秋山登山の魅力とは
秋山登山はハイシーズンの7月や8月と違い様々な魅力があります。特に北アルプスなどの高山地帯では夏から秋にかけての季節の移ろいを肌で感じる事ができます。登山者の雰囲気も活気のある夏山登山者とは違い、マイペースでじっくりと山歩きを楽しむような玄人の登山者が増えてきます。秋山登山は自分と向き合ったゆっくりとした登山ができるでしょう。
静かな山歩きが楽しめる
秋山登山の最大の楽しみは、静かな山歩きが楽しめる事です。夏山は初心者のグループや大学山岳会などの大人数での登山者が多く、キャンプ場はかなりの活気に満ちています。一方、秋になると大人数での登山者はあまりいなくなり、じっくりと山に向き合うよう、少人数パーティや単独の玄人登山者が増えてきます。しかし、シルバーウィークなどの大型連休には紅葉を求める登山者で混雑することに注意が必要です。
紅葉がとてもキレイ
秋山登山の魅力の1つに紅葉があります。特に高山帯の紅葉は、上部は雪化粧の白、中間はダケカンバの赤、下部はハイマツの緑に三色に彩られ、息を飲む絶景を見る事ができます。おすすめは涸沢の紅葉です。涸沢は北アルプス南部のキャンプ場ですが周辺を穂高連峰に囲まれた窪地になります。涸沢の紅葉は北アルプスを代表するような素晴らしい紅葉です。しかし高山帯のため絶景の紅葉を見る事ができる時期は2週間ほどしかありません。この期間には日本中から紅葉を見るための大勢の登山者が集まりますので大混雑します。
秋山登山の注意点①:気象条件に注意
日没の早さに注意
夏至を過ぎれは日没時間はどんどんと早くなり、登山の活動時間は短くなって行きます。無理なスケジュールでは下山が日没に間に合わない事に繋がります。日没後の登山は非常に危険が伴い、道迷いや滑落などの事故に直結します。初心者ほど秋山登山では余裕を持ったスケジュールとし、早め早めの行動を心がけるようにしましょう。
急な降雪に注意
北アルプスや富士山などの3000m級の山では10月の後半になるといつ降雪があるかわかりません。場合によっては吹雪になる可能性もあり、十分な装備や持ち物が無ければ遭難してしまい、低体温症により命の危険があります。天気が怪しいときはをせず登山を中止したり、麓で紅葉を楽しむ程度が良いでしょう。
秋雨前線の動きに注目
秋になると秋雨前線が発生し、シトシトと長雨が続きます。梅雨末期の様な豪雨になることは稀ですが、小雨であるがために登山を決行してしまう初心者も多くいるようです。小雨で合っても山の強風が加われば容赦無く体温を下げる事態になりますし、鎖や岩場が滑りやすくなりますので注意が必要です。雨の時期の登山では高機能のレインウェアを準備し、フリースなどの防寒着を持つようにしましょう。
台風の進路に注意
秋は1年で最も台風が上陸する可能性が高い時期です。台風が近づいている時は登山を中止するのが良いでしょう。もし登山中に台風が接近してきたらすぐに山小屋に避難して台風が通過するのを待ちましょう。台風の中登山を行うことは非常に危険であり、尾根歩きの際には突風で滑落する危険性もあります。台風は進路がある程度予測できますので、事前に台風の進路を確認してトレッキングコースや時期を考えましょう。
秋は霧の発生する時期です
秋は霧が発生しやすい時期です。特に日本海側の山では霧により視界不良になりやすく、登山中に霧に覆われれば道迷いの危険性があります。霧での道迷いは切り立った尾根よりも広い尾根歩きや樹林帯の下山時に発生しやすい傾向があります。霧に会ってしまったら登山道の目印を確認して慎重に進むようにしましょう。また、道迷い防止の持ち物としてコンパスやGPSを活用しても良いでしょう。しかし、コンパスで現在地を把握するのには多少の勉強が必要ですので日頃から練習しておきましょう。
秋山登山の注意点②:防寒対策はしっかり
防寒対策の大切さ
北アルプスなどの高山帯になると10月後半には初雪が観測されます。気温も0度近くまで冷え込む事がありますので温かい服装での防寒対策は必須です。高山帯では昼間と夜の温度差が非常に大きく、行動中は汗ばむほどですが、夜間帯にはダウンジャケットが必要になる程になるほどです。防寒対策が不十分だと低体温症になる可能性が高く、そのままですと凍死してしまう事もあります。
防寒は中間着で行う
登山時の服装は重ね着をするのが基本ですが、防寒対策は中間着であるフリースやダウンジャケットの保温性能で行います。寒いときには厚手のフリース、温かいときには薄いジャージなどと使い分けるようにして、汗をかきすぎないように調節するのが大切です。
秋山登山の注意点③:準備は念入りに
