ドゥカティモンスターの魅力に迫る
イタリアのバイクメーカードゥカティのネイキッドバイクのラインナップであるモンスターが、ライダーに人気です。ネイキッドながらスーパースポーツ並みの運動性能を持ち、なおかつイタリアンバイクらしい洗練されたデザインを持ち合わせるドゥカティモンスターの魅力に迫ります。
ドゥカティモンスターとは
スーパースポーツバイクで定評のあるドゥカティにとっては珍しい、ネイキッドバイクのラインナップがモンスターシリーズです。スーパースポーツに比べてアップライトなライディングポジションながら、ドゥカティ自慢のデスモドロミックの90度Lツインという高性能なエンジンを搭載、本気のスポーツライディングが可能なネイキッドバイクとして、世界中のライダーから高い人気を獲得しています。
ドゥカティモンスターの魅力
高性能
ネイキッドバイクに搭載されるエンジンは、スーパースポーツのものをデチューンした性能のものが多いのが一般的でした。ところがモンスターには、同社のスーパースポーツに搭載される空冷のデスモドロミックLツインエンジンがそのまま搭載されました。長い歴史の中で空冷から水冷への変遷などもありましたが、いつの時代もネイキッドらしからぬ高性能な走りが、モンスターの魅力です。
美しいデザイン
モンスターはそのほとんどの車種において、フレームがデザインとして大きくその存在を主張する、鋼管トレリスフレームが採用されています。ヘッドライトからタンク、シート、そしてリヤへとつながるラインの先進的なデザインや、イタリアンレッドをはじめとしたビビットなカラー展開など、その洗練されたデザインもイタリアンならではの魅力に溢れています。
中型免許でも乗れる
大排気量バイクのイメージの強いドゥカティですが、モンスターには中型免許のライダーにも乗ることができる400のラインナップがあります。ドゥカティならではの高性能なスポーツライディングが、中免ライダーにも手に入るのも、モンスターが日本人ライダーに受け入れられやすい大きな魅力です。
手の届く価格
プレミアムバイクの多いドゥカティのラインナップの中にあって、モンスターの価格設定は比較的リーズナブルです。特に797では100万円台前半と、国産車と比べても遜色ない低価格での設定となっています。また長いモデルライフのおかげもあって、中古車では比較的低めの価格のものも多く、若いライダーでも手の届きやすいのもモンスターの魅力です。
ドゥカティモンスターのラインナップ①
モンスター1200
初代モンスターであるM900から、綿々と受け継がれるハイパフォーマンスネイキッドの本流を受け継ぐモデルが、モンスター1200です。水冷の1,198ccテスタステロッサ11°DSエンジンは、147馬力の高出力を発生、3種のツーリングモードにより、本格的なスポーツライディングを楽しめます。コーナーリングABSやトラクションコントロール、ウイリーコントロール搭載で、ライダーの安全性も非常に高いモデルです。
スペック
エンジン形式 | 水冷4ストローク デスモドロミック4バルブL型2気筒 |
排気量 | 1,198cc |
最高出力 | 147ps/9,250rpm |
最大トルク | 12.6kgm/7,750rpm |
車両重量 | 213kg |
シート高 | 795/820mm(可変式) |
燃料タンク容量 | 16.5リットル |
ドゥカティモンスターのラインナップ②
モンスター1200S
スタンダードモデルのKYB製倒立フォークに対し、こちらのS仕様はオーリンズ製のフルアジャスタブルフォークを装備、モンスターのハイスペックな走りに対応しています。専用デザインとなるホイールには、ブレンボ製のM50キャリパーに、大径化されたディスクローターで制動力を強化しています。電子制御のクイックシフターも装備され、モンスターのハイパフォーマンスな走りを、最大限に楽しめるモデルとなっています。
スペック
エンジン形式 | 水冷4ストローク デスモドロミック4バルブL型2気筒 |
排気量 | 1,198cc |
最高出力 | 147ps/9,250rpm |
最大トルク | 12.6kgm/7,750rpm |
車両重量 | 211kg |
シート高 | 795/820mm(可変式) |
燃料タンク容量 | 16.5リットル |
ドゥカティモンスターのラインナップ③
モンスター821
ドゥカティモンスターの華々しい歴史の最初のモデルとなる、モンスター900を彷彿とさせるデザインを持つ、ミドルクラスモンスターがモンスター821です。伝統のトレリスフレームに、新設計のヘッドライト、燃料タンク、サイレンサーで、よりスパルタンさを増した外観となりました。視認性の高いTFT液晶のメーターや、ABSやDTCなどの安全装備が、ライダーの高次元な走りをサポートしてくれます。
スペック
エンジン形式 | 水冷4ストローク デスモドロミック4バルブL型2気筒 |
