天城山の登山コースで季節や時期を満喫しよう!
伊豆半島の真ん中に延びる百名山・天城山
天城山は、静岡県の東に位置する伊豆半島のほぼ中央にある山です。伊豆半島の最高峰である標高1406mの万三郎岳を筆頭に、小岳、馬の背、万二郎岳、遠笠山などの山から成る連山で、日本百名山にも数えられています。展望の少ない山として知られる天城山には、富士山を眺めることもできるポイントがあるほか、コースが多岐にわたり、初心者でもハイキング気分で歩くことのできるハイキングコースもあります。
春夏秋冬の伊豆の大自然を独り占め
天城山の登山は、その時期や季節を楽しめる自然が魅力です。初春の河津桜は伊豆の春を告げる花で、春の天城山といえばアセビの木、4月~GW、5月の晩春~初夏にかけては咲くアマギシャクナゲと合わせて見に訪れる方も多くいらっしゃいます。7月ごろにはツバキに似たヒメシャラが咲き、天城ほたる祭りは夏の風物詩です。秋の紅葉は言うまでもなく、登山客でにぎわい、冬の樹氷も美しく、その時期や季節を満喫できます。
天城山を語るに触れないわけにはいかない天城越えとは
だれもが聞いたことのある天城越え。天城峠を超えるルートのことで、かつては一日がかりの厳しい峠道だったとか。明治の終わりに天城峠の下にできた天城山隧道(ずいどう)が通ると、人の行き来が盛んになりました。文学作品や歌謡曲などで扱われ、日本初の石造道路トンネルとして有形登録文化財にも。現在では人気のハイキングコースとして季節や時期に応じて登山客が訪れます。
火山が形成された天城山周辺の温泉事情
かつては火山だった天城山の周辺には、気軽に立ち寄れる日帰り温泉のほか、有名な温泉地帯が点在します。天城山の登山やハイキングでは、日帰りで訪れる方もキャンプ場や宿泊施設でのんびりと過ごしながら休日を楽しむ方も、ぜひ温泉でゆったりと過ごしたいものです。湯ヶ島温泉、月ケ瀬温泉、熱川温泉、北川温泉など、数え上げたらきりがありません。
天城山登山で目指すアクセスポイント
天城縦走路入口として知られる天城高原ゴルフコースそばの登山口
アクセスが便利な登山口で、万三郎岳、万二郎岳を回る天城縦走路コースなどで利用するのがこちらの登山口となります。JR伊東駅から天城東急リゾートシャトルバスを利用して、天城高原ゴルフ場までアクセスできるので、マイカーがない方も安心です。バスは、一部区間で運休されることがあるほか、冬期ゴルフコースがクローズの場合なども運休する場合があるため、利用前に確認しましょう。
天城峠からのコースで便利【水生地下(すいしょうちした)無料駐車場】
東海バスの水生地下停留所の近くに、無料駐車場があります。17台ほど駐車できる小さな駐車場です。この駐車場の向かいから踊子歩道がはじまり、天城山隧道へと続きます。ちなみに、こちらのバスは修善寺~下田間を運行しているバスとなります。本数が少なく、1時間に1本程度、修善寺駅から水生地下バス停までだいたい42分ほどかかります。
天城高原ゴルフコース付近駐車場が満車時に【遠笠山入口駐車場】
天城高原ゴルフコース付近の登山口へマイカーで向かう場合、天城高原ゴルフコースの近くに100台ほど駐車できる無料駐車場があります。こちらの駐車場が満車の場合、遠笠山入口駐車場もチェックしておきましょう。アクセス方法は、県道111号線(遠笠山道路)を天城高原方面へ進んだ路肩スペースです。
難易度低めの天城山登山コース4選
まずは初心者でも気軽にハイキングできる難易度の低いコースをご紹介します。中には距離が長く、初心者では日帰りできないコースもありますが、登山やハイキング経験を積んで挑戦してみましょう。
①天城シャクナゲコース【難易度:初心者、所要時間4時間半】
登山口にはトイレもあるので安心
天城高原ゴルフコースの登山口が起終点となります。登山口にはトイレがあるので安心です。天城山最高峰の万三郎岳や万二郎岳を目指すコースです。案内板から丸太橋を渡り、四辻の三叉路を万二郎岳へ。ジグザグした登りの向こうが万二郎岳の山頂となります。岩の急斜面を下りると、富士も見える展望スポットがあります。
万二郎岳から自然を愛でながら最高峰・万三郎岳へ
