間ほど。鎖場を超える身体的能力が必要で、負荷が高く初心者にはキツイかもしれません。時間的には日帰り可能です。

キャンプ場や駐車場がある登山口から沢沿いに登り、鳥取県側との県境で稜線に出ます。渓流に沿うコースなので、途中に滝がいくつか見られるほかいろんな種類の植物があり、見どころが多いおすすめコースです。

氷ノ山越コースの概要①氷ノ山越まで

このコースのアクセスは鉢伏口バス停(JR八鹿駅から全但バス鉢伏線)ですが、本数が少なく登山向けの利用はあまり現実的ではありません。タクシーか車で、キャンプ場などがある福定親水公園駐車場へアクセスするのが一般的です。

駐車場からは八木川の流れに沿って登山道へを登ります。出てすぐに川を渡ると、いきなり急坂での登山開始です。途中では人気の不動滝や優雅な布滝が見られます。地蔵堂の前を通って、約2時間で氷ノ山越えの避難小屋に到着です。
 

氷ノ山越コースの概要②氷ノ山越からこしき岩経由山頂まで

氷ノ山越は稜線上にあり、ここからは尾根伝いに頂上へ向かいます。県境に沿う尾根で、鳥取県側に多いブナの原生林の中を通る部分もありますが、地表に出ている木の根に引っかからないように注意してください。

山頂手前にある大きな岩がこしき岩で、そこを過ぎるといよいよ山頂です。氷ノ山越えから1.5時間ほど。三角屋根の避難小屋と、トイレ・展望台が設置されています。展望はすばらしく、360度が見渡せて日本海や大山までが視界に入る絶景です。

下山は東尾根登山口経由で親水公園まで

氷ノ山山頂からは尾根伝いを続け、なだらかな道を東尾根避難小屋まで歩きます。そこからは急な下り坂ですが、ほとんど階段道で迷う心配はありません。やがて東尾根登山口へ到着です。

そこからは舗装道路を歩いて元の親水公園駐車場に戻ってきます。ここまでの下りはおよそ2~2.5時間ほどで到達できるでしょう。総延長13㎞のコースで、歩きだけの所要時間は5.5~6時間ほどが目安になります。

兵庫県側から氷ノ山への登山コース②鉢伏コース

このコースは、先に紹介したコースの逆回りでスタートするコースです。コンパスで円を描くように周回するコースなので、「ぶん回しコース」とも呼ばれます。登山口は福定親水公園で、東尾根登山口までは舗装路を歩き、そこから登山開始です。

親水公園は駐車場があるので車でのアクセスが最適です。バスでのアクセスは便数が少なく頼れません。

鉢伏コースの概要①東尾根登山口から頂上経由鉢伏山へ

東尾根登山口は最初から急坂と階段道が続く、体力レベルが高いコースです。整備はされていますが、急な斜面は滑りやすく注意しながら歩かなければいけません。約1時間この難コースを登ると、東尾根避難小屋に着きます。

この後は尾根伝いで比較的楽な道をたどって、出発から約3時間で氷ノ山山頂に到着です。360度広がるパノラマの視界には、これから行く鉢伏山方向の下山ルートが見えています。


鉢伏コースの概要②山頂から下山ルートへ

山頂を出発して尾根道を歩きます。氷ノ山越を通り、赤倉頭から大平頭を過ぎて小代越まではロープ道や岩場もあるハイレベルの登山道です。ぬかるんだ急傾斜もあり、慎重に歩きましょう。

小代越から下りにかかり、スキー場・キャンプ場のあるハチ高原のバス停に向かって下山します。脚に自信がある人は、さらに鉢伏山を回るコースを選ぶこともあるみたいです。今回のコースは総距離が約15㎞、約7時間強で、少々レベルの高いコースになります。
 

氷ノ山へのオススメ登山コース・鳥取県側3選

氷ノ山への登山コースは、鳥取県側にもいろいろあります。一般的にはコースの登山口が比較的標高が高いところにあり、山頂との標高差が小さいのが特長です。そのため兵庫県側に比べるとコースが短く、所要時間も短くなります。

傾斜がゆるいコースは難易度レベルも高くなく、体力に自信がない初心者でも楽に日帰りが可能です。ただ、急斜面コースや鎖場などの難所もあり、難易度レベルが高いコースもあります。こういった特徴をもつ、鳥取県側の人気登山コースを紹介しましょう。

鳥取県側から氷ノ山への登山コース①氷ノ越コース

兵庫県側にも氷ノ山越コースという似た名前のコースがありましたが、鳥取県側は「氷ノ越コース」で一字違い。同じ地点を通るコースなのですが、呼び名が氷ノ山越と氷ノ越の二通りある地点なので、少々ややこしいことになっています。

その鳥取県側の氷ノ越コースは、隣接する若桜町にあるキャンプなどの人気レジャー施設「わかさ氷ノ山自然ふれあいの里」が起点です。ここからスタートして氷ノ越まで登り、稜線を通って氷ノ山山頂に到達します。下山は来た道を戻る往復コースです。

氷ノ越コースの概要①歩きやすい登山道で頂上へ

このコースは標高差が600mで、歩く距離が6.5㎞、所要時間の目安は約5時間弱程度です。傾斜がゆるく難易度は低レベルなので、初心者向けの人気コース。歩きやすい靴と服装であれば楽に日帰りできます。