秋山登山の準備は夏山に比べて、念入りに計画を立てる必要があります。日没時間による日照時間の短縮により行動時間の制限が夏山に比べて短くなります。さらに水場の確認(秋になると水量が少なくなり水場が無くなっている事があります)天候面では秋雨前線の活動や台風などの秋特有の気象条件に注意が必要ですし、10月終盤のシーズン終わりでは北アルプスなどの高山帯では降雪の危険性があります。秋山登山の準備は自分の装備品や登山技術、天候条件、メンバーなどを総合的に考えた上で適切な登山計画を練る事が非常に重要です。場合によっては登山を中止したり、難易度の低い山に変更する事も安全登山をするうえでは重要になります。
秋山登山の注意点④:野生動物に注意
秋は山に住む野生動物が冬眠に備えて活発に餌を探す時期となります。特に熊は冬眠するために木の実や樹皮を求めて里山にも出没する事があります。熊は基本的に臆病な生き物ですが、登山者と出会い頭に会うと驚いて襲いかかってくる事があります。万が一出くわしてしまったら、なるべく熊を刺激しないようにしてゆっくりとその場を立ち去りましょう。なお、本州に生息しているツキノワグマは草食ですので好んで人間を襲ったりはしないのですが、北海道に生息しているヒグマは人間を「エサ」と見る場合がありますので十分に注意が必要です。
秋山登山の注意点⑤:場所によっては大混雑
静かなトレッキングが楽しめる事が秋山登山の魅力ですが、時期と場所によっては大混雑の中で登山をすることになる場合があります。特に有名なのが、北アルプス南部の涸沢の紅葉です。涸沢は上高地から登山道を5時間程度歩かなければ到達できないキャンプ場ですが、秋の紅葉の混雑は山小屋のトイレに2時間以上の順番待ちが発生する様な状況になります。何百張というテントが立ち、長野県で一番人口密度が高い場所という噂もあるほどです。紅葉がシルバーウィークに重なった年は槍ヶ岳の頂上小屋から山頂まで4時間順番待ち(通常は20分)をした事例もあります。
秋山登山の注意点⑥:病気やケガに注意
秋山登山に限ったことではありませんが、登山中の怪我や病気には十分な注意が必要です。山で病気やケガをしてしまって動けなくなると、すぐに病院に行くことも出来ないため、病気の悪化につながります。また救助される事態になれば多額の救助費用も発生してしまいます。怪我の予防のため、トレッキングシューズは自分と対象の山に合ったモデルを選び、体調を崩さないようにしっかりとした防寒対策や温かい食料を準備できるようにしましょう。特に初心者のうちはいきなり登山に出かけるのではなく、ウォーキングなどの町での軽い運動から始めて体を慣らすようにしましょう。また、持病のある方は事前にかかりつけの医師に相談するとともに常備薬は忘れずに持参しましょう。
秋山登山の装備①:服装&トレッキングシューズ
服装の基本はレイヤリング
登山を行う上での服装の基本はレイヤリング(重ね着)です。秋山登山での服装も同じで、インナーに汗を蒸発させる機能を持った化学繊維の下着を着用して、中間に保温性のあるフリースなどを着用して、アウターとして防風効果のあるジャケットを重ね着します。初心者ほど1枚の多機能の服装で済ませようとしますが、防寒性能が高すぎる服装で活動すると汗冷えを起こし、かえって体温を下げかねません。重ね着の方が気温の変化に対応しやすく、着替えもしやくすなるため重ね着が登山時の万能服装です。
ゴアテックスのレインウェア
秋は天候が急に変わりやすくいため雨に対する服装には注意が必要です。1番のおすすめはゴアテックスのレインウェアです。ゴアテックスは水蒸気は通しますが水滴は通さないという性質を持つため、雨はレインウェアの外側でガードしますが、体表からの水蒸気(汗)は外に出す事ができます。また、レインウェアは防風効果もありますので、防寒着として持ち物のリストに加えても良いでしょう。
登山靴選びは安全が第一
秋山登山のトレッキングシューズの選び方は夏山と同じく、対象の山のレベルや自分の技量に合わせて選びましょう。できれば降雪時にアイゼンをつける事ができるようなソールの硬めなトレッキングシューズがオススメです。初心者にありがちなミスとして、防寒対策として保温材の入ったフカフカのトレッキングシューズを履いてしまう方がいますが、足の防寒対策は靴下ですべきです。薄めの靴下でもウール素材などであれば防寒対策には十分です。
秋山登山の装備②:テント&シュラフ(寝袋)
テントはドーム型が基本
テントの種類として自立型のドーム型と非自立型のトンネル型があります。非自立式のテントはペグダウンを十分に行わないといけないため、キャンプ場が石や硬い地面だとテントを立てる事が出来なくなってしまいます。その点、自立式のドームテントが地面の状況に左右されにくく、また風にも強いため、山岳テントとして扱いやすいため初心者から上級者までおすすめのテントです。