最高峰・万三郎岳へ進む山道は、下って登り返す馬の背、有名なアセビのトンネルを抜けてアマギシャクナゲが美しい石楠立と続きます。万三郎岳の頂上からも富士が眺められます。山頂から天城縦走路へと続く万三郎岳下分岐点を過ぎ、涸沢分岐点へ。緩やかな斜面が続きますが、冬場は滑りやすく事故も起こるポイントです。菅引分岐を過ぎると、四辻へと戻ります。
②八丁池周遊コース【難易度:初心者、所要時間4時間半】
旧天城トンネルからスタートするコース
水生地下無料駐車場から旧天城トンネルに向かいます。トンネルの右側にある山道を進むと、天城峠の分岐となり、ここで八丁池へ。ブナやヒメシャラの林は時期や季節の彩を楽しめます。向峠を越え、大見分岐からコマドリ歩道へ、野鳥の森へと進みます。そのまま進むと八丁池が見えてきます。トイレや展望台があり、天気がいいと富士山の雪帽子が望めることも。
八丁池は人気のハイキングコース
八丁池はスズタケに覆われ、青スズの池という別称もあります。天然記念物のモリアオガエルの生息地で、人気のハイキングコースです。水神さんや弁財天が祀られ、昭和天皇行幸記念碑も。下り御幸歩道から本谷歩道との分岐を経て白砂林道へ行くコースと、下り八丁池歩道から白砂林道へ行くコースがあります。白谷林道から本谷林道を経て、そのまま水生地へ。
③踊子歩道コース【難易度:初心者~中級者、所要時間6時間半】
歴史情緒あふれるハイキングコースは宿泊しながらがおすすめ
天城峠が登場する文学作品といえば川端康成の『伊豆の踊子』。同作品になぞらえたこの歩道は、全長18kmものハイキングコースとなっています。道標もある安心のコースですが距離が長いので、日帰りではなく宿泊しながらのんびりとハイキングするのがおすすめ。修善寺駅からバスで30分ほどの天城山荘バス停で下車し、映画監督である五所平之介の句碑を見ながらスタートします。
観光ポイントを満喫しながら楽しめる
道中、さまざまな観光ポイントがあります。起終点には浄蓮の滝、島崎藤村や横光利一、井上康らの文学碑などもあります。道の駅・天城越えからしばらく行くと、水生地下の駐車場となり、旧天城トンネルを抜けて二階滝、平滑の滝と水辺が続きます。宗太郎園地から杉並木が続き、河津七滝、最後に伊豆の踊子文学碑を過ぎると、湯ケ野バス停に出ます。バスで15分ほどで河津駅に到着します。
④太郎杉歩道コース【難易度:初心者、所要時間1時間半】
天城一の太郎杉を訪れる短い歩道
踊子歩道の起終点近くから天城一の杉である太郎杉を訪れる短いコースがこちらです。樹齢450年の巨木で、県の天然記念物に指定されています。水生地下の無料駐車場から、踊子歩道で常連の滝を通り、道の駅・天城越えのある昭和の森会館へ立ち寄りましょう。森の情報館などがあるほか、グリーンガーデンには季節や時期に応じた花を楽しめます。しばらく行くと井上靖旧邸、ヒメシャラのたいぼくのある山神社へと通じます。
美しい滝と水辺を楽しめるコース
竜姿の滝から滑沢林道へと入っていきます。井上靖の文学碑があるポイントです。わさび田の先に滑沢橋があり、下流には岩のくぼみに石が流れ込み、その石が水流で丸くなり、穴ができるポットホールが見られます。滑沢川と本谷川が合流するところに見えるのが竜姿の滝。滑沢川沿いを進むと、太郎杉が見えてきます。凛として目を引くすばらしい杉を見たら、来た道を戻りましょう。
難易度高めの天城山登山コース4選
天城山にはいくつもの登山コースがあります。いずれのコースも、さほど難易度が高いわけではなく、道標もしっかりとしたコースが多いものの、山では何が起こるかわかりません。しっかりと準備し、計画を立てて天城山へ赴きましょう。
①天城縦横路コース【難易度:中級者以上、所要時間7時間ほど】
修善寺駅から登山がはじまる
天城連山を縦横するコースがこちらです。天城高原ゴルフコースそばにある登山口である天城縦走路入口からもスタートできるコースとなっています。こちらでご紹介するのは、修善寺駅から天城峠バス停へ向かい、旧天城トンネルから天城峠へと進みます。コマドリ歩道から八丁池へ歩を進め、八丁池から万三郎岳方面へと向かっていきます。
伊東駅で登山が終わる
八丁池からは白田峠、戸塚峠、小岳、片瀬峠と峠を越えていきます。ここから30分ほどで天城最高峰の万三郎田岳の山頂となります。ここから石楠立を経て馬の背、万二郎岳へ。四辻へと下りて行き、天城高原ゴルフコースの登山口へと下りていきます。公共交通機関での帰路は伊東駅を利用しましょう。