排気量 | 821cc |
最高出力 | 109ps/9,250rpm |
最大トルク | 8.8kgm/7,750 rpm |
車両重量 | 206kg |
シート高 | 785/810mm(可変式) |
燃料タンク容量 | 16.5リットル |
ドゥカティモンスターのラインナップ④
モンスター797
現行のドゥカティモンスターのラインナップの中では、唯一の空冷エンジンモデルとなるのがモンスター797です。軽量・コンパクトなボディに空冷ならではの扱いやすい特性、オーソドックスな両持ちのスイングアームの素直なフィーリングなどで、モンスタービギナーにもおすすめのバイクです。トラクションコントロールやライディングモードなどの装備を省いたシンプルさと、リーズナブルな価格設定も、モンスターの敷居を大きく下げることに貢献しています。
スペック
エンジン形式 | 空冷4ストローク デスモドロミック2バルブL型2気筒 |
排気量 | 803cc |
最高出力 | 73HP/8,250rpm |
最大トルク | 6.8kgm/5,750rpm |
車両重量 | 193kg |
シート高 | 805mm |
燃料タンク容量 | 16.5リットル |
ドゥカティモンスターの歴史
初代モンスターの登場
初代のドゥカティモンスターであるモンスター900が発売されたのが、1993年です。ドゥカティのカウル付きのスポーツモデルであったドゥカティ851のフレームに、スーパースポーツ並みのスペックを持つ空冷のL型ツインエンジンを搭載、2000年にはインジェクション化をはたし、900I.E.となりました。ハイパフォーマンスネイキッドという新たなジャンルを切り開いた革命的なモデルでした。
第2世代
2003年にフルモデルチェンジしたモンスターは、第2世代に突入します。フラッグシップモデルの排気量は1000ccにアップ、スーパーバイク用の水冷エンジンを搭載したS4Rなど、さらなるパワーアップが図られました。片持ちのスイングアームや2本出しのマフラーのS2Rの登場など、スペック的にも見た目的にもハイパフォーマンス化が重視されていました。
第3世代
2008年に登場したモンスター696からは、ドゥカティモンスターの第3世代に入ります。その存在を大きく主張する新設計のトラスフレームや、軽量・コンパクトになったボディはモンスターの敷居を大きく下げ、エントリーユーザーを一気に増やすことにも貢献しました。ハイパフォーマンスネイキッドから、扱いやすいシンプルなスポーツネイキッドへと軸足を移したのが、この第3世代です。
第4世代
2014年のモデルチェンジで第4世代となったドゥカティモンスターには、2008年以来ラインナップから姿を消していた水冷エンジンが久々に復活、160馬力のハイスペックを誇るテスタステロッサエンジンを軽量化されたシャシーに搭載、モンスターが本来持っていた獰猛さを取り戻したモデルとも言えます。第4世代モンスターは、この1200と同じく水冷の821、そして空冷の797のラインナップとなります。
ドゥカティモンスター歴代の名車①
モンスター900
ドゥカティ初のスポーツネイキッドバイクとして登場したのが、初代モンスター900です。スーパーバイクであるドゥカティ851のフレームに、高性能な900SSの空冷エンジンを搭載し、それまでのネイキッドにはないハイパフォーマンスな走りで人気を博しました。ハイグレードな装備を持つ”S”や、廉価版の”Dark”など、多彩なグレード展開も人気の秘密でした。
スペック
エンジン形式 | 空冷4ストローク デスモドロミック2バルブL型2気筒 |
排気量 | 904cc |
最高出力 | 78ps/6,750rpm |
最大トルク | 7.5kgm/6,500rpm |
乾燥重量 | 185kg |
シート高 | 770mm |
燃料タンク容量 | 16.0リットル |
ドゥカティモンスター歴代の名車②
モンスター600
ドゥカティモンスターの第2弾として、900に引き続いて登場したのが、モンスター600です。小柄なライダーでも取り回しやすいコンパクトな車体ながら、エンジンはスパーツバイク並みのハイパフォーマンスを発揮し、街乗りから峠のスポーツライディンまでこなす幅の広さで人気を誇りました。また高価格なスポーツバイクの多いドゥカティのラインナップの中にあって、リーズナブルな価格設定も大きな魅力でした。
スペック
エンジン形式 | 空冷4ストローク デスモドロミック2バルブL型2気筒 |
排気量 | 583cc |
最高出力 | 53HP/8,250rpm |
最大トルク | 4.9kgm/7,000rpm |
乾燥重量 | 174kg |
シート高 | 770mm |
燃料タンク容量 | 16.0リットル |
ドゥカティモンスター歴代の名車③
モンスターS2R1000