寝袋は性能で選ぶ
秋山では夜間の温度が想像以上に下がります。テント泊をする際には寝袋の性能に注意しましょう。どもメーカーでも最低使用温度がモデルごとに設定されていますので、自分の準備した寝袋が何度まで耐えられるのか確認しておきましょう。
秋山登山の必需品①:ダウンジャケット
秋山登山の防寒対策の定番必需品といえば軽量コンパクトのダウンジャケットです。秋山登山は気温が低くなる場合がありますし、ちょっとしたトレッキング時の休憩時に着れるような軽量のダウンジャケットを持ち物として準備しておくと快適に登山ができます。最近ではダウンジャケットの性能が向上して、軽くコンパクトに収納できる商品が各メーカーから販売されています。ダウン製品以外だと化繊のダウンジャケットが役に立ちます。化繊のダウンジャケットの最大のメリットは濡れても保温性が落ちにくい事です。また、値段もダウンに比べて安い事がメリットです。雨天が予想されるような場合には化繊ダウンジャケットを持ち物として準備しましょう。
秋山登山の必需品②:軽アイゼン
アイゼンは凍った斜面で安全に歩行するための登山用品です。初心者ほどアイゼンは必要ないと思われがちですが、秋山登山の注意点として時期も終盤になると高山帯ではいつ雪が降るかわからない天候になります。その際に持ち物として軽アイゼンを準備しておくと、万が一降雪があった場合でもある程度は対応出来ます。最近では超軽量のアルミ製アイゼンも販売していますので秋山登山の必需品としてバックパックに入れて置きましょう。しかし、秋山登山用の防寒服装や装備、持ち物では本格的な雪山の環境にはとても対応できません。お守り程度と考えて、降雪が予想される場合には最初から登山を中止しましょう。
秋山登山の必需品③:ヘッドライト
秋山登山の持ち物としてヘッドライトが必需品になります。秋の天気の特徴として日没が早い事があります。さらには悪天候や北斜面の登山道ではさらに日没が早くなり、あたり一面真っ暗になってしまうことがあります。万が一、日没後に行動しなくてはならない時に備えヘッドライトは必需品です。懐中電灯では片手がふさがってしまうため、岩場を通過する時やトレッキングポールを使用する時に邪魔になりますのでおすすめはできません。コンパクトなヘッドライトでも問題はありませんが、LEDを使用したヘッドラトであれば、大光量と使用時間に優れていますのでおすすめの必需品です。
秋山登山の必需品④:熊鈴
熊鈴はバックパックの外側に着けて歩くたびに「キーン」と高い音で鳴る鈴の事を言います。そもそも秋は野生の熊が冬眠の前に餌を求めて活発に活動する時期です。冬眠前の熊の行動範囲は広く、民家の周辺にまで出没する事があります。熊に会わない為には熊に人間が近くにいることを教えてあげることが大事です。そのほかの音が出る必需品として携帯ラジオの電源を付けたまま装備しても良いでしょう。そのほかの熊対策として熊に出会ってしまった時に使用する唐辛子成分入りの撃退スプレーも販売していますので余裕がある方はトレッキングの必需品として持ち物に準備しておきましょう。
初心者におすすめな秋山
初心者におすすめの秋山トレッキングコースですが、北アルプス南部の上高地から涸沢までの往復ルートがおすすめです。上高地まではバスが走っていますので上高地のキャンプ場をベースキャンプにすれば多少装備でも使用する事が出来ます。上高地のキャンプ場はお風呂や売店もあり初心者にはうってつけのキャンプ場です。上高地から涸沢までは初心者でも5時間程度で到達できます。道中は穂高連峰に囲まれたすばらしい紅葉を見ることが出来るでしょう。涸沢先の登山道は難易度が高くなりますので、初心者のかたは涸沢でゆっくりして上高地に戻るルートが良いでしょう。
秋山登山のまとめ
ここでは秋山登山のすばらしい魅力や実際に登山する上での注意点と安全に登山をする上での持ち物・必需品を説明しました。秋山は夏山にはない魅力であふれています。安全登山のためにも秋山登山は時期と服装、装備品をしっかりと準備して、事前の天候やトレッキングルートをきちんと確認して登山に行くようにしましょう。山での紅葉は町の紅葉と違って一瞬で終わってしまします、見るためには登山に行く時期や天候などの運も重要になってきます。綺麗な紅葉を見たり、夏から冬に移り変わる山の空気を体いっぱい感じてリフレッシュしましょう。
紅葉が綺麗な山が気になる方は下記をチェック
ここでは秋山登山の注意点や装備についてご紹介しましたが、下記では絶景の紅葉を見る事ができるおすすめの山を紹介しています。きになる方はぜひチェックしてみてください。
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