起点のふれあいの里を出ると、コースは渓流沿いに明るい林の中を登る広い登山道です。コースの半分ほどの地点では、はるか遠くの山頂に立つ山小屋が確認できます。1時間余りで氷の越を通過、仙谷分岐を経て頂上着。所要時間は2.5時間ほどでしょう。

氷ノ越コースの概要②登山道は整備された初心者向け

このコースは登山口から氷ノ越までよく整備された歩きやすい道で、初心者でも問題なく歩けます。周囲は鳥取県側に特有のブナの自然林が広がるコースです。氷の越までの道は、江戸時代の伊勢詣りに使われた名残の石畳が残ります。

頂上までは歩きやすい尾根道で、登頂後はそのまま来た道を戻ります。道の状態がいいので、初心者でも2時間ほどで登山口へ戻れるでしょう。家族連れのハイキング感覚の服装で、楽に日帰りができる人気コースです。

鳥取県側から氷ノ山への登山コース②仙谷コース

仙谷コースは、わかさ氷ノ山スキー場のリフト横にある登山口からスタート。仙谷の谷沿いの登山道で、最短距離の分急傾斜です。ブナやトチノキの林を抜けていく途中に鎖場があります。天然杉の林を抜けると氷ノ越からの尾根道と合流、やがて氷ノ山山頂です。

展望を楽しんだ後は尾根道を氷ノ越まで戻り、ふれあいの里登山口へ下山します。そこから仙谷登山口は10分ほど。登ってきた仙谷コースは急峻で鎖場の周辺が下りにくいので、安全な氷ノ越ルートがおすすめです。

仙谷コースは難易度レベルが少しアップ

仙谷は氷ノ越の直下から始まる深いV字状の谷になっています。そこを登るので、何回も谷を渡ったり鎖をつかんで岩を越えることに。下れなくはありませんが転落のリスクがあるので、周回するコースをおすすめします。

ただ、周回コースを取ったとしても、地図を読んだり鎖場や渓流を越えるなど、技術的なレベルがやや高いコースです。こうした場面が未経験の初心者が、単独で登るには向きません。服装装備が十分な中級登山者なら、日帰りできるコースです。

鳥取県側から氷ノ山への登山コース③三の丸コース


三の丸コースはわかさ氷ノ山スキー場のリフト脇に登山口があります。もっとも東側のパノラマコース、チャレンジコースに沿って斜度32~37度の急斜面を登り、リフト終点から登山道に入ります。

登山口から2時間余りで稜線上の展望台(山小屋・トイレあり)、三の丸ピークです。ここまでは急斜面ですが、あとは尾根道をひたすら氷ノ山頂上へ歩きます。総所要約3.5時間ほどで頂上に着くでしょう。下山は同じコースを引き返すか、氷ノ越コースをたどります。

三の丸コースは体力勝負

三の丸コースは片道5.4㎞ほどで短いものの、尾根に出るまでが急斜面の連続です。危険性は大きくありませんが、一定以上の体力・登坂能力が必要でしょう。脚力さえあれば、十分日帰りが可能です。

このコース上は樹木に氷や雪が張り付いた「モンスター」ができるので有名です。冬場は天候が急変しやすく、服装や装備には十分な配慮が必要です。天候の最新状況や山小屋の位置も確認しておきましょう。

 

氷ノ山に登山するときに気を付けたい注意事項

動植物との出会いで注意すること

出典:https://www.pref.tottori.lg.jp/280334.htm

氷ノ山一帯は自然が豊かなエリアだけに、様々な動植物が生息しています。その中でも注意したいのが、ツキノワグマとの出会いです。クマよけの鈴とかラジオを用意する、出会ったらゆっくり後ずさりで離脱する、キャンプ場での生ごみ処理などの対策を心得ておきましょう。

また、原生林には天然記念物のモウセンゴケやトキソウなど、希少な植物がたくさんあります。持って帰っても育たないので、間違っても掘り出すなどの行為は慎んでください。

天候の急変には要注意・最新状況を知っておく

氷ノ山周辺には、高山でもないのに避難用の山小屋がいくつもあります。これは天候が急変しやすいからなのです。急に天候が悪化すると身動きできなくなるので、避難小屋の位置を事前に確かめておきましょう。

そして、簡単な雨具は常識です。冬場は防寒用で濡れても乾きやすい服装や、できれば着替えを用意しておくと天候の急変に対応できるでしょう。

まとめ・氷ノ山の登山ルートは見どころ満載

氷ノ山はスキーで有名ですが、登山の山としても見どころ満載の楽しい山です。珍しいブナの原生林や動植物、いろんな滝などがあり、登山コースも家族連れからベテランまで、それぞれに楽しめるルートがあります。

今回は日帰りコースを紹介しましたが、近くにあるキャンプ場や宿泊施設で前泊すれば行動範囲もぐっと広がるでしょう。この記事を参考に自分にあった登山道を選んで、氷ノ山のすばらしさを目いっぱい楽しんでください。

氷ノ山周辺でのレジャースポットあれこれ

氷ノ山は兵庫と鳥取の県境です。周辺にはレジャースポットがたくさんあるので紹介しておきます。登山のついでに楽しめるスポットを探してみましょう。