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トビハゼとは
ハゼの一種
トビハゼは日本だけでも500種類近く生息しているハゼの一種で、主に川の水と海の水が交じる汽水域の干潟で生息している10cmほどのハゼです。護岸工事や埋め立てにより生息地の干潟減少し一部地域ではレッドデータブックに記載されているほど数を減らしつつある魚です。食用として利用されるハゼですが、同じような特徴をもつムツゴロウと比較するとあまり食用にすることはなく、アクアリウムとして水槽で飼育される観賞魚になります。
トビハゼの基本情報
トビハゼはトビハゼ属の総称で個体名ではありません。しかし日本では特定の種類を指して「トビハゼ」と言うことが多いです。トビハゼにはミナミトビハゼやトカゲハゼなどがいますよ。マッドスキッパー(トビハゼ)は東京湾から沖縄に分布します。九州の有明海、八代海にはよく似たハゼ(ムツゴロウ)もいますが体長が倍ぐらいに大きいため区別しやすいです。カエルのように干潟の上を跳ね回ることからトビハゼという和名がついています。
寿命について
トビハゼの寿命は短く1~3年しかありません。飼育下だと環境にもより寿命が短くなったり長くなったりしますが、長くても4年程度と考えておきましょう。外来種のトビハゼ、在来種のトビハゼでも多少寿命が異なりますが、3年が目安になります。またオスよりメスのほうが寿命が長くなりやすいです。
食性について
食性は肉食です。釣りエサとしてよく使われているイソメ(ゴカイ)や小さなカニなどの甲殻類などになります。捕食する場所は主に水中ではなく陸上になります。エサのゴカイは浅瀬から深い場所まで至るところに分布していますが、砂泥の中にいますよ。トビハゼとよく似た特徴をもつムツゴロウ(ハゼの一種)は藻類を好み、食性が大きく異なり寿命も少し長いです。
トビハゼの特徴1:陸地でも呼吸可
皮膚でも呼吸可能
一部のハゼは干潟に生息します。そもそも干潟がどんな場所かというと、潮が引いたときだけに上陸できる砂地で、潮干狩りが盛んに行われる場所です。つまり常に水中というわけではなく、ときどき陸上になる場所を好む魚です。通常の魚はエラ呼吸となり、陸上では呼吸できませんが、トビハゼを含む一部のハゼは皮膚呼吸もでき、陸上でも暮らせるようになっています。少し変わった特徴ですが、飼育するときの大切なポイントになりますよ。
陸上生活はできない
淡水と海水が交じる汽水域の干潟を好んで生息し、陸上でも呼吸ができますが、常に陸上生活できるというわけではありません。両生類のように長時間陸上でいると皮膚が乾き皮膚呼吸できなくなるため、砂浜のように乾いている場所ではなく適度にぬかるみ水分量が多い干潟を好みます。飼育するときも陸上部分が乾燥しすぎないように水位などに注意しておきましょう。乾燥が怖いからと言って陸上を作らないのも適切な飼育方法ではありません。
陸上で体を湿らす
陸上で呼吸できる性質の他に、変わった行動としては自らきちんと体を湿らすという特徴があります。干潟の上で転がって泥をつけるようにすることで体をきちんと湿らしていますよ。飼育下でもこの行動をとります。
トビハゼの特徴2:縄張りがある
飼育するなら数匹だけにする
トビハゼ(マッドスキッパー)の産卵時期は初夏から夏にかけてなります。産卵時期になると縄張りをもつという特徴がありますよ。ハゼは縄張りをもつ種類が多くトビハゼも同じです。飼育する際は過密にならないように少なめにかいましょう。生息地の干潟ではあまり縄張り意識があるように見えませんが、干潟が広いだけです。狭い場所だと縄張り争いが絶対に発生しますよ。飼育する際は水槽のサイズに注意してくださいね。
水槽のサイズについて
広い縄張りをもつというわけではありませんが、1匹に対するスペースは広めに確保しておいたほうがいいです。45cmの水槽で1匹、あるいは2匹が限度になると言われていますよ。日本のトビハゼでも観賞魚として発売されている外来種でも同じです。巣穴から30cm程度の範囲で縄張りがあるため2匹でも喧嘩することがありますよ。いきなり喧嘩になることはなく威嚇から始まりますが、産卵時期のオスは攻撃性が増しています。
トビハゼの特徴3:吸盤
飼育するなら飛び出し注意
他の魚にはない特徴として腹に吸盤がある点です。この吸盤はハゼだと持っているものが多く激流で流されないように石などにくっつくときにつかいます。トビハゼは流れの穏やかな場所で暮らしていますが、吸盤があり飼育するときは水槽に蓋をしておかないと脱走してそのまま死んでしまう事故が発生しやすいです。蓋を使っても隙間が空いているようならば脱走する可能性がありますよ。
防げる事故は防ぐ
オールガラスの水槽はきれいですが、そのままでは蓋ができません。蓋をするにはガラスフックが必要になります。追加費用が必要なりますが、そのまま飼育するのではなく必ず蓋をしましょう。縁に樹脂のガラスフックがある水槽やアクリルなどの樹脂でできた水槽にするなど蓋をすることを前提に選ぶといいでしょう。
トビハゼの飼育難易度とは
難易度は高い
身近にいる魚で飼育でき、飛んだりはねたりする姿などが人気ですが飼育の難易度は高いです。淡水と海水の混ざる汽水域の魚ということで淡水の魚と比べると難易度は高くなります。さらに、陸上を用意しておく必要があったり、浅い水深で飼う必要があるなど特徴に合わせた飼育方法が必要になる点が難しいです。水量がないとすぐに汚れやすかったり、蒸発する速度がはやくなるため難易度は一般的な汽水のアクアリウムよりも上昇します。