②伊豆山稜線歩道(天城峠~風早峠)【難易度:中級者以上、所要時間:7時間ほど】
歴史ある天城越えを楽しむコース
伊豆山稜線歩道とは、天城峠から42kmもある山稜線の歩道です。これは、この長い歩道の一部、天城峠から風早峠までの7時間ほどのコースとなります。修善寺駅が起終点となり、バスで天城峠へ向かった先からスタートとなります。旧天城トンネルから天城峠を上り切ったら、山稜線歩道へと進みます。古峠から二本杉峠へ。ここが歴史ある旧天城峠で、歴史の道百選に選定されています。
富士山ビューポイントもコース内にあり
二本杉峠から滑沢峠、三蓋山を経てつげ峠へ、自然を楽しみながら進みます。猫越峠から猫越岳、スギゴケが茂る山頂の池、展望所からは富士山も眺められます。後藤峠を経て後藤山、ナベ石と呼ばれる巨石の展望台から富士の展望が美しく、仁科峠から道路反対の斜面を登って風早峠へ。伊豆山稜線歩道は続きますが、ここから持越温泉バス停まで10kmほど歩き、修善寺駅へと戻っていきます。
③八丁池から三筋山遊歩道コース【難易度:初心者~中級者、所要時間6時間半】
天城山ハイキングで人気の八丁池が起点
このコースは、天城山で人気のハイキングコースである八丁池からスタートするコースとなります。修善寺駅から1時間強、八丁池口でバスを降り、寒天林道に入ると道標があります。ブナの巨木があるピークを越え、カエデやヒメシャラの林を通って上佐賀野林道に出ます。三筋山に向けて山道へ入り、しばらくすると伊豆大島が望める展望所を過ぎ、小さなピークを経て、三筋山の山頂へ。360度の展望が見渡せます。
下りは2コースあり
三筋山からの下山コースはふたつあり、ひとつは細野高原から湿原を見ながら伊豆稲取駅へと下る2時間半のコース、もうひとつは大池高原から見高入谷を経て今井浜海岸駅へと下る3時間のコースです。いずれも道標があるのでわかりやすいコースとなっています。
④皮子平原生林ハイキングコース【難易度:中級者以上、所要時間:7時間】
天城の秘境を散策するハイキング
道標はあまりなく、地図を頼りに進む天城の秘境コースがこちらです。修善寺駅から筏場新田行バスで30分ほど、終点で下車して登山開始。小嵐橋から筏場林道に入り、わさび田を見ながら歩を進めます。御礼杉に4~5台ほどの車が止められるゲートがあり、さらに進むと林道分岐があります。車止めのある軽石林道も筏場林道も最終的にはひとつになり、戸塚歩道入口となります。
手つかずの大自然に包まれながら八丁池へ
そのまま筏場林道を進み、上井屋歩道へと進むと、幻の池と呼ばれる水たまり、さらに進むと西皮子平となります。鹿の防護柵を進むと、天城きってのブナの巨木が見えてきます。このあたりが東皮子平です。ここから戸塚歩道入口へと戻る戸塚歩道もあり、ここにはモミの巨樹がありますが、ここから天城縦走路で戸塚峠、白田峠を経て、八丁池へと行くと八丁池口バス停へと通じます。
天城山登山後に立ち寄りたい温泉や宿泊施設
天城山周辺には、たくさんの魅力的な温泉が点在します。今回は、天城山登山の後に気軽に立ち寄ることのできる主要な駅のそばの日帰り温泉や、登山を満喫しやすいキャンプ場などの宿泊施設をご紹介します。
伊東駅そばの日帰り温泉【伊東温泉・湯川弁天の湯】
伊東駅のほど近くにあって、日帰り温泉として便利な湯川弁天の湯。七福神の湯のひとつで、弁天さまが祀られています。伊東駅を拠点に天城山登山やハイキングに行かれる方はぜひお立ち寄りを。
伊東温泉 湯川弁天の湯
- 住所〒414-0002
静岡県伊東市湯川2-9-9 - 公式サイトURLhttps://itospa.com/spa/detail_54038.html
- アクセスJR伊東線・伊豆急行線伊東駅より 徒歩5分ほど伊東マリンタウンより車で5分ほど
修善寺駅そばの日帰り温泉【筥湯】
伊豆最古の温泉場、修善寺。駅のすぐ近くには温泉がありませんが、修善寺の外湯として低料金で利用できる温泉がこちらです。内湯のみのシンプルな温泉ですが、アルカリ性単純温泉質の修善寺温泉をまったりと満喫できます。
修善寺温泉 筥湯
- 住所〒410-2416