片持ちスイングアームや右側の2本出しマフラーといった前衛的なスタイリングに、ドゥカティモンスター伝統の空冷L型ツインエンジンを搭載したS2Rの最上位に位置するバイクが、モンスターS2R1000です。コンパクトなボディに空冷らしいマイルドなエンジン特性、ドゥカティ伝統の乾式クラッチの独特なフィールなど、新しさと伝統がうまくマッチしたモデルとして、ライダーの人気を集めました。
スペック
エンジン形式 | 空冷4ストローク デスモドロミック2バルブL型2気筒 |
排気量 | 992cc |
最高出力 | 95HP/8,000rpm |
最大トルク | 9.6kgm/6,000rpm |
乾燥重量 | 178kg |
シート高 | 800mm |
燃料タンク容量 | 14.0リットル |
ドゥカティモンスター歴代の名車④
モンスターS4R
片持ちのスイングアームにテールカウル右側の2本出しのマフラーという、ドゥカティモンスターのスタイリングの新機軸を開いたのがS4Rです。エンジンは先代モデルに比べさらにハイパワーとなった996ccの水冷L型ツインエンジンを搭載、空冷エンジンにはないパフォーマンスが大きな魅力でした。その後、コンパクトなヘッドを持つテスタステロッサエンジンを搭載し、さらなるパワーの向上が図られました。
スペック
エンジン形式 | 水冷4ストローク デスモドロミック4バルブL型2気筒 |
排気量 | 996cc |
最高出力 | 117HP/8,750rpm |
最大トルク | 10.1kgm/7,000rpm |
乾燥重量 | 181kg |
シート高 | 800mm |
燃料タンク容量 | 15.0リットル |
ドゥカティモンスター歴代の名車⑤
モンスター400
ドゥカティモンスターの中でも最小排気量となる、日本専用のモデルがモンスター400です。中型免許で乗ることができ、価格も手頃なことから、ドゥカティビギナーのライダーの裾野をいっきに広げました。ドゥカティ伝統の空冷L型ツインエンジンに、ミドルクラスならではのコンパクトなボディで、モンスターらしいスポーツライディングを手軽に楽しむことができるモデルとして人気を集めました。
スペック
エンジン形式 | 空冷4ストローク デスモドロミック2バルブL型2気筒 |
排気量 | 398cc |
最高出力 | 43HP/11,000rpm |
最大トルク | 3.25kgm/9,000rpm |
乾燥重量 | 177kg |
シート高 | 770mm |
燃料タンク容量 | 15.0リットル |
ドゥカティモンスターのライバル
MVアグスタ ブルターレ1090
ドゥカティと同じくイタリアのバイクメーカーであるMVアグスタの、ハイパフォーマンスネイキッドバイクがブルターレ1090です。モンスターにも採用されているトレリスフレームに搭載されるツインカムの並列4気筒エンジンは、144馬力のハイパワーを発揮します。ブレンボ製の4ポットキャリパーやマルゾッキの倒立フォーク、トランクションコントロールなど、高いパフォーマンスと安全性能の融合は、モンスターのライバルとなりうる一台と言えます。
スペック
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒 |
排気量 | 1,078cc |
最高出力 | 非公表 |
最大トルク | 非公表 |
BMW F800R
BMWのネイキッドスポーツモデルがF800Rです。スパルタンなストリートファイター然としたルックスながら、扱いやすい並列2気筒エンジンや、コンパクトでコントローラブルなハンドリングなど、スポーツ走行可能なネイキッドのエントリーモデルとして、ドゥカティモンスターとも競合する車種です。
スペック
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒 |
排気量 | 798cc |
最高出力 | 85ps/8,500rpm |
最大トルク | 86N・m/5,800rpm |
ヤマハ MT-10
ヤマハが展開するスポーツネイキッドであるMTシリーズの中でも、最大排気量を誇るのがMT-10です。スーパースポーツYZF-R1の直列4気筒エンジンを流用したパワーユニットは、クロスプレーンコンセプトによるパワーとトルクを持ち、ライダーは異次元の走りを体感することができます。
スペック
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒 |
排気量 | 997cc |
最高出力 | 160PS/ 11,500rpm |
最大トルク | 11.3kgm/6,500rpm |
進化を続けるモンスター
ドゥカティモンスターシリーズについてご紹介してきました。世界を驚かせた登場からすでに四半世紀が経過しながらも、その魅力はまったく色あせることがありません。これからも進化を続けるハイパフォーマンスネイキッド、ドゥカティモンスターから目が離せません。