塩分濃度の調整もいる
先程「一般的な汽水のアクアリウム」と言いましたが、水量が多い汽水だと塩分濃度をこまめに気にしなくても大丈夫です。しかしハゼは浅瀬で飼うことから水が蒸発しやすく、水位だけで見るとあまり問題ないような深さでも塩分濃度が汽水ではなく海水のように高くなっている可能性もあります。汽水の生物、水量が少ない、陸上が必要な点が同じ汽水で飼えるミドリフグや淡水のカサゴなどと比べ難しい点です。
トビハゼの飼育方法1:用意するもの
飼育に必要なもの
45cm程度の中型の水槽、蓋(水槽とセットのものがおすすめ)、エアポンプ、チューブ、ろ過装置(フィルター)の3点は水質維持に使います。ほかにはエサ、底に敷く砂、汽水を作るための海水の素(ネットや専門店で取り扱われている)や陸(植木鉢など)などが必要です。また他の観賞魚を飼うときと同じでバケツや温度計やヒーターなども必要なります。費用もどんな砂を使うか、どんな水槽を使うので大きく変わってきますよ。
大まかな費用
45cmの水槽が3000円ぐらいとなり、ろ過装置はポンプとセットで安いものは1000円程度なります。砂は敷くものによりますが600円程度から見つかります。海水の素は300円程度です。ヒーターは1500円程度で購入できますよ。できるだけ安いもので揃えると初期費用8000円~程度になり、エサ代や水交換のたびに必要な海水の素などのランニングコストが追加費用として1000円~ほど必要になります。
トビハゼの飼育方法2:環境
水温について
トビハゼが飼育しやすい水温は25度となり、外来種でも在来種でも水温は高めになります。飼育下ではなく天然のトビハゼは冬になると砂泥にある巣で冬眠しますが飼育下ではできるだけ、ヒーターを使い水温を25度に保ちましょう。なお初心者でも飼育しやすい熱帯魚の代表的な種類となる「ネオンテトラ」も25度を好みます。トビハゼは、熱帯魚と同じ水温が必要ということになり水温調整でも少し難易度が高いです。
水深について
水深が深すぎると、魚ですがトビハゼは泳ぎが不得意なため溺れます。浅すぎると水質、塩分濃度や水温の維持が難しくなりますよ。ちょうどいいバランスで保たないと飼育できません。たいたい体長と同じぐらいの水深が必要と言われていますよ。20cm前後の水深を目安にしましょう。砂を敷いて傾斜を作り一番深い場所が20cmほどあれば大丈夫です。陸上は素焼きの鉢や岩などしっかりして安定感のあるものがおすすめです。
水質について
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水質は弱アルカリ性を好みます。また、汽水の魚ですので、海水より塩分濃度を下げましょう。一般的に海水の塩分濃度は32~35パーミルの濃度があります。トビハゼは海水の4分の1の濃度にあたる8パーミルの濃度で飼育するといいでしょう。パーミルは1000分の1を1とする単位です。つまり0.8~1%の濃度を目安に水質を保ちましょう。追加費用が必要ですが、塩分濃度計があると確認しやすいですよ。
トビハゼの飼育方法3:エサとろ過装置について
なんでもいい
肉食で何でも食べると言われています。一般的には冷凍赤虫、熱帯魚のエサ、金魚のエサなどで飼育できますよ。釣り餌として使われるゴカイも食べますが口に入る大きさにしないと食べてくれません。エサで一番簡単なのは冷凍赤虫です。陸上で与えましょう。基本的に干潟でえを食べる魚となり水中では餌をあまり食べない特徴があります。飼育下でもできるだけ同じような環境で育ててくださいね。同じ餌ばかりだと飽きて食べないこともあります。
冷凍赤虫について
赤虫はブロック状と板状になっていますが、小型のブロックのほうが小さい水槽にはちょうどいいサイズで便利です。解凍するときは水道水を使わず飼育水で溶かして与えましょう。水道水にはカルキが含まれていますよ。
ろ過装置は投げ込み式がおすすめ
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ろ過装置にはいろいろな種類がありますが、水位が低いことと流れを好まないことから壁掛け型や外部や上部などの本格的なろ過装置は不要です。金魚でよく使われているエアレーション、ろ過装置を兼ねている投げ込み式で十分ですよ。水が少なく水換えの頻度が高いことからろ過装置がなくてもいいと言われているぐらいです。
トビハゼの飼育方法4:レイアウトと水合わせ
どのようにレイアウトするか
基本のレイアウトを紹介します。粒子が細かく角がないサンゴの砂を使い傾斜をつけるか、石などを使って陸上をたくさんつくりましょう。イメージとしては亀の水槽と同じようなレイアウトになります。やり方やろ過装置の種類などを工夫するとさまざまなレイアウトができます。水量を確保すると水質を保ちやすくなりますが、深いとハゼが溺れる可能性があり、浅いと水質の維持が難しいです。うまく工夫して最適なバランスを見つけてくださいね。
トビハゼのまとめ
ペットにもなる人気の魚
トビハゼは日本の干潟にいる小さな魚です。一部地域では絶滅が危惧されている魚ですが、アクアリウムの専門店では観賞魚として販売されています。誰でも飼育することも可能ですが、寿命も短めで水温や水質の維持が難しく難易度が高めですが、浅瀬や陸上でカエルのように飛んだり跳ねたりする姿が人気ですよ。少し大変ですが、初期費用は8000円程度からと熱帯魚と比べると費用は安く、本格的なろ過装置がなくても飼育できます。
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