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【連載】咲いた姿が法師の白頭巾に似ているヤマボウシの花言葉を解説

街路樹や庭のシンボルツリーとして好まれるヤマボウシは、記念樹としてもよく利用されます。落葉したあとの美しい幹も魅力的な樹木です。月曜連載、花と花言葉。今週は植物が育ちにくい梅雨の季節に可愛い花を楽しめるヤマボウシの花言葉をピックアップして解説します。
更新: 2021年1月4日
ティンカー・ベル
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ヤマボウシとは

花名の由来は法師の白頭巾

ハナミズキと花の特徴がよく似ているヤマボウシは、ミズキ科ミズキ属の落葉高木です。学名はCornus kousaと表記されています。原産国は日本、朝鮮半島、中国で、日本では主に庭木や街路樹、また記念樹に植栽されます。生長したヤマボウシの樹は10m~15mほどの樹高があります。花名のヤマボウシは和名で、漢字で表記する場合は「山法師」と書きます。このヤマボウシの花名の由来は、花の形が比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)の白頭巾をかぶった山法師に似ている特徴から、このような花名が付けられたそうです。

ヤマボウシの開花時期

ヤマボウシの開花時期は6月~7月です。草花が育ちにくい梅雨の季節を飾ってくれる花としても人気です。「ヤマボウシの花色は白やピンク」と言われますが、実は白とかピンクの花びらだと思われている部分は、花びらではなく、蕾を包む外側にある葉の変化した部分なのです。これを総苞片と言います。

総苞片が花びらに見える

Photo by yamatsu

ヤマボウシは大きな白やピンクの総苞片が4つあり、その総苞片が花を包んでいるのが特徴で、4枚の総苞片が花びらのように見えて「白やピンクの花を咲かす木」と知られているのです。ヤマボウシの花は、総苞片の中にある淡黄色の小さい多数の球状のものが集合している部分です。開花時期にはこの総苞片が開いた状態を開花とされています。

ヤマボウシとハナミズキの違い

ヤマボウシとハナミズキの植物学上の違い

Photo by kaidouminato

ヤマボウシと同じミズキ科ミズキ属のハナミズキは、花が4枚の総苞片に包まれているところや、樹木としての特徴もよく似ているので、どちらかわからないという声をよく耳にします。違いは植物学的にみるとハナミズキはアメリカからの外来種であることや、ヤマボウシは葉が出てから花が咲きますが、ハナミズキは花が咲いた後に葉を出すこと、また開花時期がハナミズキの方がヤマボウシよりも早く4月~5月に花を咲かせることなどです。

見た目の違いは総苞片の形

Photo by pika1935

ヤマボウシとハナミズキの見た目の違いは、どちらの花も4枚の総苞片に包まれていますが、ヤマボウシの総苞片はよく見ると先が尖っています。しかしハナミズキの総苞片は丸みがあり、総苞片の先が裂けたような感じになっているのが特徴です。ヤマボウシとハナミズキの咲く時期や、総苞片の形をよく観察すると、2つの違いを見分けることができます。


ヤマボウシの実は美味しい

Photo byDeedster

ヤマボウシもハナミズキもよく似た落葉高木で花後に実をつけます。ヤマボウシはオレンジ色から熟すると赤くなる実がなります。熟した実はクワの実のように表面がぶつぶつになるので「山クワ」とも呼ばれています。食べると甘くて美味しい実で、食べて楽しむことができます。一方よく似ていると言われるハナミズキには、赤くとがった実がなります。毒はありませんが、強い渋みが特徴的で、ハナミズキの実は食べても美味しくなく食べる人もいません。

ヤマボウシの実はジャムなどで楽しめる

Photo byleoleobobeo

ヤマボウシの実は、花後9月頃に実ります。実は丸い形をしており、ボツボツとイボ状の外皮に包まれています。最初は黄色い色をしていますが、オレンジ色になり、そして赤くなります。完熟すると自然に落下します。熟した実は外皮をむいてそのまま生で食べることができて、甘くて美味しいと評判です。生で食べるときには中に小さな種が入っていますが、気にならずに食べられます。そのほかジャムや果実酒などにして楽しまれています。

ヤマボウシの花言葉

「友情」「豊穣」「純粋」「災難除け」

Photo by nombiri22

梅雨の季節も総苞片に囲まれた花の様子が可愛らしく、花後は美味しい実がなり、そして秋は葉の紅葉、冬は落葉し姿を見せた魅力的な幹の美しさを楽しめるヤマボウシ。1年中、見どころ満載のヤマボウシの花言葉は「友情」「豊穣」「純粋」「災難除け」です。

それぞれの花言葉の由来

ヤマボウシの花言葉の「友情」は、ヤマボウシの歴史から由来する言葉で、「豊穣」とはヤマボウシの文化に由来する花言葉です。「純粋」という花言葉は白い花に共通する言葉で、花びらに見える白い総苞片の清らかな美しさから付けらた言葉です。「災難除け」は雪国で使うヤマボウシを活用した道具にまつわる伝承が由来する言葉です。

