ロックショアに大切なことは?
今回はいまだ衰えを知らない、ブーム真っ盛りの釣りのシャジギングをこれから始めようという視聴者様からご質問を頂きました。
ショアジギング入門といえば、ライトショアジギングなどのライトなジャンルからスタートされる方が多い印象ですが、その一方でド級大型青物を狙ったガチショアジギングの認知度も広がり、その夢を見てガチショアジギングをはじめたい!という方も増えています。
しかし、ライトショアジギングとは違って、ガチショアジギングはその性質上どうしても力勝負に重きが置かれ、常に自らの体力と精神力を試されるような過酷な釣りです。
過酷なロックショアを始める前に
ことロックショアにおいては、地磯までの過酷な道のりを乗り越え、激流の海に100gのジグを投入し、朝から晩までしゃくり続けて1匹釣れるかどうか。もちろんそこには他の釣りでは味わうことのできない大きなロマンが詰まっています。
が、果たしてこれからショアジギングを初めてみようという方全てのアングラーにこの釣りをお勧めできるのか?そう聞かれれば素直に「是非やってみてください!」とは言い難い部分があります。
今回はタックル選びのご質問にお答えすると共に、ガチショアジギングを始める前に認識しておいて欲しい大切なポイントをお話ししていこうと思います
今回のガチショアジギングタックル
テイルウォーク マンビカ Ver2 100XH
まずは本日回答させていただくご質問の内容を見てみます。購入を検討されているロッドが、テイルウォークのMANBIKA Ver.2 100XH、そしてリールがストラディックSW6000XGとのこと。MANBIKA Ver.2は非常にトルクフルなロッドで、扱えるジグのウエイトもMAX100gのゴリゴリの青物ロッドです。
強靭なバットパワーを持たせつつ、意外にもソフトで扱いやすいティップを備えており、且つお値段も比較的リーズナブルな優等生ロッドですが、果たしてこのロッドでショアジギングに入門するのは最適なのか・・・少しだけ心配が残ります。
ガチショアジギングとは?
そもそも「ガチショアジギング」とは僕が勝手に名付けているショアジギングの分類で、80g以上のジグを使って大型の青物にターゲットを絞って狙う際にこのワードをよく使っています。ただ、冒頭にも記載した通りこのガチショアジギングは決して万人におすすめできる楽しい釣りではありません。
ご質問頂いた方もMANBIKAの100XHクラスのロッドの購入を検討されているということで、購入してからやっぱりちょっと・・・となっては元も子もありませんので、まずはガチショアジギングのメリット・デメリットを簡単に解説します。
ガチショアジギングのメリット
まずなんと言っても大型青物を狙えるというロマンです。もはやメリットというよりも、ガチショアジギングそのものの「価値」でもあります。
やはりMHクラスまでのロッドを使った比較的ライトなショアジギングにおいては、想定外の大物がヒットした際にその魚と対等に渡り合うことができませんし、そう言った大型魚が潜む激流地帯を探ることのできる重量級(80g以上)のメタルジグを操作することができません。
そう言った意味で、MANBIKAのようなガチガチのロッドを使うことによって、タフなフィールドで夢の魚と戦うことができる、これがガチショアジギングの最大のメリットと言えるでしょう。
ガチショアジギングのデメリット
今回のお話で最も皆さんに伝えたい部分はこのガチショアジギングのデメリットです。どちらかといえばデメリットというよりも「乗り越えなければならない壁」と言ったほうが正しいかもしれませんね。絶対悪という意味でのデメリットではなく、辛い部分と言った意味合いの方が強いですが、あえてわかりやすくデメリットと書かせて頂きます。
ガチショアジギングのデメリット①
まず1点目は、ガチショアジギングで扱うガチガチタックルならではのデメリット「扱いにくさ」についてです。これも最終的には慣れが解決するものであって、日頃からガチショアジギングを楽しんでいるアングラーに取っては大した問題ではないのですが、今回のように「これからショアジギングをはじめる」といった方には大きな障害となります。
メタルジグの操作は他のどの釣りとも違い、腕力・体力を激しく使います。回遊魚を狙う際には飛距離も重要な要素になってくるので、ジグをしゃくる以前にジグを正確により遠くへキャストする必要もあります。
そして「投げ続けること」が最も大切な要素になるショアギングですから、そうなった場合XHクラスの重いタックルを果たして1日中操作できるのか?まずこの部分が最初のネックになります。
ガチショアジギングのデメリット②
そして2点目、それは大型青物とのやりとりには経験値が必要不可欠という点です。僕もまだまだ経験不足で偉そうなことは何も言えませんが、数多く存在するフィッシングターゲットとなる魚の中でも青物は抜きんでたパワーを誇ります。
もちろんガチショアジギングをはじめたばかりの初心者でも気合でジグを投げ続け、しゃくり続けることさえできれば魚がヒットすることは十分にあり得ます。しかし、魚をかけた後、どうファイトするのか、どうランディングするのか、こればかりは魚を釣って経験を積まなくてはどうしようもありません。
そうなった場合、比較的ヒットする確率が高い(釣れやすい)ライトショアジギングで中型青物までの魚をなるべく多く釣って、青物とのやりとりやランディングの作法を「場数」で学んでいくやり方が明らかに上達への近道になるはずです。1発狙いのガチショアジギングにおいてはこの初心者に必要な経験値が稼ぎにくいていうデメリットがあるのです。
それでもガチショアジギングだって楽しい!