静岡県伊豆市修善寺924-1 - 公式サイトURLhttps://www.shuzenji-kankou.com/spa.html
- アクセス伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅よりバス・修善寺温泉バス停下車徒歩3分ほど東名高速道・沼津ICより30kmほど
修善寺道路・修善寺ICより1.5kmほど
河津駅そばの日帰り温泉【踊り子温泉会館】
河津の7つの温泉郷のひとつである峰温泉、町営の踊り子温泉会館。あずまや風の露天風呂、泡風呂などの浴槽があり、春には桜を愛でながら露天風呂を満喫できます。
踊り子温泉会館
- 住所〒413-0511
静岡県賀茂郡河津町峰457-1 - 公式サイトURLhttp://kankou.town.kawazu.shizuoka.jp/attraction/132/
- アクセス伊豆急行線・河津駅よりバスで10分踊り子温泉会館前下車すぐ小田原厚木道路・西湘バイパス石橋ICより真鶴道路を経由し、国道135号線を走り河津へ、谷津の交差点を天城峠方面へ右折後2kmほど
天城山ちかくのキャンプ場【天城ふるさと広場】
修善寺駅よりバスで30分ほど、市営の大規模なスポーツ施設の一角にあるキャンプ場です。ロッジの宿泊棟のほか、テントサイト、バーベキュー広場やキャンプファイヤー場もあります。水生地下駐車場まで車で25分ほどとアクセスのいいキャンプ場です。
天城ふるさと広場
- 住所〒410-3216
静岡県伊豆市上船原1120-1 - 公式サイトURLhttp://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2483
- アクセス修善寺駅よりバスにて30分ほど天城ふるさと広場口下車後、徒歩20分ほど東名沼津IC・新東名長泉沼津より車にて1時間弱
天城山近くのキャンプ場【伊東市青少年キャンプ場】
予約をすれば無料で利用できる市営のキャンプ場です。炊事場、トイレ、あずまやなどの施設があり、管理人がいないキャンプ場です。利用する3カ月前の1日から受付が可能となっています。登山口となる天城高原ゴルフコースまで車で15分ほどに位置します。
伊東市青少年キャンプ場
- 住所〒413-0234
静岡県伊東市池字676-1 - 公式サイトURLhttp://itokousya.sun.bindcloud.jp/cn5/camp.html
- アクセスJR伊東駅より車で15Kmほど
天城山登山でおすすめの服装や装備について
伊豆は温暖だけど装備はしっかりと
天城山は伊豆に位置することから、温暖なイメージがあります。しかし、標高1400mを超える山を有し、冬の期間には雪が降り、積雪も1mを超えることもあります。登山やハイキングでは、季節や時期に合ったしっかりとした服装や装備で臨みたいです。気軽なハイキングであっても、足首までしっかりとある登山靴、雨具、帽子や防寒具、食料や水など、準備を忘れずに。
夏でもアウター持参でいざというときの備えを
天城山登山の服装は、通常の登山と同じ服装で臨みましょう。夏場であっても、薄手のアウターは必ず持参し、いざというときに備えます。人気の高い春や秋の登山では、長袖のシャツ、フリース、ウィンドブレーカーやダウンジャケットで、気温や体調に応じて脱着できるように装備に工夫しましょう。冬の期間の登山は、雪山装備をしっかりと準備し、無理のない登山計画を立てることが大切です。
次の休日には天城越えを楽しもう
冬の雪が降る期間などをのぞくと、季節や時期に限らず、登山を楽しめる天城山。登山コースやハイキングコースが充実し、伊豆の自然を満喫することができます。日帰りでも十分に楽しめますが、キャンプ場などでのんびりと宿泊しながら、下山後の温泉でリラックスし、休日を存分に過ごしましょう。
伊豆半島でのキャンプや温泉が気になる方はこちらもチェック!
天城山の周辺だけではなく、伊豆半島全体のキャンプ場や温泉などについて興味のある方は、こちらの記事も参考にしてみてください。伊豆半島には訪れたい温泉やキャンプ場が点在するため、天城山登山の旅がさらに充実するはずです。
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