花言葉に由来するヤマボウシの歴史

江戸時代にヨーロッパに伝わった樹木

Photo by wakanmuri

日本、朝鮮半島、中国が原産国のヤマボウシは、江戸時代にヨーロッパに渡り、庭木として広く親しまれました。そんな歴史がヤマボウシの「友情」という花言葉の由来の1つとなったと言われます。ヤマボウシは本来、山の谷などに自生しており、自然のものは常に水がある場所を好んで自生しています。庭木や街路樹として利用されるようになったのは、花、果実、紅葉、そして落葉した後の幹の形も美しく楽しめることから、観賞用として活用され楽しまれるようになったのです。


花言葉に由来するヤマボウシの文化

稲刈りの収穫時期を知らせる実

Photo by odako1

昔、日本では、ヤマボウシは「収穫期を占う樹木」とされていたという話があります。そのような伝承が「豊穣」というヤマボウシの花言葉の由来となっています。ヤマボウシの実が食べられる時期になると、稲刈りの適期を迎えること、そしてヤマボウシの実のなり方で、その年の稲の収穫の目安になったということで「収穫期を占う樹木」と言われたそんな文化がヤマボウシにはあったそうです。そういったヤマボウシにまつわる文化が由来となり「豊穣」という花言葉が付けられたそうです。

花言葉に由来するヤマボウシの伝承

雪国のおまじないの言葉にまつわる伝承

ヤマボウシは、日本では主に本州から沖縄に分布しています。幹が強いので、昔、日本では木槌や水車の歯車などの具材として用いられていました。雪の多い地方に伝わる話で、「前クロモジ、後ろボウシ」という言葉を唱えると、雪崩除けになるという、ヤマボウシにまつわる雪崩除けのおまじないの言葉があります。ヤマボウシは雪国の人が履く輪かんじきの材料に使われていたことから、こんなおなじないの言葉が唱えられていると伝承されています。

おまじないの伝承が由来する花言葉

おまじないが唱えられるという雪国では、雪の上を歩くときに履く輪かんじきを、前はクスノキ科のクロモジ材を使い、後ろはヤマボウシ材で作ると、雪崩が来ても早足で逃げることできるという、ヤマボウシにまつわる伝承があります。その伝承が由来となり、ヤマボウシの花言葉には「災難除け」という言葉があります。

ヤマボウシの楽しみ方1:庭木

苗を購入して庭木として楽しむ

家庭では庭に植樹すると季節ごとの見どころを楽しめる樹木です。剪定しなくてもヤマボウシは自然に樹形が整う便利な樹です。家庭に植えるときは、背丈と幹が程よくバランスの取れている苗を購入しましょう。植え付けの時期は休眠期に入る12月~3月が適期です。

西日を避けた環境に植え付ける

植え付け場所は日当たりがよく水はけのよい場所を選ぶことがおすすめです。特にヤマボウシは西日を嫌うので、西日の当たらぬ環境で管理できる場所に植え付けしてください。夏越しの心配もいらず、冬は落葉してしまうので冬越しの心配もいらない育てやすい樹木として楽しめます。あえて剪定の必要はありませんが、気になる枝がある時は休眠期の12月~3月に剪定しましょう。


ヤマボウシの楽しみ方2:切り花

草花より水揚げの良い切り花

6月に入ると生花店にもヤマボウシの切り枝が出回りますが、切り枝を購入したり、庭のヤマボウシの枝をカットして、枝ものの切り花として部屋に飾るのもヤマボウシのおすすめの楽しみ方です。洋風にも和風にも活けて楽しめる枝ものの花です。枝ものは水揚げがよいので、草花より長く楽しめます。より長く楽しむためには、切り口をハサミで十文字に割りを入れます。そうすると水揚げをさらに良くすることができ、より長く器に飾ったヤマボウシを楽しむことができます。

焼き上げで水揚げを良くする

ヤマボウシのような枝ものの花は草花よりも水揚げがよく長持ちしますが、十文字に切り口に割りを入れるほか、枝が硬くて水揚げしない様なら、「焼き上げ」という方法で水揚げを良くしてあげましょう。この方法はバラやアジサイを切り花として飾るときにも使う水揚げに効果的な方法です。カットした枝の足先(1cm~3cm程)をガスコンロの火で炭化するまで(黒くなるまで)焼いた後、すぐに水に浸けます。1時間ほど水に浸けたら炭化した部分をカットして活けます。

梅雨期に見ごろのヤマボウシを観賞しよう

https://www.photo-ac.com/main/detail/3567798?title=%E5%88%9D%E5%A4%8F%E3%81%AE%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%9C%E3%82%A6%E3%82%B7

白やピンクの総苞片が、花びらのように可愛いヤマボウシ。庭のシンボルツリーにも好まれる樹木です。否定的な花言葉は持ち合わせていないので、庭に植樹して楽しむだけではなく、切り花にしてお友達にプレゼントしたり、器の活けて部屋で楽しむのもおすすめです。咲いた姿が法師の白頭巾に似ていることで、このような花名が付いたヤマボウシは、花後の実も美味しく楽しめます。梅雨のうっとうしい時期に、感じの良い花言葉を持ち合わせるヤマボウシをぜひお楽しみください。

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当サイト「暮らしーの」では、ヤマボウシの植え方や育て方、手入れの仕方など、ヤマボウシをガーデニングで楽しむ情報を他にまとめています。ヤマボウシの情報をもっと知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。