これからガチショアジギングをはじめようと思ってこの記事を読んでいる方がもしいれば、ここまでの話で大分ネガティブになっているかもしれませんね。ただ、ここまでお話した内容はあくまでも乗り越えるべき、乗り越えられる壁と考えて欲しいです。
今回質問頂いた方は長崎県在住とのことですので、魚が釣れる場所(地磯や沖磯)さえ把握できれば比較的青物も釣りやすい環境にあるでしょうし、もちろんガチショアジギングからショアジギングを初めても体力と精神力にさえ自信があればすぐに上達できると思います。
ただ、僕が伝えたいのはせっかくタックルを揃えてはじめたのに、釣りに行くのがしんどくなって欲しくないという点です。魚が釣れなくても磯に立つことができればそれだけで満足感を得られるのが釣り人の性ですが、やはりいつまでも魚が釣れないという状況は徐々に釣りに向かう足取りを重くするものです。
是非ガチショアジギングの醍醐味を知って頂き、ロマンあふれるフィッシングライフを・・・と言いたい気持ちでいっぱいですが、はじめる前に今一度、ご自身のスタイルとガチショアジギングの性質がマッチしているか、考えてみても遅くはないでしょう。
ガチショアジギングのタックル選び
長くなりましたがここまでのガチショアジギングの話を踏まえて、それでもロマンを追い求めたいという方に向けて、ここからはタックル選びの注意点をいくつか解説したいと思います。
ロッドとリールのバランス
各メーカーから様々なロッド・リールが販売されており、クラスや番手も数多く存在します。そんな中から最適なバランスの道具を選ぶのは初心者にとっては少し難しい部分かと思います。そこで一つ、ガチショアジギング用のタックルを選ぶ際の基準となる考え方をお伝えします。
それは「XH以上のロッドには8000番以上のリールを合わせる」という基準です。誤解のないように付け加えますがこれはあくまで一つの基準であって、全ての道具、全てのアングラーに当てはまる正解ではありません。
ただ、多くのガチショアジギングタックルの場合この基準が当てはまることもまた事実。個人的にはガチショアジギングの中で、最もライトなタックルセッティングは「ロッドクラスXH」「リール番手8000番」、これが最低ラインかと思います。
メインラインの太さ
VARIVASアバニ10×10 マックスパワーPE4号
そしてもう1つ、ガチショアジギング用タックルの考え方について大切なポイントがあります。それはPEラインの太さです。太さそのもの話やリーダーの太さなどに関しては長くなるので別の機会に解説します。
今回覚えておいて欲しいのが一般的なガチショアジギングでランカークラスの青物と対峙する際のPEラインは、最低でも4号は欲しいという点です。もちろん工夫をすれば3号でも場合によっては対処できる!という方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的に安心感を持ってやりとりのできる最低ラインは4号と考えています。
そうなってきた場合、ラインブレイクの可能性も十分に考えられるガチショアジギングの場合、4号が300m巻けるリールを選ぶというのが前提になってくるわけです。
ガチショアジギングタックルのまとめ
シマノ20ストラディックSW 8000HG
以上の点を踏まえて、今回ご質問いただいた方にはストラディックSWの8000HGをおすすめしたいと思います。やはりMANBIKAのXHクラスのロッドに6000番ですと重量的にもやや不安がありますし、何よりPEライン4号が300m巻ききれないというのがネックです。
大型番手のリールを選ぶ際には、重すぎないか?と心配になることもあると思いますが、むしろMANBIKA1000XHを選ぶのであれば8000番以上のリールを装着した方がバランス的にも扱いやすくなるはずです。
ライトショアジギングから始めるという選択肢
YouTubeでご質問頂く方の中でも、今回のように「ガチショアジギングってそんなにしんどいとは思わなかった」というコメントをよく目にします。ガチショアジギングから入門すること自体は個人の自由ですし、もちろんそれを否定するよりも応援したい気持ちが強いのですが、現実的に考えてやっぱりライトショアジギングから初めてみようという方も多いのも事実です。
あくまで釣りという趣味は、個人のこだわりや嗜好を貫いてロマンを追い求めることに魅力があるものですから、今回の記事を参考の1つにして頂き、「自分のやりたい釣り」を考える機会として頂ければと思います。
YouTubeでガチショアジギングをチェック!
最後までお読み頂き、ありがとうございました!YouTubeチャンネル「暮らしーのアウトドアライフチャンネル」では、今回解説したガチショアジギング・ロックショアの実釣動画をはじめ、質問回答コーナーや商品インプレッションなどほぼ毎日更新中です!是非ご覧ください。